First grade of Highschool
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なにも知らないままいたい
バレー部の合宿を手伝ってから仲良くなった舞ちゃんからの縁で『伊達工1年女子の会』に誘われた。
「ごっめーん!A組に女子いるの気づかなかった!」
主催の真琴ちゃんからはそう謝られた。
1年生の女子の分布はだいぶ偏っているようで、Aは私1人なのにBは3人Cも3人Dは6人もいるらしい。
つまり、他のクラスは女子が複数いる。
「なんでAだけ女子、私しかいないんだろ……」
そう、ぽつりとつぶやく。
「前にちらっと聞いたんだけど、1年のクラスって、基本、入試の点数順にふっていくだけらしいよ」
「そうそう、男女比とかは全く考えてないんだって」
「えー……そっかぁ……」
そうしょんぼりすると、私のしょんぼり具合を不憫に思ったのか、みんな口々に慰めてくれた。
「Aの男子優しそうでいいじゃん」
「あと、すっごいカッコイイ子いない」
「ああー、二口くんだっけ?バレー部の」
その名前にびくっと反応してしまう。そうか二口くん、やっぱり女の子たちの目を引く存在なんだ。
「あー。二口はやめときなー、性格最悪だよー」
「なんで、舞、知ってんの?」
「私、バレー部のマネージャーだしー。超こき使われてんのよ」
「それ、舞の事好きなんじゃないの?」
「まさか。あいつ絶対、好きな子だけには態度違うタイプだと思う」
「えっ?そうなの?」
「やだー!彼女になる子超うらやましくない?」
「でも、あっちから好きになった子限定でしょ?ハードル高いわー」
舞ちゃんが意味ありげにこちらを見てニヤニヤ笑うのを、素知らぬフリをしてかわすのは冷や汗だった。
そして取り留めないおしゃべりの中で「S駅の献血ルームのお菓子がすごい!」という経験者の談にみんなが食いつき、私たちは『献血に行こう!』と移動を開始する。集団で押しかけてしまったけど、ルームの受付の方は「あら、こんなに女の子がたくさん!」と快く私たちを迎え入れてくれた。
◇◇◇
部活の朝練後の二口くんが私の席に来た。
「あ、おはよう、二口くん」
「昨日滑津たちと遊んだって?」
「うん。すごく楽しかった!」
「へー。何か、すげー滑津が自慢してきたんだけど」
そっか、それは嬉しいな、と思ってちょっと照れ臭くなる。
「どこ行った?」
「最初は、駅前のマックだったけど、話の流れで献血に行こうってことになって……」
「献血?」
「うん。献血ルームのお菓子がすごいとかで、ちょっと下心アリの好奇心で……」
二口くんの眉間にシワが寄る。……こういう話、イヤかな。
「それで……?」
話題を変えようとしたけど先を促された。
この先の事は……ちょっと後ろめたいから、私は彼から目を逸らし気味に続ける。
「うん。でも、私、血液の比重が軽い?とか薄いみたいで献血できなかったんだよねー」
「……!」
「何もしてないのにお菓子食べさせてもらっちゃったから、ラッキーではあるんだけど、ちょっと申し訳なくて」
「……」
「貧血とか自覚したことがないから、びっくりした」
「……」
「私レバーそんなに好きじゃないんだけど、食べないとダメなのかなー」
「……」
ずっと二口くんが黙っているのが気になって、私は彼の方に視線を戻して……驚いた。
二口くんの顔は蒼白だった。
……あ。そういえば。
「ごめん!二口くん、血の話とかダメだったよね」
そっか、だからか!すっかり忘れてた。
二口くんは青白い顔のまま、少し慌てた調子で言う。
「……え、あ、うん。ちょっと、くらっと、な」
「もう、止めてくれていいのに!」
軽く突っ込む私に対して取り繕うように笑う彼を少し不思議に思ったけれど、そこで予鈴のチャイムが鳴り始めてしまった。
「…………ん」
二口くんが去り際に何かを言った気がしたけれど、それは私にはよく聞こえなかった。
バレー部の合宿を手伝ってから仲良くなった舞ちゃんからの縁で『伊達工1年女子の会』に誘われた。
「ごっめーん!A組に女子いるの気づかなかった!」
主催の真琴ちゃんからはそう謝られた。
1年生の女子の分布はだいぶ偏っているようで、Aは私1人なのにBは3人Cも3人Dは6人もいるらしい。
つまり、他のクラスは女子が複数いる。
「なんでAだけ女子、私しかいないんだろ……」
そう、ぽつりとつぶやく。
「前にちらっと聞いたんだけど、1年のクラスって、基本、入試の点数順にふっていくだけらしいよ」
「そうそう、男女比とかは全く考えてないんだって」
「えー……そっかぁ……」
そうしょんぼりすると、私のしょんぼり具合を不憫に思ったのか、みんな口々に慰めてくれた。
「Aの男子優しそうでいいじゃん」
「あと、すっごいカッコイイ子いない」
「ああー、二口くんだっけ?バレー部の」
その名前にびくっと反応してしまう。そうか二口くん、やっぱり女の子たちの目を引く存在なんだ。
「あー。二口はやめときなー、性格最悪だよー」
「なんで、舞、知ってんの?」
「私、バレー部のマネージャーだしー。超こき使われてんのよ」
「それ、舞の事好きなんじゃないの?」
「まさか。あいつ絶対、好きな子だけには態度違うタイプだと思う」
「えっ?そうなの?」
「やだー!彼女になる子超うらやましくない?」
「でも、あっちから好きになった子限定でしょ?ハードル高いわー」
舞ちゃんが意味ありげにこちらを見てニヤニヤ笑うのを、素知らぬフリをしてかわすのは冷や汗だった。
そして取り留めないおしゃべりの中で「S駅の献血ルームのお菓子がすごい!」という経験者の談にみんなが食いつき、私たちは『献血に行こう!』と移動を開始する。集団で押しかけてしまったけど、ルームの受付の方は「あら、こんなに女の子がたくさん!」と快く私たちを迎え入れてくれた。
◇◇◇
部活の朝練後の二口くんが私の席に来た。
「あ、おはよう、二口くん」
「昨日滑津たちと遊んだって?」
「うん。すごく楽しかった!」
「へー。何か、すげー滑津が自慢してきたんだけど」
そっか、それは嬉しいな、と思ってちょっと照れ臭くなる。
「どこ行った?」
「最初は、駅前のマックだったけど、話の流れで献血に行こうってことになって……」
「献血?」
「うん。献血ルームのお菓子がすごいとかで、ちょっと下心アリの好奇心で……」
二口くんの眉間にシワが寄る。……こういう話、イヤかな。
「それで……?」
話題を変えようとしたけど先を促された。
この先の事は……ちょっと後ろめたいから、私は彼から目を逸らし気味に続ける。
「うん。でも、私、血液の比重が軽い?とか薄いみたいで献血できなかったんだよねー」
「……!」
「何もしてないのにお菓子食べさせてもらっちゃったから、ラッキーではあるんだけど、ちょっと申し訳なくて」
「……」
「貧血とか自覚したことがないから、びっくりした」
「……」
「私レバーそんなに好きじゃないんだけど、食べないとダメなのかなー」
「……」
ずっと二口くんが黙っているのが気になって、私は彼の方に視線を戻して……驚いた。
二口くんの顔は蒼白だった。
……あ。そういえば。
「ごめん!二口くん、血の話とかダメだったよね」
そっか、だからか!すっかり忘れてた。
二口くんは青白い顔のまま、少し慌てた調子で言う。
「……え、あ、うん。ちょっと、くらっと、な」
「もう、止めてくれていいのに!」
軽く突っ込む私に対して取り繕うように笑う彼を少し不思議に思ったけれど、そこで予鈴のチャイムが鳴り始めてしまった。
「…………ん」
二口くんが去り際に何かを言った気がしたけれど、それは私にはよく聞こえなかった。