First grade of Highschool
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優しさと優しさがぶつかる音
「おはよう。今日も朝練?大変だねー」
「おはよ。あー、1限世界史かよ……」
「ぜってぇ寝るわ」と言いながら二口くんは机に突っ伏した。
「おーい、授業聞く気ナシですか?」
思わず笑ってしまいながら世界史の教科書を探していると、机におでこをくっつけた状態のまま二口くんはこちらを向いた。
「結城さー」
「ん?」
「部活入んないの?」
「あー……。バイト始めようかなと思ってて。部活は考えてないかな」
私がそう言うと二口くんはこちらに身を乗り出して言った。
「結城、バレー部のマネージャーやらね?」
キラキラと期待のこもった目で言われたそれはすごく魅力的なお誘いだった。でも……。
「……ごめん、ちょっと無理かな」
そう答えるとふいを突かれたように二口くんの動きが止まった。
「……そっか、ま、そうだよなー」
せっかく誘ってくれたのに言わなきゃ良かったみたいな気持ちになってもらいたくなかったので、私は理由を続ける。
「うち、お父さんいなくて。で、ちょっとはこの先の足しになるように稼いどきたいんだよね」
言った後にしまったと思った。それは本当の事ではあるけれど、重く思われそうな家庭の事情だから余計気にさせてしまうかもしれない。もっと当たり障りのないことを言うべきだった。
案の定、二口くんは難しい顔をして黙り込んでしまった。
「……。そっか。悪い、ホント、気にしなくていいから」
「ううん。でも人手が足りないとかで、ワンポイントでよければお手伝いできるから。そしたら言って」
「大丈夫か?」
「専属でやるのは難しいけど、例えば……合宿とかのお手伝いとかなら都合が合えばかまわないよ!」
そう言って意識して笑顔を作ると、二口くんもつられて笑顔になってくれた。
「そっか。じゃ、その時は頼むわー」
「うん。ところで、どんなことができればいいの?バレー、素人だから、スコアとか?つけられないよ?」
「うーん。ま、合宿とかだとドリンクとか飯作ってもらうとか……あとはケガの手当かな」
「あ、それなら大丈夫。応急処置なら一通りできるよ」
「さっすが、保健委員」
「うん。でも、あんまりあてにしないでね。怪我でも簡単なのにしてね」
「カンタンなのって」と二口くんが笑う。
「ちなみに、バイトって何?」
「今決まってるのはファミレスかな」
「そっか。なら飯も大丈夫そうだな。そこで修行してもらおう。バレー部の合宿のために」
「えー、調理じゃなくてホールなんだけど」
そう言うと、二口くんはすっと真面目な顔になった。
「変な客とかいたら、つきまとわれる前にやめろよ」
思わぬ心配をしてくれてちょっと嬉しくなる。
「うん。ありがとう」
「あんま遅い時間まですんなよ」
心配性な二口くんに思わず笑ってしまうと「何笑ってんだよ」と怒られる。
「ゴメン、ゴメン、二口くん、お父さんみたい」
「はぁ?親父とかおっさんじゃねーか?!」
頭の後ろで腕を組んでふんぞり返る二口くんがおかしくてクスクス笑ってしまうと、彼も表情をゆるめた。
「まあ……。実際心配だと思うぜ。男子だらけの高校に入っちゃってるし、結城あぶなっかしーからな」
「え?私、しっかりしてるって言われる方なんだけど?」
心外だ、と思って二口くんを見ると意地悪く笑う。
「ハイハイ、友紀ちゃん、男には気をつけましょーね」
抗議した私を完全に子ども扱いして、二口くんは私の頭をポンポンと撫でた。
「おはよう。今日も朝練?大変だねー」
「おはよ。あー、1限世界史かよ……」
「ぜってぇ寝るわ」と言いながら二口くんは机に突っ伏した。
「おーい、授業聞く気ナシですか?」
思わず笑ってしまいながら世界史の教科書を探していると、机におでこをくっつけた状態のまま二口くんはこちらを向いた。
「結城さー」
「ん?」
「部活入んないの?」
「あー……。バイト始めようかなと思ってて。部活は考えてないかな」
私がそう言うと二口くんはこちらに身を乗り出して言った。
「結城、バレー部のマネージャーやらね?」
キラキラと期待のこもった目で言われたそれはすごく魅力的なお誘いだった。でも……。
「……ごめん、ちょっと無理かな」
そう答えるとふいを突かれたように二口くんの動きが止まった。
「……そっか、ま、そうだよなー」
せっかく誘ってくれたのに言わなきゃ良かったみたいな気持ちになってもらいたくなかったので、私は理由を続ける。
「うち、お父さんいなくて。で、ちょっとはこの先の足しになるように稼いどきたいんだよね」
言った後にしまったと思った。それは本当の事ではあるけれど、重く思われそうな家庭の事情だから余計気にさせてしまうかもしれない。もっと当たり障りのないことを言うべきだった。
案の定、二口くんは難しい顔をして黙り込んでしまった。
「……。そっか。悪い、ホント、気にしなくていいから」
「ううん。でも人手が足りないとかで、ワンポイントでよければお手伝いできるから。そしたら言って」
「大丈夫か?」
「専属でやるのは難しいけど、例えば……合宿とかのお手伝いとかなら都合が合えばかまわないよ!」
そう言って意識して笑顔を作ると、二口くんもつられて笑顔になってくれた。
「そっか。じゃ、その時は頼むわー」
「うん。ところで、どんなことができればいいの?バレー、素人だから、スコアとか?つけられないよ?」
「うーん。ま、合宿とかだとドリンクとか飯作ってもらうとか……あとはケガの手当かな」
「あ、それなら大丈夫。応急処置なら一通りできるよ」
「さっすが、保健委員」
「うん。でも、あんまりあてにしないでね。怪我でも簡単なのにしてね」
「カンタンなのって」と二口くんが笑う。
「ちなみに、バイトって何?」
「今決まってるのはファミレスかな」
「そっか。なら飯も大丈夫そうだな。そこで修行してもらおう。バレー部の合宿のために」
「えー、調理じゃなくてホールなんだけど」
そう言うと、二口くんはすっと真面目な顔になった。
「変な客とかいたら、つきまとわれる前にやめろよ」
思わぬ心配をしてくれてちょっと嬉しくなる。
「うん。ありがとう」
「あんま遅い時間まですんなよ」
心配性な二口くんに思わず笑ってしまうと「何笑ってんだよ」と怒られる。
「ゴメン、ゴメン、二口くん、お父さんみたい」
「はぁ?親父とかおっさんじゃねーか?!」
頭の後ろで腕を組んでふんぞり返る二口くんがおかしくてクスクス笑ってしまうと、彼も表情をゆるめた。
「まあ……。実際心配だと思うぜ。男子だらけの高校に入っちゃってるし、結城あぶなっかしーからな」
「え?私、しっかりしてるって言われる方なんだけど?」
心外だ、と思って二口くんを見ると意地悪く笑う。
「ハイハイ、友紀ちゃん、男には気をつけましょーね」
抗議した私を完全に子ども扱いして、二口くんは私の頭をポンポンと撫でた。