実成れば、花も咲く
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「あのね~!これがボクで、これが母さま。
そして、これが父さま!」
「へぇ。よく描けてんじゃねーか。」
「えへへ。母さまもそう言ってくれた!」
「そうかぃ。
で、ここに描かれてるお前の親父ってのはどんなヤツだぃ?」
「父さまはいないよ?
これは、もしいたらこんな感じかなっていうのを描いたの!」
「・・・・そうか。
ならお前の親父はもうちょっとイイ男だな。描き直しとけ」
「いいおとこって?」
「格好の良い男の事だ。」
「たかすぎさんみたいな?」
「ククッ。あぁ、そうだ。」
「うん!分かった~!」
何がなんだか分からない・・・。
ただ分かっているのは今、
高杉さんが晋一を膝の上に乗せて、
晋一は先ほど描いた絵を高杉さんに見せて、
2人で仲よさそうに喋っているという事だ。
「・・・俺ァ、お前のお袋に用がある。
そっちで遊んできな。」
「うん!後で一緒に遊んでね~!」
「・・・あぁ。」
「・・・・。」
「・・・・。」
すぐ近くに晋一がいるというものの、
同じ空間に私と高杉さんの2人っきり。
私達の間に、沈黙が続く。
それはちょうど“あの時”のような・・・
「あの、高杉さ・・・
「息子だったんだなァ」
「・・・え?」
「ガキ。」
「あ、うん・・。」
そういえば、
高杉さんの元を離れたあの時はまだ性別なんて分からない時期だったから・・・
高杉さんは知らないんだった・・・。
「名前は?」
「晋一・・・です」
「晋一、か。
いい名じゃねーか。」
「・・・・。」
「ククッ・・。ガキん頃の俺まんまだなァ。
最初見た時は驚いたぜ。
中身はお前似みてーだがな」
なんで・・?
どうして・・?
その言葉ばかりが私の中をかけめぐる。
どうしてここに来たの?
どうしてそんな事をあなたは今話してるの?
「父親になる気はない」といったあなたが、
どうしてわざわざ晋一の前に現れたの?
あの頃と何一つ変わらない
姿・・・
雰囲気・・・
口調で・・・
どうして今、晋一の事を嬉しそうに見ているの?
「そういう事言わないで下さい。
晋一に聞こえるから・・・」
私のその言葉を聞いているのかいないのか・・・
それに対して何も答えることはなく、
相変わらず目線は向こうで遊んでいる晋一の方だ。
「・・・お前が消えて・・・」
「え?」
ふいに高杉さんが喋りだす。
「俺の周りが何か変わることはなかった。」
「・・・。」
「お前が消えた後も、何人もの女を抱いた。」
「・・・何の話を・・」
「まぁ聞けよ。
だが、どの女を抱いてもまるで満たされることはねぇ。
それどころか、乾きがヒドくなる一方でな。
それがなんなのか・・・・
しばらく分からずにいた。」
「・・・・。」
「そんな時にふとゆいの顔が浮かんだ。
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