一章
夢小説設定
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「七海財閥の御曹司とお近づきになるなんて、石神さんすごいねー」
「おん……ぞうし……?」
御曹司。名門・名士の子弟のことを指す。
辞書的な意味をすぐさま頭で確認して、ようやく言葉を理解する。
「ああ、龍水のこと」
私にとっては全く気にしていないことだったが、龍水は七海財閥の御曹司らしい。
「もー好き勝手する放蕩息子だとかって噂だったけど、すごいイケメンよね」
「確かにそれは……」
今や毎日のように会っているため、少し目が麻痺していたが、龍水の顔は綺麗だ。さぞおモテになるのだろう。
「石神さん、件の御曹司に無理難題吹っ掛けられてない?大丈夫?」
「いや、そんなことは……」
「結構前に彼の作った船の完成会見に行った友達とか後でぼろくそ言ってたしねぇ」
龍水はどうやら誤解されやすいらしい。
多分万人受けしないんだろう。第一印象の不遜な態度が気に食わない人にはとことん合わないタイプだ。
そして多分敵を作りやすい。
私はそれについてはあまり否定しない。多分これはその人にとっては事実だからだ。
ただ――
「無理難題なんて吹っ掛けられてないから大丈夫ですよ」
これだけは否定したかった。
「そ、そう……」
きわめて自然な笑顔を意識したが、どうやら場を悪くしてしまう笑顔だったらしい。ミーティングに参加していた院生たちが申し訳なさそうにしている。
「石神ぃ」
「はい」
黙って雑談を聞いていた教授が話し出した。
「明日のノルマはこの量で頼むわ。それ以上の場合は自分で調整取ってくれ」
「はい……あの、先生。いつもよりノルマ少なくないですか」
教授から提示されたのは通常の半分と少し程度の量だ。
「明日は打ち上げの日だろう」
「……そうでしたね」
明日は五月三一日。宇宙飛行船ソユーズの打ち上げの日だ。
「お気遣い、ありがとうございます」
「おん……ぞうし……?」
御曹司。名門・名士の子弟のことを指す。
辞書的な意味をすぐさま頭で確認して、ようやく言葉を理解する。
「ああ、龍水のこと」
私にとっては全く気にしていないことだったが、龍水は七海財閥の御曹司らしい。
「もー好き勝手する放蕩息子だとかって噂だったけど、すごいイケメンよね」
「確かにそれは……」
今や毎日のように会っているため、少し目が麻痺していたが、龍水の顔は綺麗だ。さぞおモテになるのだろう。
「石神さん、件の御曹司に無理難題吹っ掛けられてない?大丈夫?」
「いや、そんなことは……」
「結構前に彼の作った船の完成会見に行った友達とか後でぼろくそ言ってたしねぇ」
龍水はどうやら誤解されやすいらしい。
多分万人受けしないんだろう。第一印象の不遜な態度が気に食わない人にはとことん合わないタイプだ。
そして多分敵を作りやすい。
私はそれについてはあまり否定しない。多分これはその人にとっては事実だからだ。
ただ――
「無理難題なんて吹っ掛けられてないから大丈夫ですよ」
これだけは否定したかった。
「そ、そう……」
きわめて自然な笑顔を意識したが、どうやら場を悪くしてしまう笑顔だったらしい。ミーティングに参加していた院生たちが申し訳なさそうにしている。
「石神ぃ」
「はい」
黙って雑談を聞いていた教授が話し出した。
「明日のノルマはこの量で頼むわ。それ以上の場合は自分で調整取ってくれ」
「はい……あの、先生。いつもよりノルマ少なくないですか」
教授から提示されたのは通常の半分と少し程度の量だ。
「明日は打ち上げの日だろう」
「……そうでしたね」
明日は五月三一日。宇宙飛行船ソユーズの打ち上げの日だ。
「お気遣い、ありがとうございます」