11 シリョク5.0
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視力5.0
ファーン!! と後ろからクラクションを鳴らされた。
私は駅へ向かう片側2車線の通りの歩道を歩いている。反射的に振り返ってしまったけど、目立った異変はなく、1台の車が私を追い越していくだけだった。今のが鳴らした車だろうか。
ほっとしたのも束の間、ほどなくキキーっと音を立てて、数十メートル先にその車が停まった。
見覚えのない、黒い、ミニバン。
え、怖い......。
車道から距離を取りつつ様子を窺うと、後部座席の人がガラス越しに手を振っているように見えて慌てて顔を背けた。
怖すぎる!
足早に通り過ぎ、十分に距離を取ったところで、もしかして……とこわごわ振り返る。
運転席の金髪の人が、助手席の人にめちゃくちゃ怒られていた。全開の窓から諍いの声がそのまま聞こえてくる。
「バカ鎌ち! いきなりクラクション鳴らしたら怯えるに決まってるよ! それに人違いだったらどうするんだよ!」
「俺は視力5.0だから間違えるわけがねぇ!」
「普通は2.0までしか測れないけどぉ!?」
……鎌先さんと、茂庭さん!?
足を止めると、フロントの喧騒をよそに後部座席から一人降りてきた。その人は、さっきと同じように私に手を振る。
「はよ、結城ちゃん。ちょっと痩せた?」
名前を呼ばれたことで心底ホッとした。膝が抜けそうになるのをこらえ笑顔を作る。
「そんなことはないですよ、笹谷さん……。よかった。拉致られるのかもって、ヒヤッとしました」
ポロっとこぼしてしまった本音に「ほら見ろ!」と中に怒鳴りながら茂庭さんが助手席から出てきた。「ハイハイ」と投げやりに応えながら運転席から回ってきた鎌先さんは、私を正面にして眉をしかめる。
「ちゃんと食ってんのか? それとも、アレか!? 二口のヤローのシンローってやつか?」
ヤローのシンロー? あ、『心労』?
私は慌てて首を振る。
「ちゃんと食べてますよ。……決勝なので緊張しているだけです」
「二人ともさー、会って早々体型の話は失礼だって。あと、結城、怖がらせてゴメン!」
茂庭さんは、鎌先さんの頭を下げさせながら私に笑顔を向けた。
「決勝、行くだろ? 良かったら結城も乗ってかない?」
「あ、ありがとうございます」
私はそのまま助手席に案内された。
運転は笹谷さんに交代するらしく、後部座席に鎌先さんが押し込まれる。最後に茂庭さんが乗り込みながら言った。
「結城、昨日は決勝進出の連絡ありがとう」
「公式の発表よりも速かったもんな? 超速報サンキュ」
口々に私にお礼を言われ、鎌先さんだけがきょとんとする。
「連絡? 何のことだ? 俺のところには来てねぇけど?」
「鎌ち、ブロックしてんじゃね?」
「はんっ、バレー以外で何をブロックすんだよ」
鎌先さんが鼻で笑う。と、茂庭さんが横でため息をつく。
「鎌ち、あれだ。結城に連絡先が伝わってないんじゃない?」
「そうなんです。私、鎌先さんの連絡先だけ知らなくて……」
「は? 何で俺だけ? ……あっ、あーーーっ!!!」
理由に思い至った鎌先さんへ、笹谷さんが追い打ちをかける。
「二口に阻止されてたもんな、ドンマイ!」
「ぐぅう……」
昨日の試合後すぐ、私は決勝進出の報告を茂庭さんと笹谷さんにはメールで送った。鎌先さんへは連絡先がなく、お二人に『伝えてください』とお願いしていた。
後ろを振り返ってそのことを謝ると、「まぁ、知らねぇんじゃしょうがねぇよ」と気にしない感じで返してくれたのでホッとする。
それから後部座席の二人は卒業してからの現役メンバーの情報交換を始めた。仕事が休みの日など、時々様子を見に行っているらしい。
「そういや、結城ちゃん」
鎌先さんの連絡先を改めて聞きたかったけれど、二人の会話が盛り上がっているようでタイミングを逸してしまった。そんなとき笹谷さんが話かけてくる。
「はい?」
「今日は二口に抱かれてきたの?」
「!?」
一瞬ぎょっとしたけれど、伊達工バレー部関係者の『抱かれる』=あれの意味だと思い直す。もう皆さんご存知のことだし、正直に答えることにする。
「今日はしてないですけれど、昨日……」
そこまで言ったところで、今さら恥ずかしくなってきた。後ろを向いてくれてたとはいえ、みんなの前で……
「……昨日、試合前に抱かれてきました。なんなら、部員全員に」
もうやけくそだ。正確には囲まれただけなんだけれど、私の心境的にはもはやコレとも言える。
笹谷さんはブッと噴いた。
「なんだそれ、大丈夫か?」
「部員全員は冗談ですけれど……。ホント、なんでこんなことになったんでしょうね……」
元は秘密のルーティンだったはずなのに、次第に場所も人目も気にしなくなってきて、いつの間にか周知の儀式になってしまった。そう思うと余計に恥ずかしさがこみ上げてくる。耐えられなくなって下を向くと、ははっと笹谷さんが笑った。
「勝利の女神ちゃんも大変だな」
フォローするように笹谷さんが言ってくれたから、この話は流してしまいたかったけれど、そこだけは訂正しないといけないので私は口を出した。
「違うんです。あれ、勝つためのジンクスとかではなくて」
「へー……そうなの?」
「はい。元々は、け……二口くんが実力を出せるように、のルーティンの一つだったんです。たまたまやらなかった日に負けてしまったから、あの時は……ああいう言い方をしただけで」
そこで言葉を切ると、車内が静かになっているのに気づいた。
車のエンジン音と、カーラジオから流れるBGMのベース音が妙に響く。
「そんなこと言いながら二口も、続けてるんだろ?」
「でも本当に関係ないんです。……やらなくても、ちゃんと勝てているし。二口くん的には、私と会えなかった時の、その……スキンシップのようなもので……。あの、恥ずかしいので、この話やめていいですか?」
余計なことまで口にしてしまった。妙に静かになっている茂庭さんと鎌先さんにも聞かれている気がして、うやむやに話を終わらせようとする。
笹谷さんは前を向いたまま苦笑した。
「いや、ここまで言ったなら最後まで話せよ。なんかため込んでんだろ、結城ちゃん?」
笹谷さんが聞き出しておいてそういうことを言う……。きっと心配してくれているのだろうけど。
ため込んでいる、って……。決勝戦後の約束のことは、今は置いておこうとしているのに。顔に出てしまっているのだろうか。まさかそんなコト、話せるはずもない。
ミラー越しに目が合ってしまった。思わず口走ってしまったのはもっと根底にある不安のこと。
「今シーズン……公式戦で、うちは負けていないんです」
「ああ、そうらしいな」
「それが実力であるってことは揺るぎないんです。それだけのものを二口くんたちが準備してきたことも。……だけど、ちょっと怖くて」
「『運がない』とかそういう? 足元すくわれる的な?」
私がどうしても言葉にしにくかったことを、笹谷さんはさらっと言ってしまう。観念してしぶしぶ頷く。
私が何をしたからって左右されるとは思わない。
けれど、どうしても、昨年の春高予選の『今日の朝も抱いとけばよかった』がよぎってしまう。
「……それで結城ちゃん、痩せちゃったんだ」
「だからそれは……気のせいです」
「まあ、アイツは一番いいところで何かに恩を着せられるの、イヤがると思うよ」
「私も、そう思います」
カチッとウインカーが鳴る。左折。
目視で左を確認する笹谷さんの視線が、なぜか私にも刺さっている気がした。
「まぁ、二口にバフかけるなら、願掛けよりもニンジンだと思うけどな」
「え……?」
「勝ったときに、結城ちゃんから『ご褒美』的なヤツ」
「!!」
びっくりしすぎて口をぽかんと開けてしまった。そうだ、それなら。
リアクションの取れていない私を見て、笹谷さんは勘違いをしてしまったようだった。
「悪ぃ、今さら言うのは遅かったか? でも、」
「いえ、大丈夫です! 全然、遅くないです! ありがとうございます。それなら大丈夫です」
私は最善を尽くせているかもしれない。それが心配の種でもあるけれど、もうどうでもいい。
意識しなくても笑顔になれた。それを見た笹谷さんも笑う。
「急に顔色良くなった。……二口と何か約束した?」
「秘密です!」
きっぱりそう答えると、フッと笑って笹谷さんがハンドルを切った。
それにもう一つ、春高予選敗退直後の堅治くんの言葉を思い出す。
『もう宮城で、友紀の見てる前じゃ負けねぇ』
その言葉通り、あれから私は堅治くんが負けるところを見ていない。
私は、それを信じていればいい。
「そういやさー、決勝、どこと!?」
タイミングを見計らったように鎌先さんが声を上げた。
笹谷さんの顔から笑みが消える。茂庭さんも答えない。
急に変わった内の空気に違和感を覚える。
対戦相手の連絡はしたはず。それなのに、今の今まで三人の間で誰も話題にしていなかったなんて。
茂庭さんなんて、さっきまで鎌先さんとその話をしていたのに。
それとも……。因縁の相手で、あえて避けていたのだろうか?
事態を飲み込めない鎌先さんが、「???」と言う顔で私を見る。
答える様子のない二人に代わって、私が口を開いた。
「烏野高校です」
鎌先さんが息を飲む。
同時に車がガクンと歩道の段差を乗り越える。
会場が見えてきてしまった。
ファーン!! と後ろからクラクションを鳴らされた。
私は駅へ向かう片側2車線の通りの歩道を歩いている。反射的に振り返ってしまったけど、目立った異変はなく、1台の車が私を追い越していくだけだった。今のが鳴らした車だろうか。
ほっとしたのも束の間、ほどなくキキーっと音を立てて、数十メートル先にその車が停まった。
見覚えのない、黒い、ミニバン。
え、怖い......。
車道から距離を取りつつ様子を窺うと、後部座席の人がガラス越しに手を振っているように見えて慌てて顔を背けた。
怖すぎる!
足早に通り過ぎ、十分に距離を取ったところで、もしかして……とこわごわ振り返る。
運転席の金髪の人が、助手席の人にめちゃくちゃ怒られていた。全開の窓から諍いの声がそのまま聞こえてくる。
「バカ鎌ち! いきなりクラクション鳴らしたら怯えるに決まってるよ! それに人違いだったらどうするんだよ!」
「俺は視力5.0だから間違えるわけがねぇ!」
「普通は2.0までしか測れないけどぉ!?」
……鎌先さんと、茂庭さん!?
足を止めると、フロントの喧騒をよそに後部座席から一人降りてきた。その人は、さっきと同じように私に手を振る。
「はよ、結城ちゃん。ちょっと痩せた?」
名前を呼ばれたことで心底ホッとした。膝が抜けそうになるのをこらえ笑顔を作る。
「そんなことはないですよ、笹谷さん……。よかった。拉致られるのかもって、ヒヤッとしました」
ポロっとこぼしてしまった本音に「ほら見ろ!」と中に怒鳴りながら茂庭さんが助手席から出てきた。「ハイハイ」と投げやりに応えながら運転席から回ってきた鎌先さんは、私を正面にして眉をしかめる。
「ちゃんと食ってんのか? それとも、アレか!? 二口のヤローのシンローってやつか?」
ヤローのシンロー? あ、『心労』?
私は慌てて首を振る。
「ちゃんと食べてますよ。……決勝なので緊張しているだけです」
「二人ともさー、会って早々体型の話は失礼だって。あと、結城、怖がらせてゴメン!」
茂庭さんは、鎌先さんの頭を下げさせながら私に笑顔を向けた。
「決勝、行くだろ? 良かったら結城も乗ってかない?」
「あ、ありがとうございます」
私はそのまま助手席に案内された。
運転は笹谷さんに交代するらしく、後部座席に鎌先さんが押し込まれる。最後に茂庭さんが乗り込みながら言った。
「結城、昨日は決勝進出の連絡ありがとう」
「公式の発表よりも速かったもんな? 超速報サンキュ」
口々に私にお礼を言われ、鎌先さんだけがきょとんとする。
「連絡? 何のことだ? 俺のところには来てねぇけど?」
「鎌ち、ブロックしてんじゃね?」
「はんっ、バレー以外で何をブロックすんだよ」
鎌先さんが鼻で笑う。と、茂庭さんが横でため息をつく。
「鎌ち、あれだ。結城に連絡先が伝わってないんじゃない?」
「そうなんです。私、鎌先さんの連絡先だけ知らなくて……」
「は? 何で俺だけ? ……あっ、あーーーっ!!!」
理由に思い至った鎌先さんへ、笹谷さんが追い打ちをかける。
「二口に阻止されてたもんな、ドンマイ!」
「ぐぅう……」
昨日の試合後すぐ、私は決勝進出の報告を茂庭さんと笹谷さんにはメールで送った。鎌先さんへは連絡先がなく、お二人に『伝えてください』とお願いしていた。
後ろを振り返ってそのことを謝ると、「まぁ、知らねぇんじゃしょうがねぇよ」と気にしない感じで返してくれたのでホッとする。
それから後部座席の二人は卒業してからの現役メンバーの情報交換を始めた。仕事が休みの日など、時々様子を見に行っているらしい。
「そういや、結城ちゃん」
鎌先さんの連絡先を改めて聞きたかったけれど、二人の会話が盛り上がっているようでタイミングを逸してしまった。そんなとき笹谷さんが話かけてくる。
「はい?」
「今日は二口に抱かれてきたの?」
「!?」
一瞬ぎょっとしたけれど、伊達工バレー部関係者の『抱かれる』=あれの意味だと思い直す。もう皆さんご存知のことだし、正直に答えることにする。
「今日はしてないですけれど、昨日……」
そこまで言ったところで、今さら恥ずかしくなってきた。後ろを向いてくれてたとはいえ、みんなの前で……
「……昨日、試合前に抱かれてきました。なんなら、部員全員に」
もうやけくそだ。正確には囲まれただけなんだけれど、私の心境的にはもはやコレとも言える。
笹谷さんはブッと噴いた。
「なんだそれ、大丈夫か?」
「部員全員は冗談ですけれど……。ホント、なんでこんなことになったんでしょうね……」
元は秘密のルーティンだったはずなのに、次第に場所も人目も気にしなくなってきて、いつの間にか周知の儀式になってしまった。そう思うと余計に恥ずかしさがこみ上げてくる。耐えられなくなって下を向くと、ははっと笹谷さんが笑った。
「勝利の女神ちゃんも大変だな」
フォローするように笹谷さんが言ってくれたから、この話は流してしまいたかったけれど、そこだけは訂正しないといけないので私は口を出した。
「違うんです。あれ、勝つためのジンクスとかではなくて」
「へー……そうなの?」
「はい。元々は、け……二口くんが実力を出せるように、のルーティンの一つだったんです。たまたまやらなかった日に負けてしまったから、あの時は……ああいう言い方をしただけで」
そこで言葉を切ると、車内が静かになっているのに気づいた。
車のエンジン音と、カーラジオから流れるBGMのベース音が妙に響く。
「そんなこと言いながら二口も、続けてるんだろ?」
「でも本当に関係ないんです。……やらなくても、ちゃんと勝てているし。二口くん的には、私と会えなかった時の、その……スキンシップのようなもので……。あの、恥ずかしいので、この話やめていいですか?」
余計なことまで口にしてしまった。妙に静かになっている茂庭さんと鎌先さんにも聞かれている気がして、うやむやに話を終わらせようとする。
笹谷さんは前を向いたまま苦笑した。
「いや、ここまで言ったなら最後まで話せよ。なんかため込んでんだろ、結城ちゃん?」
笹谷さんが聞き出しておいてそういうことを言う……。きっと心配してくれているのだろうけど。
ため込んでいる、って……。決勝戦後の約束のことは、今は置いておこうとしているのに。顔に出てしまっているのだろうか。まさかそんなコト、話せるはずもない。
ミラー越しに目が合ってしまった。思わず口走ってしまったのはもっと根底にある不安のこと。
「今シーズン……公式戦で、うちは負けていないんです」
「ああ、そうらしいな」
「それが実力であるってことは揺るぎないんです。それだけのものを二口くんたちが準備してきたことも。……だけど、ちょっと怖くて」
「『運がない』とかそういう? 足元すくわれる的な?」
私がどうしても言葉にしにくかったことを、笹谷さんはさらっと言ってしまう。観念してしぶしぶ頷く。
私が何をしたからって左右されるとは思わない。
けれど、どうしても、昨年の春高予選の『今日の朝も抱いとけばよかった』がよぎってしまう。
「……それで結城ちゃん、痩せちゃったんだ」
「だからそれは……気のせいです」
「まあ、アイツは一番いいところで何かに恩を着せられるの、イヤがると思うよ」
「私も、そう思います」
カチッとウインカーが鳴る。左折。
目視で左を確認する笹谷さんの視線が、なぜか私にも刺さっている気がした。
「まぁ、二口にバフかけるなら、願掛けよりもニンジンだと思うけどな」
「え……?」
「勝ったときに、結城ちゃんから『ご褒美』的なヤツ」
「!!」
びっくりしすぎて口をぽかんと開けてしまった。そうだ、それなら。
リアクションの取れていない私を見て、笹谷さんは勘違いをしてしまったようだった。
「悪ぃ、今さら言うのは遅かったか? でも、」
「いえ、大丈夫です! 全然、遅くないです! ありがとうございます。それなら大丈夫です」
私は最善を尽くせているかもしれない。それが心配の種でもあるけれど、もうどうでもいい。
意識しなくても笑顔になれた。それを見た笹谷さんも笑う。
「急に顔色良くなった。……二口と何か約束した?」
「秘密です!」
きっぱりそう答えると、フッと笑って笹谷さんがハンドルを切った。
それにもう一つ、春高予選敗退直後の堅治くんの言葉を思い出す。
『もう宮城で、友紀の見てる前じゃ負けねぇ』
その言葉通り、あれから私は堅治くんが負けるところを見ていない。
私は、それを信じていればいい。
「そういやさー、決勝、どこと!?」
タイミングを見計らったように鎌先さんが声を上げた。
笹谷さんの顔から笑みが消える。茂庭さんも答えない。
急に変わった内の空気に違和感を覚える。
対戦相手の連絡はしたはず。それなのに、今の今まで三人の間で誰も話題にしていなかったなんて。
茂庭さんなんて、さっきまで鎌先さんとその話をしていたのに。
それとも……。因縁の相手で、あえて避けていたのだろうか?
事態を飲み込めない鎌先さんが、「???」と言う顔で私を見る。
答える様子のない二人に代わって、私が口を開いた。
「烏野高校です」
鎌先さんが息を飲む。
同時に車がガクンと歩道の段差を乗り越える。
会場が見えてきてしまった。
