7 ユメミガワルイ
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夢見が悪い
気がついたら彼女を組み敷いていた。
広すぎる、白いシーツの上に、彼女の髪が扇状に広がっている。
彼女は俺の両腕の間からきょときょとと左右を見回し、俺以外に誰もいないことがわかったのか慌てた様子で訴えてきた。
「待って、お願い、二口くん……」
頭の中に彼女の声が響いてくる。
その言葉を聞いて、自分の中のもう一人の俺が激昂したのを感じた。
「友紀は『待って』って気軽に言うけど、」
もどかしい、肩口にまとわりつく布を必死に振り払おうとするけれど、上手く取り去ることができない。
乱暴に引きちぎるようにもがきながら、俺は友紀に訴える。
「待つってことは、俺、我慢してるってことなんだけど?」
「うん……、わかってる」
「わかってねぇだろ」
「…………」
「我慢って、すげぇつらいんだけど」
「…………」
「いい加減、覚悟決めろよ」
無我夢中すぎてどうやって脱がせたのかも曖昧で、露わになっているはずの肌すらよく見えない。
見えないから、そこへ顔を近づけていった。彼女の身体が発光したように目に映って目がくらみそうになる
「あ、待って」
「もう、待たねぇ」
「あ……っ、いや」
「何がいやなんだよ」
「んっ、あ、だめ」
「ダメじゃねぇよ」
「だめ、っ、だめ、あぁ……」
眉を寄せて辛そうな顔をする友紀と言い合いをしながら、屋上での太ももの柔らかさを思い出すような感触に包まれていく。
友紀、嫌がってない? とかは頭の片隅にはあったけれど、思ったよりも抵抗なくいったことで心配はうやむやになっていき、思うままに友紀の上で腰を動かすうちに、全身を真綿でくるまれているような鈍い感触が自分の中心にかかってくるような気がした。
「あ、やだ、やだやだやだぁ……、」
彼女の口から悲鳴とも喘ぎ声ともつかない声が聞こえてくる。
「もう、あきらめろよ」
「やだ、こわいよぉ」
「いいかげん、俺のものになれって」
「二口くん、ダメ、ダメなのぉ……」
ついに彼女は泣きだした。前に泣かれたことを思い出して少し胸が痛む。友紀が声まで上げて泣くことは想像できなかったけれど、こんな風に泣くのかとぼんやりと思う。
妙に現実感がないからか絶頂が訪れそうで訪れない。いつも友紀の目を見ちゃうとたまらなくなって余裕なんてすぐなくなるのに。意外と俺に余裕あんじゃん。……俺が優位になってきたってこと?
そう思いながら突き挿すように押し付けると、
「-----っ!!」
彼女が声もなく喉を見せつけてのけぞる。こっちも限界が近い、と体勢を整えようとしたその時。
『ppppppppーーー……』
けたたましく電子音が鳴り響いた。よく聞いた覚えのあるそれ。
だんだんと目の前の友紀から色がなくなっていき、輪郭の線が崩壊してゆく……
「……友紀……?」
自分の声帯を使っている、という確かな感触と、ぼんやりと聞こえた自分の声に、はっ、と閉じていた目が開く。
うなされた後のような呼吸。薄暗い光の中の見知った壁。脚の間に挟まった布団。
自分の体温しか感じられないベッド。人の気配は……ない。
……えーーーーー。夢か、よ……。
なんかおかしいなとは思ったけど、やけに生々しい夢だった……。っつーか! ヤバい!
ガバっと飛び起きて確かめる。ここ数年で見た、いわゆる朝立ち状態の中ではトップクラスにおっ立っていらっしゃる……。あぶねっ……、もう少しで、あぶなかった……。
枕元のスマホは5時半を示している。あと30分は寝れたのに……。
……とりあえず、コレを鎮めねぇと……。
☆☆☆
「……」
鏡に映った自分を見る。朝からちょっと疲れてる気がする。
あんな夢を見た原因はわかっている。どう考えても昨日のあれだ。
「……ばっかじゃねーの?」
期待しすぎ期待しすぎ。
こんなのを大会のモチベーションにするのもどうかと思うけど、友紀が言うんだからしょうがない。負けたら卒業までおあずけ、は、売り言葉に買い言葉で俺が言っちゃったヤツだ。
「……ホント、アホかよ」
苦笑しながら冷水で顔を洗う。賢者タイムを経て、いくらかスッキリしたような顔が映る。
友紀も夢の中だからって、あんなにダメダメいうことねぇじゃん。俺の深層心理? それとも、
……勝てないって思ってる……?
背筋がぞっとした。不安と煩悩を頭から追い出すように平手で顔を叩く。パンパンっと弾けるようないい音が鳴った。両手で顔を挟む。うん、歪んでてもイイ男だ。
ちょっとしたモヤモヤが残るが、これを吹っ切るにはあれこれ考えるより体を動かしちゃった方が手っ取り早い。
「ランニング行ってくるーーー!」
そう家の中に向けて声をかけ、俺は玄関の外へ飛び出した。
気がついたら彼女を組み敷いていた。
広すぎる、白いシーツの上に、彼女の髪が扇状に広がっている。
彼女は俺の両腕の間からきょときょとと左右を見回し、俺以外に誰もいないことがわかったのか慌てた様子で訴えてきた。
「待って、お願い、二口くん……」
頭の中に彼女の声が響いてくる。
その言葉を聞いて、自分の中のもう一人の俺が激昂したのを感じた。
「友紀は『待って』って気軽に言うけど、」
もどかしい、肩口にまとわりつく布を必死に振り払おうとするけれど、上手く取り去ることができない。
乱暴に引きちぎるようにもがきながら、俺は友紀に訴える。
「待つってことは、俺、我慢してるってことなんだけど?」
「うん……、わかってる」
「わかってねぇだろ」
「…………」
「我慢って、すげぇつらいんだけど」
「…………」
「いい加減、覚悟決めろよ」
無我夢中すぎてどうやって脱がせたのかも曖昧で、露わになっているはずの肌すらよく見えない。
見えないから、そこへ顔を近づけていった。彼女の身体が発光したように目に映って目がくらみそうになる
「あ、待って」
「もう、待たねぇ」
「あ……っ、いや」
「何がいやなんだよ」
「んっ、あ、だめ」
「ダメじゃねぇよ」
「だめ、っ、だめ、あぁ……」
眉を寄せて辛そうな顔をする友紀と言い合いをしながら、屋上での太ももの柔らかさを思い出すような感触に包まれていく。
友紀、嫌がってない? とかは頭の片隅にはあったけれど、思ったよりも抵抗なくいったことで心配はうやむやになっていき、思うままに友紀の上で腰を動かすうちに、全身を真綿でくるまれているような鈍い感触が自分の中心にかかってくるような気がした。
「あ、やだ、やだやだやだぁ……、」
彼女の口から悲鳴とも喘ぎ声ともつかない声が聞こえてくる。
「もう、あきらめろよ」
「やだ、こわいよぉ」
「いいかげん、俺のものになれって」
「二口くん、ダメ、ダメなのぉ……」
ついに彼女は泣きだした。前に泣かれたことを思い出して少し胸が痛む。友紀が声まで上げて泣くことは想像できなかったけれど、こんな風に泣くのかとぼんやりと思う。
妙に現実感がないからか絶頂が訪れそうで訪れない。いつも友紀の目を見ちゃうとたまらなくなって余裕なんてすぐなくなるのに。意外と俺に余裕あんじゃん。……俺が優位になってきたってこと?
そう思いながら突き挿すように押し付けると、
「-----っ!!」
彼女が声もなく喉を見せつけてのけぞる。こっちも限界が近い、と体勢を整えようとしたその時。
『ppppppppーーー……』
けたたましく電子音が鳴り響いた。よく聞いた覚えのあるそれ。
だんだんと目の前の友紀から色がなくなっていき、輪郭の線が崩壊してゆく……
「……友紀……?」
自分の声帯を使っている、という確かな感触と、ぼんやりと聞こえた自分の声に、はっ、と閉じていた目が開く。
うなされた後のような呼吸。薄暗い光の中の見知った壁。脚の間に挟まった布団。
自分の体温しか感じられないベッド。人の気配は……ない。
……えーーーーー。夢か、よ……。
なんかおかしいなとは思ったけど、やけに生々しい夢だった……。っつーか! ヤバい!
ガバっと飛び起きて確かめる。ここ数年で見た、いわゆる朝立ち状態の中ではトップクラスにおっ立っていらっしゃる……。あぶねっ……、もう少しで、あぶなかった……。
枕元のスマホは5時半を示している。あと30分は寝れたのに……。
……とりあえず、コレを鎮めねぇと……。
☆☆☆
「……」
鏡に映った自分を見る。朝からちょっと疲れてる気がする。
あんな夢を見た原因はわかっている。どう考えても昨日のあれだ。
「……ばっかじゃねーの?」
期待しすぎ期待しすぎ。
こんなのを大会のモチベーションにするのもどうかと思うけど、友紀が言うんだからしょうがない。負けたら卒業までおあずけ、は、売り言葉に買い言葉で俺が言っちゃったヤツだ。
「……ホント、アホかよ」
苦笑しながら冷水で顔を洗う。賢者タイムを経て、いくらかスッキリしたような顔が映る。
友紀も夢の中だからって、あんなにダメダメいうことねぇじゃん。俺の深層心理? それとも、
……勝てないって思ってる……?
背筋がぞっとした。不安と煩悩を頭から追い出すように平手で顔を叩く。パンパンっと弾けるようないい音が鳴った。両手で顔を挟む。うん、歪んでてもイイ男だ。
ちょっとしたモヤモヤが残るが、これを吹っ切るにはあれこれ考えるより体を動かしちゃった方が手っ取り早い。
「ランニング行ってくるーーー!」
そう家の中に向けて声をかけ、俺は玄関の外へ飛び出した。