First grade of Highschool
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卑しい彼女のいじらしい鼓動
意識してしまうとこんなにも話せなくなるんだと思った。
友達として一緒に行動するのは変わらない。
でも以前のように滑らかな会話ができない。
二口くんも心なしか口数が少ないような気がする。
気まずいっていうのとはちょっと違う。
気恥ずかしい。
間に青根くんがいた時なんか、お互いに青根くんを介しての会話になってしまって、青根くんを困らせてしまう始末。
青根くんは不思議そうに私と二口くんを交互に見ていた。
そんなある日。
ニコニコ顔の二口くんが私の所へやってきた。
「どうしたの?すっごいご機嫌だね」
「ふふーん。結城、10日、ヒマ?」
「来月?多分シフト入ってないと思ったけど……」
来月の10日は……平日じゃなかった気がする。
「あ、合宿でもある?」
「いや、そーじゃないんだけど……」
てっきり合宿の手伝いをお願いされるのかと思ったけど、違うらしい。
「ちょっと、遊びに行かね?」
「え?」
「いや、その日体育館点検で部活がなくてさー」
「いいよ」
「ホントに?」
「うん。……そんな貴重なオフに私を誘ってくれて、部活の人と遊んだりしないの?」
「はぁ?せっかくのオフにまで、むさくるしいのに会いたくねー」
ぺっぺと吐き出すフリしながら言うのが心底イヤそうに見えて笑ってしまった。
せっかくのオフ、いつも顔を合わせてるクラスメイトに会うのはいいんだ、と嬉しくなる。
「いいよ、遊びに行こう!」
「よっしゃ」
そう快諾したものの、彼への恋心を自覚してから初めての二人行動に、どうしよう、何を着ていこう、と当日まで悩んでしまった。
◇◇◇
「え?今日、誕生日だったの?」
「うん」
散々遊んで、ご飯も食べて、最近学校で話せなかった分を取り戻すかのようにお喋りもして、帰り道がてら川沿いを散歩しているときに言われた。
そんな貴重な誕生日に、友達でも部活の仲間でもなく、私を誘ってくれたのは嬉しい。けど、
「言ってくれればよかったのに……」
「そんなの先に言ったら気ィ遣うだろ?」
「うん……」
川に向かって隠れるように置かれたベンチを見つけ、そこに二人で腰かける。
街を背にして、向こう岸には山と畑が広がっている。明かりはほとんど見えない。
見上げると空一面に星空が広がっていた。
「ここ、星がキレイに見えるね」
「ホントだ……。俺、さそり座なんだけど、見えるかなー?」
この季節に見える星座は一個だけ知ってるけど……どっちの方角だっけな。
「さそりは……夏の星座なんだよね。だから、さそりから逃げ回ってるオリオン座の方が見えるかな」
あ、見つけた。私は東の空の3つ並んで光る星を指さす。
「あの3つ並んでるのがオリオンのベルトって言われる星」
「へー、すげー。俺、星座って初めてわかったかも」
感動したようにオリオン座を見てくれるけど、こんなのプレゼント代わりにもならない。
「ゴメンね。誕生日だって知らなかったからプレゼント用意してなくて」
「いーよ、俺も言わずに今日誘ったし」
申し訳なくなって謝ると、二口くんが私の両肩に手を置いた。彼の顔が思ったより近くにある。
彼の二つの瞳は頭上の星よりもキレイだ。
そのまま見つめられると、……ドキドキしてくる。
二口くんが……、これから何をしようとしているのか、全然わからないし、考えられない。
「俺さ、一つ欲しいもんがあるんだけど、もらっていい?」
「……うん」
「じゃ、目、閉じて」
私は言われるままに目を閉じる。心臓の脈打つ音が耳にうるさい。きっと肩に添えられた手には伝わってしまっているだろう。
影が落ちてきて、彼の顏が近づいてくる気配がした。
意識してしまうとこんなにも話せなくなるんだと思った。
友達として一緒に行動するのは変わらない。
でも以前のように滑らかな会話ができない。
二口くんも心なしか口数が少ないような気がする。
気まずいっていうのとはちょっと違う。
気恥ずかしい。
間に青根くんがいた時なんか、お互いに青根くんを介しての会話になってしまって、青根くんを困らせてしまう始末。
青根くんは不思議そうに私と二口くんを交互に見ていた。
そんなある日。
ニコニコ顔の二口くんが私の所へやってきた。
「どうしたの?すっごいご機嫌だね」
「ふふーん。結城、10日、ヒマ?」
「来月?多分シフト入ってないと思ったけど……」
来月の10日は……平日じゃなかった気がする。
「あ、合宿でもある?」
「いや、そーじゃないんだけど……」
てっきり合宿の手伝いをお願いされるのかと思ったけど、違うらしい。
「ちょっと、遊びに行かね?」
「え?」
「いや、その日体育館点検で部活がなくてさー」
「いいよ」
「ホントに?」
「うん。……そんな貴重なオフに私を誘ってくれて、部活の人と遊んだりしないの?」
「はぁ?せっかくのオフにまで、むさくるしいのに会いたくねー」
ぺっぺと吐き出すフリしながら言うのが心底イヤそうに見えて笑ってしまった。
せっかくのオフ、いつも顔を合わせてるクラスメイトに会うのはいいんだ、と嬉しくなる。
「いいよ、遊びに行こう!」
「よっしゃ」
そう快諾したものの、彼への恋心を自覚してから初めての二人行動に、どうしよう、何を着ていこう、と当日まで悩んでしまった。
◇◇◇
「え?今日、誕生日だったの?」
「うん」
散々遊んで、ご飯も食べて、最近学校で話せなかった分を取り戻すかのようにお喋りもして、帰り道がてら川沿いを散歩しているときに言われた。
そんな貴重な誕生日に、友達でも部活の仲間でもなく、私を誘ってくれたのは嬉しい。けど、
「言ってくれればよかったのに……」
「そんなの先に言ったら気ィ遣うだろ?」
「うん……」
川に向かって隠れるように置かれたベンチを見つけ、そこに二人で腰かける。
街を背にして、向こう岸には山と畑が広がっている。明かりはほとんど見えない。
見上げると空一面に星空が広がっていた。
「ここ、星がキレイに見えるね」
「ホントだ……。俺、さそり座なんだけど、見えるかなー?」
この季節に見える星座は一個だけ知ってるけど……どっちの方角だっけな。
「さそりは……夏の星座なんだよね。だから、さそりから逃げ回ってるオリオン座の方が見えるかな」
あ、見つけた。私は東の空の3つ並んで光る星を指さす。
「あの3つ並んでるのがオリオンのベルトって言われる星」
「へー、すげー。俺、星座って初めてわかったかも」
感動したようにオリオン座を見てくれるけど、こんなのプレゼント代わりにもならない。
「ゴメンね。誕生日だって知らなかったからプレゼント用意してなくて」
「いーよ、俺も言わずに今日誘ったし」
申し訳なくなって謝ると、二口くんが私の両肩に手を置いた。彼の顔が思ったより近くにある。
彼の二つの瞳は頭上の星よりもキレイだ。
そのまま見つめられると、……ドキドキしてくる。
二口くんが……、これから何をしようとしているのか、全然わからないし、考えられない。
「俺さ、一つ欲しいもんがあるんだけど、もらっていい?」
「……うん」
「じゃ、目、閉じて」
私は言われるままに目を閉じる。心臓の脈打つ音が耳にうるさい。きっと肩に添えられた手には伝わってしまっているだろう。
影が落ちてきて、彼の顏が近づいてくる気配がした。