First grade of Highschool
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
手と手を重ねて握り合わせて
伊達工に入学してから一週間。
男子ばかりのクラスにも慣れてきた。二口くんとよく話しているおかげで自然と他のクラスメイトとも話せるようになっている。
腫物を扱うような居心地の悪さはなくなって来た気がするけど、やっぱり席が隣なのもあって一番一緒にいるのは二口くんだ。
「結城、次、教室移動」
「うん、わかった。ちょっと待って」
板書がギリギリだった私は慌てて机の上を片付ける。
「待ちません~もう行きますー」
「えー!」
「ごー、よん、さん、にー」
「準備できた!行けます!」
教科書と筆箱をひっつかんで立ち上がった私に、教室のドアの高い位置から手招きしつつ廊下に出ていく。二口くん、足長いから早いぃ……。なんとか早歩きでついていく。
女子がいないから一人で行動することを覚悟していたので、二口くんが一緒に行動してくれるのが意外だった。
初めての教室移動の時、マイペースに用意をしていたら二口くんが動く気配がないので「どうした?さぼり?」と聞いたら「結城、待ってるんだよ!」と怒られて、びっくりした。「え?一緒に行ってくれるの?」と聞くと「席ちけーからだよ!お前、ぼーっとしてるし、恩売ってるだけだって!」と顔を真っ赤にして怒らせてしまったので、その後は何も言わずに甘えさせてもらってる。
こんなこと言ったらイヤがられそうだけど、意外と面倒見いいんだよ、二口くん。
「おい!段差」
「え?」
実習教室棟へとつながる渡り廊下への段差。そこにうっかり足をとられる。
「わっ」
「こんの、アホ」
バランスを崩した私の腕を二口くんが掴む。間一髪転ばずにすんだ。
「あ、ありがと」
「ほら、先生うるせーから、早く行くぞ」
「う、うん」
彼は掴んだ腕を離すと私の顔を見てニヤリと笑う。すると手のひらを合わせて握った。
「ふ、二口くん?」
突然手をつながれ混乱する。男子と手をつなぐなんて小学校低学年以来だよ!
「はい、そこ階段ですから、注意してね」
そう言って手をつないだまま階段を降りる。
「わっ、ちょっと、早すぎ、」
「ほいほい、結城、がんばれー」
手をつないでいるので先を行く彼のペースだ。一段飛ばしとか凶悪すぎる。合わせて二階分、悲鳴を上げながらついていくけど、引っ張られて最後は六段目くらいから飛び降りる。
「わー、ちょ、浮く!」
勢いづいた私の身体は、踊り場で反転した二口くんに受け止められた。
ぼすっ。
二口くんの胸に顔が衝突すると彼の腕が私の背中に回った。
あれ、コレ、二口くんに包まれてる?
状況を認識した瞬間心臓が大きな音で跳ねはじめる。
硬直した私の様子を確かめるためか、彼は私の顔を覗き込む。
整った顔だとは思ってたけど、改めて見るととんでもないイケメンだ。こんな至近距離でも全くアラがない。こちらが恥ずかしくなるぐらいの……。
「大丈夫だな」
そう言うと彼は何事もなかったように私の身体を解放するので我に返る。と、そのまま私の腕を掴んで廊下を走りだした。
「ひぃやあー」
なんとも情けない声を上げて、コンピュータールーム前で先に行ってたクラスメイトと合流する。
「あらぁ?二口くん、結城さんとお手手つないで来たんですか?」
虫の息の私とは対照的に二口くんは息一つ乱してない。二口くんはぱっと手を離すと私の背中をバシッと叩き言い返した。
「はぁ?!コイツがチンタラしてたから連れて来たんだよ」
「結城さん、顔が真っ赤ですよー」
ニヤニヤと冷やかすクラスメイト。確かに私の顔が赤い原因の大半はさっきの階段でのアレだけどそれだと思われるのは恥ずかしい。
「……限界を超えた全力疾走させられた……」
ぜーはーいいながら言うと、クラスメイト達は納得して笑っていた。
「そりゃ、二口に引っぱられたら、死ぬわ」
「お疲れ、結城」
口々に私をねぎらったり肩を叩いたりしてぞろぞろと教室に入っていく。
私もなんとか息を整えて後に続こうとすると、くっと腕を引っ張られた。
「あのさー」
「ん?」
「結城の顏が赤いのって、走ってきたから?」
そう言って笑いながら私と視線をあわせる。瞳にからかうような色が浮かんでいる。
「それとも、さっきの?」
ぶわっと顔の熱が上がっていく。始業のチャイムが鳴り始めた。
「ど、どっちもだって!!!」
逃げるように教室に入る。男の子は軽率に女子を抱きしめちゃダメです!と心の中で思いながら。
「わ、待てって、結城!」
日直が「起立!」と号令をかける中滑り込んで来た私たちを先生はじろっと睨みつけ、授業が始まった。
伊達工に入学してから一週間。
男子ばかりのクラスにも慣れてきた。二口くんとよく話しているおかげで自然と他のクラスメイトとも話せるようになっている。
腫物を扱うような居心地の悪さはなくなって来た気がするけど、やっぱり席が隣なのもあって一番一緒にいるのは二口くんだ。
「結城、次、教室移動」
「うん、わかった。ちょっと待って」
板書がギリギリだった私は慌てて机の上を片付ける。
「待ちません~もう行きますー」
「えー!」
「ごー、よん、さん、にー」
「準備できた!行けます!」
教科書と筆箱をひっつかんで立ち上がった私に、教室のドアの高い位置から手招きしつつ廊下に出ていく。二口くん、足長いから早いぃ……。なんとか早歩きでついていく。
女子がいないから一人で行動することを覚悟していたので、二口くんが一緒に行動してくれるのが意外だった。
初めての教室移動の時、マイペースに用意をしていたら二口くんが動く気配がないので「どうした?さぼり?」と聞いたら「結城、待ってるんだよ!」と怒られて、びっくりした。「え?一緒に行ってくれるの?」と聞くと「席ちけーからだよ!お前、ぼーっとしてるし、恩売ってるだけだって!」と顔を真っ赤にして怒らせてしまったので、その後は何も言わずに甘えさせてもらってる。
こんなこと言ったらイヤがられそうだけど、意外と面倒見いいんだよ、二口くん。
「おい!段差」
「え?」
実習教室棟へとつながる渡り廊下への段差。そこにうっかり足をとられる。
「わっ」
「こんの、アホ」
バランスを崩した私の腕を二口くんが掴む。間一髪転ばずにすんだ。
「あ、ありがと」
「ほら、先生うるせーから、早く行くぞ」
「う、うん」
彼は掴んだ腕を離すと私の顔を見てニヤリと笑う。すると手のひらを合わせて握った。
「ふ、二口くん?」
突然手をつながれ混乱する。男子と手をつなぐなんて小学校低学年以来だよ!
「はい、そこ階段ですから、注意してね」
そう言って手をつないだまま階段を降りる。
「わっ、ちょっと、早すぎ、」
「ほいほい、結城、がんばれー」
手をつないでいるので先を行く彼のペースだ。一段飛ばしとか凶悪すぎる。合わせて二階分、悲鳴を上げながらついていくけど、引っ張られて最後は六段目くらいから飛び降りる。
「わー、ちょ、浮く!」
勢いづいた私の身体は、踊り場で反転した二口くんに受け止められた。
ぼすっ。
二口くんの胸に顔が衝突すると彼の腕が私の背中に回った。
あれ、コレ、二口くんに包まれてる?
状況を認識した瞬間心臓が大きな音で跳ねはじめる。
硬直した私の様子を確かめるためか、彼は私の顔を覗き込む。
整った顔だとは思ってたけど、改めて見るととんでもないイケメンだ。こんな至近距離でも全くアラがない。こちらが恥ずかしくなるぐらいの……。
「大丈夫だな」
そう言うと彼は何事もなかったように私の身体を解放するので我に返る。と、そのまま私の腕を掴んで廊下を走りだした。
「ひぃやあー」
なんとも情けない声を上げて、コンピュータールーム前で先に行ってたクラスメイトと合流する。
「あらぁ?二口くん、結城さんとお手手つないで来たんですか?」
虫の息の私とは対照的に二口くんは息一つ乱してない。二口くんはぱっと手を離すと私の背中をバシッと叩き言い返した。
「はぁ?!コイツがチンタラしてたから連れて来たんだよ」
「結城さん、顔が真っ赤ですよー」
ニヤニヤと冷やかすクラスメイト。確かに私の顔が赤い原因の大半はさっきの階段でのアレだけどそれだと思われるのは恥ずかしい。
「……限界を超えた全力疾走させられた……」
ぜーはーいいながら言うと、クラスメイト達は納得して笑っていた。
「そりゃ、二口に引っぱられたら、死ぬわ」
「お疲れ、結城」
口々に私をねぎらったり肩を叩いたりしてぞろぞろと教室に入っていく。
私もなんとか息を整えて後に続こうとすると、くっと腕を引っ張られた。
「あのさー」
「ん?」
「結城の顏が赤いのって、走ってきたから?」
そう言って笑いながら私と視線をあわせる。瞳にからかうような色が浮かんでいる。
「それとも、さっきの?」
ぶわっと顔の熱が上がっていく。始業のチャイムが鳴り始めた。
「ど、どっちもだって!!!」
逃げるように教室に入る。男の子は軽率に女子を抱きしめちゃダメです!と心の中で思いながら。
「わ、待てって、結城!」
日直が「起立!」と号令をかける中滑り込んで来た私たちを先生はじろっと睨みつけ、授業が始まった。