実成れば、花も咲く
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「母さま!母さま!見て!」
「ん?なになに?晋一」
5歳になった息子。
名を晋一と名づけた。
「これね、ボクと母さま~!」
そう言って、嬉しそうに似顔絵をみせる息子は
今でも私の心を掴んで止まない彼に生き写し。
晋一を産んだ時、
その容姿にこれでもかという程泣いた。
「上手!上手!すごいね~!晋一」
「えへへ~。」
「あれ?こっちは誰?」
晋一の似顔絵には、真ん中に晋一。
左に私。右にもう一人いた。
そして晋一が次に発した言葉に私は凍りついた。
「これはね~、父さま!」
「・・・・・!!
晋一。晋一に父さまはいな・・・
「うん!分かってる!だから、もしいたらこんな感じかな~って描いたの!」
それはあまりにも純粋で、無垢な笑顔。
もう一度、晋一の描いた絵に目を落とすと、そこには3人、手を取り合ってとても仲睦ましそうな“家族”の姿。
あるはずもない、
存在しない姿。
「・・・・・晋一。」
私は思わず涙が出そうになるのをグッと堪え、
晋一の前で平然として見せた。
ドンドンドンッ!!
すると、突然
ドアを叩く音がした。
「母さま、お客さんだよ~!」
晋一はそう言うとドアを開けに行ってしまった。
私も行かなきゃ・・・と、涙目な目を擦って立ち上がった瞬間・・・
『よォ、ガキ一人かぃ?』
遠くから聞こえるその声色に全身の血が湧き上がるような感覚が襲う。
晋一の元まで歩く、その距離が死ぬほど長く感じた。
そして・・・
「母さま~。知らない人~」
私を見て走って寄ってきた晋一の視線の先にいたその人物の姿を、この目が捉えた。
「母さま~?」
私はこの時、
息子の前だというのに、ひどい顔をしていただろう。
「よォ。久しぶりだなぁ、ゆい。」
そこに立っていたのは・・・
私が生涯愛したたった一人の人・・・。
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