First grade of Highschool
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
不器用に甘やかしてね
試験休み期間中に行われる2泊3日のバレー部合宿を手伝うことになった。合宿所となる学校の課外活動用施設がウチから近かったからだ。
マネージャーさんとの事前の話し合いで、初日の夕食と二日目の朝、最終日の朝の食事を手伝うことになった。
初日は他の準備があるのと、朝はかなり早くからなので30人分を二人では間に合わないそうなのだ。私もその時間帯ならバイトに影響ないので都合が良かった。
「私、材料の下準備は全部やっとくので、入れるところからでお願いします」
「すっごく助かる、ありがとう」
バレー部のマネージャーさんは二人。三年生と、同学年の滑津さんだ。
食材は全て業者に発注済みだそうだけど、それの搬入にマネージャーさん達が立ち会えないのだそうだ。なので材料を仕分けしてそれぞれの場所へ納めることと、夕食の下ごしらえをするところまでが今日の私の仕事だ。
30人分×5回分の食料はものすごい量だ。それぞれ2台の冷蔵庫、米びつケース、常温のものは野菜、果物、主食、調味料と分けて食材を棚に整理していく。
マネージャーさんに渡されたメニューとレシピを元に今日の夕食の食材を取り出す。まずは切る必要があるもの。きゅうり、キャベツ、シイタケ、えのき、インゲン、人参、ジャガイモ、そしてワカメとがんもどき。それらを作業台の上に並べる。
「結城、手伝うことあるー?」
二口くんが戸口から顔を出す。後ろには青根くんと他2人が来ていた。
「あれ?練習は?いいの?」
「レギュラーが練習試合入ったから、手伝い行って来いって言われたから大丈夫」
そういって「な?」と後ろを振り返ると、青根くんが力強くうなずいた。
四人か……。献立とそれに使用する材料のプリントを見ながら思案する。
「ええと、じゃあ、二口くん、この紙に書いてある調味料計って、青根くんは洗い場でホウレンソウの根元のところ中心に洗って、それと……」
そこで知らない二人を見て止まると、がっちりした坊主頭の子は小原、ウェーブがかかった黒髪の子は女川と名乗った。
「それじゃ、小原くんはエノキの袋全部開けてボールに入れて、女川くんはワカメを洗って絞ってください」
「ぷ、小原エノキ、女川ワカメ、結城、人選に悪意あんだろ」
笑い転げる二口くん。そんなつもりはないんだけど無意識で……と弁解する前に小原くんと女川くんが反発する。
「うるせぇよ、二口」
「お前、大さじどれだかわかってんのかよ」
「はぁ?コレだろ」
とお玉を持ち出した二口くんに慌てて調理器具を説明する。
「計量スプーンはコレ使って」
「冗談だって。ところで1カップって180ml?」
「200だよ……。180はお米」
「ふたくちーぃ、本当に大丈夫かぁ?」
「深読みしただけだって!」
二口くん、中学でちゃんと家庭科やったのかな。技術しかやってないんじゃ……。
それ以上役割分担に対してのツッコミは入れられることなく、四人はそれぞれの場所で作業を始めた。
人参やジャガイモの下準備をしながら、一番不安な二口くんの様子をちらりと見る。
結構な分量だから心配だったけど、計算は早い。次々に分量を量った調味料が器に入るのを見て私は自分の作業に専念した。
「俺、終わった、何すればいい」
二口くんが私の隣に立つ。
「あ…、じゃあ、私の切ったやつ、そのボウルの中に入れてって」
やっぱり、背高いな。
「俺たちも、切るの手伝う?」
「それはダメ、包丁は使わないで」
「あ、出来ないって疑ってるんだろ~、オレ結構うまいよ」
「手を切る可能性もあるでしょ、」
「舐めときゃ治るから大丈夫」
「ダメ!!!」
思わず大声を出してしまう、と、他の3人も作業の手を止めこちらを振り返る。
びっくした顔の二口くんに、慌てて弁解するように説明する。
「手、ケガして練習できなくなっちゃったら、嫌だから」
「……わかった、ゴメン」
「うんん、こちらこそ、大声出してゴメン」
そう謝り合っていると、後ろから小原くんが茶々を入れる。
「お、二口が素直だ」
「うるせーよ、お前ら!もう最初の作業終わってんだろ!」
二口くんが怒鳴ると「結城さーん、終わったー」と女川くんと青根くんがやってくる。
じゃあ、次は何してもらおう。そうだ!
私は大量のインゲンが入ったボールを空いている作業台に置いて四人を呼ぶ。
「これ、みんなで筋を取って」
「スジ?」
「こうやって、すーっと」
実演して見ると四人の目が輝いた。
「うわ、おもしれー」
「……」
「青根超うめー!うける」
「二口へったくそだなあ!」
「うるせーよ!」
「ちょっと、食べられるところ、捨てないようにしてね!」
「はーい」
三人は元気に返事をし、青根くんは力強くうなずいた。私はその向かいでジャガイモの皮むきを始める。
「つーか、結城皮むき超はえー」
「すごい!包丁なのに」
「そりゃ、家でもバイト先でもやってるからねー」
褒めてくれる女川くんと小原くんに気を良くして、調子よく皮むきを終える。
次は、と袋に入っているシイタケを取り出し、石づきをとっていく。
「おれ、シイタケきらーい」
と口をとがらせる二口くん。シイタケ、嫌いなんだ……。お子様か。でも気持ちはちょっとわかるんだよな。
「わかった細かくしとく」
最初に思っていた大きさの半分にシュバババババと千切りにしていく。
「ちょ、細かくすると避けられなくなるじゃねえか!」
「ダメ、全部食べなさい」
「シイタケなんて栄養ねーじゃん」
「キノコは栄養っていうよりお腹をキレイにすんのよ!」
私と二口くんに言い合いを見て、
「……結城お母さんみたい」
「二口は出来の悪い甘えん坊の五歳児だな」
小原くんと女川くんのつぶやいた言葉に、二口くんを除くみんなで噴き出した。
試験休み期間中に行われる2泊3日のバレー部合宿を手伝うことになった。合宿所となる学校の課外活動用施設がウチから近かったからだ。
マネージャーさんとの事前の話し合いで、初日の夕食と二日目の朝、最終日の朝の食事を手伝うことになった。
初日は他の準備があるのと、朝はかなり早くからなので30人分を二人では間に合わないそうなのだ。私もその時間帯ならバイトに影響ないので都合が良かった。
「私、材料の下準備は全部やっとくので、入れるところからでお願いします」
「すっごく助かる、ありがとう」
バレー部のマネージャーさんは二人。三年生と、同学年の滑津さんだ。
食材は全て業者に発注済みだそうだけど、それの搬入にマネージャーさん達が立ち会えないのだそうだ。なので材料を仕分けしてそれぞれの場所へ納めることと、夕食の下ごしらえをするところまでが今日の私の仕事だ。
30人分×5回分の食料はものすごい量だ。それぞれ2台の冷蔵庫、米びつケース、常温のものは野菜、果物、主食、調味料と分けて食材を棚に整理していく。
マネージャーさんに渡されたメニューとレシピを元に今日の夕食の食材を取り出す。まずは切る必要があるもの。きゅうり、キャベツ、シイタケ、えのき、インゲン、人参、ジャガイモ、そしてワカメとがんもどき。それらを作業台の上に並べる。
「結城、手伝うことあるー?」
二口くんが戸口から顔を出す。後ろには青根くんと他2人が来ていた。
「あれ?練習は?いいの?」
「レギュラーが練習試合入ったから、手伝い行って来いって言われたから大丈夫」
そういって「な?」と後ろを振り返ると、青根くんが力強くうなずいた。
四人か……。献立とそれに使用する材料のプリントを見ながら思案する。
「ええと、じゃあ、二口くん、この紙に書いてある調味料計って、青根くんは洗い場でホウレンソウの根元のところ中心に洗って、それと……」
そこで知らない二人を見て止まると、がっちりした坊主頭の子は小原、ウェーブがかかった黒髪の子は女川と名乗った。
「それじゃ、小原くんはエノキの袋全部開けてボールに入れて、女川くんはワカメを洗って絞ってください」
「ぷ、小原エノキ、女川ワカメ、結城、人選に悪意あんだろ」
笑い転げる二口くん。そんなつもりはないんだけど無意識で……と弁解する前に小原くんと女川くんが反発する。
「うるせぇよ、二口」
「お前、大さじどれだかわかってんのかよ」
「はぁ?コレだろ」
とお玉を持ち出した二口くんに慌てて調理器具を説明する。
「計量スプーンはコレ使って」
「冗談だって。ところで1カップって180ml?」
「200だよ……。180はお米」
「ふたくちーぃ、本当に大丈夫かぁ?」
「深読みしただけだって!」
二口くん、中学でちゃんと家庭科やったのかな。技術しかやってないんじゃ……。
それ以上役割分担に対してのツッコミは入れられることなく、四人はそれぞれの場所で作業を始めた。
人参やジャガイモの下準備をしながら、一番不安な二口くんの様子をちらりと見る。
結構な分量だから心配だったけど、計算は早い。次々に分量を量った調味料が器に入るのを見て私は自分の作業に専念した。
「俺、終わった、何すればいい」
二口くんが私の隣に立つ。
「あ…、じゃあ、私の切ったやつ、そのボウルの中に入れてって」
やっぱり、背高いな。
「俺たちも、切るの手伝う?」
「それはダメ、包丁は使わないで」
「あ、出来ないって疑ってるんだろ~、オレ結構うまいよ」
「手を切る可能性もあるでしょ、」
「舐めときゃ治るから大丈夫」
「ダメ!!!」
思わず大声を出してしまう、と、他の3人も作業の手を止めこちらを振り返る。
びっくした顔の二口くんに、慌てて弁解するように説明する。
「手、ケガして練習できなくなっちゃったら、嫌だから」
「……わかった、ゴメン」
「うんん、こちらこそ、大声出してゴメン」
そう謝り合っていると、後ろから小原くんが茶々を入れる。
「お、二口が素直だ」
「うるせーよ、お前ら!もう最初の作業終わってんだろ!」
二口くんが怒鳴ると「結城さーん、終わったー」と女川くんと青根くんがやってくる。
じゃあ、次は何してもらおう。そうだ!
私は大量のインゲンが入ったボールを空いている作業台に置いて四人を呼ぶ。
「これ、みんなで筋を取って」
「スジ?」
「こうやって、すーっと」
実演して見ると四人の目が輝いた。
「うわ、おもしれー」
「……」
「青根超うめー!うける」
「二口へったくそだなあ!」
「うるせーよ!」
「ちょっと、食べられるところ、捨てないようにしてね!」
「はーい」
三人は元気に返事をし、青根くんは力強くうなずいた。私はその向かいでジャガイモの皮むきを始める。
「つーか、結城皮むき超はえー」
「すごい!包丁なのに」
「そりゃ、家でもバイト先でもやってるからねー」
褒めてくれる女川くんと小原くんに気を良くして、調子よく皮むきを終える。
次は、と袋に入っているシイタケを取り出し、石づきをとっていく。
「おれ、シイタケきらーい」
と口をとがらせる二口くん。シイタケ、嫌いなんだ……。お子様か。でも気持ちはちょっとわかるんだよな。
「わかった細かくしとく」
最初に思っていた大きさの半分にシュバババババと千切りにしていく。
「ちょ、細かくすると避けられなくなるじゃねえか!」
「ダメ、全部食べなさい」
「シイタケなんて栄養ねーじゃん」
「キノコは栄養っていうよりお腹をキレイにすんのよ!」
私と二口くんに言い合いを見て、
「……結城お母さんみたい」
「二口は出来の悪い甘えん坊の五歳児だな」
小原くんと女川くんのつぶやいた言葉に、二口くんを除くみんなで噴き出した。