First grade of Highschool
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きみの唇を奪ってそれから
「……結城、結城」
誰かに体を揺さぶられている。
あれ?私、どこにいるの?
どこかに座っているけれど、何かによっかかっていて……。これは?
はっと、脳が覚醒した。
私が椅子代わりにしていたのは二口くんの身体だった。ベンチに座った二口くんの脚の間で、彼の胸に頭を預け両腕で抱えられるようにされて……。
眠ってたの、私?
「え、わっ、私」
「うん、寝てた」
なんでなんで!?
きょろきょろと辺りを見回す。ここに来たのは覚えている。けど……。
「ゴメン!え、どうして?私、寝てたとか、嘘でしょ?」
こんなウソみたいな失態、二口くんは怒っているのかと思いきや口角を上げて笑っている。でも……。
「あれ?」
「ん?どした?」
「二口くん、口、切った?」
二口くんの口の端に、赤い血のようなものが見えたので指摘すると、慌てたようにぺろりと舐めて袖口でごしごしと口元を拭う。
「何の夢見てた?」
「え?」
「なんか、すっげーニヤニヤしてた」
二口くんが自分こそって感じのニヤニヤ顔で言う。
夢なんか、見てたっけ?
あ……。
ああーーーーーっl!!
「なになに、どうした?」
「い、いや、なんでもない」
「え?顔、真っ赤だけど?」
いやいやいや!そんなそんな。
……目の前のあなたとキスしてた夢です、なんて、言えない。私ってば、なんという夢を……。
「ホント、夢なんて、見てない、見てないって!」
「口、とがってたけど?」
「こんな風に」って言いながら二口くんが口をとがらせる。
「!!!」
嘘でしょ。そんなこと私、してたの!?
口とがらせながら「ちゅー」とか言うの、やめて!
「そ、そろそろ、帰ろ?」
ごまかすように立ち上がろうとすると、大きく身体が揺らいだ。
あ、あれっ?
目の前が白黒に反転して足元がふらつく。
「大丈夫か?」
倒れそうになった私をとっさに二口くんが支えてくれて、私はさっきと同じように彼の膝の間に座り込む。
……まだ目の前がモノクロの世界だ。動悸が激しくて息苦しい。彼の身体に寄りかかるようにして目を閉じて呼吸を整える。
「ごめん、寝起きだから、立ち眩みかな?」
頭がくらくらする。二口くんは両腕で私を抱きしめるように自分の身体で支えてくれた。正直その体勢はラクなので甘えさせてもらう。
「……ゴメン」
「え?」
謝ったりお礼を言わなければいけないのは私なのに……。何で二口くんが謝るのかがわからない。けど今は、考えるのがすごく億劫だ。
立ち上がってはふらついて戻されるのを何度か繰り返し、ようやく普通に歩けるようになった。
時計を見ると9時を回っている。遅くなってしまったので携帯から母に帰宅予定時間を送る。『ゴメン』のスタンプも添えておいた。
「さて、遅くなっちゃったし、家まで送って行く」
「え、大丈夫だよ」
「まだ、ヨロヨロじゃねーか。ほら、捕まれって」
二口くんはそう言って組んだ腕を私に差し出す。
一歩踏み出して結局よろけてしまった私は、おとなしく彼の腕に捕まった。でもこれではまるで、腕を組んで歩く恋人同士みたいだ。それに気づくと急に恥ずかしくなってしまう。
「なに、どうした?」
「な、何でもないよ」
「気になるなー」
「何でもないってば」
「こうしてると付き合ってるみたいって?」
「!!」
ズバリ言い当てられて顔に熱が集まる。そのせいかまたよろけてしまったりで、結局、私は家に到着するまで二口くんの腕を離せなかった。
「こんな所まで来てもらってゴメンね。今日は、ありがと」
「うん、こちらこそ」
そうして踵を返す二口くんの後ろ姿を私は見えなくなるまで見送っていた。
「……結城、結城」
誰かに体を揺さぶられている。
あれ?私、どこにいるの?
どこかに座っているけれど、何かによっかかっていて……。これは?
はっと、脳が覚醒した。
私が椅子代わりにしていたのは二口くんの身体だった。ベンチに座った二口くんの脚の間で、彼の胸に頭を預け両腕で抱えられるようにされて……。
眠ってたの、私?
「え、わっ、私」
「うん、寝てた」
なんでなんで!?
きょろきょろと辺りを見回す。ここに来たのは覚えている。けど……。
「ゴメン!え、どうして?私、寝てたとか、嘘でしょ?」
こんなウソみたいな失態、二口くんは怒っているのかと思いきや口角を上げて笑っている。でも……。
「あれ?」
「ん?どした?」
「二口くん、口、切った?」
二口くんの口の端に、赤い血のようなものが見えたので指摘すると、慌てたようにぺろりと舐めて袖口でごしごしと口元を拭う。
「何の夢見てた?」
「え?」
「なんか、すっげーニヤニヤしてた」
二口くんが自分こそって感じのニヤニヤ顔で言う。
夢なんか、見てたっけ?
あ……。
ああーーーーーっl!!
「なになに、どうした?」
「い、いや、なんでもない」
「え?顔、真っ赤だけど?」
いやいやいや!そんなそんな。
……目の前のあなたとキスしてた夢です、なんて、言えない。私ってば、なんという夢を……。
「ホント、夢なんて、見てない、見てないって!」
「口、とがってたけど?」
「こんな風に」って言いながら二口くんが口をとがらせる。
「!!!」
嘘でしょ。そんなこと私、してたの!?
口とがらせながら「ちゅー」とか言うの、やめて!
「そ、そろそろ、帰ろ?」
ごまかすように立ち上がろうとすると、大きく身体が揺らいだ。
あ、あれっ?
目の前が白黒に反転して足元がふらつく。
「大丈夫か?」
倒れそうになった私をとっさに二口くんが支えてくれて、私はさっきと同じように彼の膝の間に座り込む。
……まだ目の前がモノクロの世界だ。動悸が激しくて息苦しい。彼の身体に寄りかかるようにして目を閉じて呼吸を整える。
「ごめん、寝起きだから、立ち眩みかな?」
頭がくらくらする。二口くんは両腕で私を抱きしめるように自分の身体で支えてくれた。正直その体勢はラクなので甘えさせてもらう。
「……ゴメン」
「え?」
謝ったりお礼を言わなければいけないのは私なのに……。何で二口くんが謝るのかがわからない。けど今は、考えるのがすごく億劫だ。
立ち上がってはふらついて戻されるのを何度か繰り返し、ようやく普通に歩けるようになった。
時計を見ると9時を回っている。遅くなってしまったので携帯から母に帰宅予定時間を送る。『ゴメン』のスタンプも添えておいた。
「さて、遅くなっちゃったし、家まで送って行く」
「え、大丈夫だよ」
「まだ、ヨロヨロじゃねーか。ほら、捕まれって」
二口くんはそう言って組んだ腕を私に差し出す。
一歩踏み出して結局よろけてしまった私は、おとなしく彼の腕に捕まった。でもこれではまるで、腕を組んで歩く恋人同士みたいだ。それに気づくと急に恥ずかしくなってしまう。
「なに、どうした?」
「な、何でもないよ」
「気になるなー」
「何でもないってば」
「こうしてると付き合ってるみたいって?」
「!!」
ズバリ言い当てられて顔に熱が集まる。そのせいかまたよろけてしまったりで、結局、私は家に到着するまで二口くんの腕を離せなかった。
「こんな所まで来てもらってゴメンね。今日は、ありがと」
「うん、こちらこそ」
そうして踵を返す二口くんの後ろ姿を私は見えなくなるまで見送っていた。