「ひぇっひっひっひっ、そうじゃ悔やめ女！自ら愛した男を刺したんじゃぞ？できなかった偽りの子のふりをしてな！アッヒャヒャヒャヒャアア！」


鏖地蔵の目線の先には、上手く起動をそらしきれず、血を流している鯉伴。


『…てめぇ、…っっ！』


五月蝿い塵地蔵に苛立ちを覚えたリクヤは飛びかかろうとするが体が動かなかった。


「そうじゃ妾は待ちかねたのじゃ｡」

『…っ！』


山吹乙女が羽衣狐に乗っ取られた。
リクヤはとにかく羽衣狐を睨む。


「…なんじゃ、孫もいたのか。」


羽衣狐がリクヤに近づいてきた。


「ぬらりひょんの孫…か…しかし決して狐の呪いは消えぬ。血は必ず絶えて貰う、憎きぬらりひょんの血…」

「羽衣狐様、今のうちにこやつに止めを！こやつが生きていては邪魔になるだけ。今なら楽に殺せましょう！」

「まぁ待て…塵地蔵。妾は復活したところで機嫌が良い…それに今殺さなくとも始末する機会は十分ある。放っておいた所で他の妖怪に殺られて終いじゃろうて。」

「ぐうぅ…わかりました。」

「それにしてもただ帰ると言うのもあれじゃのう。
あぁ。これが良い。ひとつ置き土産を置いていこうか」


意識の消えゆくリクヤの前で暫くやり取りをした後、羽衣狐達が背中を見せて去っていったところでリクオが奴良組の皆を連れてきた。

その後は奴良組の人達がリクヤに駆け寄った。
皆の姿を見て安心したのかリクヤの意識はそこで途切れた。