笹谷武仁:正解
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着替えをすませ練習用のビブスやボトルを片付けに部室に戻る。 部室前の通路にまで中のざわめきが聞こえてくる。
『笹谷さん、その傷どうしたんすか?!』
ドア越しに、筒抜けに飛んできた黄金川くんの声。まだ着替えてないの?何で隠さないの?と舌打ちしたい気持ちでドアノブに掛けた手を引っ込める。
『あ、ああ……これはな』
ちょっと、やめてよ。何を言う気だ。ドア前で息をひそめ聞き耳をたてる。
『彼女さんにつけられたんスか?思春期男子には目の毒っすよ』
あきれたような二口の声。ホント、二口は無駄に鋭いなあ…と、図星すぎる言葉に心の中で赤面してると、
『えええ!笹谷さんの彼女さん、女王様っすか?!ムチで叩かれるとそんな痕になるんすね、笹谷さんスゲー!』
すっとんきょうな黄金川くんの声 。一瞬の沈黙の後の大爆笑。思わぬ方向に逸れた話に胸を撫で下ろし、私はその騒ぎに紛れて部室に入ることにした。「おつかれーッス」と声がかかる。今さら着替え途中でマネが入室することに文句を言うヤツはいない。ちらりと気づかれないよう笹谷を見る。左肩には思っていたよりもくっきりと赤い痕がついている。おまけに背中には引っ掻き傷までついているのをみとめ、目を逸らす。
「俺、女王様と付き合ってたのか……」
「コガネ、ひー腹いてぇ。お前のセーヘキどうなってんだよ」
既に着替え終えている鎌先はお腹を抱えて笑っている。
「よく見てみろ、黄金。コレ、歯型だろ?」
二口が笹谷の肩を指さしながら言う。
「えっえっ、どうゆうことっすか?!」
「あんまり見ないで、えっち」
「作並~、黄金がわかってないみたいだから、説明してやって」
二口がニヤニヤしながら作並くんにふる。さすが二口。安定のゲス野郎…と思った矢先。
「ええと、笹谷さんの傷のつきかたから推測すると、昨夜は座位でお楽しみってことですよね。あの位置だと彼女さんの身長は僕…か結城さんの間くらいってところでしょうか」
作並くんがほんのり頬を染め発した言葉はまさに衝撃だった。二口が鎌先が笹谷が私を見る。いや、お前はこっち見んな。
とんでもないところから流れ弾に直撃した気分だ。私も呆気にとられ硬直する。
「ザイ…?」
横に疑問符が浮かんだような表情でこちらを向いて首をかしげる黄金川くん。これは否定しとかないとヤバイ。
「ちょちょっと!それ、私で想像するの禁止だからね!セクハラで訴えます」
「いやいや、俺ら悪くないぞ。作並の妄想だろ」
「ええっ!ひどいですよ!先輩」
「出るとこ出るよ!」
「どこにだよ」
「追分監督のとこ!」
「それだけは…」
「勘弁してください」
笹谷と二口があーだこーだ言うのを制す。それにしても驚いた。顔に汗をかかない体質で良かったと心底思う。「ったくもう」と怒ったふりをして背を向けビブス整理の作業に没頭する。
「あれ、もしかして、測量あった?」
「そうなんです!一昨日授業でやって!」
流れを切った茂庭は天然なんだろうけれど、さすがだと思う。そして、作並くん、いい応用力だ。茂庭と作並くんはそのまま測量の話で盛り上がる。
一方……
「声、出さないようにする子っていいですよね」
「いいよなー。ずーっと耐えてるのに、果てるときだけ漏れちゃうのとかたまんなくね?」
「あーーー、わかります。つーか笹谷さん、あんな痕つくまで噛みつかれるって、どんだけなんですか」
笹谷と二口の会話がゲスすぎる。というか、笹谷、本当にヤメテ。私は作業の手を止め、パンパンと手を叩きながら、笹谷と二口の間に割り込んだ。
「はいはい、そこまで。部の風紀が乱れるのでやめてくださーい」
「サーセン」と反省の色まるでなしの様子を隠さず首をすくめる二口。これはまだいい。
「ちっ、なんだよ盛り上がって来たところなのに」と呟く笹谷。コイツ……。
笹谷の前に仁王立ちする。ようやく着替えを終えベンチに座って練習着をエナメルに押し込んでいた笹谷は不思議そうに私を見上げる。
「あのさ、今さら、下ネタで盛り上がるなとは言わないけど、そんな具体的な話はどうなのよ」
「お前には関係ないだろ?」
「…確かに関係ないけどさ…。もし、彼女とアンタがデートしている時に、他の部員と会ったら『あの人が笹谷とあんなことをしてるー』って、アンタの彼女、そういう目で見られんのよ。それはちょっといたたまれない」
笹谷が私の目を見てゆっくりと瞬く。私は構わず睨み付けるとようやく笹谷の口が動いた。
「……あー、それもそうだな。お前ら、この話はお開きだ!さっき見聞したことは忘れろ!」
「はーい」「オス」と方々から声が上がる。先輩の言うことは絶対、とまでではないけど、それなりに威厳が通用する部活で良かった。
「まあ、結城にはわからないよな」
支度を終えスマホをいじりながら、笹谷が言う。
「なんでよ」
「そりゃ、結城はすぐにおほーんだからな、そういう子のアレはわかんないだろ?」
それ、お前が言うのか、お前が。笹谷はこちらを見もしない。
「いくらなんでも、それ、私に失礼すぎじゃない?」
呆れてため息も出ない。猥談のレベルが高すぎてこれ以上は無駄に私がダメージを受けるわ。私はもう後片付けに専念することにした。
「じゃ、俺、お先~」
「お疲れっす」
スマホをいじり終えた笹谷が一番乗りで出ていく。私のポケットの中のスマホが震える。全ての片付けを終え、ベンチに置いた通学バッグを肩にかけたとき、こちらを見ている二口に気がついた。
「なによ」
「何気に、仲、いいっすよね、結城さんと笹谷さん」
じっと目を細めて私を見る二口。ホント、コイツ鋭いなあと、内心冷や汗をかくも平静を装って答える。
「早く支度しなさいって。まあ3年も一緒にいればね」
「俺、鍵当番なんで。でも茂庭さんや鎌先さんとは違いますよね。なーんか扱いが雑って言うか気をつかってないというか」
コイツは……。次期主将に推されてることもあって、よく部内を観察している。一瞬感心してしまった隙にできた間を彼は見逃さなかった。
「もし付き合ってんだとしても黙っときますよ」
キレイな顔をにやりと歪めて笑う彼に、私は平静を装い、笑顔を返してみせる。
「だから違うって」
「歯形つけたの結城さんだったりして」
「……監督のとこいこうか?」
「…すんません」
凄んでみせると案外すぐに引き下がった。
「じゃ、あとはよろしく。 えーと、二口はちょっといじられるとぱっかーんのあっはーんなんだっけ?」
「なんスか、その雑なスライドは…」
半笑いの二口に風評被害を押し付けると「なにぃ!二口があっはーん?!」と、いいタイミングで鎌先が絡みに来たので、その隙に私は部室から脱出する。
「じゃ、お疲れさま」
部室棟から離れ、スマホを確認する。そこには『今日会える?』とだけメッセージが届いていた。
◇◆◇
最寄りの地下鉄の上り方面側の階段。バレー部員のほとんどは下りの電車に乗るから、こちら側に来ることはまずない。笹谷と部活後会うときはだいたいここで合流する。悪びれもせず「よ、早かったな」とすっとぼける笹谷に開口一番詰め寄る。
「あんたさー!!!何で隠さないのよ!!!」
「いや、あんなに痕ついてるって思わなかったんで」
「笹谷が噛めっていったんじゃん」
「まーそうなんだけど」
そうだ。昨晩、声を抑えられなくなってしまった私に、噛んで堪えろと言ったのはこの男だ。
「……二口に気づかれたかも」
「いーんだよ」
「はぁ?!」
「エア彼女疑惑持たれてたから、これで面目が保てる」
「…………」
わざとか……。ニヤニヤ笑っている笹谷の膝裏を軽く蹴飛ばす。まあ、部活外でなら彼女を作るのは自由だから、そういうことにしておけるなら一応問題はない。
「もう、この大会終わったら、打ち明けようぜ」
「っていうか、今日のでもう無理でしょ。墓まで持ってこうよ」
「『センパイ達、良いセックスをしてるんですね』としか思わないだろ、あんなもん」
「それがイヤなんだって……」
いやだいやだ。『あの時の肩の傷って…』ってニヤニヤ顔の二口とか鎌先に言われるの。
「もし私とのことを言うなら、その彼女とは別れた後、引退後に付き合いはじめたってことにしようよ」
「うーん、そういうあからさまな嘘はなー」
「もう、いっぱいついてるんだから、いいじゃない」
「だってよー。実際の彼女はお前だろ。そういうとこは嘘にしたくねーんだけど」
「……」
「あのきっつい部活ん中、支えてくれた彼女と別れるなんて、俺には考えられないね」
こいつは。たまに正論というか、微妙に良いことをいうから困ってしまう。それに絆されてしまう私もいるわけで…。
うん。きっと 笹谷の傷が治って、それから引退するころには、今日のことなどあっさり忘れていることだろう。
「わかった。引退までは絶対内緒ね」
「おう」
そう、約束をして、改札の方へ歩いて行こうとすると、
「あっ……!」
笹谷が何かを思い出したらしい。こちらを向いた顔が『しまった』って感じなんだけど。
「……何よ」
「こないだの……一晩で何回できるかヤったこと、話しちまった……」
こんの、笹谷てめぇ。
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笹谷武仁×正解
=隠れて付き合う(不正)
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『笹谷さん、その傷どうしたんすか?!』
ドア越しに、筒抜けに飛んできた黄金川くんの声。まだ着替えてないの?何で隠さないの?と舌打ちしたい気持ちでドアノブに掛けた手を引っ込める。
『あ、ああ……これはな』
ちょっと、やめてよ。何を言う気だ。ドア前で息をひそめ聞き耳をたてる。
『彼女さんにつけられたんスか?思春期男子には目の毒っすよ』
あきれたような二口の声。ホント、二口は無駄に鋭いなあ…と、図星すぎる言葉に心の中で赤面してると、
『えええ!笹谷さんの彼女さん、女王様っすか?!ムチで叩かれるとそんな痕になるんすね、笹谷さんスゲー!』
すっとんきょうな黄金川くんの声 。一瞬の沈黙の後の大爆笑。思わぬ方向に逸れた話に胸を撫で下ろし、私はその騒ぎに紛れて部室に入ることにした。「おつかれーッス」と声がかかる。今さら着替え途中でマネが入室することに文句を言うヤツはいない。ちらりと気づかれないよう笹谷を見る。左肩には思っていたよりもくっきりと赤い痕がついている。おまけに背中には引っ掻き傷までついているのをみとめ、目を逸らす。
「俺、女王様と付き合ってたのか……」
「コガネ、ひー腹いてぇ。お前のセーヘキどうなってんだよ」
既に着替え終えている鎌先はお腹を抱えて笑っている。
「よく見てみろ、黄金。コレ、歯型だろ?」
二口が笹谷の肩を指さしながら言う。
「えっえっ、どうゆうことっすか?!」
「あんまり見ないで、えっち」
「作並~、黄金がわかってないみたいだから、説明してやって」
二口がニヤニヤしながら作並くんにふる。さすが二口。安定のゲス野郎…と思った矢先。
「ええと、笹谷さんの傷のつきかたから推測すると、昨夜は座位でお楽しみってことですよね。あの位置だと彼女さんの身長は僕…か結城さんの間くらいってところでしょうか」
作並くんがほんのり頬を染め発した言葉はまさに衝撃だった。二口が鎌先が笹谷が私を見る。いや、お前はこっち見んな。
とんでもないところから流れ弾に直撃した気分だ。私も呆気にとられ硬直する。
「ザイ…?」
横に疑問符が浮かんだような表情でこちらを向いて首をかしげる黄金川くん。これは否定しとかないとヤバイ。
「ちょちょっと!それ、私で想像するの禁止だからね!セクハラで訴えます」
「いやいや、俺ら悪くないぞ。作並の妄想だろ」
「ええっ!ひどいですよ!先輩」
「出るとこ出るよ!」
「どこにだよ」
「追分監督のとこ!」
「それだけは…」
「勘弁してください」
笹谷と二口があーだこーだ言うのを制す。それにしても驚いた。顔に汗をかかない体質で良かったと心底思う。「ったくもう」と怒ったふりをして背を向けビブス整理の作業に没頭する。
「あれ、もしかして、測量あった?」
「そうなんです!一昨日授業でやって!」
流れを切った茂庭は天然なんだろうけれど、さすがだと思う。そして、作並くん、いい応用力だ。茂庭と作並くんはそのまま測量の話で盛り上がる。
一方……
「声、出さないようにする子っていいですよね」
「いいよなー。ずーっと耐えてるのに、果てるときだけ漏れちゃうのとかたまんなくね?」
「あーーー、わかります。つーか笹谷さん、あんな痕つくまで噛みつかれるって、どんだけなんですか」
笹谷と二口の会話がゲスすぎる。というか、笹谷、本当にヤメテ。私は作業の手を止め、パンパンと手を叩きながら、笹谷と二口の間に割り込んだ。
「はいはい、そこまで。部の風紀が乱れるのでやめてくださーい」
「サーセン」と反省の色まるでなしの様子を隠さず首をすくめる二口。これはまだいい。
「ちっ、なんだよ盛り上がって来たところなのに」と呟く笹谷。コイツ……。
笹谷の前に仁王立ちする。ようやく着替えを終えベンチに座って練習着をエナメルに押し込んでいた笹谷は不思議そうに私を見上げる。
「あのさ、今さら、下ネタで盛り上がるなとは言わないけど、そんな具体的な話はどうなのよ」
「お前には関係ないだろ?」
「…確かに関係ないけどさ…。もし、彼女とアンタがデートしている時に、他の部員と会ったら『あの人が笹谷とあんなことをしてるー』って、アンタの彼女、そういう目で見られんのよ。それはちょっといたたまれない」
笹谷が私の目を見てゆっくりと瞬く。私は構わず睨み付けるとようやく笹谷の口が動いた。
「……あー、それもそうだな。お前ら、この話はお開きだ!さっき見聞したことは忘れろ!」
「はーい」「オス」と方々から声が上がる。先輩の言うことは絶対、とまでではないけど、それなりに威厳が通用する部活で良かった。
「まあ、結城にはわからないよな」
支度を終えスマホをいじりながら、笹谷が言う。
「なんでよ」
「そりゃ、結城はすぐにおほーんだからな、そういう子のアレはわかんないだろ?」
それ、お前が言うのか、お前が。笹谷はこちらを見もしない。
「いくらなんでも、それ、私に失礼すぎじゃない?」
呆れてため息も出ない。猥談のレベルが高すぎてこれ以上は無駄に私がダメージを受けるわ。私はもう後片付けに専念することにした。
「じゃ、俺、お先~」
「お疲れっす」
スマホをいじり終えた笹谷が一番乗りで出ていく。私のポケットの中のスマホが震える。全ての片付けを終え、ベンチに置いた通学バッグを肩にかけたとき、こちらを見ている二口に気がついた。
「なによ」
「何気に、仲、いいっすよね、結城さんと笹谷さん」
じっと目を細めて私を見る二口。ホント、コイツ鋭いなあと、内心冷や汗をかくも平静を装って答える。
「早く支度しなさいって。まあ3年も一緒にいればね」
「俺、鍵当番なんで。でも茂庭さんや鎌先さんとは違いますよね。なーんか扱いが雑って言うか気をつかってないというか」
コイツは……。次期主将に推されてることもあって、よく部内を観察している。一瞬感心してしまった隙にできた間を彼は見逃さなかった。
「もし付き合ってんだとしても黙っときますよ」
キレイな顔をにやりと歪めて笑う彼に、私は平静を装い、笑顔を返してみせる。
「だから違うって」
「歯形つけたの結城さんだったりして」
「……監督のとこいこうか?」
「…すんません」
凄んでみせると案外すぐに引き下がった。
「じゃ、あとはよろしく。 えーと、二口はちょっといじられるとぱっかーんのあっはーんなんだっけ?」
「なんスか、その雑なスライドは…」
半笑いの二口に風評被害を押し付けると「なにぃ!二口があっはーん?!」と、いいタイミングで鎌先が絡みに来たので、その隙に私は部室から脱出する。
「じゃ、お疲れさま」
部室棟から離れ、スマホを確認する。そこには『今日会える?』とだけメッセージが届いていた。
◇◆◇
最寄りの地下鉄の上り方面側の階段。バレー部員のほとんどは下りの電車に乗るから、こちら側に来ることはまずない。笹谷と部活後会うときはだいたいここで合流する。悪びれもせず「よ、早かったな」とすっとぼける笹谷に開口一番詰め寄る。
「あんたさー!!!何で隠さないのよ!!!」
「いや、あんなに痕ついてるって思わなかったんで」
「笹谷が噛めっていったんじゃん」
「まーそうなんだけど」
そうだ。昨晩、声を抑えられなくなってしまった私に、噛んで堪えろと言ったのはこの男だ。
「……二口に気づかれたかも」
「いーんだよ」
「はぁ?!」
「エア彼女疑惑持たれてたから、これで面目が保てる」
「…………」
わざとか……。ニヤニヤ笑っている笹谷の膝裏を軽く蹴飛ばす。まあ、部活外でなら彼女を作るのは自由だから、そういうことにしておけるなら一応問題はない。
「もう、この大会終わったら、打ち明けようぜ」
「っていうか、今日のでもう無理でしょ。墓まで持ってこうよ」
「『センパイ達、良いセックスをしてるんですね』としか思わないだろ、あんなもん」
「それがイヤなんだって……」
いやだいやだ。『あの時の肩の傷って…』ってニヤニヤ顔の二口とか鎌先に言われるの。
「もし私とのことを言うなら、その彼女とは別れた後、引退後に付き合いはじめたってことにしようよ」
「うーん、そういうあからさまな嘘はなー」
「もう、いっぱいついてるんだから、いいじゃない」
「だってよー。実際の彼女はお前だろ。そういうとこは嘘にしたくねーんだけど」
「……」
「あのきっつい部活ん中、支えてくれた彼女と別れるなんて、俺には考えられないね」
こいつは。たまに正論というか、微妙に良いことをいうから困ってしまう。それに絆されてしまう私もいるわけで…。
うん。きっと 笹谷の傷が治って、それから引退するころには、今日のことなどあっさり忘れていることだろう。
「わかった。引退までは絶対内緒ね」
「おう」
そう、約束をして、改札の方へ歩いて行こうとすると、
「あっ……!」
笹谷が何かを思い出したらしい。こちらを向いた顔が『しまった』って感じなんだけど。
「……何よ」
「こないだの……一晩で何回できるかヤったこと、話しちまった……」
こんの、笹谷てめぇ。
----------------------------
笹谷武仁×正解
=隠れて付き合う(不正)
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