Second grade of Highschool
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
これ以上は破裂しちゃう
朝から気分がすぐれない。
原因はわかってる。生理二日目。出血量がいつもにも増して多い。
さすがに今日、吸血されるのはツライ。でも、二口くんの吸血サイクル的には今日あたり求められそうな気がする。
どうにか一日の授業を無事終えて、教科書をスクールバッグにつめながら、今日は断らせてもらおうと、と決意する。
その時点で、一言、二口くんに連絡を入れておけばよかったんだ。
2Bの教室を出てロッカールームに向かう。鎮痛剤は飲んだものの身体全体が重いから少しでも荷物を軽くしたかった。とにかく英語の辞書だけは置いて帰りたい。そして早く帰ってベッドで寝たい。
辞書を納め、ロッカーの鍵を閉めたときだった。
「あ、結城、みっけ」
声と共に駆けてくる音がしたと思ったら、振り向く間もなく後ろから抱きしめられる。
二口くんだ。あたりに人はいない。それを確認してなのか一番死角になるロッカーの行き止まりの影の部分に導かれるように押し込められる。後ろからぎゅっと抱きしめられ、身動きが取れない。
「あ、あの、二口くん、」
「探した」
私の言葉を遮るように耳元で囁かれる。彼の吐息が耳にかかる感覚に体の奥がしびれていく。彼の体温と重さを背中に感じると、不調が少し和らぐ感じがした。
「今、いい?」
ほっとしたのも束の間、彼の唇がすでに私の首元にあるのに気づく。私は慌てる。
「だ、め……」
遅かった。首から血が吸いだされる感触。
じゅる、という音を耳元で聞いて、目の前が白黒に、そのまま意識が遠のいていった。
★★★
「ちょっと、二口! それ友紀じゃない! どうしたの?」
突然気を失った結城を抱えて保健室へ運んでいたところ、黒川に声をかけられる。
「黒川……。友紀倒れたから、手伝ってくれねぇか?」
黒川は何も言わずについてきてくれた。
まず保健室のドアを開けてもらう。例の如く保健の碓井は不在。ったく、いついるんだよ。
室内の勝手がわかるのは保健委員の特権だ。奥側のベッドに結城の身体を横たえる。
上履きを脱がせたり服を緩めたりするのは「いくら彼氏でもアンタにやらせるのは……」と黒川がやってくれた。
「何してたの……。まさか学校でやろうとしたんじゃないでしょうね」
白い目を向けられる。視線を外し沈黙でやり過ごそうと思ったけど、黒川は俺を睨みつけたまま目を逸らしてくれない。
「……ちょっと、ディープめのキスを……」
微妙なラインでごまかしてみる。黒川は俺を睨んだままため息をつくとあきれたように、
「……運動部のバカ肺活量と同じに考えちゃ、だめでしょ」
と俺の頭を一回小突いて言い放ち、ベッド脇の丸椅子に腰かける。
「友紀、多分、生理なんだと思う。体調悪そうだったから」
「……」
……そうか。それは気づかなかった。つーか、普通、『生理』を男が察するのは難しいと思う。
ただ、体調悪いのかどうかは確かめるべきだった。コレに関しては出会い頭に吸血した俺が全面的に悪い。
ところで、黒川が腰を落ち着けてるということは何か話があるのだろうか。俺は黙って黒川の動向をうかがう。
黒川はしばらく結城を見つめていたが、彼女が目をまだ覚まさないと判断したのか、再度俺を睨みつけると口を開いた。
「あんた、さ……。アレ、使った?」
アレ、というのはこの前渡されたアレのことだろう。
「……使ってねーよ」
あれからまだ一か月も経っていない。
俺らは深く繋がっているから別にそんなコトしなくてもいいんだけど。……本音を言えばもちろんしたいけど。
まあ、ヤるにしても黒川からもらったコレを使うほど度胸がないとは思われたくない。ちゃんと自分で買うっつーの。
だけど黒川は血相を変えて俺につかみかかってきた。
「あんたっ!? 生でやったってこと?」
「違うよ! ヤってねーよ! っつーか声でけぇよ! そんなコト聞くなよ!!」
これ逆だったら完全にセクハラだよなぁ。
黒川は俺の両肩から手を放すと、額に手をあててへなへなと椅子に腰を下ろす。
「あー、焦ったー! 妊娠も視野に入れないといけないのかと思った! ……よくよく考えたら、今生理が来てるなら妊娠してるわけないよね」
「……つーか、妊娠するようなことしてねぇって」
横目でベッドに横たわる結城を見る。呼吸は乱れていない。こんな大騒ぎしていてもまだ眠っているみたいだ。
「アンタ、見かけによらず、真面目よね……」
「……うるせぇよ」
黒川は心底意外そうな顔でこちらを見る。俺を何だと思ってるんだ。ホント、外見がチャラい自覚はあるからほっといてくれ。
「最近、あの子、顔色悪いのよね」
「……」
「貧血なのかな? 変な病気隠れてないといいけど。何か、アンタ聞いてる?」
「いや……別に」
「そう……。心配だからちょっと気にしてあげてよ」
「……わかった」
結城の体調は俺が一番気をつけなくちゃいけないことだと心の底から思う。
結城を倒れさせた原因はどう考えても俺だ。
十分後、目を覚ました結城は自分が保健室にいることに驚いていた。
一人で帰宅できると言い張る結城を説得して一緒に帰ることにする。
幸い今日は自主練習日だ。部活には遅れて出ることを青根と小原に連絡した。
青根からは『わかった』と一言だけ返ってきた。
小原からは、急に部活に遅刻することになった事情を説明するように、と来たので正直に結城が倒れたこと、家まで送って行くことを返信する。『了解。それは保健委員として?彼氏として?』とニヤついた絵文字付きで返ってきたので『両方だけど?』と煽り返す。
小原クラスメイトだしな。きっと俺の知らないところで結城と接触したりしてたのだろう。結城、妙に小原に懐いてるもんな……。……別にいいけど。
戻ってきた碓井先生が車を出してくれるというので、小原にあやかって保健委員権限と彼氏権限をフル稼働させ、助手席に乗り込み結城の家へと向かった。後部座席で結城は目を閉じて静かに座っている。青白い顏。
バックミラーで結城の顔色を確認し「あんまりよくないね……」と碓井先生は眉を寄せる。
「二口くんは、結城さんの家に行ったことある?」
「……まだ、ないっす」
「そう……。お母さまには二口くんがついてる許可はとったから。3時には戻るそうだから、よろしくお伝えして」
「ハイ」
俺たちを車から降ろすと「任せたからね。くれぐれも失礼のないように!」と言い置いて碓井先生は学校に戻っていった。
朝から気分がすぐれない。
原因はわかってる。生理二日目。出血量がいつもにも増して多い。
さすがに今日、吸血されるのはツライ。でも、二口くんの吸血サイクル的には今日あたり求められそうな気がする。
どうにか一日の授業を無事終えて、教科書をスクールバッグにつめながら、今日は断らせてもらおうと、と決意する。
その時点で、一言、二口くんに連絡を入れておけばよかったんだ。
2Bの教室を出てロッカールームに向かう。鎮痛剤は飲んだものの身体全体が重いから少しでも荷物を軽くしたかった。とにかく英語の辞書だけは置いて帰りたい。そして早く帰ってベッドで寝たい。
辞書を納め、ロッカーの鍵を閉めたときだった。
「あ、結城、みっけ」
声と共に駆けてくる音がしたと思ったら、振り向く間もなく後ろから抱きしめられる。
二口くんだ。あたりに人はいない。それを確認してなのか一番死角になるロッカーの行き止まりの影の部分に導かれるように押し込められる。後ろからぎゅっと抱きしめられ、身動きが取れない。
「あ、あの、二口くん、」
「探した」
私の言葉を遮るように耳元で囁かれる。彼の吐息が耳にかかる感覚に体の奥がしびれていく。彼の体温と重さを背中に感じると、不調が少し和らぐ感じがした。
「今、いい?」
ほっとしたのも束の間、彼の唇がすでに私の首元にあるのに気づく。私は慌てる。
「だ、め……」
遅かった。首から血が吸いだされる感触。
じゅる、という音を耳元で聞いて、目の前が白黒に、そのまま意識が遠のいていった。
★★★
「ちょっと、二口! それ友紀じゃない! どうしたの?」
突然気を失った結城を抱えて保健室へ運んでいたところ、黒川に声をかけられる。
「黒川……。友紀倒れたから、手伝ってくれねぇか?」
黒川は何も言わずについてきてくれた。
まず保健室のドアを開けてもらう。例の如く保健の碓井は不在。ったく、いついるんだよ。
室内の勝手がわかるのは保健委員の特権だ。奥側のベッドに結城の身体を横たえる。
上履きを脱がせたり服を緩めたりするのは「いくら彼氏でもアンタにやらせるのは……」と黒川がやってくれた。
「何してたの……。まさか学校でやろうとしたんじゃないでしょうね」
白い目を向けられる。視線を外し沈黙でやり過ごそうと思ったけど、黒川は俺を睨みつけたまま目を逸らしてくれない。
「……ちょっと、ディープめのキスを……」
微妙なラインでごまかしてみる。黒川は俺を睨んだままため息をつくとあきれたように、
「……運動部のバカ肺活量と同じに考えちゃ、だめでしょ」
と俺の頭を一回小突いて言い放ち、ベッド脇の丸椅子に腰かける。
「友紀、多分、生理なんだと思う。体調悪そうだったから」
「……」
……そうか。それは気づかなかった。つーか、普通、『生理』を男が察するのは難しいと思う。
ただ、体調悪いのかどうかは確かめるべきだった。コレに関しては出会い頭に吸血した俺が全面的に悪い。
ところで、黒川が腰を落ち着けてるということは何か話があるのだろうか。俺は黙って黒川の動向をうかがう。
黒川はしばらく結城を見つめていたが、彼女が目をまだ覚まさないと判断したのか、再度俺を睨みつけると口を開いた。
「あんた、さ……。アレ、使った?」
アレ、というのはこの前渡されたアレのことだろう。
「……使ってねーよ」
あれからまだ一か月も経っていない。
俺らは深く繋がっているから別にそんなコトしなくてもいいんだけど。……本音を言えばもちろんしたいけど。
まあ、ヤるにしても黒川からもらったコレを使うほど度胸がないとは思われたくない。ちゃんと自分で買うっつーの。
だけど黒川は血相を変えて俺につかみかかってきた。
「あんたっ!? 生でやったってこと?」
「違うよ! ヤってねーよ! っつーか声でけぇよ! そんなコト聞くなよ!!」
これ逆だったら完全にセクハラだよなぁ。
黒川は俺の両肩から手を放すと、額に手をあててへなへなと椅子に腰を下ろす。
「あー、焦ったー! 妊娠も視野に入れないといけないのかと思った! ……よくよく考えたら、今生理が来てるなら妊娠してるわけないよね」
「……つーか、妊娠するようなことしてねぇって」
横目でベッドに横たわる結城を見る。呼吸は乱れていない。こんな大騒ぎしていてもまだ眠っているみたいだ。
「アンタ、見かけによらず、真面目よね……」
「……うるせぇよ」
黒川は心底意外そうな顔でこちらを見る。俺を何だと思ってるんだ。ホント、外見がチャラい自覚はあるからほっといてくれ。
「最近、あの子、顔色悪いのよね」
「……」
「貧血なのかな? 変な病気隠れてないといいけど。何か、アンタ聞いてる?」
「いや……別に」
「そう……。心配だからちょっと気にしてあげてよ」
「……わかった」
結城の体調は俺が一番気をつけなくちゃいけないことだと心の底から思う。
結城を倒れさせた原因はどう考えても俺だ。
十分後、目を覚ました結城は自分が保健室にいることに驚いていた。
一人で帰宅できると言い張る結城を説得して一緒に帰ることにする。
幸い今日は自主練習日だ。部活には遅れて出ることを青根と小原に連絡した。
青根からは『わかった』と一言だけ返ってきた。
小原からは、急に部活に遅刻することになった事情を説明するように、と来たので正直に結城が倒れたこと、家まで送って行くことを返信する。『了解。それは保健委員として?彼氏として?』とニヤついた絵文字付きで返ってきたので『両方だけど?』と煽り返す。
小原クラスメイトだしな。きっと俺の知らないところで結城と接触したりしてたのだろう。結城、妙に小原に懐いてるもんな……。……別にいいけど。
戻ってきた碓井先生が車を出してくれるというので、小原にあやかって保健委員権限と彼氏権限をフル稼働させ、助手席に乗り込み結城の家へと向かった。後部座席で結城は目を閉じて静かに座っている。青白い顏。
バックミラーで結城の顔色を確認し「あんまりよくないね……」と碓井先生は眉を寄せる。
「二口くんは、結城さんの家に行ったことある?」
「……まだ、ないっす」
「そう……。お母さまには二口くんがついてる許可はとったから。3時には戻るそうだから、よろしくお伝えして」
「ハイ」
俺たちを車から降ろすと「任せたからね。くれぐれも失礼のないように!」と言い置いて碓井先生は学校に戻っていった。