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残りの体温をきみにあげる
※「私の熱を奪ってね」の続きです
※年齢操作があります(専門学校生)
「お前、また熱上がったろ!?」
「だって、鎌先くんが……」
「ったく、布団行くぞ」
「え、ちょ、待って、ほあっ!?」
足元ををすくわれ変な声を上げてしまった私を、鎌先くんは有無を言わさずお姫様抱っこで運んでいく。
でも、熱が上がったの、鎌先くんのせいだと思うんだけど……。
「うわぁ!」
「ほら、しっかり寝とけ!」
意外と乱暴に投げられた。その上に毛布と掛布団を手際よく重ねてくる。
そうして鎌先くんは私を寝かせたベッドの淵に座ると、さっきとは打って変わった優しい手つきで乱れた私の前髪をすくった。
「今日、土曜でよかったな。結城、バイトとかは?」
「えと……、大丈夫」
「誰かここに来る予定は?」
「ないよ」
そう答えると、鎌先くんは一度考えるように天井を見た。
「俺、一回、家帰るわ」
「え、あ、うん……。……帰っちゃうんだ」
小声で呟いたのに彼の耳にはしっかり届いてしまったのだろう。鎌先くんは慌てて付け足すように言う。
「ちょっと着替えてシャワー浴びて、……また来る」
「……ここで浴びてったらいいのに」
そう言うと鎌先くんは真っ赤な顔で怒鳴った。
「お前、どうなっても知らねぇぞ!」
「!? ハイ……」
心細さにこぼれた言葉は鎌先くんを煽ってしまったらしい。すごい剣幕で叱られ、しょんぼりと引き下がると彼はバツが悪そうに頬を掻く。
「……何もしなくていいからな。気ィ遣うなよ。とにかく俺が戻るまで安静にしてろ」
「わかった」
もぞもぞと身体を布団の中にきっちりと納める。正しく病人の体勢に戻った私を見届けた彼は、ふっと表情を緩めて私の頭を優しく撫でた。
「すぐ戻るから」
「うん……」
小さく私がうなずくと、鎌先くんは私の額にあてた手を頬まで滑らせ、私がドキッとした隙をついて唇を奪ってくる。
こんなに自然に、キスする人なんだ……。
閉じた瞼のまつ毛が意外と長い。ぽーっとそれを見つめていると、そっと唇が離れて鎌先くんの目が開いた。私と目が合うと鎌先くんは急に顔をそむける。ほんのり耳まで赤くなってる。
「鎌先……くん?」
私が呼びかけると、顔をそむけたまましかめっ面で呟くように言った。
「……俺が戻るまで、家から出るな」
「う、うん……」
「大人しく寝てろ。……鍵、貸せ」
テーブルを指さすと彼は鍵をポケットに入れる。そして鎌先くんは「行ってくる」と出て行った。
寝てろ、って言われても昨日からずっと寝てたから眠くない。
熱を出してから何もしていない。また来てくれるのならちょっとは家の中をキレイにしないと。
布団を抜け出し、まずは熱を出してから片付けた記憶のないキッチンへと向かう。
「あれ?」
流しに放置していたはずの食器は全て洗われて、ゴミが軽くまとめられて隅に置かれている。
あとでお礼を言わないと、と思いながら洗濯機の所へ行く。今朝までに使ったパジャマやらタオルやらをまとめて洗濯乾燥にかける。
洗濯機の前に体育座りして回っている洗濯機を眺めながら考える。
鎌先くん、マメな人なんだな……。
ちょっと意外。
あと、意外といえば。。。
鎌先くん、めちゃめちゃキスしてくるんだけど……。
「ううう……」
声にならない呻き声を出して私は膝の間に頭を埋める。今朝のここでのこと、思い出しちゃった……。あー。もう……。
本格的に熱がぶり返す気配を感じて私はベッドに戻る。
もう眠れないと思ったけど、火照った身体は本調子ではないし、人と一緒に寝た疲れも出たみたいで、私はそのまま眠りに落ちてしまった。
◇◇◇
次に目が覚めたとき、鎌先くんは既に戻ってきていた。
見慣れない、白地に緑のラインが入ったエナメルバッグが置いてある。「ーー工業」と文字が見えるから、高校時代の部活用のスポーツバッグに一泊用の荷物を入れて来たのかな、とぼんやり思う。
起き上がろうとすると手伝ってくれる。布団から出ようとすると目的を聞かれる。キッチンの方からいい匂いがすると思ったらうどんが作ってあった。柔らかく煮られた薄味の、いかにも病人食といった感じの。鎌先くんが料理ができることに驚いたし、ここまで来ると過保護なんじゃない? と困惑したけれども、私はありがたく甘えることにした。
ご飯を食べたらシャワーを浴びて寝る準備。
鎌先くんは当たり前のように持参してきたスウェットに着替えている。
「昨日と同じでいいよな?」
「え?」
昨日と同じって……。
!? 私のベッドで一緒に眠るってこと?
そうこうしているうちに、私が入っているベッドの隣に鎌先くんは滑り込んできた。
思わず彼から距離を置くように壁際に寄っていく私を見て、鎌先くんはあきれたように言う。
「お前……。そんなに警戒すんなよ。昨日と一緒で何もしねぇって」
「そうじゃなくて、私……。昨日の、そんなに覚えてないの……」
「はぁ? まじか?」
「うん。だから、今、すっごく……困ってる」
「覚えてるけど、俺だってそんな変わんねぇよ」
そう言いながら鎌先くんは私の火照った頬を包むように手のひらで触れる。
「……お前、またすげぇあっちいんだけど」
「だって……こんなことされたら……。鎌先くんのせいだって」
私がそう言うのにかまわず彼が顔を近づけてくるのを、私は慌てて止める。
「何もしないって言ったじゃん」
「キスはいいだろ? 朝から散々してるし、今さら、」
「ダメだよ、熱上がったし、うつっちゃうよ」
「お前、俺のせいだって言ったじゃねぇか。風邪の熱じゃねぇんだろ?」
「……ごめん、それは冗談だよ。本当にぶり返してるかもしれないし、」
「今さらだろ。別にそれでもいいよ。よこせ」
「でも……」
「バカは風邪ひかないっていうだろ」
「自分で言うの? それ?」
「うるせぇ」
そう言うなり彼は強引に私の顔を引き寄せ、迷いなく口づけをする。
長いキスの後見つめあってしまって、私がゆっくり瞬きをした瞬間、さらに唇が奪われる。
唇が離れても、目が合うとそれを合図に繰り返されてしまう。息をつく間もない。
五回目のキスの後、さすがに息が上がった私が目をそらしたことでようやく鎌先くんの唇の侵攻が止まる。
「……鎌先くん、キス、好きなの?」
「はぁ!?」
「だって、こんなに、ダメなのに、してくるなんて……」
苦しい。頭が熱い。鎌先くんのせいだ。
ばつの悪そうな顔で鎌先くんは呟くように言う。
「……ムラついたのを発散してんだよ」
ムラつく? そんな……。だって、こんなにいっぱいしてくるって……。
「えっ……。多くない……?」
思わず本音を口にしてしまうと、鎌先くんはさっと赤くなった。
「だから! 深ぇのはしねぇようにしてるから、発散できねぇんだよ」
「なんでしないの?」
「ばかか、おめぇは! その先ヤりたくなっちまうだろ!」
「え、この先は、今日は……まだ、ムリだよ……」
「はぁ!? だから、がっついてるわけでも無理させてぇわけでもねーぞ」
「ごめん……」
怒らせてしまった。
だから今度は私からキスしようとしたのに、なぜかよけられてしまった。
「……」
地味にショックだ。私がじーっと睨むと、鎌先くんはバツが悪そうに言い訳をする。
「わりぃ、今、お前からやられたら、多分タガが外れる」
「だからって、なんか傷つく……」
「だから、それは……。お前が、俺と、どうなってもいいって時までとっといてくれ」
そう言うと私を落ち着かせるように大きな手を私の額に滑らせる。
彼の手はやっぱり温かい。だけど発熱した額にはもう少し冷たいものが欲しい。
「ああ、もう、ホントお前……。早く寝るぞ」
「……鎌先くん、手もあったかいから、あんま気持ちよくない」
「お前なー」
「体はサイコーなのに」
「はぁっ!?」
深い意味はなかったけれど、彼は深い意味に取っちゃったみたいで、みるみる赤くなった。
「うるせぇな、早く寝ろ!寝ねぇとキスすんぞ」
「……」
上目遣いで睨みつけると、彼ははーっと深いため息をついた。
「……ったく」
唇が離れる瞬間、彼の唇をぺろっと舐める。
鎌先くんは驚いた顔をしている。私はにやっと笑ってみせた。
「ちょ、おま、待て」
「おやすみっ!」
布団に潜り込んで、彼の胸に顔を押し付け、彼が身体を動かせないよう力いっぱいしがみついた。
title by「甘い朝に沈む」
※「私の熱を奪ってね」の続きです
※年齢操作があります(専門学校生)
「お前、また熱上がったろ!?」
「だって、鎌先くんが……」
「ったく、布団行くぞ」
「え、ちょ、待って、ほあっ!?」
足元ををすくわれ変な声を上げてしまった私を、鎌先くんは有無を言わさずお姫様抱っこで運んでいく。
でも、熱が上がったの、鎌先くんのせいだと思うんだけど……。
「うわぁ!」
「ほら、しっかり寝とけ!」
意外と乱暴に投げられた。その上に毛布と掛布団を手際よく重ねてくる。
そうして鎌先くんは私を寝かせたベッドの淵に座ると、さっきとは打って変わった優しい手つきで乱れた私の前髪をすくった。
「今日、土曜でよかったな。結城、バイトとかは?」
「えと……、大丈夫」
「誰かここに来る予定は?」
「ないよ」
そう答えると、鎌先くんは一度考えるように天井を見た。
「俺、一回、家帰るわ」
「え、あ、うん……。……帰っちゃうんだ」
小声で呟いたのに彼の耳にはしっかり届いてしまったのだろう。鎌先くんは慌てて付け足すように言う。
「ちょっと着替えてシャワー浴びて、……また来る」
「……ここで浴びてったらいいのに」
そう言うと鎌先くんは真っ赤な顔で怒鳴った。
「お前、どうなっても知らねぇぞ!」
「!? ハイ……」
心細さにこぼれた言葉は鎌先くんを煽ってしまったらしい。すごい剣幕で叱られ、しょんぼりと引き下がると彼はバツが悪そうに頬を掻く。
「……何もしなくていいからな。気ィ遣うなよ。とにかく俺が戻るまで安静にしてろ」
「わかった」
もぞもぞと身体を布団の中にきっちりと納める。正しく病人の体勢に戻った私を見届けた彼は、ふっと表情を緩めて私の頭を優しく撫でた。
「すぐ戻るから」
「うん……」
小さく私がうなずくと、鎌先くんは私の額にあてた手を頬まで滑らせ、私がドキッとした隙をついて唇を奪ってくる。
こんなに自然に、キスする人なんだ……。
閉じた瞼のまつ毛が意外と長い。ぽーっとそれを見つめていると、そっと唇が離れて鎌先くんの目が開いた。私と目が合うと鎌先くんは急に顔をそむける。ほんのり耳まで赤くなってる。
「鎌先……くん?」
私が呼びかけると、顔をそむけたまましかめっ面で呟くように言った。
「……俺が戻るまで、家から出るな」
「う、うん……」
「大人しく寝てろ。……鍵、貸せ」
テーブルを指さすと彼は鍵をポケットに入れる。そして鎌先くんは「行ってくる」と出て行った。
寝てろ、って言われても昨日からずっと寝てたから眠くない。
熱を出してから何もしていない。また来てくれるのならちょっとは家の中をキレイにしないと。
布団を抜け出し、まずは熱を出してから片付けた記憶のないキッチンへと向かう。
「あれ?」
流しに放置していたはずの食器は全て洗われて、ゴミが軽くまとめられて隅に置かれている。
あとでお礼を言わないと、と思いながら洗濯機の所へ行く。今朝までに使ったパジャマやらタオルやらをまとめて洗濯乾燥にかける。
洗濯機の前に体育座りして回っている洗濯機を眺めながら考える。
鎌先くん、マメな人なんだな……。
ちょっと意外。
あと、意外といえば。。。
鎌先くん、めちゃめちゃキスしてくるんだけど……。
「ううう……」
声にならない呻き声を出して私は膝の間に頭を埋める。今朝のここでのこと、思い出しちゃった……。あー。もう……。
本格的に熱がぶり返す気配を感じて私はベッドに戻る。
もう眠れないと思ったけど、火照った身体は本調子ではないし、人と一緒に寝た疲れも出たみたいで、私はそのまま眠りに落ちてしまった。
◇◇◇
次に目が覚めたとき、鎌先くんは既に戻ってきていた。
見慣れない、白地に緑のラインが入ったエナメルバッグが置いてある。「ーー工業」と文字が見えるから、高校時代の部活用のスポーツバッグに一泊用の荷物を入れて来たのかな、とぼんやり思う。
起き上がろうとすると手伝ってくれる。布団から出ようとすると目的を聞かれる。キッチンの方からいい匂いがすると思ったらうどんが作ってあった。柔らかく煮られた薄味の、いかにも病人食といった感じの。鎌先くんが料理ができることに驚いたし、ここまで来ると過保護なんじゃない? と困惑したけれども、私はありがたく甘えることにした。
ご飯を食べたらシャワーを浴びて寝る準備。
鎌先くんは当たり前のように持参してきたスウェットに着替えている。
「昨日と同じでいいよな?」
「え?」
昨日と同じって……。
!? 私のベッドで一緒に眠るってこと?
そうこうしているうちに、私が入っているベッドの隣に鎌先くんは滑り込んできた。
思わず彼から距離を置くように壁際に寄っていく私を見て、鎌先くんはあきれたように言う。
「お前……。そんなに警戒すんなよ。昨日と一緒で何もしねぇって」
「そうじゃなくて、私……。昨日の、そんなに覚えてないの……」
「はぁ? まじか?」
「うん。だから、今、すっごく……困ってる」
「覚えてるけど、俺だってそんな変わんねぇよ」
そう言いながら鎌先くんは私の火照った頬を包むように手のひらで触れる。
「……お前、またすげぇあっちいんだけど」
「だって……こんなことされたら……。鎌先くんのせいだって」
私がそう言うのにかまわず彼が顔を近づけてくるのを、私は慌てて止める。
「何もしないって言ったじゃん」
「キスはいいだろ? 朝から散々してるし、今さら、」
「ダメだよ、熱上がったし、うつっちゃうよ」
「お前、俺のせいだって言ったじゃねぇか。風邪の熱じゃねぇんだろ?」
「……ごめん、それは冗談だよ。本当にぶり返してるかもしれないし、」
「今さらだろ。別にそれでもいいよ。よこせ」
「でも……」
「バカは風邪ひかないっていうだろ」
「自分で言うの? それ?」
「うるせぇ」
そう言うなり彼は強引に私の顔を引き寄せ、迷いなく口づけをする。
長いキスの後見つめあってしまって、私がゆっくり瞬きをした瞬間、さらに唇が奪われる。
唇が離れても、目が合うとそれを合図に繰り返されてしまう。息をつく間もない。
五回目のキスの後、さすがに息が上がった私が目をそらしたことでようやく鎌先くんの唇の侵攻が止まる。
「……鎌先くん、キス、好きなの?」
「はぁ!?」
「だって、こんなに、ダメなのに、してくるなんて……」
苦しい。頭が熱い。鎌先くんのせいだ。
ばつの悪そうな顔で鎌先くんは呟くように言う。
「……ムラついたのを発散してんだよ」
ムラつく? そんな……。だって、こんなにいっぱいしてくるって……。
「えっ……。多くない……?」
思わず本音を口にしてしまうと、鎌先くんはさっと赤くなった。
「だから! 深ぇのはしねぇようにしてるから、発散できねぇんだよ」
「なんでしないの?」
「ばかか、おめぇは! その先ヤりたくなっちまうだろ!」
「え、この先は、今日は……まだ、ムリだよ……」
「はぁ!? だから、がっついてるわけでも無理させてぇわけでもねーぞ」
「ごめん……」
怒らせてしまった。
だから今度は私からキスしようとしたのに、なぜかよけられてしまった。
「……」
地味にショックだ。私がじーっと睨むと、鎌先くんはバツが悪そうに言い訳をする。
「わりぃ、今、お前からやられたら、多分タガが外れる」
「だからって、なんか傷つく……」
「だから、それは……。お前が、俺と、どうなってもいいって時までとっといてくれ」
そう言うと私を落ち着かせるように大きな手を私の額に滑らせる。
彼の手はやっぱり温かい。だけど発熱した額にはもう少し冷たいものが欲しい。
「ああ、もう、ホントお前……。早く寝るぞ」
「……鎌先くん、手もあったかいから、あんま気持ちよくない」
「お前なー」
「体はサイコーなのに」
「はぁっ!?」
深い意味はなかったけれど、彼は深い意味に取っちゃったみたいで、みるみる赤くなった。
「うるせぇな、早く寝ろ!寝ねぇとキスすんぞ」
「……」
上目遣いで睨みつけると、彼ははーっと深いため息をついた。
「……ったく」
唇が離れる瞬間、彼の唇をぺろっと舐める。
鎌先くんは驚いた顔をしている。私はにやっと笑ってみせた。
「ちょ、おま、待て」
「おやすみっ!」
布団に潜り込んで、彼の胸に顔を押し付け、彼が身体を動かせないよう力いっぱいしがみついた。
title by「甘い朝に沈む」
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