保健医の高杉せんせー
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「はぁっ・・!
はぁっ・・・・・!」
私は今・・・、
全速力で走っている・・・。
「はぁぁっ・・・
はぁはぁっ・・・・!」
もしせんせーと出会わなければ・・・、
私はこんな風に
溢れる思いを抱えながら、
走ることはなかっただろう・・・。
数十分前、
椿さんのホテルで・・・
「昨日・・・
私はこのホテルで高杉先生と・・・
晋助といたわ。」
「・・・・!」
「でも彼は・・・
私を抱こうとはしなかった。」
「・・・。」
「私はね、
正直言うと、
高校のとき、別れてから・・・
ずっと後悔してた・・・。
だから、ココで彼と会った時・・・やり直したいって思ったの。」
「・・・・。
あ、あの・・・。
1つ聞いていいですか?」
「ん?」
「高校の時・・・
どうしてせんせーと別れたんですか?」
「・・・私がね、
浮気したの。」
「・・・!!」
「私って、
いつも付き合う男とはそうなのよね。」
「・・・。」
「その男の気をいつも自分に向かせるために、
わざと他の男の方に行ってみたり・・・。
大抵の男は、
そんなことをしても、私がいいって言ってくれたりもしたけど・・・
晋助だけは違った・・・。
私の浮気を知った途端・・・
なにも言わずに去っていったわ・・・」
「・・・。」
「私は晋助が好きだった。大好きだった。
だけど私は・・・
結局、晋助を傷つけることしかできなかった・・・。
でも、
あなたは違うのよね・・・。」
「え・・・?」
「晋助・・・。
ここを去る前・・
私にこう言ったの・・・。
『椿・・・
お前との恋はずっと、独りよがりだった。
俺ァ、お前に気持ちを伝えるばっかで・・・
お前に気持ちが伝わらねぇーとイライラして・・・
そんな自分に嫌気がさして・・・
お前の気持ちなんて、いっこも考えてなかった。
けど・・・
ゆいといる時は違う。
アイツがどうしたら喜ぶのか・・・
どんな事で怒って、
どんな事で悲しむのか・・・
全部知りてェと思う。
あいつといると、怒ったり、笑ったり・・・
自分の感情を押し殺さねーで、
ありのままにさらけだせる。
自分が自分らしくいれた・・・。
だから・・・・今は、
たとえアイツがもう俺の事を想っていなかったとしても、
アイツの喜ぶ顔が見れていれば、
アイツが幸せなら、それでいいと思う。
アイツの幸せを第一に考えてやりてぇ・・・。
それが俺の幸せだから・・・。』
椿さんの声が、
せんせーの声と重なって聞こえて・・・
私は気づけば、
涙が溢れてた・・・。
「さ。
行ってあげて?晋助のところへ・・・
私じゃできなかったことを、
晋助にしてあげて・・・」
「椿さん・・・」
私は、椿さんに一礼すると、
部屋を出ようとして、
ふと立ち止まった。
前に・・・
保健室で見た、
アルバム・・・。
そこにうつる、
若かりし頃の
銀ちゃんと、
椿さん、
そしてせんせー・・・。
その写真をいとおしそうに見つめる、
せんせーの姿を思い出した。
「あの・・・。
ひつとだけ・・・!」
「??
なにかしら?」
「高杉せんせーは・・・!
幸せだったと思います・・・!
あなたといた・・・
あの頃も・・・・」
「・・・・!!
ありがとう・・・っ」
そう言って、
目に涙を浮かべる椿さんは、
今まで見た表情の中で、
一番美しくて・・・
綺麗で・・・
その時、
せんせーが本気で好きになった人が
この人でよかったって、
なぜかそう思えた。
「はぁっ・・・!
はぁっ・・・・・!」
私は走る。
ただ・・・
愛しいあの人に会いたくて・・・
走る最中、
いろんなことを考えた。
高校時代の
椿さんの想い・・・
せんせーの気持ち・・・
いろんな想いや気持ちが溢れ出して、
涙が溢れた。
私は今まで、自分の事しか考えてなかった。
自分が嫌なら、すぐ逃げ出して・・・
せんせーに助けを求めてたよ。
だけど、本当は・・・
せんせーも私と同じだったんだ・・・。
せんせーもずっと独りだった。
人の気持ちより先に自分のことを考えて、
嫌になれば、自分から全て手放す。
きっと、せんせーもそうだったんだ・・・。
そんなせんせーは今・・・
私の事を誰よりも考えてくれている。
優しい瞳で、私の事を守ってくれている。
そんなせんせーに変えたのは、
私なんだね・・・。
ねぇ、せんせー、
私も変われるかな・・・?
私はずっと、
せんせーの服の裾をひっぱって、
ただ後ろからついて行くだけだったけど、
せんせーが私の事を誰よりも考えてくれてるみたいに、
私もせんせーの事、誰よりも想えるようになりたいよ・・・。
せんせーが優しい瞳で、私の事みててくれるように・・・
私にとって、せんせーが暖かく包み込んでくれる綿みたいなように・・・
私もせんせーの事を暖かく包んで守って上げられる、唯一の存在になれるかな・・・?
なんて、
せんせーに言ったら、
“ガキが一著前になに言ってんだ”って言われそうだけど・・・。
きっとせんせーはそう言いながら、
すっごく嬉しそうな・・・
恥かしそうな・・・
それでいて、愛おしそうな表情で
私の事、見てくれると思うんだ。
せんせー・・・、
私、もう逃げないよ。
目を背けないから・・・。
だから・・
もう一度
微笑んで・・・
もう一度
抱きしめて・・・
もう一度、
名前を呼んで・・・
せんせー・・・
「ゆい・・・!!」
愛しい声が聞こえる。
目の前には高杉せんせー。
私はもう、
涙でぐちゃぐちゃで・・・
そういえば、
高杉せんせーと出会ってからだ・・・、
こんな風に
涙で前が見えないくらいぐちゃぐちゃに泣くようになったのは・・・
「・・・・せんせー!!」
「ゆい・・・!」
いつも澄ました表情のせんせーが、
血相変えて走ってきて・・・
後ろへ倒れそうなほどの勢いで、
抱きしめられた。
「うぅううう~
せんせ~~」
「お前ェ・・・
どこ行ってた。
旅館にいやがらねーし・・・。
ずっと探してたんだぞ?」
「ひっく・・・
ひっく・・・・」
涙が止まらず、
せんせーの腕の中でしゃくりあげて泣く私に、
せんせーは身体を離して私の顔を、
すっごく愛おしそうな・・・
優しい瞳で見つめた。
「ゆい・・・
悪かった・・・あの時・・・1人で置いていって・・・。
俺ァ・・・もう・・・
どこにも行かねーよ・・・・」
そう言うせんせーの声色はものすごく優しい。
「ひっく・・・
ひっく・・・」
「昨日・・・
俺ァ・・・椿に会ってた。
けど、信じてくれ、
俺はなにも・・・
「分かってます・・・。ひっく・・・、
椿さんからっ聞きましたから・・・っ」
「・・・!
は?おまっ・・・
椿に会ってたのか?!」
「はい・・・」
「そうか・・・。」
「・・・。」
「椿のことは・・・」
「はい・・・」
「愛というより、
憧れ・・・に近かった。」
「・・・。」
「自分以上に誰かを想うことが、
こんなに幸せだって・・・
それが人を愛することだって・・・
ゆいだけが教えてくれた・・・。」
「・・・!///
せんせ・・・////」
「俺はお前だけを・・・
幸せにしたい・・・。」
「・・・・!///」
「お前なしに俺はもう生きていける気がしねぇ・・・。
もう二度と、
お前を泣かしたりしねぇから・・・
だから・・・
俺のそばにいてくれ・・・」
「・・・・!///////」
優しい・・・
真剣な眼差しで、
せんせーにそう言われた瞬間、
私は1つ、確信した。
「それは無理です。」
「?!
む、無理ってっ・・・
お前っ・・・・!!」
いつも澄ました顔してるせんせーが、
あからさまに動揺して、
ショックを受けていて、
おかしくなった。
「だって私・・・
これからもきっと、せんせーに泣かされます。」
「は?
だから、泣かせねぇって・・・」
「そうじゃないです。」
「?
そうじゃないって・・・」
「せんせーと居ると・・・、
嬉しくて、楽しくて、幸せで・・・、
涙が溢れてしまうんです・・・」
「・・・・!
ゆい・・・・」
「・・・・!!
きゃぁ!」
せんせーは再び私を抱きしめる。
「確かに・・・
それは俺にもどーしようもできねーなァ」
「でしょ?」
顔は分からないけど、
声で嬉しそうだと分かり、
私も嬉しくなる。
「・・・。
私もです・・・
せんせー・・・」
「ん?」
「私も・・・
もうせんせーなしには生きていける気がしませんし・・・
せんせーを・・・
幸せにしてあげたいって・・・
そう思います・・・・。」
「・・・・!!
ククッ・・・」
「!
な、なに笑ってるんですか!」
急に笑いだすせんせーに、
やっぱり"ガキが一著前になに言ってんだ”って、
バカにされるのかと思ったら・・・
「それならもうしてもらってる。」
「・・・?」
「俺ァ、今、目の前で、
お前が笑ってるだけで・・・
世界で一番の幸せを掴んでるって言えるぜ・・・?」
「・・・・・!!///
せんせっ・・・」
その瞬間、
せんせーが私の唇を奪う。
「んっ・・・///
んんっ・・・・」
甘く、
甘く・・・
とろけるようなキスに酔いしれる。
せんせー、
せんせー、
もっと私を抱きしめて・・・
もっと私を愛して・・・
「ゆい・・・」
「・・・?
はい・・・」
「ホテル・・・
行くぞ。」
「?!
は、はい・・・?!///」
「今泊まってる旅館じゃ、
できねぇし・・・
ホテルしかねぇだろ?」
そう言いながら、
私の腕を掴んで歩き出すせんせー。
「できっ・・・?!///
えっ、ちょっ・・・まさか今その・・・
そういう事するつもりですか?!///」
「・・・・。」
「で、でもっ・・・・!
戻らないと、今の朝の集合に間に合いませんよ?!」
「・・・・。」
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