First grade of Highschool
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わかったつもりのきみのぜんぶ
伊達工では2年生からそれぞれの選択コースに分かれたクラス編成となる。
夏休み前、第1回の進路調査として、来年からの選択コースを第2希望まで記入せよというプリントが配布された。
「結城はどこにすんの」
二口くんはプリントをぴらぴらさせながら私に聞く。
「私は最初の希望通り工業化学コースにする」
そう答えながら第1希望に記入し、第2希望のところには斜線を引く。
「そういえば最初ン時にも聞いたな。結城は何で工バケ行きてぇの?」
プリントの上部に書かれた各コースの説明を見ながら二口くんは私に聞く。
「私、本当はさ、薬剤師になりたかったんだよね」
そう答えると二口くんはびっくりした顔をした。
「どうしたの?」
「いや、俺の母親、製薬会社で……働いてるから、ちょっと近いなーって」
初めて知った。どんなお仕事だろう?今度聞いてみたいな、と思いながら先を続けた。
「だけど、薬学部って今は6年通わないといけなくなっちゃって。私の学力じゃ国立に行けそうにないし、私立はものすごくお金かかっちゃうから。だから、少しでも近いとこに行けないかなって、工業化学コースのある伊達工に来たんだよね」
昔は4年で良かったらしいんだけどねーと呟く。二口くんは「そりゃ、きついな」と眉をひそめる。
「卒業したらどうすんの?」
「うーん。医療系の専門か看護学校でも行こうかな」
「そっか……」
二口くんはしばらく考えるように宙をにらんでいた。
「もし嫌じゃなかったらさ、俺の母親に会ってみる?」
「え?」
「薬剤師ではないんだけど……。何か結城のやりたいことができる進路?の先にどんな仕事があるか、とかは広がるんじゃね?」
考えながら言う二口くん。一生懸命考えてくれている感じがすごく嬉しかった。
「それは……。すっごく話聞いてみたいからお願いしたいな」
「わかった。じゃ、母親に伝えとくわ」
「ありがとう!わ、緊張するな。お母さん、二口くんに似てる?」
「あー。俺、よく母親似って言われる」
「そっかー。美人さんなんだろうなー」
「は?ババァだけど」
「もう……お母さんに、そんなこと言わない!」
眉をひそめて私が言うと、可笑しそうに笑う。
そんな二口くんはどうするんだろう。ふと思って聞いてみると笑うのを止め、すっと真面目な顔になった。
「俺も工バケにしようかなー。親にも勧められてるしー」
「そうなんだ。じゃあ、私と一緒になるね」
「うん……」
そう言って、二口くんは静かに微笑む。
その表情が妙に固いなと思いつつ、その時はただ何となく、来年も同じクラスになれるんだな、なんて単純に思っていたんだ。
伊達工では2年生からそれぞれの選択コースに分かれたクラス編成となる。
夏休み前、第1回の進路調査として、来年からの選択コースを第2希望まで記入せよというプリントが配布された。
「結城はどこにすんの」
二口くんはプリントをぴらぴらさせながら私に聞く。
「私は最初の希望通り工業化学コースにする」
そう答えながら第1希望に記入し、第2希望のところには斜線を引く。
「そういえば最初ン時にも聞いたな。結城は何で工バケ行きてぇの?」
プリントの上部に書かれた各コースの説明を見ながら二口くんは私に聞く。
「私、本当はさ、薬剤師になりたかったんだよね」
そう答えると二口くんはびっくりした顔をした。
「どうしたの?」
「いや、俺の母親、製薬会社で……働いてるから、ちょっと近いなーって」
初めて知った。どんなお仕事だろう?今度聞いてみたいな、と思いながら先を続けた。
「だけど、薬学部って今は6年通わないといけなくなっちゃって。私の学力じゃ国立に行けそうにないし、私立はものすごくお金かかっちゃうから。だから、少しでも近いとこに行けないかなって、工業化学コースのある伊達工に来たんだよね」
昔は4年で良かったらしいんだけどねーと呟く。二口くんは「そりゃ、きついな」と眉をひそめる。
「卒業したらどうすんの?」
「うーん。医療系の専門か看護学校でも行こうかな」
「そっか……」
二口くんはしばらく考えるように宙をにらんでいた。
「もし嫌じゃなかったらさ、俺の母親に会ってみる?」
「え?」
「薬剤師ではないんだけど……。何か結城のやりたいことができる進路?の先にどんな仕事があるか、とかは広がるんじゃね?」
考えながら言う二口くん。一生懸命考えてくれている感じがすごく嬉しかった。
「それは……。すっごく話聞いてみたいからお願いしたいな」
「わかった。じゃ、母親に伝えとくわ」
「ありがとう!わ、緊張するな。お母さん、二口くんに似てる?」
「あー。俺、よく母親似って言われる」
「そっかー。美人さんなんだろうなー」
「は?ババァだけど」
「もう……お母さんに、そんなこと言わない!」
眉をひそめて私が言うと、可笑しそうに笑う。
そんな二口くんはどうするんだろう。ふと思って聞いてみると笑うのを止め、すっと真面目な顔になった。
「俺も工バケにしようかなー。親にも勧められてるしー」
「そうなんだ。じゃあ、私と一緒になるね」
「うん……」
そう言って、二口くんは静かに微笑む。
その表情が妙に固いなと思いつつ、その時はただ何となく、来年も同じクラスになれるんだな、なんて単純に思っていたんだ。