First grade of Highschool
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
春を攫って閉じ込めて
初めてのホームルームはまず委員決めからだった。学級委員をはじめ、放送、広報、図書、整備、保健、風紀など各委員の立候補者を募っていく。
意外にも学級委員はすんなり決まった。が、そのあとが続かない。
「立候補、推薦でもいいです。誰か……」
司会を任されたなりたてほかほかの学級委員が教壇で冷や汗をかいている。
しん、と重い空気の流れる中、隣の席の二口くんがそっと私をつつく。
「結城、何かやりたいのねーの?」
こちらに身を乗り出してこそこそと囁く二口くん。
「特にないんだけど、男子がやりづらいのがあるならそこ行こうかと……」
そう小声で返したとたん、二口くんは急に手を挙げた。
「じゃ、保健委員やれよ。学級委員ー!結城さんを保健委員に推薦します」
「ちょ、そんな、いきなり」
私を?ちょっと、待って。
一気に教室中の視線を集めてしまいドキドキしてくる。
「えー。いいじゃん。野郎に保健室に運ばれたりすんの、超やだよ。なー?」
クラスに同意を求めた二口くんの発言に静まり返っていた教室の方々から声が上がった。
「確かに!」
「男に連れられるよりか全然いいよな」
「二口、グッジョブ!」
二口くんはドヤ顔で親指を立ててみせると、一転、私に向かって頭を下げんばかりに手を合わせた。
「だろ?ほら、頼むよ」
「んー」
保健委員か。大変そうではあるけれど……。
「他に立候補や推薦はありませんか?」
学級委員の声に間髪入れずクラスの声が揃う。
「「「「「ありません」」」」」
……なんだろう。このクラスがはじめて1つにまとまった気がする。
「では、結城さん、保健委員ということでよろしいですか?」
せっかくのこのまとまりに水をさしてはいけない気がする。流されている気もするけど……。
「わかりました。ただ、私、さすがに男子運べないんで、そこはごめんなさい」
観念してそう言うとそれまで黙っていた先生が口を開いた。
「大丈夫だ、歩かせろ。ただし結城に何かあった時は二口が責任持って運べよ」
「えっ、マジで?!」
「推薦人の責任ってやつだな」
目を丸くする二口くんに先生が宣告する。ヒューと口笛が飛ぶ。
「ちゃんと結城さん、保健室連れてけよ」
「お姫様抱っことか男のロマンじゃん」
「保健室で何する気ですかー?二口くーん」
ひそひそと周りにはやし立てられる二口くん。とばっちりに私までニヤニヤと見られる。二口くんは周囲を睨みつけると、
「ほんっと、マジかよ……結城気をつけろよ」
「えー……」
それは誰のせいー?と抗議を込めて隣の二口くんを見ると、
「……いざという時は責任取るんで」
そっぽを向きながら赤い顔でつぶやかれたらそんなことも言えなくて。むしろその仕草がかわいくてちょっと笑ってしまうと、
「何笑ってんだよ」
と赤い顔のまま睨まれる。
「ううん、ゴメン、ありがとね」
そう言うと、お礼を言われると思わなかったのか二口くんは耳まで真っ赤にする。
「べ、別にーぃ」
と声をひっくり返しながらぷいっとそっぽを向いてしまったので、私は声を殺して笑った。
初めてのホームルームはまず委員決めからだった。学級委員をはじめ、放送、広報、図書、整備、保健、風紀など各委員の立候補者を募っていく。
意外にも学級委員はすんなり決まった。が、そのあとが続かない。
「立候補、推薦でもいいです。誰か……」
司会を任されたなりたてほかほかの学級委員が教壇で冷や汗をかいている。
しん、と重い空気の流れる中、隣の席の二口くんがそっと私をつつく。
「結城、何かやりたいのねーの?」
こちらに身を乗り出してこそこそと囁く二口くん。
「特にないんだけど、男子がやりづらいのがあるならそこ行こうかと……」
そう小声で返したとたん、二口くんは急に手を挙げた。
「じゃ、保健委員やれよ。学級委員ー!結城さんを保健委員に推薦します」
「ちょ、そんな、いきなり」
私を?ちょっと、待って。
一気に教室中の視線を集めてしまいドキドキしてくる。
「えー。いいじゃん。野郎に保健室に運ばれたりすんの、超やだよ。なー?」
クラスに同意を求めた二口くんの発言に静まり返っていた教室の方々から声が上がった。
「確かに!」
「男に連れられるよりか全然いいよな」
「二口、グッジョブ!」
二口くんはドヤ顔で親指を立ててみせると、一転、私に向かって頭を下げんばかりに手を合わせた。
「だろ?ほら、頼むよ」
「んー」
保健委員か。大変そうではあるけれど……。
「他に立候補や推薦はありませんか?」
学級委員の声に間髪入れずクラスの声が揃う。
「「「「「ありません」」」」」
……なんだろう。このクラスがはじめて1つにまとまった気がする。
「では、結城さん、保健委員ということでよろしいですか?」
せっかくのこのまとまりに水をさしてはいけない気がする。流されている気もするけど……。
「わかりました。ただ、私、さすがに男子運べないんで、そこはごめんなさい」
観念してそう言うとそれまで黙っていた先生が口を開いた。
「大丈夫だ、歩かせろ。ただし結城に何かあった時は二口が責任持って運べよ」
「えっ、マジで?!」
「推薦人の責任ってやつだな」
目を丸くする二口くんに先生が宣告する。ヒューと口笛が飛ぶ。
「ちゃんと結城さん、保健室連れてけよ」
「お姫様抱っことか男のロマンじゃん」
「保健室で何する気ですかー?二口くーん」
ひそひそと周りにはやし立てられる二口くん。とばっちりに私までニヤニヤと見られる。二口くんは周囲を睨みつけると、
「ほんっと、マジかよ……結城気をつけろよ」
「えー……」
それは誰のせいー?と抗議を込めて隣の二口くんを見ると、
「……いざという時は責任取るんで」
そっぽを向きながら赤い顔でつぶやかれたらそんなことも言えなくて。むしろその仕草がかわいくてちょっと笑ってしまうと、
「何笑ってんだよ」
と赤い顔のまま睨まれる。
「ううん、ゴメン、ありがとね」
そう言うと、お礼を言われると思わなかったのか二口くんは耳まで真っ赤にする。
「べ、別にーぃ」
と声をひっくり返しながらぷいっとそっぽを向いてしまったので、私は声を殺して笑った。