EX4:トラウマカウンセリング
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学校帰りに制服で笹谷の家にお邪魔する。名目は一応テスト勉強。
郊外の普通の一軒家。
案の定……というか、お家の人はみんな留守のようだ。人の気配はない。
「よし、ここまででいっか、完璧。結城は?」
「ちょっと待って、もうちょっとー」
範囲の最後までは今日中に終わらせたい。あと2問……。
「うー……ん」
最後の問題を解き終わり、シャーペンを置いて伸びをすると、手持無沙汰そうに机に伏せてる笹谷の視線を感じる。
「終わった?」
「うん」
そう言うと、はす向かいに座っていた笹谷は立ち上がって私の後ろに回り両足を広げて座った。膝の間に私が入り、肩から抱え込むように包まれる。
『終わってから』と言っていたから、ここまでは許容範囲内。
「あのさー」
「うん?何?」
耳元で言うから、吐息が髪に触れてくすぐったい。
「そろそろ、おっぱい触っていい?」
……。
ついに、きたか……。
冷房が効いている部屋なのに、私たちの周りだけ急に温度が上がった気がする。
何となく、今日、そういうコトになりそうな予感はしていた。
私の前で組まれている笹谷の腕を解き、彼の右手をとる。
そして。
いつか笹谷にされたように、彼の手を私の胸に持っていく。
一瞬驚いたような抵抗はあったけど、笹谷の手は素直に私の胸の上に乗る。
自分の手が震えているのがわかる。
大丈夫。これは、あの手とは違う。彼の手は私の胸に触れても動かない。
「手、震えてる」
「う、うん、ちょっと……」
笹谷の手を押さえている手のひらが汗ばんでくる。
「ここにはトラウマがあって……」
そこで言葉に詰まってしまうと、何かを察してくれたのか真剣な声で笹谷が言った。
「聞いても大丈夫か?」
「うん……。あの、中学の時に、すれ違いざまに掴まれたことがあって、それが、すごく、痛かったから」
「………」
これは、好きな人の手。だから大丈夫。
そう言い聞かせて深呼吸をして、彼の手をぎゅっと握る。
笹谷は何も言わない。
思い出すのも嫌だ。それ以上何かをされたわけじゃないけど、頭にきたし、怖かった。
自分の胸は結構目立つんだ、とそこで自覚した。
だから今は、胸を大きく見せないタイプのブラを使って自衛しながら伊達工で学生生活を送っている。
「さ、笹谷?」
微動だにしない笹谷が気になって振り返ってみると。
…………すごく顔が怒っていた。
「ご、ごめん、変なコト聞かせて、」
「俺のおっぱいに勝手に触りやがって」
虚空を睨みつけマジ切れしている笹谷の表情と、その口からでた『おっぱい』という単語の落差に思わず噴き出してしまう。
私は笑ったけど、至って真剣な顔で彼は言った。
「悪かった、今日は、やめとく」
「ううん、続けてほしい……」
そう言って、くるりと笹谷に向き合い、離れようとする彼の手をもう一回私の左胸に押し付けた。笹谷が驚いた顔をする。
多分、この下の、心臓のドキドキも彼の手に伝わってしまってるはず。
「……笹谷の手で忘れさせて」
自分で言ったクセに秒で『なに言ってるの!?』と恥ずかしくなる。
顔はおろか耳まで赤くなっているのがわかった。
「言ったな……」
笹谷はそう言うと私の胸から手を離し、もう一度後ろから私を抱きしめ直して耳元で言う。
「いやだ、と思ったら、すぐ言えよ」
「……うん。大丈夫」
顔は近づいているけれど、私から目を合わせることはできない。
笹谷は一つ息をつくと、腕を解いて私の背中を探る。
背中の真ん中辺りを摘ままれる感覚があったと思ったら、胸が急に解放された気がした。
服の上からホックを外されたと気づいた時にはもう袖のところに手が入り肩ひもを外されている。ワイシャツの裾をスカートの中から出し下から手を入れられ、あっという間に私のブラは笹谷の手中におさまった。
「ちょっと!手慣れすぎじゃない?」
「思春期男子のシミュレーション能力なめんなよ」
それ、もう特殊能力の域に達してない?!
「水色か…で、Dの……」
コイツ、サイズ表まで……!
慌てて彼の手からブラをひったくって遠くに投げる。ブラは向かいの壁にぶつかり床に着地した。後で忘れずに回収しなければ。
「さて、コレで邪魔なものはなくなったな」
悪びれずに言う笹谷に追い詰められた気分になる。
キャミソールは着ているけど……。このままでは透けているのを見られてしまう。
笹谷からは隠れるように逆を向くけど、そんなのはお構いなしに彼の腕が背中越しに前に回りワイシャツのボタンを上から外していく。
「脱ぐのは、ヤダ……」
そうお願いしてみると、ボタンを二つ外したところで止めてくれた。
ワイシャツの下から手を入れられ、お腹から胸へなぞるように触れられる。
「……!」
くすぐったいのとは違う、背筋が粟立つ感じに戸惑う。
そこから上へ、バージスの部分を指がたどっていく。胸の大きさを確かめるようななぞり方にため息がもれそうになる。
声は……出したくない。だから懸命にこらえる。
「服の上から見た感じよりでかいよな」
「……よく言われる」
「あ?……誰にだよ」
「ん?体育の着替えの時とかに」
「ああ、そうか……」
急に話しかけられて普通に返すのがやっとだ。
下から支える様に持ち上げられると……変な気分になる。
「やわらけぇー」
「……」
耳元で感心したように囁かれ、恥ずかしくてたまらない。
大きさを確かめるようにやわやわともまれて、なんともいえない緊張と心地よさを感じる。笹谷の手が温かい。
でも、ただひたすらに、恥ずかしい。
彼の手が、指先が胸の中心部に向かってくる。
中心の周りを撫でる、いいようのないくすぐったさに体が動いてしまう。
緊張と興奮で深くなった呼吸を乱さないようにするのが精いっぱい。
そのまま、一番敏感な部分に指先が触れそうになり、身構えた瞬間、中心部付近に来ていた手が離れ、また胸全体を両手でもみ始める。
もどかしさに思わずため息が漏れ、勝手に期待した身体が弛緩していく。
私の身体に密着する笹谷がそれに気づいたのか、ふふっと吐息を漏らす。
気づかれている。
焦らされてる。
身体が勝手に震える。
初めて感じる卑しい身体の動きに、切なくなって下を向くと、外されたボタンの下露わになった胸が見える
彼の手によって形を変えられるふくらみ、その頂上にピンと立ってしまっている先端が見えた。
触ってもらえるのを待ちわびているようなそれを見てられなくて顔を背けると、笹谷がにやりと笑う気配がする。
「どうしたの?友紀ちゃん」
「なん……っ」
なんでもない、と言おうとしたのに喉がかすれて声が出ない。
焦らすように円を描いて周りをなぞられ、身悶えするように体が動いてしまう。
体験したことのない切なさに泣きそうになりながら後ろを振り向くと、すごく嬉しそうにいやらしく笑う笹谷の顔があった。
「何?おねだり?」
「ちが、っ」
抗議の言葉を言う前に私の口は笹谷の唇でふさがれた。
「んっ、、」
言葉を発しようと開いていた口に容赦なく舌が差し込まれる。
舌を絡ませられ、吸い付くように貪られる。
胸を這う笹谷の手の感覚と、侵入してくる舌が口内をなぞってくる感触に頭がおかしくなりそう。
「ん…………、んっ」
私の口の中を蹂躙していた舌の動きが止まる。
唇が離れ、潤んだ視界に笹谷の顔が映る。彼の目が甘やかに笑ったその瞬間、彼の指が私の胸の頂点をつまんだ。
体の中心をしびれる様な感覚が走り、身体が勝手にのけぞる。
「やあぁ……っ」
その甘さを含んだ声が自分の口から出たのが信じられなかった。
とっさに口元を手で隠し、へたり込むように後ろの彼の胸に身を預ける。脚の間に汗をかいているのがわかる。
暑い。身体が信じられないくらい熱い。冷房は寒いぐらいに効いているはずなのに。
もう、やだ、
恥ずかしくて、死にそう。
彼の顔が見られない。
彼の手は中心から外れ服の外へ出る。そして急に話しかけられた。
「上書きできたか?」
「な、何を?」
「……。その調子なら大丈夫そうだな」
素で何を言われたのか分からなかった。きょとん、としていると、
「はい、おしまい」
と、ぽんっと背中をたたかれ笹谷の身体が離れていく。
背中に感じていた熱がなくなり、火照った体を持て余した私は笹谷を見上げる。
その私の視線を受けた笹谷は、ふいっと視線を逸らした。
「……襲われたくなかったら、早く、服を着ろ」
私が投げたブラジャーを拾い上げながら笹谷が言う。
汗が急速にクーラーの冷気で冷やされ、それと同時に興奮で高鳴った心臓が落ち着いてくる。
「それとも、最後までヤるか……?」
「……」
カラダの準備はできてしまったかもしれないけど、心の準備がまだ整わない。
私が首を横に振ったのを見て笹谷はほっと息を吐くと、離れた距離から腕を伸ばして私にブラジャーを渡してきた。
「駅まで、送る」
私を見ずにそう言うと、笹谷は部屋を出て行った。
◇◆◇
笹谷の家から駅に行くまでの道中、2人とも無言だった。
駅への階段を上がる前に笹谷の袖をひっぱる。
「ここでいい」
「…………」
笹谷は無言で足を止める。
私は、喉を鳴らして唾をのみ込み、彼を呼んだ。
「……笹谷」
「ん?」
あまり離れてしまうと言い出せなくなる。だから、一歩笹谷に近づく。掴んだ袖から手繰るように、笹谷の手に触れる。
「……初めての時は、朝まで一緒にいたい」
笹谷の手を握る。彼は信じられない、という風に私を見る。
「お前、それ、どういう意味で……」
「覚悟、できた」
笹谷の言葉をさえぎってそれだけ言うと、もう顔が上げられなかった。
うつむいた私の耳に笹谷の声が届く。
「………わかった」
そう言うと、笹谷は私の手をぎゅっと握り返した。
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Trauma counseling
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郊外の普通の一軒家。
案の定……というか、お家の人はみんな留守のようだ。人の気配はない。
「よし、ここまででいっか、完璧。結城は?」
「ちょっと待って、もうちょっとー」
範囲の最後までは今日中に終わらせたい。あと2問……。
「うー……ん」
最後の問題を解き終わり、シャーペンを置いて伸びをすると、手持無沙汰そうに机に伏せてる笹谷の視線を感じる。
「終わった?」
「うん」
そう言うと、はす向かいに座っていた笹谷は立ち上がって私の後ろに回り両足を広げて座った。膝の間に私が入り、肩から抱え込むように包まれる。
『終わってから』と言っていたから、ここまでは許容範囲内。
「あのさー」
「うん?何?」
耳元で言うから、吐息が髪に触れてくすぐったい。
「そろそろ、おっぱい触っていい?」
……。
ついに、きたか……。
冷房が効いている部屋なのに、私たちの周りだけ急に温度が上がった気がする。
何となく、今日、そういうコトになりそうな予感はしていた。
私の前で組まれている笹谷の腕を解き、彼の右手をとる。
そして。
いつか笹谷にされたように、彼の手を私の胸に持っていく。
一瞬驚いたような抵抗はあったけど、笹谷の手は素直に私の胸の上に乗る。
自分の手が震えているのがわかる。
大丈夫。これは、あの手とは違う。彼の手は私の胸に触れても動かない。
「手、震えてる」
「う、うん、ちょっと……」
笹谷の手を押さえている手のひらが汗ばんでくる。
「ここにはトラウマがあって……」
そこで言葉に詰まってしまうと、何かを察してくれたのか真剣な声で笹谷が言った。
「聞いても大丈夫か?」
「うん……。あの、中学の時に、すれ違いざまに掴まれたことがあって、それが、すごく、痛かったから」
「………」
これは、好きな人の手。だから大丈夫。
そう言い聞かせて深呼吸をして、彼の手をぎゅっと握る。
笹谷は何も言わない。
思い出すのも嫌だ。それ以上何かをされたわけじゃないけど、頭にきたし、怖かった。
自分の胸は結構目立つんだ、とそこで自覚した。
だから今は、胸を大きく見せないタイプのブラを使って自衛しながら伊達工で学生生活を送っている。
「さ、笹谷?」
微動だにしない笹谷が気になって振り返ってみると。
…………すごく顔が怒っていた。
「ご、ごめん、変なコト聞かせて、」
「俺のおっぱいに勝手に触りやがって」
虚空を睨みつけマジ切れしている笹谷の表情と、その口からでた『おっぱい』という単語の落差に思わず噴き出してしまう。
私は笑ったけど、至って真剣な顔で彼は言った。
「悪かった、今日は、やめとく」
「ううん、続けてほしい……」
そう言って、くるりと笹谷に向き合い、離れようとする彼の手をもう一回私の左胸に押し付けた。笹谷が驚いた顔をする。
多分、この下の、心臓のドキドキも彼の手に伝わってしまってるはず。
「……笹谷の手で忘れさせて」
自分で言ったクセに秒で『なに言ってるの!?』と恥ずかしくなる。
顔はおろか耳まで赤くなっているのがわかった。
「言ったな……」
笹谷はそう言うと私の胸から手を離し、もう一度後ろから私を抱きしめ直して耳元で言う。
「いやだ、と思ったら、すぐ言えよ」
「……うん。大丈夫」
顔は近づいているけれど、私から目を合わせることはできない。
笹谷は一つ息をつくと、腕を解いて私の背中を探る。
背中の真ん中辺りを摘ままれる感覚があったと思ったら、胸が急に解放された気がした。
服の上からホックを外されたと気づいた時にはもう袖のところに手が入り肩ひもを外されている。ワイシャツの裾をスカートの中から出し下から手を入れられ、あっという間に私のブラは笹谷の手中におさまった。
「ちょっと!手慣れすぎじゃない?」
「思春期男子のシミュレーション能力なめんなよ」
それ、もう特殊能力の域に達してない?!
「水色か…で、Dの……」
コイツ、サイズ表まで……!
慌てて彼の手からブラをひったくって遠くに投げる。ブラは向かいの壁にぶつかり床に着地した。後で忘れずに回収しなければ。
「さて、コレで邪魔なものはなくなったな」
悪びれずに言う笹谷に追い詰められた気分になる。
キャミソールは着ているけど……。このままでは透けているのを見られてしまう。
笹谷からは隠れるように逆を向くけど、そんなのはお構いなしに彼の腕が背中越しに前に回りワイシャツのボタンを上から外していく。
「脱ぐのは、ヤダ……」
そうお願いしてみると、ボタンを二つ外したところで止めてくれた。
ワイシャツの下から手を入れられ、お腹から胸へなぞるように触れられる。
「……!」
くすぐったいのとは違う、背筋が粟立つ感じに戸惑う。
そこから上へ、バージスの部分を指がたどっていく。胸の大きさを確かめるようななぞり方にため息がもれそうになる。
声は……出したくない。だから懸命にこらえる。
「服の上から見た感じよりでかいよな」
「……よく言われる」
「あ?……誰にだよ」
「ん?体育の着替えの時とかに」
「ああ、そうか……」
急に話しかけられて普通に返すのがやっとだ。
下から支える様に持ち上げられると……変な気分になる。
「やわらけぇー」
「……」
耳元で感心したように囁かれ、恥ずかしくてたまらない。
大きさを確かめるようにやわやわともまれて、なんともいえない緊張と心地よさを感じる。笹谷の手が温かい。
でも、ただひたすらに、恥ずかしい。
彼の手が、指先が胸の中心部に向かってくる。
中心の周りを撫でる、いいようのないくすぐったさに体が動いてしまう。
緊張と興奮で深くなった呼吸を乱さないようにするのが精いっぱい。
そのまま、一番敏感な部分に指先が触れそうになり、身構えた瞬間、中心部付近に来ていた手が離れ、また胸全体を両手でもみ始める。
もどかしさに思わずため息が漏れ、勝手に期待した身体が弛緩していく。
私の身体に密着する笹谷がそれに気づいたのか、ふふっと吐息を漏らす。
気づかれている。
焦らされてる。
身体が勝手に震える。
初めて感じる卑しい身体の動きに、切なくなって下を向くと、外されたボタンの下露わになった胸が見える
彼の手によって形を変えられるふくらみ、その頂上にピンと立ってしまっている先端が見えた。
触ってもらえるのを待ちわびているようなそれを見てられなくて顔を背けると、笹谷がにやりと笑う気配がする。
「どうしたの?友紀ちゃん」
「なん……っ」
なんでもない、と言おうとしたのに喉がかすれて声が出ない。
焦らすように円を描いて周りをなぞられ、身悶えするように体が動いてしまう。
体験したことのない切なさに泣きそうになりながら後ろを振り向くと、すごく嬉しそうにいやらしく笑う笹谷の顔があった。
「何?おねだり?」
「ちが、っ」
抗議の言葉を言う前に私の口は笹谷の唇でふさがれた。
「んっ、、」
言葉を発しようと開いていた口に容赦なく舌が差し込まれる。
舌を絡ませられ、吸い付くように貪られる。
胸を這う笹谷の手の感覚と、侵入してくる舌が口内をなぞってくる感触に頭がおかしくなりそう。
「ん…………、んっ」
私の口の中を蹂躙していた舌の動きが止まる。
唇が離れ、潤んだ視界に笹谷の顔が映る。彼の目が甘やかに笑ったその瞬間、彼の指が私の胸の頂点をつまんだ。
体の中心をしびれる様な感覚が走り、身体が勝手にのけぞる。
「やあぁ……っ」
その甘さを含んだ声が自分の口から出たのが信じられなかった。
とっさに口元を手で隠し、へたり込むように後ろの彼の胸に身を預ける。脚の間に汗をかいているのがわかる。
暑い。身体が信じられないくらい熱い。冷房は寒いぐらいに効いているはずなのに。
もう、やだ、
恥ずかしくて、死にそう。
彼の顔が見られない。
彼の手は中心から外れ服の外へ出る。そして急に話しかけられた。
「上書きできたか?」
「な、何を?」
「……。その調子なら大丈夫そうだな」
素で何を言われたのか分からなかった。きょとん、としていると、
「はい、おしまい」
と、ぽんっと背中をたたかれ笹谷の身体が離れていく。
背中に感じていた熱がなくなり、火照った体を持て余した私は笹谷を見上げる。
その私の視線を受けた笹谷は、ふいっと視線を逸らした。
「……襲われたくなかったら、早く、服を着ろ」
私が投げたブラジャーを拾い上げながら笹谷が言う。
汗が急速にクーラーの冷気で冷やされ、それと同時に興奮で高鳴った心臓が落ち着いてくる。
「それとも、最後までヤるか……?」
「……」
カラダの準備はできてしまったかもしれないけど、心の準備がまだ整わない。
私が首を横に振ったのを見て笹谷はほっと息を吐くと、離れた距離から腕を伸ばして私にブラジャーを渡してきた。
「駅まで、送る」
私を見ずにそう言うと、笹谷は部屋を出て行った。
◇◆◇
笹谷の家から駅に行くまでの道中、2人とも無言だった。
駅への階段を上がる前に笹谷の袖をひっぱる。
「ここでいい」
「…………」
笹谷は無言で足を止める。
私は、喉を鳴らして唾をのみ込み、彼を呼んだ。
「……笹谷」
「ん?」
あまり離れてしまうと言い出せなくなる。だから、一歩笹谷に近づく。掴んだ袖から手繰るように、笹谷の手に触れる。
「……初めての時は、朝まで一緒にいたい」
笹谷の手を握る。彼は信じられない、という風に私を見る。
「お前、それ、どういう意味で……」
「覚悟、できた」
笹谷の言葉をさえぎってそれだけ言うと、もう顔が上げられなかった。
うつむいた私の耳に笹谷の声が届く。
「………わかった」
そう言うと、笹谷は私の手をぎゅっと握り返した。
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Trauma counseling
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