保健医の高杉せんせー
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
銀魂高校に入学して、早2年とちょっと・・・
私の高校生活は、
学園ドラマや、少女マンガのような、華やかで刺激的なものとは程遠く・・・
毎日、
朝の睡魔と闘いながら授業を受けて、
お昼になれば、お弁当を食べて、
午後からまた、満腹による睡魔と闘いながら、
授業を受けて、家に帰る・・・
ただ、
その繰り返しだった。
別に特別イヤな事があるわけじゃない
けど・・・
勉強は得意じゃないし・・・
苦痛といえば苦痛。
そんな・・・
ワクワクもドキドキもしない、
地味な高校生活が・・・
高校3年の今、
ものすごい勢いで、変わろうとしていた・・・。
キーンコーンカーンコーン・・・
以前なら、
なんとも思わないこのチャイムの音が、
今の私にとってはワクワクの合図。
チャイムが鳴ると、
私はまるで吸い込まれでもするように、
とある場所に向かった。
そのエタノールの独特の匂いに
テンションが上がる。
ガラッ・・・!
「せ~んせっ!」
「おぅ。ゆい。」
私を見て、フッと微笑む高杉せんせー。
私は、ここ最近、
保健室に来るのが恒例となった。
「今日のお菓子はなんですか?」
「今日はシュークリームだ」
「やった~!」
「ククッ・・・
コーヒーは自分で淹れろよ?」
「え~!
せんせーの淹れてくれたコーヒーが飲みたいです!」
「それじゃぁ、いつまでたってもお前ェが上達しねーだろ?
あ。俺のも頼むぜ?」
「う~~」
私はふてくされされながらも、
もうだいぶ慣れた手つきで、棚からマグカップを2つ出した。
一つはもちろん、せんせーが私にって買ってくれたピンクのマグカップだ。
コーヒーを淹れて、
戻ってきたら、いつのまにか机の上には
シュークリームが用意されてた。
「はい、せんせー、
コーヒー」
「おぅ、悪ィな」
せんせーにコーヒーを手渡すと、
さっそくシュークリームを食べる。
「ん~おいし~!」
「くくっ・・・
そりゃよかった」
せんせーはそう言いながら、
めずらしく(とか言ったら殺されそうだけど)
机に座って、パソコンで仕事をしていた。
せんせーって、
こうやって、真面目な顔してたら、
ほんっとイケメンなのになぁ・・・
なんて思ってたら、
ふと本棚に目がいった。
「せんせー、あれ、なんですか?」
そう言って、
私が指さしたのは、本棚に立てかけられている、
アルバムのようなもの。
「ん?あぁ、アレか。
ありゃ、高校ん時のアルバムだ。」
「高校って・・・
まさか、せんせーの?!」
「あぁ。」
「・・・!
み、見てもいいですか?!」
「・・・別に構わねーけど?」
「やった~!」
私は立ち上がると、
アルバムを手に取った。
高校時代の高杉せんせー。
なんだか私の知らないせんせーに会うような気がして、
ちょっとドキドキしながらアルバムを開く。
すると、
そこには数名が集まって、ピースしてる写真。
「わ~!
コレ、なんの時の写真ですか?!」
「あ~。
そりゃ、文化祭だな・・・」
「文化祭・・」
その写真の後ろの方を見てみると、
そこには『銀魂高校 学園祭』の垂れ幕が。
「・・・・!!!
銀魂高校 学園祭って・・・!
せんせーって、この学校の生徒だったんですか?!!!」
「あ?言ってなかったか?」
「言ってません!!!」
せんせーがこの学校の出身だったなんて・・
なんだか驚きだ。
「あ、そうだ。
せんせーはっと・・・」
その写真の中からせんせーの姿を探す。
居た。
楽しそうにピースする人たちの傍らで、
すっごい気だるそうにガン飛ばしてる赤ティーに学ラン姿のせんせーが。
「うわ!せんせー、顔付き悪ッ・・・!」
「・・・そん頃は色々荒れてたんだよ・・・。
まぁ若気の至りってヤツだな。」
「その頃はって・・・・
今もあんまり変わらないような気がしますけど・・・」
「あ?
なんか言ったか?」
「・・・!!
なんでもないです・・・!」
やっぱ変わってない!
今のガン飛ばしとか、
この写真と一緒だったもん!
高校生から全然成長してねーよ!この人!
とか思ってたら・・・
ふと、せんせーの隣に、銀髪頭の見慣れた顔を写真の中に発見した。
「・・・!
せんせー!この人って!」
銀髪頭を指差し、せんせーに向ける。
「ん?あぁ。銀八じゃねーか。
やっぱ若けーな。アイツも」
懐かしそうな顔をして、そう言うせんせー。
「せっ、せんせー、
銀ちゃんと同級生だったんですか?!!!」
「あぁ。なんだ。銀八から聞いてねーか?」
「聞いてません!!
っていうことは、銀ちゃんも、銀魂高校の卒業生?!」
「そうだ。」
「そ、そうなんだ・・・!
でも意外です!せんせーと銀ちゃんが同級生だなんて・・・。
学校でもあんま喋ってるところ見ませんよね?」
「まぁ、元々仲良いわけじゃねーしな。
腐れ縁だよ。」
「へぇ~。
でもいいな~」
そういいながら、
私は再びアルバムに目を落とす。
そこには、
アホみたいな顔して笑ってピースしてる銀ちゃん。
その隣に、無理矢理肩を組まれてめちゃめちゃ不機嫌そうな高杉せんせー。
2人とも・・・
顔は今と同じようなものなのに・・・
なんだか全然別の人みたいにも感じた。
「ていうか、
せんせー、こんな写真をアルバムにしておいとくなんて、けっこう可愛いところもあるんですね?」
「あ?そりゃ俺のじゃねーよ。
この間、銀八が部屋整理してたら出てきたとかで、俺に見せに来て・・・そのまま置いてったんだ。」
「あ。
そうなんですか。」
「俺ァ、そもそも、写真とかあんま好きじゃねーしな」
確かにせんせーのその言葉の通り、
写真に写るせんせーはどれも、
かったるそうだったり、不機嫌そうだったりで、
ほとんど横向いてるし・・・
好きじゃないんだなってのが
人目で分かる。
そう思いながら、アルバムをパラパラめくっていると、せんせーと腕を組んでピースしてる女の子の写真が。
細身で、色白、黒く長い髪・・・
綺麗な人・・・
「せんせー、この人って・・・」
「あー?
・・・・!!なんでもねーよ!」
その写真を見た瞬間、
せんせーは私からアルバムを取り上げ、閉めてしまう。
「なんでもないって反応じゃないじゃないですか!なんなんですか?ソレ・・・」
「別になんでもねーつってんだろ?
せがまれて無理矢理撮らされたんだよ。」
「ふ~ん?」
たしかに、せんせーは面倒くさそうな顔を
していたけど・・・
でもなんとなく・・・
他の写真に比べて、心なしか表情が柔らかいっていうか・・・笑ってたような・・・?
“彼女ですか?”
って聞くことなんて簡単だ。
でも・・・
何でもないって言ったせんせーの方を見ると、なんだか遠くを見るような意味深な表情をしてて・・・
その横顔を見ていると、
その質問を口に出すのが怖かった。
せんせーが・・・
私を好きだって言った“せんせー”から、
この写真の中の“せんせー”に戻ってしまう気がして・・・
.