「え？！
も、もう言っちゃうの？！」



お母さんに呼ばれて行ってみれば、
仕事が入ったらから、今日また外国に行くと言い出した
ウチの両親
。




「まだ一日しか家に居ないじゃん？！」


「そうなんだけど、
仕事が入ってね。」




「ゆい１人だったら心配だけど、
晋助さんがいるから安心だわ～」




いや！
逆に高杉さんがいる方が危険なんですよ、
マイマミー！





「晋助くん、ゆいを末永く頼んだよ」


「はい、お父義さん。
お父義さんの変わりに命をかけて守ります！」




「よく言ってくれた！
これで思い残す事なく外国にいけるよ・・・」


「じゃあねゆい。
晋助さんと仲良くね？」




「ちょ？！
お父さん？！お母さん？！」





まるで嵐のように去って行った
お父さんとお母さん。


ほんとなんなんだ、
ウチの両親は。







急にシーンと静まる室内。




「はー、
やっとくつろげるぜー」


うちの両親がいなくなったとたん、
清々したと言わんばかりにくつろぎはじめる高杉さん。





そりゃあんだけ猫かぶってれば、
疲れるでしょーに。





「ゆい、疲れた。
ちょっとひざ貸せ。」


「は？
膝？」




「膝枕しろつってんだ。」


「な、なんで私がそんな事！」






「お前が俺の女だからに決まってんだろーが。
俺を膝枕できるんだ、有難く思え。」



「え？自分で言う？
もう慣れたけど・・・」



「ガタガタ言ってねーで、
さっさとやれ」




「はいはい・・・」



しぶしぶ高杉さんに言う通りにしようとすると・・・





ピーンポーン・・・




インタンホンがなった。



「すみません、高杉さん。
誰か来たみたいなんで、ちょっと待ってて下さい！」


「あ？
早くしろよ？」


「分かってますよ！」






まさかお父さんとお母さん？
忘れ物とか？




そう思って玄関をあける。






「はーい、どちらさま・・・・




そこに立っていたのは、
お父さんとお母さんではなく・・・




着物を着た、
すっごい綺麗な女の子だった。






「あ、あの・・・どちら・・・様？」




まるで時代劇に出てくるお姫様みたいに
綺麗な女の子。



あれ？


時代劇みたいに綺麗な人って、

他にもいたような・・・







「オイ、ゆい！
この俺をいつまで待たせる気だ、テメーは！」



しびれをきらした高杉さんが玄関の方へ来た。






「あの、高杉さん！今、ちょっと・・・「晋助さまッッ！！！！お会いしとうございました！！！」




不機嫌な高杉さんをどう対処しようかと考えてたら、
着物を着た綺麗な女の子が高杉さんにいきなり抱きついた。




「はっ？！」


「あァ？」



突然のことに、
私の頭はついて行かない。






「おめー、真琴じゃねーかッ！
どーしてここにテメーがいんだっ」




高杉さんは一瞬ポカンとしたかと思えば、
女の子の顔を見て、すごく親しげな感じで喋りだした。






「はい！
行方知らずの晋助さまを追って、ここまで参りました。ご無事でなによりです！」



真琴と呼ばれていた女の子は
とても嬉しそうにニコニコと高杉さんに話しかける。



ほ、ほんと、
何がなんだかっ・・・


この２人・・・すっごく仲良さそうに見えるけど、
どういう関係？！

ま、まさか、
江戸に置いて来た彼女とかっ？！


た、高杉さんなら十分あり得る・・・






「あ、あの・・・
た、高杉さんっ！この人は？！」




私は高杉さんにそう問う。



「あぁ、コイツは俺の幼なじみで、
高杉家に使えてるヤツだよ」


「お、幼なじみ？」



な、なんだ、
彼女じゃないんだ・・・


よかった・・・



ホッと一安心していたら、
真琴さんはとんでもないことを
言い出すのだった。



「いいえ、晋助さま！
わたくし達は、親同士が決めたれっきとした
許嫁ですわ！」





はぃいいいいいいい？！！！！

い、いいなずけ？！！！！！！！！





「た、高杉さん？！
ほ、ほんとなんですか？！！！！」


「確かに、親が勝手にんな事も決めてやがったな・・・」




ガーーン！！

ま、まじですか？！！




「だが、あれは俺がまだちっせー頃に親が勝手にしたことだぜ？」




「はい、確かに親同士が勝手に決めた事。
ですから・・・今日は正式に晋助さまの婚約者になるため参りました。」




「はっ？！」

「えっ？！！」





えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっっっっっ！！！！！！！！！





い、いまこの子、

婚約者っつった？！！





「はぁっ？
なに言ってやがんだてめェ・・・」


「わたくしは本気です！晋助さまのお母様も、
わたくしを晋助さまの妻にするとおっしゃって下さいました！」



「あんの、ババァ・・・」




「さ、早く江戸に帰って、
祝言を上げましょう！お母様もさぞお喜びに・・・」



「悪いィがそいつはできねー。
俺にはゆいがいんだよ」


「きゃぁ？！」




急に腕をグイッと掴まれて、
抱き締められる。




「俺はコイツを愛してる。
ゆいん事しか考えられねー。」


「・・・！／／／
高杉さん・・・／／／」







「構いませんわ。」



あきらめるのかと思いきや、
にっこりと余裕の笑みをうかべてそんな事を言う
真琴さん。




「は・・・？」


「晋助さまほどのお人になれば、
妾の１人や２人いるのが当たり前・・・。
それが許せなくて晋助さまの妻は努まりませんわ」




め、妾の１人や２人が当たり前って・・・


しかもそれを許せちゃう真琴さんて・・・


なんて覚悟・・・





「分かんねーやつだな。俺ァ、おめーを妻にする気なんざ、さらさらねーし、ゆいを妾にした覚えはねーんだが？」




「・・・！
も、もしや、晋助さま、その方を妻になさるおつもりじゃ？！」





は？！

な、なに言ってんの！この人！


わ、私が妻って・・・


私はまだ高校生だしその・・・っ





「・・・・だとしたら、なんだっつーんだ。」



あっさりとそう口にする高杉さん。





「・・・・？！／／／た、高杉さん？！
なっ、何言って？！」



「・・・あ、ありえません！
気は確かですか？！」


さっきまでの余裕の表情から一変、
急に取り乱す真琴さん。





「めちゃくちゃ確かだが？」


「高杉家の跡取りであられる貴方さまが、
このようなどこの誰だか分からないような方を妻にするなど、正気とは思えませぬ！」




どこの誰だかわからないって・・・

すごい言われようだな、私・・・




「お前ェ・・・。
ゆいの事をそれ以上悪く言うと、
ただじゃおかねーぞ？」



「・・・・！晋助さま・・・。
この方を愛しているのなら、この方は妾になさればよろしいではないですか！
わたくしのことを愛していなくても構いません。私は、あなた様の妻になれればそれで・・・」



「悪ィが、
俺ァ、愛した女しか妻にする気はねーし、
妾をめとるつもりもねーよ」




「・・・！！
わ、わたくしはあきらめませんわ！」










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