保健医の高杉せんせー
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
キーンコーンカーンコーン・・・
今日一日の授業が終わり、
私は急いで帰る支度をする。
「あれ?ゆいちゃん、帰るの?
確か高杉先生に呼ばれてるんじゃ・・・」
私の慌てぶりをみたお妙ちゃんが
そう私に話しかけてきた。
「だから一刻も早く帰らなきゃ!!
お妙ちゃん、また明日ね!」
「え、いいの?
先生の呼び出し無視して・・・」
「いや、ここでのこのこ行ったら
それこそ貞操の危機だよ!!!
ヤツに気づかれる前に早くここから・・・
ガッ・・・・・!!!!!
「誰に気付かれちゃマズいんだァ?」
「ひっ・・・・!!」
後ろから襟元を掴まれ・・・・
そのドスの効いたひじょ~に聞き覚えのある声に背筋が凍る。
「“ヤツ”って誰だァ?
まさか、俺のことじゃねーよなァ?」
「なっ、ななななにをおっしゃいますかっ・・・!
そっ、そそそんなわけないじゃないデスカッ・・・」
「そうだよなァ?
そんなワケねーよなァ?
まさかこの俺を無視して帰ろーなんて思っちゃいねーよなァ?」
「えっとぉおおおお~」
「・・・・放課後の個別レッスンと行こうか?ゆい?」
「・・・・・・!!!
のっ・・・・、
NOOOOOOOOOOーーーーーーー!!!!!」
襟を掴まれたまま、
ズルズルと引きづられる様はまさに地獄絵図。
お妙ちゃんを含め、
助けてくれる人は誰もいない。
なぜならみんな、
高杉せんせーに逆らうのが怖いから。
**********
「・・・日曜、どこに行くか決めたか?」
「は・・・?」
保健室についたせんせーの第一声はソレだった。
襲われるのかと身構えていた私にとって、
思ってもいなかった言葉に変な声が出た。
「だから今度の日曜。
どっか行こーぜって、言っただろーが。」
「え・・・。
じゃ、じゃぁ、保健室に呼び出したのはまさかソレ聞くため・・・」
「一応ここは学校だしな。
2人っきりになれるトコじゃねーと、お前とそういう話しできねーだろ?」
「・・・・・!!
だ、だったら、さいっしょっから、そう言ってくださいよ!!!!!」
「なんだァ?個別レッスン期待してたのかァ?
それならそれで大歓迎だ。
服脱いでベットに横になりな」
「はい・・・?!!!
ち、違いますよ!!」
「・・・冗談だ。
俺はお前に惚れてんだ。
お前が俺を好きになるまで、そういう事するつもりはねーよ」
「・・・!!///」
“惚れてる”
なんの前触れもなく、唐突にそんな事を言われ、
恋愛経験の乏しい私にとっては
心臓に毒だ。
「つーか、お前、
あれからなんの連絡もねーじゃねーか。」
「連絡って言われましても、
せんせーの連絡先知りませんし・・・」
「・・・!
はっ?!マジか?!!」
「は、はい。」
「はぁ~。
そういう事はさっさと言えよ・・・」
せんせーは自分の頭を押さえてそう言うと、
保健室の机の方に向かっていき、
ペン立てからペンをとって、メモ用紙にさらさらと何かを書き始めた。
さっさと言えとか言われても、
私がせんせーの連絡先聞く道理なんてなかったし・・・
「これが俺の連絡先だ。」
そこには走り書きだけど、
ものすんごい達筆でせんせーのケイタイ番号とアドレスが。
「あ、ありがとうございます・・・」
「・・・・。
で?どこに行きてぇ?
お前の行きてートコ、連れていってやるぜ?」
「え、えっとぉ~」
そ、そんな急に言われても・・・
あ!そうだ・・・
「水族館がいいです!
この前、テレビで○○水族館の特集やってて・・・それがすっごいキレイで、行きたいな~って思ってたんです!」
「水族館か・・・」
やばっ!
子どもっぽいとか言われる?!
「分かった。いいぜ?」
「・・・!!
ほ、本当ですか?」
あれ。
意外にあっさり承諾してくれた!
「あぁ。
水族館なんて、ガキん頃以来だし、
たまにはいいかもな」
そう言って、
フッと笑うせんせーはやっぱイケメンで・・・
なんだか悔しい。
「まぁ、座れよ。
立ち話もなんだしな。」
せんせーはスッと椅子を引いて、
私の方に向ける。
「あ、は、はい・・・。」
私が座るのを見届けると、
せんせーは保健室にあるちっちゃな給湯室の方に向かった。
「お前、甘ェもん好きだよな?」
「あ、はい。大好きですけど?」
「なら、コレ食っていいぜ?」
そう言って出されたのは
おいしそうな焼き菓子。
しかもご丁寧にちゃんとお皿に入れてくれて、
フォークまである。
「・・・・!!
こ、コレ、どうしたんですか?!」
「あぁ。
仕事の関係でもらったんだが、
俺ァ甘ェもん嫌いだろ?」
「そういえば、言ってましたよね」
「だがら、お前ェにと
思って。」
「あ、ありがとうございます!」
フォークで小さく切って、
口の中に入れた瞬間、広がる
高級感溢れる絶妙な甘さ。
「ん~~~!!
おいしい~!!!」
「クククッ・・・
お前ェはほんと、うまそうに食うよな・・・」
コトッ・・・
せんせーはそう笑いながら、
2つのマグカップを持って、
その一つを、焼き菓子の横に置く。
前にも嗅いだ、
あの絶品のコーヒーの匂いが
部屋いっぱいに広がる。
「ありがとうございます・・・!」
次からはお前が淹れろとかなんとか
言いながら、淹れてくれるんだ・・・
と、せんせーのコーヒーをまた飲める事に
テンションが上がりながら、
マグカップを持とうとして、
ある事に気付く。
「・・・!
このマグカップ・・・すっごいカワイくないですかっ?!」
そう。
そのマグカップは柔らかいピンク色で・・・
どっからどう見ても女物。
「せっ!せんせー!
まさか、女物を持つシュミがっ・・・!!」
「違げーよ!
コレは・・・お前ェがこれからココ来んなら要るだろーと思って、買ったんだよ」
「・・・・!!
わ、私、用・・・?」
「そうだ。」
「・・・!!」
何故だろう。
私はこの時、死ぬほど嬉しくて・・・
すっごくすっごく嬉しくて・・・
何度もそのマグカップを見ては、
コーヒーの入った温もりを手で確認した。
「だから・・・これからはココに来いよ?
俺ァ、いつでもお前ェん事待ってる。」
「・・・!!///」
きっとこの時からだ・・・
せんせーのいるこの保健室が・・・
私のかけがえのない居場所となったのは。
.