First grade of Highschool
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ぼくらのためのプレリュード
クラス表を握りしめて1-Aの教室に入る。
「………」
一瞬、中にいる人の時が止まった気がした。視線が集まる。私がそちらに目をやると不自然にぱっと逸れてく。
本当に。みんな男の子だ……。
ざわめきが元通りになった教室へ足を踏み入れ黒板の座席表に書かれた自分の出席番号の席に座る。もう一度クラス表を広げる。ユウキ、ジュン、アキラ……。前の黒板を見て席を確認。く…。全部男の子が座ってる……。マコトはまだ来てない。
あー、先生、早く来てくれないかな、とがくっと頭を下ろしたところ、
「お、このクラス、女子いるじゃん」
よく通ったその声に思わず顔を上げて、その声の聞こえた方を見る。戸口ところに二人の男子。綺麗な茶髪の背の高い男子、その隣にさらに大きい色素の薄い髪の男子。さっきの声を発したのは茶髪の子の方のようだった。黒板の座席表を見てにぎやかな笑い声をあげる。
「青根、一番前じゃん、ウケるー」
そう言って、つかつかこちらに歩いてくる茶髪の子をなんとなく見つめてしまった。
あちらも目を逸らさず私を見ている
さらっとした茶髪。くるっと丸い大きな目。口の端だけ愉快そうに上がっている。
整った顔だな、と気づいた瞬間、「お、女子の隣だ」と言いながら彼は隣の席に座る。
こちらを見ていた彼と目が合う。
「俺、二口堅治。そっちは?」
「…結城友紀です」
私がそう言うと、彼はちょっと笑った。
「敬語いーよ。同じクラスなんだから、そんな緊張すんなって」
さわやかなだけじゃない、ちょっと乱暴な口調。
これから、男子だらけの教室で、私にだけ話してくれなかったり、妙に丁寧になったりの壁を感じることを覚悟していたから、さっきの隣にいた子へと同じ調子で話しかけてくれたのがすごく嬉しかった。
私は息を吐いて笑顔を作る。
「緊張するよ。思ってた以上に男子しかいないんだもん」
意識して砕けた口調にする。
「そりゃそーだろ、工業なんだから。お前なんで工業来たの?男漁り?」
自分の口元が引きつったのを感じる。ひどっ。男漁りって。ニヤニヤ笑って私を見る二口くんはなかなかの性格の悪さだと思った。
でも、まあ。そう言われかねないとは思っていたから多少の心の準備はしていたけれど。
「……男漁り目的にしてるなら、こんな緊張してないって」
「そりゃそーだ。まあ、逆だったら、俺も緊張するわ」
構えて選んだ言葉に素直に同意され、気の抜けた笑顔を見せる二口くんに面食らう。
あれ?追い打ちをかけてこない、これは……性格じゃなくて、単に口が悪いだけかな?男子ばっかりと思って壁を作ってたのは、自分の方だ。肩に力が入りすぎていたかも。……二口くん、先入観でホント、ゴメン。
急に気がラクになった私は彼に笑顔を向けることができた。
「ここ、化学コースあるじゃない、そっちに行きたくて」
「へー、それでか。俺、まだ二年以降の選択は決めてねーな」
「私、文系全然ダメで。二口くんはどうして伊達工に?」
「俺はバレーやりたくって。ここ結構強いんだぜ」
バレーってバレーボールか。確かに伊達工は強いと聞いたことがある。そう言えば二口くんの第一印象は『背が高い』だった。隣にいた子の方が大きかったけど……。
「あ!あの一緒に来た子とやるの?」
そう言うと、青根な、と言って嬉しそうな顔をする。
「そう。あいつ、中学ん時試合して、俺のチームを一人でコテンパンにしたスゲーヤツで。まさか同じ高校だと思わなかったからこれから楽しみでさー」
「そうなんだー。仲良さげに入ってきたから同じ中学なんだと思ってた」
「仲いいとか、気持ちワリィ」
「同じクラスなんだから青根くんとはもう運命だよ!」
「お前なー」
二口くんに追い打ちをかけて笑いかけると、彼もしょうがないなぁという風に笑う。名前が聞こえたのか青根くんがこちらを振り返ったので二人して手を振っといた。ふざけてる私たちが青根くんに睨まれたところで先生が入ってくる。
「もう先生来ちゃった」
思わず出た言葉で自分の心境の変化に驚く。あんなに早く先生に来て欲しいと思ってたのに。これも二口くんのおかげかな。
「これから、よろしくね」
感謝を込めて小声で囁くと、
「うん」
そう言って二口くんは静かに微笑んだ。
クラス表を握りしめて1-Aの教室に入る。
「………」
一瞬、中にいる人の時が止まった気がした。視線が集まる。私がそちらに目をやると不自然にぱっと逸れてく。
本当に。みんな男の子だ……。
ざわめきが元通りになった教室へ足を踏み入れ黒板の座席表に書かれた自分の出席番号の席に座る。もう一度クラス表を広げる。ユウキ、ジュン、アキラ……。前の黒板を見て席を確認。く…。全部男の子が座ってる……。マコトはまだ来てない。
あー、先生、早く来てくれないかな、とがくっと頭を下ろしたところ、
「お、このクラス、女子いるじゃん」
よく通ったその声に思わず顔を上げて、その声の聞こえた方を見る。戸口ところに二人の男子。綺麗な茶髪の背の高い男子、その隣にさらに大きい色素の薄い髪の男子。さっきの声を発したのは茶髪の子の方のようだった。黒板の座席表を見てにぎやかな笑い声をあげる。
「青根、一番前じゃん、ウケるー」
そう言って、つかつかこちらに歩いてくる茶髪の子をなんとなく見つめてしまった。
あちらも目を逸らさず私を見ている
さらっとした茶髪。くるっと丸い大きな目。口の端だけ愉快そうに上がっている。
整った顔だな、と気づいた瞬間、「お、女子の隣だ」と言いながら彼は隣の席に座る。
こちらを見ていた彼と目が合う。
「俺、二口堅治。そっちは?」
「…結城友紀です」
私がそう言うと、彼はちょっと笑った。
「敬語いーよ。同じクラスなんだから、そんな緊張すんなって」
さわやかなだけじゃない、ちょっと乱暴な口調。
これから、男子だらけの教室で、私にだけ話してくれなかったり、妙に丁寧になったりの壁を感じることを覚悟していたから、さっきの隣にいた子へと同じ調子で話しかけてくれたのがすごく嬉しかった。
私は息を吐いて笑顔を作る。
「緊張するよ。思ってた以上に男子しかいないんだもん」
意識して砕けた口調にする。
「そりゃそーだろ、工業なんだから。お前なんで工業来たの?男漁り?」
自分の口元が引きつったのを感じる。ひどっ。男漁りって。ニヤニヤ笑って私を見る二口くんはなかなかの性格の悪さだと思った。
でも、まあ。そう言われかねないとは思っていたから多少の心の準備はしていたけれど。
「……男漁り目的にしてるなら、こんな緊張してないって」
「そりゃそーだ。まあ、逆だったら、俺も緊張するわ」
構えて選んだ言葉に素直に同意され、気の抜けた笑顔を見せる二口くんに面食らう。
あれ?追い打ちをかけてこない、これは……性格じゃなくて、単に口が悪いだけかな?男子ばっかりと思って壁を作ってたのは、自分の方だ。肩に力が入りすぎていたかも。……二口くん、先入観でホント、ゴメン。
急に気がラクになった私は彼に笑顔を向けることができた。
「ここ、化学コースあるじゃない、そっちに行きたくて」
「へー、それでか。俺、まだ二年以降の選択は決めてねーな」
「私、文系全然ダメで。二口くんはどうして伊達工に?」
「俺はバレーやりたくって。ここ結構強いんだぜ」
バレーってバレーボールか。確かに伊達工は強いと聞いたことがある。そう言えば二口くんの第一印象は『背が高い』だった。隣にいた子の方が大きかったけど……。
「あ!あの一緒に来た子とやるの?」
そう言うと、青根な、と言って嬉しそうな顔をする。
「そう。あいつ、中学ん時試合して、俺のチームを一人でコテンパンにしたスゲーヤツで。まさか同じ高校だと思わなかったからこれから楽しみでさー」
「そうなんだー。仲良さげに入ってきたから同じ中学なんだと思ってた」
「仲いいとか、気持ちワリィ」
「同じクラスなんだから青根くんとはもう運命だよ!」
「お前なー」
二口くんに追い打ちをかけて笑いかけると、彼もしょうがないなぁという風に笑う。名前が聞こえたのか青根くんがこちらを振り返ったので二人して手を振っといた。ふざけてる私たちが青根くんに睨まれたところで先生が入ってくる。
「もう先生来ちゃった」
思わず出た言葉で自分の心境の変化に驚く。あんなに早く先生に来て欲しいと思ってたのに。これも二口くんのおかげかな。
「これから、よろしくね」
感謝を込めて小声で囁くと、
「うん」
そう言って二口くんは静かに微笑んだ。