26.5 メガテンニナル
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目が点になる
※モブ(級友)の女の子視点です
「友紀。そういえば二口から、何もらったの?」
「ん?」
「ホワイトデー」
「……」
ホワイトデーのお返しの意味、お年頃女子ならみんな知っている。アメはOK、キャラメルも悪くない。クッキーなら友達止まり。マシュマロは脈なし。要は『口の中に残るものの方が意味がいい』ってことらしい。
そして『グミ』は噛み砕くから最悪……。
実はホワイトデー前。二口に、あいつ自分の好物だからってグミ贈って友紀にショック受けさせたりなんかしたら可哀想だから、ちょっとしたアドバイスのつもりで教えてやった。そしたら「はぁー? グミなんかやるわけねぇだろ!」と言って目を泳がせながら部活へ行ってしまったから、結局どうしたんだろう(笑)。友紀で答え合わせさせてもらお。
まあ、友紀は二口からなら、たとえグミでも喜んだと思うけど、ね。
「何もらったの?」
黙っている友紀に再度念押しで聞く。
あたしが引かないことがわかった友紀は観念した様子でポツリとつぶやいた。
「……お花、もらった」
「え、花!?」
食べ物じゃ、ない、だと!?
意外すぎる! あの男に、そんな発想があったとは!
「なになに、何の花?」
「……バラ」
「バラ!? 色は?」
「赤」
「っはーーー!?」
食い気味に矢継ぎ早に問い、答えを受けて思わず頭を抱えてのけ反ってしまった。
困惑気味にあたしを見る友紀を横目に、反動をつけて持ち直し手元のスマホをフル稼働させる。
バラ 赤 花言葉
『あなたを愛します 熱烈な恋』
「おーぅ……」
まあまあ。強火ではあるけど、カノジョに贈る花として不自然さはない。スマホを友紀に向けて見せたけど、すでにご存知のようで困ったように頷かれた。
「うん……。そうだよね」
「何? どうしたの?」
友紀は妙に浮かない表情だ。
二口と友紀は付き合ってもう半年くらいになる。クラスメイトに知らない者はいないぐらいの公認の仲で、確かに、相思相愛ではあるんだろうけれど、どうも押しの強い二口に友紀が押されまくってるふしが見える。
熱烈かー。……熱烈だよね。
「あの……。花に想いを込めた、って言われたんだけど、それだと私にその半分しか伝わっていないみたいで……」
「はぁ? あれ以外に何かあるって?」
「そうみたい」
『熱烈』以上のものがあるのか……。二口って、ほんと、重い。
内心引き気味ではあるけれど、何気ない風を装いつつ友紀に聞く。
「ふーん。画像ある?」
「うん」
友紀が自分のスマホで見せてくれたのは、机に置かれた花束の画像だった。
赤いバラが4本。周りに白い小花。スワイプさせるとフラワーベースに活けられた画像も出てきた。
「これ、周りはカスミソウ?」
「そう。一応調べたんだけど『感謝』とか『清らかな心』で、違うのかな、って」
先回りして友紀が教えてくれたけど、そうだよなー。これは花屋さんのアレンジで付けてくれたものだと思うから、ここに意味は込められてはいない、と思う。
バラ、の花が4本。周りに白いカスミソウ。
うん。スタンダード、オーソドックス。
だけど、『4』って所がなんかひっかかる。
「妙に中途半端だね。4本、かー。普通奇数にしない?」
「そうかな……? 本数は、気にしなかったんだけど、丁度いい大きさだし……」
二口をかばうように言う友紀に、慌てて弁明する。
「ああ、違う違う、大きさに文句いってるわけじゃないよ。ただ……。『4』って数字『死』につながるとかで病院によってはタブーだっていうし。なんか二口、そういうの気にしそうな気がするんだよね」
『愛情が4ぬ!』とか言って。だから逆にコレは正解なんじゃないかと思う。
「本数じゃないの?」
「本数?」
友紀はいまいちピンときていない顔をするから、あたしは戻って検索ワードを変えてみる。
バラ 本数 花言葉
そう、この時は、軽い気持ちだった。
検索結果はものの数秒で出てきた。
「あ、あった。ぶっほ……!?、ちょ、これ…………」
「なんて書いてあるの?」
心配そうに覗き込んでくる友紀にスマホを渡してあたしは天を仰いだ。
『4本:死ぬまで気持ちは変わりません』
「ゲキ重っも……」
想いが重すぎる……。
目線だけ友紀に向ける。友紀は画面を凝視して目が点になっていた。あたしの視線に気づくと徐々に真っ赤になりブルブルと首を横に振る。
「い、いや、二口くん、そこまで考えて、ないと思うよ!?」
「アンタ、さっき『込めた思いが伝わってない』って言われたって言ったじゃん!」
二口は、さぁ! なんかコレ、盛大な死亡フラグな気もするけれど、大丈夫なのか!?
「藍里ちゃん……」
心配そうな怯えたような顔で友紀はあたしを見る。
友紀の心配は、これをネタに二口をからかってケンカするな、ってことだと思うけど、こんなの、どうからかったらいいのかわからない。いや、からかってはいけない気がする……。
コレをネタに出来るのは別れた後か、……あるいは結婚した時ぐらいだ。
あたしはため息をつきながら手と首を横に振った。
「大丈夫、誓って、二口にも誰にも言わない。でも……。アンタ達の結婚式のスピーチネタにはさせてもらうわ。だから、結婚式には呼んでね」
「そりゃ呼ぶけど……。でも、そんな先のこと……。第一、結婚するかどうかなんて、まだわかんないよ?」
「ここまで言われといて、その選択肢浮かぶ!?」
さすがにそれは二口が不憫だ。
友紀はそう言うけど、あたしの第六感では、案外、そんな先の話ではない気がする。
※モブ(級友)の女の子視点です
「友紀。そういえば二口から、何もらったの?」
「ん?」
「ホワイトデー」
「……」
ホワイトデーのお返しの意味、お年頃女子ならみんな知っている。アメはOK、キャラメルも悪くない。クッキーなら友達止まり。マシュマロは脈なし。要は『口の中に残るものの方が意味がいい』ってことらしい。
そして『グミ』は噛み砕くから最悪……。
実はホワイトデー前。二口に、あいつ自分の好物だからってグミ贈って友紀にショック受けさせたりなんかしたら可哀想だから、ちょっとしたアドバイスのつもりで教えてやった。そしたら「はぁー? グミなんかやるわけねぇだろ!」と言って目を泳がせながら部活へ行ってしまったから、結局どうしたんだろう(笑)。友紀で答え合わせさせてもらお。
まあ、友紀は二口からなら、たとえグミでも喜んだと思うけど、ね。
「何もらったの?」
黙っている友紀に再度念押しで聞く。
あたしが引かないことがわかった友紀は観念した様子でポツリとつぶやいた。
「……お花、もらった」
「え、花!?」
食べ物じゃ、ない、だと!?
意外すぎる! あの男に、そんな発想があったとは!
「なになに、何の花?」
「……バラ」
「バラ!? 色は?」
「赤」
「っはーーー!?」
食い気味に矢継ぎ早に問い、答えを受けて思わず頭を抱えてのけ反ってしまった。
困惑気味にあたしを見る友紀を横目に、反動をつけて持ち直し手元のスマホをフル稼働させる。
バラ 赤 花言葉
『あなたを愛します 熱烈な恋』
「おーぅ……」
まあまあ。強火ではあるけど、カノジョに贈る花として不自然さはない。スマホを友紀に向けて見せたけど、すでにご存知のようで困ったように頷かれた。
「うん……。そうだよね」
「何? どうしたの?」
友紀は妙に浮かない表情だ。
二口と友紀は付き合ってもう半年くらいになる。クラスメイトに知らない者はいないぐらいの公認の仲で、確かに、相思相愛ではあるんだろうけれど、どうも押しの強い二口に友紀が押されまくってるふしが見える。
熱烈かー。……熱烈だよね。
「あの……。花に想いを込めた、って言われたんだけど、それだと私にその半分しか伝わっていないみたいで……」
「はぁ? あれ以外に何かあるって?」
「そうみたい」
『熱烈』以上のものがあるのか……。二口って、ほんと、重い。
内心引き気味ではあるけれど、何気ない風を装いつつ友紀に聞く。
「ふーん。画像ある?」
「うん」
友紀が自分のスマホで見せてくれたのは、机に置かれた花束の画像だった。
赤いバラが4本。周りに白い小花。スワイプさせるとフラワーベースに活けられた画像も出てきた。
「これ、周りはカスミソウ?」
「そう。一応調べたんだけど『感謝』とか『清らかな心』で、違うのかな、って」
先回りして友紀が教えてくれたけど、そうだよなー。これは花屋さんのアレンジで付けてくれたものだと思うから、ここに意味は込められてはいない、と思う。
バラ、の花が4本。周りに白いカスミソウ。
うん。スタンダード、オーソドックス。
だけど、『4』って所がなんかひっかかる。
「妙に中途半端だね。4本、かー。普通奇数にしない?」
「そうかな……? 本数は、気にしなかったんだけど、丁度いい大きさだし……」
二口をかばうように言う友紀に、慌てて弁明する。
「ああ、違う違う、大きさに文句いってるわけじゃないよ。ただ……。『4』って数字『死』につながるとかで病院によってはタブーだっていうし。なんか二口、そういうの気にしそうな気がするんだよね」
『愛情が4ぬ!』とか言って。だから逆にコレは正解なんじゃないかと思う。
「本数じゃないの?」
「本数?」
友紀はいまいちピンときていない顔をするから、あたしは戻って検索ワードを変えてみる。
バラ 本数 花言葉
そう、この時は、軽い気持ちだった。
検索結果はものの数秒で出てきた。
「あ、あった。ぶっほ……!?、ちょ、これ…………」
「なんて書いてあるの?」
心配そうに覗き込んでくる友紀にスマホを渡してあたしは天を仰いだ。
『4本:死ぬまで気持ちは変わりません』
「ゲキ重っも……」
想いが重すぎる……。
目線だけ友紀に向ける。友紀は画面を凝視して目が点になっていた。あたしの視線に気づくと徐々に真っ赤になりブルブルと首を横に振る。
「い、いや、二口くん、そこまで考えて、ないと思うよ!?」
「アンタ、さっき『込めた思いが伝わってない』って言われたって言ったじゃん!」
二口は、さぁ! なんかコレ、盛大な死亡フラグな気もするけれど、大丈夫なのか!?
「藍里ちゃん……」
心配そうな怯えたような顔で友紀はあたしを見る。
友紀の心配は、これをネタに二口をからかってケンカするな、ってことだと思うけど、こんなの、どうからかったらいいのかわからない。いや、からかってはいけない気がする……。
コレをネタに出来るのは別れた後か、……あるいは結婚した時ぐらいだ。
あたしはため息をつきながら手と首を横に振った。
「大丈夫、誓って、二口にも誰にも言わない。でも……。アンタ達の結婚式のスピーチネタにはさせてもらうわ。だから、結婚式には呼んでね」
「そりゃ呼ぶけど……。でも、そんな先のこと……。第一、結婚するかどうかなんて、まだわかんないよ?」
「ここまで言われといて、その選択肢浮かぶ!?」
さすがにそれは二口が不憫だ。
友紀はそう言うけど、あたしの第六感では、案外、そんな先の話ではない気がする。