木漏れ日の先に
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「それではゆい殿。
船内の掃除、しっかり頼みますよ?」
「え?
あ、あの・・・!
ま、待ってください・・・!」
目の前にいるのは鬼兵隊の武市変平太。
掃除道具一式を私に手渡すと、
どこかへ行こうとする。
「なにか?
私は忙しいのでこれで・・・」
「や、あの・・・・!え?
そ、掃除?」
「あなた、下働きとして
この鬼兵隊に来たのではないですか?」
あれから・・・
高杉さんに連れられて、
この飛行船に乗ったまではいいものの、
すぐに高杉さんはいなくなってしまい、
変わりにこの武市変態が私に話しかけてきたのだ。
「そっ、そう・・・なんですか?」
「いや、私が知るわけないじゃないですか」
「・・・。」
「・・・。」
「とにかく、
早く作業に取り掛かってください。
それじゃぁ私はこれで・・・」
「あ!待ってください!」
「まだなにか?」
「高杉・・・さんは?
いつここに戻られるんですか?」
「晋助殿なら、
とある方との会合のため、出ておりますので・・・
いつになることやら・・・。
私でも予想はつきません。」
「そう・・・ですか・・・」
゛俺の居る場所はそう生温い場所じゃァねぇがなァ・・・
退屈しねェことだけは約束するぜ?”
あんなこと言ってたクセに・・・
着いた矢先にもういないなんて・・・
嘘つき・・・
********
元の世界に帰る方法もない。
他に行く場所もない。
仕方なく、
私は武市変態に言われた通り、
鬼兵隊の船内の掃除をしていた。
そしたら・・・
゛高杉さんがお戻りになったぞ・・・!”
゛おかえりなさい、高杉さん・・・!”
周りがガヤガヤし始めて・・・
高杉さんが帰ったきたらしい。
隊員たちが群がる中を、
なんとか押しのけていくと、
そこには高杉さんの姿が。
「たっ、高杉さんっ・・・!
あのっ・・・!」
「・・・おぅ、ゆいか。」
「ちょっとお話しがっ・・・」
「まぁ、首尾よくやれや」
「えっ・・・あっ・・・」
高杉さんはそれだけ言い残すと、
なにやら忙しそうに、ほかの隊員と話しながら
どこかへ行ってしまった。
いつのまにか、
群がってた隊員たちも消え、
私はその場にポツーンとひとりっぼっち。
な、なんてことだ・・・。
高杉さんがこの世界で
たったひとつの頼み綱だったというのに・・・。
まったく私のことなんて眼中にないじゃないか・・・。
まさか、
ここに来るように誘ったのも、
ただ鬼兵隊の掃除係がほしかっただけ?
ていうか、
私が別の世界から来たって話しも、
ほんとは信じてもらえてなかったりして・・・。
そう考えると、
私はほんとにこの世界でひとり、
取り残されてしまったんだと自覚して、
急に怖くなった。
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