26 ケンカイノイッチ
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見解の一致
ベッドを背もたれにして、背後の堅治くんの寝息を聞きながらスマホで赤いバラの花言葉を検索する。
『あなたを愛しています、情熱』
「……」
どちらも予想の範囲内というか……。自分で言うのもなんだけど、それだったらちゃんと伝わっているし、『私も好き』と返したのは外れていないと思う。
『半分しか伝わらない』ってどういうことだろう。『好き』は『愛してる』に届かないってこと? わからない……。
それとも、バラじゃなくて、カスミソウの方に意味がある?
『幸福、感謝』
「うーーーーーん」
お手上げ状態でテーブルに突っ伏す。ありがたい言葉だけれど、これは本筋ではない気がする。あとはラッピング? リボンの色? いや、遠ざかっているような。
やっぱり、バラなんだろうな……。
考えが袋小路に入ったところでトントンと控えめなノックの音がした。姿勢を正して「はい」と返事をすると小さくドアが開き、恐る恐るといった感じで二口くんの妹さんが顔を出す。
「お母さんが、妙に静かだから、ちょっと様子を見て来いって。入っても大丈夫?」
「大丈夫だよ、どうぞ」
「『ちゃんとノックして、反応なかったら戻ってきなさいよ』って言われたんだけど」
「…………」
変なお気遣いされている。めちゃくちゃ恥ずかしい。確かにさっきの……最中だったら、私、ノック聞こえていなかったかも……!
今さらぞっとしていると、妹さんはベッドの上の堅治くんを見て目を白黒させた。
「ちょ、おにぃ! 寝てるの!?」
素っ頓狂に声を上げる妹さんに、私は思わず人差し指を立てて唇に当てる。
「うん、疲れてるみたいで」
「信じらんない。友紀ちゃん来てんのに、ひくわー」
妹さんはあきれを隠さない表情で、安らかな寝息を立てる堅治くんの頬を遠慮なくつついた。
「何コイツ。なんで幸せそうな顔してんのよ。彼女放って寝てるくせに」
起きる気配がないとみるや指を頬にめり込ませていく。むずがる堅治くんを一通りつっついて気が済んだ妹さんはすまなそうに私を見た。
「友紀ちゃん、退屈でしょ。下来る?」
「ありがとう。でも、起きた時に私がいないと、心配するかもしれないから」
「シンパイ……? おにぃの辞書にそんな言葉ない!」
きっぱりと断言する妹さんに吹き出しそうになってしまう。堅治くんは心配症だと思っていたんだけど……それは言わない方が良さそうだ。
先ほど堅治くんが座っていた場所に妹さんは座った。堅治くんの代わりに話し相手になってくれるみたいだ。
「……そういえば、彼氏くんとは、うまくやってる?」
「うん! 進展はしてないけど順調! 高校は離れちゃうからどうなるかわからないけど」
少し寂しそうだけど後ろ向きな感じはしない。妹さんも中学卒業か。前に堅治くんに、妹さんに彼氏できたらどう思うか、聞いたことがあったな。その時は『まだ早ぇ』って言ってたけど……。
「彼氏がいること、堅、……、お兄さんは知ってるの?」
「言わないよー。どーせ『お前には早い』とか言ってくるしー!」
堅治くん、妹さんに筒抜けだよ……。
「なによ、何で笑ってるの、友紀ちゃん?」
「ううん何でもないよ。……私、中学生の時、彼氏とか考えたことなかったなー」
「付き合うの、おにぃが初めて?」
「うん」
「へー。おにぃ、ちゃんと優しい?」
妹さんは心配そうに聞いてくる。
堅治くんは自分で言うように私にはちゃんと優しい……んだけど、コレをどう言えばノロケにならないのか、私にはわからない。……さらっと流そう。
「う、うん。大丈夫」
「へー。私、絶対、おにぃみたいなタイプとは付き合わないと思う!もっと無口で包容力がある人がいい!」
そう言い切る妹さんの言葉から、思い浮かんだのは青根くんだった。確かに堅治くんと仲がいいのも、少しのわがままはおおらかに包んでくれそうなところがあるからかもしれない。何も言わずに微笑んでしまうと、妹さんが慌てたように弁解する。
「あ、違うよ。でも友紀ちゃんのこと、趣味悪いとかは思わない!」
「ううん、大丈夫。私もお兄ちゃんいるから、そういうのわかるよ」
妹さんをフォローしつつ、自分のお兄ちゃんを思い浮かべて堅治くんと比べてみる。
「『嫌い』じゃないんだけど、そういうのとは『違う』って感じなんだよね」
「わかるー。まあ、私の場合は完全にドーゾクケンオってやつかな? すぐケンカになっちゃうから安らげない!」
「あーなるほど。うちはそんなにケンカはしないけど、好きなタイプとは全然別だなー」
妹同士の見解の一致にふふふと笑い合うと、彼女は上目遣いにこちらを見つめてきた。
「友紀ちゃんは、おにぃの、どこが好き?」
「え……」
下から見上げるように私を見つめる表情は、やっぱり堅治くんに似ていて少しドキッとする。
この質問は困る……。本人じゃない、それも身内の方に聞かれた場合、何て答えたらいいんだろう……。いっそかしこまった席ならば『人柄です』とか『部活に対する真摯な態度です』とか、答えられるんだけど。
口ごもり考え込む私を見て、妹さんはにやりと笑う。
「友紀ちゃんって、おにぃのこと聞くと、赤くなるよね」
「そ、そうかな?」
こういう風に人を揺さぶってくるのも、ホント堅治くんと似てる。でもそれ言ったら……怒るだろうなー。
「何ニヤニヤしてるの?」
「なんでもない、なんでもない。そうだなぁ……」
勘が鋭い妹さんに不審がられないよう、私は真剣に考える。
堅治くん本人にも同じ質問をされた。その頃は堅治くんのことをよく知らなくて、私の答えは本人から否定されてしまったけど、実際のところ、今でもあまり印象は変わっていない。
変わったのは、それから、練習や試合を見に行くようになって知った……
「真剣に部活している姿がカッコいいのと……」
「ふーん。次は? 他に!」
人に言いやすいのは『優しい』ってことなんだけど、そう言うといつも変な空気になるからなー……。
言い換えを考えていると「ね、ね?」と急かされてしまう。え、と、『優しい』をできるだけぼかしてみると……
「……私のことを大切にしてくれるところ」
色々と総合してこういうことだと思ったけれど、客観的に耳に入ってくると、何かとんでもない……。
妹さんがひきつった笑顔で固まっている……。
「うっわぁ……はっず!」
「え、ちょっと、ひどい!」
私は一気に恥ずかしくなって、彼女の肩をぽかぽか叩く。もう、だから、この質問イヤなんだ!
妹さんは「ごめんごめん!」と笑いながら私の攻撃をいなしていく。
「恥ずかしいのは、友紀ちゃんじゃなくて、おにぃに対してなの!」
「?」
「今日だけでもさ、帰ってすぐシャワーとか、ホワイトデーにちゃんとお返し贈るとか、そういうのがね、ちゃんと彼女に伝わってて良かったね、っていうか! あー!」
なぜか恥ずかしがる妹さんを見て落ち着いてはきたけれど、未だ私だって恥ずかしいのには変わりはない。後ろですーすー眠ってる堅治くんに半分は肩代わりしてほしい。
「それはそれとして、あと、おにぃはさ、友紀ちゃんに甘えてるよね」
「そ、そうかな?」
「そうだよ! これ見てればわかるよ! 甘えられる相手じゃなきゃ、こんなに眠りこけないよ! あー! 何かムカついて来た。友紀ちゃん、これキレてもいいところだよ!」
「……」
そうか。これ、甘えてくれているんだ……。常に気を張っているんじゃなくて、私の前でそれをゆるめてくれているのなら、私にとってはすごく
「そ、それは、嬉しいかな。素を見せてくれるんだったら……」
妹さんは今度こそ私に向かってため息をついた。
「キレるべきところではちゃんと文句言いなよー。多分聞く耳はあると思うから」
「ありがとう。大丈夫、だよ」
「我慢ならなくなったら、ホントに無理しないでね。……! で、でも! ……おにぃと友紀ちゃんが別れたら……私ともつながりなくなっちゃうんだ……」
「……」
「もうダメなのに、友紀ちゃんがいやいや付き合うことになるのもやだけど、別れたらさみしい。やだ……」
なんだか勝手に妄想がすすんで、あたかも私達が別れてしまったかのような辛そうな顔をするので、私は苦笑しながら彼女に提案する。
「じゃあ……、私と連絡先交換する?」
「する!」
「ダメだ!」
弾んだ妹さんの声と同時に、後ろから鋭い大声がした。びっくりして振り返ると、半身を起こした堅治くんが半目でこちらを睨みつけていた。ちょっとだけ髪の毛が跳ねている。寝起きのせいか目つきが鋭すぎて怖い……。
「おにぃ、起きてたの!?」
全く臆することもなく妹さんが言い返す。
「『別れた』って聞こえて飛び起きたわ! いい夢見てたのに、恐ろしい話してんじゃねーよ!!!」
「はあぁ? 彼女置いてきぼりにして、どんな夢見てたんですかー?」
噛みつく妹さんに対して、堅治くんは伸びをしながら呑気に答える。
「んー? 友紀と一緒に寝てる夢?」
「け、けんじくん!?」
際どい発言に焦ってしまう。墓穴を掘ったかもしれない。妹さんが疑わし気に私を見る。
ホント、この兄妹には振り回されまくってる……。そう思いながら私は必死の形相で首を横に振った。
ベッドを背もたれにして、背後の堅治くんの寝息を聞きながらスマホで赤いバラの花言葉を検索する。
『あなたを愛しています、情熱』
「……」
どちらも予想の範囲内というか……。自分で言うのもなんだけど、それだったらちゃんと伝わっているし、『私も好き』と返したのは外れていないと思う。
『半分しか伝わらない』ってどういうことだろう。『好き』は『愛してる』に届かないってこと? わからない……。
それとも、バラじゃなくて、カスミソウの方に意味がある?
『幸福、感謝』
「うーーーーーん」
お手上げ状態でテーブルに突っ伏す。ありがたい言葉だけれど、これは本筋ではない気がする。あとはラッピング? リボンの色? いや、遠ざかっているような。
やっぱり、バラなんだろうな……。
考えが袋小路に入ったところでトントンと控えめなノックの音がした。姿勢を正して「はい」と返事をすると小さくドアが開き、恐る恐るといった感じで二口くんの妹さんが顔を出す。
「お母さんが、妙に静かだから、ちょっと様子を見て来いって。入っても大丈夫?」
「大丈夫だよ、どうぞ」
「『ちゃんとノックして、反応なかったら戻ってきなさいよ』って言われたんだけど」
「…………」
変なお気遣いされている。めちゃくちゃ恥ずかしい。確かにさっきの……最中だったら、私、ノック聞こえていなかったかも……!
今さらぞっとしていると、妹さんはベッドの上の堅治くんを見て目を白黒させた。
「ちょ、おにぃ! 寝てるの!?」
素っ頓狂に声を上げる妹さんに、私は思わず人差し指を立てて唇に当てる。
「うん、疲れてるみたいで」
「信じらんない。友紀ちゃん来てんのに、ひくわー」
妹さんはあきれを隠さない表情で、安らかな寝息を立てる堅治くんの頬を遠慮なくつついた。
「何コイツ。なんで幸せそうな顔してんのよ。彼女放って寝てるくせに」
起きる気配がないとみるや指を頬にめり込ませていく。むずがる堅治くんを一通りつっついて気が済んだ妹さんはすまなそうに私を見た。
「友紀ちゃん、退屈でしょ。下来る?」
「ありがとう。でも、起きた時に私がいないと、心配するかもしれないから」
「シンパイ……? おにぃの辞書にそんな言葉ない!」
きっぱりと断言する妹さんに吹き出しそうになってしまう。堅治くんは心配症だと思っていたんだけど……それは言わない方が良さそうだ。
先ほど堅治くんが座っていた場所に妹さんは座った。堅治くんの代わりに話し相手になってくれるみたいだ。
「……そういえば、彼氏くんとは、うまくやってる?」
「うん! 進展はしてないけど順調! 高校は離れちゃうからどうなるかわからないけど」
少し寂しそうだけど後ろ向きな感じはしない。妹さんも中学卒業か。前に堅治くんに、妹さんに彼氏できたらどう思うか、聞いたことがあったな。その時は『まだ早ぇ』って言ってたけど……。
「彼氏がいること、堅、……、お兄さんは知ってるの?」
「言わないよー。どーせ『お前には早い』とか言ってくるしー!」
堅治くん、妹さんに筒抜けだよ……。
「なによ、何で笑ってるの、友紀ちゃん?」
「ううん何でもないよ。……私、中学生の時、彼氏とか考えたことなかったなー」
「付き合うの、おにぃが初めて?」
「うん」
「へー。おにぃ、ちゃんと優しい?」
妹さんは心配そうに聞いてくる。
堅治くんは自分で言うように私にはちゃんと優しい……んだけど、コレをどう言えばノロケにならないのか、私にはわからない。……さらっと流そう。
「う、うん。大丈夫」
「へー。私、絶対、おにぃみたいなタイプとは付き合わないと思う!もっと無口で包容力がある人がいい!」
そう言い切る妹さんの言葉から、思い浮かんだのは青根くんだった。確かに堅治くんと仲がいいのも、少しのわがままはおおらかに包んでくれそうなところがあるからかもしれない。何も言わずに微笑んでしまうと、妹さんが慌てたように弁解する。
「あ、違うよ。でも友紀ちゃんのこと、趣味悪いとかは思わない!」
「ううん、大丈夫。私もお兄ちゃんいるから、そういうのわかるよ」
妹さんをフォローしつつ、自分のお兄ちゃんを思い浮かべて堅治くんと比べてみる。
「『嫌い』じゃないんだけど、そういうのとは『違う』って感じなんだよね」
「わかるー。まあ、私の場合は完全にドーゾクケンオってやつかな? すぐケンカになっちゃうから安らげない!」
「あーなるほど。うちはそんなにケンカはしないけど、好きなタイプとは全然別だなー」
妹同士の見解の一致にふふふと笑い合うと、彼女は上目遣いにこちらを見つめてきた。
「友紀ちゃんは、おにぃの、どこが好き?」
「え……」
下から見上げるように私を見つめる表情は、やっぱり堅治くんに似ていて少しドキッとする。
この質問は困る……。本人じゃない、それも身内の方に聞かれた場合、何て答えたらいいんだろう……。いっそかしこまった席ならば『人柄です』とか『部活に対する真摯な態度です』とか、答えられるんだけど。
口ごもり考え込む私を見て、妹さんはにやりと笑う。
「友紀ちゃんって、おにぃのこと聞くと、赤くなるよね」
「そ、そうかな?」
こういう風に人を揺さぶってくるのも、ホント堅治くんと似てる。でもそれ言ったら……怒るだろうなー。
「何ニヤニヤしてるの?」
「なんでもない、なんでもない。そうだなぁ……」
勘が鋭い妹さんに不審がられないよう、私は真剣に考える。
堅治くん本人にも同じ質問をされた。その頃は堅治くんのことをよく知らなくて、私の答えは本人から否定されてしまったけど、実際のところ、今でもあまり印象は変わっていない。
変わったのは、それから、練習や試合を見に行くようになって知った……
「真剣に部活している姿がカッコいいのと……」
「ふーん。次は? 他に!」
人に言いやすいのは『優しい』ってことなんだけど、そう言うといつも変な空気になるからなー……。
言い換えを考えていると「ね、ね?」と急かされてしまう。え、と、『優しい』をできるだけぼかしてみると……
「……私のことを大切にしてくれるところ」
色々と総合してこういうことだと思ったけれど、客観的に耳に入ってくると、何かとんでもない……。
妹さんがひきつった笑顔で固まっている……。
「うっわぁ……はっず!」
「え、ちょっと、ひどい!」
私は一気に恥ずかしくなって、彼女の肩をぽかぽか叩く。もう、だから、この質問イヤなんだ!
妹さんは「ごめんごめん!」と笑いながら私の攻撃をいなしていく。
「恥ずかしいのは、友紀ちゃんじゃなくて、おにぃに対してなの!」
「?」
「今日だけでもさ、帰ってすぐシャワーとか、ホワイトデーにちゃんとお返し贈るとか、そういうのがね、ちゃんと彼女に伝わってて良かったね、っていうか! あー!」
なぜか恥ずかしがる妹さんを見て落ち着いてはきたけれど、未だ私だって恥ずかしいのには変わりはない。後ろですーすー眠ってる堅治くんに半分は肩代わりしてほしい。
「それはそれとして、あと、おにぃはさ、友紀ちゃんに甘えてるよね」
「そ、そうかな?」
「そうだよ! これ見てればわかるよ! 甘えられる相手じゃなきゃ、こんなに眠りこけないよ! あー! 何かムカついて来た。友紀ちゃん、これキレてもいいところだよ!」
「……」
そうか。これ、甘えてくれているんだ……。常に気を張っているんじゃなくて、私の前でそれをゆるめてくれているのなら、私にとってはすごく
「そ、それは、嬉しいかな。素を見せてくれるんだったら……」
妹さんは今度こそ私に向かってため息をついた。
「キレるべきところではちゃんと文句言いなよー。多分聞く耳はあると思うから」
「ありがとう。大丈夫、だよ」
「我慢ならなくなったら、ホントに無理しないでね。……! で、でも! ……おにぃと友紀ちゃんが別れたら……私ともつながりなくなっちゃうんだ……」
「……」
「もうダメなのに、友紀ちゃんがいやいや付き合うことになるのもやだけど、別れたらさみしい。やだ……」
なんだか勝手に妄想がすすんで、あたかも私達が別れてしまったかのような辛そうな顔をするので、私は苦笑しながら彼女に提案する。
「じゃあ……、私と連絡先交換する?」
「する!」
「ダメだ!」
弾んだ妹さんの声と同時に、後ろから鋭い大声がした。びっくりして振り返ると、半身を起こした堅治くんが半目でこちらを睨みつけていた。ちょっとだけ髪の毛が跳ねている。寝起きのせいか目つきが鋭すぎて怖い……。
「おにぃ、起きてたの!?」
全く臆することもなく妹さんが言い返す。
「『別れた』って聞こえて飛び起きたわ! いい夢見てたのに、恐ろしい話してんじゃねーよ!!!」
「はあぁ? 彼女置いてきぼりにして、どんな夢見てたんですかー?」
噛みつく妹さんに対して、堅治くんは伸びをしながら呑気に答える。
「んー? 友紀と一緒に寝てる夢?」
「け、けんじくん!?」
際どい発言に焦ってしまう。墓穴を掘ったかもしれない。妹さんが疑わし気に私を見る。
ホント、この兄妹には振り回されまくってる……。そう思いながら私は必死の形相で首を横に振った。