一章
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3700年とほんの数日前――
その日は宇宙に発つ兄、石神百夜との通話の約束をした日だった。
「明日からちょっと文献研究の仕事頼まれたから家空けるね」
「おう!院の研究は楽しいか?」
「んーやってることはまだ教授の手伝いばっかだよ。でも、学部生の時よりもやること多いし楽しい」
お互いの近況を語り合う。兄さんの話の大半はこれから一緒にソユーズに乗るシャミールとリリアンのこと。
私は研究室のことと千空のこと。
「そういや彼氏はできたかー?」
「ううっ」
兄の言葉が深く突き刺さる。
「最速3週間彼氏以降は全然だね……」
今までで恋人は何人か出来たことはある。長続きしたことは誰一人としていない。
「はは!そりゃ悪かった!まあ五百里も彼氏よりも千空の世話とか自分の研究優先しちまう質だからなぁ」
別れた元彼たちは大抵自分を優先して欲しいと言っていた。長続きしない理由は多分これなんだろう。
「――千空も高校入ったんだし多少は世話焼かなくても大丈夫だろ?」
「いいや。あの子この前も寝ずに実験してたよ。やれる事増えて色々手出してるみたいだし……」
「あちゃ……」
私もそこそこ飲んでいるからか、我が家のエナジードリンクの消費量はエグい。私共々栄養不足で倒れてもおかしくない。
「アメリカのDr.Xともまだやり取りしてたはずだし。これからまた色々試すはずだよ。兄さんの宇宙での科学土産も合わせて」
「へへっ、そりゃ嬉しい限りだ。まあ俺が帰ってきて千空の面倒見る必要なくなりゃ五百里にも恋人の1人や2人出来るってよ」
「だといいんだけど」
私自身研究しているから恋人を優先できるかなんてわからないけど。
「ほらよ、それこそ今度行くとこでいい出会いあるんじゃねーの?」
「ああ、七海学園?まあ、同年代の人とかは居るけどね……」
文献調査に行くわけだし、出会いを求めていられるほど余裕があるかはわからない。
「――お、そろそろ時間だわ」
兄さんの声の向こう、シャミールだと思われる声が兄さんを呼ぶ。
「宇宙に行く前の最後の通話だからな。帰ってくんのは数ヶ月後だからそれまでは千空のことよろしくな」
「うん。打ち上げの時は中継見てるね。気をつけて」
おう!と元気よく返事をした。画面の向こうには顔を見せに来てくれたと思われる世界の歌姫、リリアンとシャミール。
これが最期の通話だった。
その日は宇宙に発つ兄、石神百夜との通話の約束をした日だった。
「明日からちょっと文献研究の仕事頼まれたから家空けるね」
「おう!院の研究は楽しいか?」
「んーやってることはまだ教授の手伝いばっかだよ。でも、学部生の時よりもやること多いし楽しい」
お互いの近況を語り合う。兄さんの話の大半はこれから一緒にソユーズに乗るシャミールとリリアンのこと。
私は研究室のことと千空のこと。
「そういや彼氏はできたかー?」
「ううっ」
兄の言葉が深く突き刺さる。
「最速3週間彼氏以降は全然だね……」
今までで恋人は何人か出来たことはある。長続きしたことは誰一人としていない。
「はは!そりゃ悪かった!まあ五百里も彼氏よりも千空の世話とか自分の研究優先しちまう質だからなぁ」
別れた元彼たちは大抵自分を優先して欲しいと言っていた。長続きしない理由は多分これなんだろう。
「――千空も高校入ったんだし多少は世話焼かなくても大丈夫だろ?」
「いいや。あの子この前も寝ずに実験してたよ。やれる事増えて色々手出してるみたいだし……」
「あちゃ……」
私もそこそこ飲んでいるからか、我が家のエナジードリンクの消費量はエグい。私共々栄養不足で倒れてもおかしくない。
「アメリカのDr.Xともまだやり取りしてたはずだし。これからまた色々試すはずだよ。兄さんの宇宙での科学土産も合わせて」
「へへっ、そりゃ嬉しい限りだ。まあ俺が帰ってきて千空の面倒見る必要なくなりゃ五百里にも恋人の1人や2人出来るってよ」
「だといいんだけど」
私自身研究しているから恋人を優先できるかなんてわからないけど。
「ほらよ、それこそ今度行くとこでいい出会いあるんじゃねーの?」
「ああ、七海学園?まあ、同年代の人とかは居るけどね……」
文献調査に行くわけだし、出会いを求めていられるほど余裕があるかはわからない。
「――お、そろそろ時間だわ」
兄さんの声の向こう、シャミールだと思われる声が兄さんを呼ぶ。
「宇宙に行く前の最後の通話だからな。帰ってくんのは数ヶ月後だからそれまでは千空のことよろしくな」
「うん。打ち上げの時は中継見てるね。気をつけて」
おう!と元気よく返事をした。画面の向こうには顔を見せに来てくれたと思われる世界の歌姫、リリアンとシャミール。
これが最期の通話だった。