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おててがつめたいこはほっぺがあかい
寒い。手袋をするまでもない、と思って家を出たけれど、今朝の冷え込みにはたった20分前の判断を後悔してしまう。
『ポケットに手を突っ込んだまま歩いちゃダメ』
幼いころに口を酸っぱくして言われた事は意外としみついているもんだ。ポケットに手を突っ込めずに校舎までの道を歩いていると、後ろから来た何者かに急に手を握られた。
「冷た!手、つめた!」
悲鳴を上げ、思わず手をひっこめようとするとそれよりも速いスピードでぎゅっと強くつかまれる。にやーっと笑って立っているのは、クラスメイトの二口だ。
「やーっと手が温かいヤツみつけた。ねぇ結城温めてよ」
「何してんの!?二口」
コイツ、登校中、手があったかいのを求めてそこらじゅうから手を握ってたの……え?男同士で?
なかなかその光景、絵面がひどいわー。アホだ。
うーん。ここは私が犠牲になって、ここで断ち切らせた方が今日の伊達工、平和になりそう?
二口は二ヤニヤと、自分の手の冷たさを私の手を握ることで移そうとしてるのだろうけど、そうはさせない!
私はもう片方の手を出し、両手で二口の手を包む。
「え???!」
なんでコイツびっくりしてるのよ。
「はい、あっためてほしいんでしょ?」
びっくり顔の二口は置いといて、私は真剣に二口の手と向き合う。
手、大きいな。この大きさだと私の手じゃ片方ずつしか温められない。
すりすりすりっと手全体を摩擦してみるけれど、全然だ。
中央からか末端からか。どっちが早く効率よく温まるんだろう。
指先……冷た!血行悪いんじゃないの?
じゃあ、やっぱり手のひらからかな?
手のひらを両手で握る。指先でもみほぐしてみる。
そうしながら、彼の冷たい指に視線を移す。
爪の形キレイ。ネイル映えしそう。節は太いけれど指はすらっとしている。ピアノ弾いてるひとみたい。
それにしても……
「ねぇ、何で、そんなくねくねしてんの?」
「い、いや、ちょっとくすぐったい」
「ガマンしなさい」
二口の顔が赤い。血行はよくなっているみたいだ。
すっと指の方をなでる。
「うっわああああ!」
「何?変な声出して」
自分から『あっためろ』とか言ったくせに、うるさいなあ。
指先は全然だめ。冷たいまんま。頑固だなあ。
こうなりゃ、最終手段。
二口の手をぐっと引き寄せる、
「はい、手かして」
「結城、なな、何だよ」
焦る二口のことは放っておく。
私の17年の経験から言えば、これが指先には最強でしょ!
「はぁーーーーーーーーー」
息を吹きかける。
ほら、みるみるうちに指に赤みが差してきた!
やった!完全勝利!!!
「よし!これでいいんじゃない?」
「………」
「どうしたの?」
そこには、顔を逸らして頬から耳まで真っ赤に染まった二口が立っていた。
「俺のおててのハジメテがもってかれた……」
「うーん?二口くんはバカくんなのかな?」
寒い。手袋をするまでもない、と思って家を出たけれど、今朝の冷え込みにはたった20分前の判断を後悔してしまう。
『ポケットに手を突っ込んだまま歩いちゃダメ』
幼いころに口を酸っぱくして言われた事は意外としみついているもんだ。ポケットに手を突っ込めずに校舎までの道を歩いていると、後ろから来た何者かに急に手を握られた。
「冷た!手、つめた!」
悲鳴を上げ、思わず手をひっこめようとするとそれよりも速いスピードでぎゅっと強くつかまれる。にやーっと笑って立っているのは、クラスメイトの二口だ。
「やーっと手が温かいヤツみつけた。ねぇ結城温めてよ」
「何してんの!?二口」
コイツ、登校中、手があったかいのを求めてそこらじゅうから手を握ってたの……え?男同士で?
なかなかその光景、絵面がひどいわー。アホだ。
うーん。ここは私が犠牲になって、ここで断ち切らせた方が今日の伊達工、平和になりそう?
二口は二ヤニヤと、自分の手の冷たさを私の手を握ることで移そうとしてるのだろうけど、そうはさせない!
私はもう片方の手を出し、両手で二口の手を包む。
「え???!」
なんでコイツびっくりしてるのよ。
「はい、あっためてほしいんでしょ?」
びっくり顔の二口は置いといて、私は真剣に二口の手と向き合う。
手、大きいな。この大きさだと私の手じゃ片方ずつしか温められない。
すりすりすりっと手全体を摩擦してみるけれど、全然だ。
中央からか末端からか。どっちが早く効率よく温まるんだろう。
指先……冷た!血行悪いんじゃないの?
じゃあ、やっぱり手のひらからかな?
手のひらを両手で握る。指先でもみほぐしてみる。
そうしながら、彼の冷たい指に視線を移す。
爪の形キレイ。ネイル映えしそう。節は太いけれど指はすらっとしている。ピアノ弾いてるひとみたい。
それにしても……
「ねぇ、何で、そんなくねくねしてんの?」
「い、いや、ちょっとくすぐったい」
「ガマンしなさい」
二口の顔が赤い。血行はよくなっているみたいだ。
すっと指の方をなでる。
「うっわああああ!」
「何?変な声出して」
自分から『あっためろ』とか言ったくせに、うるさいなあ。
指先は全然だめ。冷たいまんま。頑固だなあ。
こうなりゃ、最終手段。
二口の手をぐっと引き寄せる、
「はい、手かして」
「結城、なな、何だよ」
焦る二口のことは放っておく。
私の17年の経験から言えば、これが指先には最強でしょ!
「はぁーーーーーーーーー」
息を吹きかける。
ほら、みるみるうちに指に赤みが差してきた!
やった!完全勝利!!!
「よし!これでいいんじゃない?」
「………」
「どうしたの?」
そこには、顔を逸らして頬から耳まで真っ赤に染まった二口が立っていた。
「俺のおててのハジメテがもってかれた……」
「うーん?二口くんはバカくんなのかな?」
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