「元老。
言われた通り、娘を連れてきましたよー。」



俺は元老の前で、そう言って、愛夜を見せる。





「神威、そなたに子供が出来たというのは本当だったのか。
。元老院になんの報告も寄越さんとはどういう了見だ。
春雨第七師団団長・・・、そなた自分の立場が分かっているのか？」



「だからこうして、娘を見せに来たんじゃないですか。」





「そなた、
その子をどうするつもりだ？」


「もちろん、育てますよ。」



「・・・・。」




「なにか問題でも？」


「神威。お前の最近の行動には春雨の中からも疑問を抱く声が出ている。
信頼を欠いた集団の末路は崩壊のみ・・・
春雨の武力集団である第七師団の崩壊は、
春雨全体をも危険のさらすことになる。」




「つまり、春雨の勢力を脅かすような
軽んじた行動は慎めと？」


「そういう事だ。」




「・・・ふっ。」


「なにがおかしい。」





「あなたたちが本当に恐れてることはそんなことじゃないでデショ？
はっきり言ったらどうです？
俺たちの存在が邪魔だって。」



「・・・・！」




「春雨をもしのぐ、夜兎の血が目障りで仕方ないんでしょう？
ただでさえ俺という存在が邪魔だってのに、
その上俺の血を引くこの子まで出来てしまった。」




「・・・・・」





「さっきの襲来もあなたたちが差し向けたんでしょう？
俺とこの子を一緒に根絶やしにしようと。」



「・・・・神威。
キサマ、口の聞き方には気をつけ・・・




「俺の事はいいさ。何度襲ってもらっても。
だけど、俺の娘・・・愛夜に手を出した時は・・・
たとえ元老であろうと俺が皆殺しにするから。」




「きっ、貴様！」



「じゃあね。」



俺は後ろでまだ何か言ってる元老に目もくれずに、
その場を去る。







「・・・愛夜。」

俺が呼ぶと、愛夜は俺の方を見る。



「愛夜は俺が守ってあげるからね？」




俺のそんな言葉なんて、赤ん坊の愛夜には分かるはずもなく、愛夜はポカンとした顔をしている。





愛夜だけは・・・


たとえ誰であろうと、


傷つけさせやしない・・・。





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