未知との遭遇
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「うわっ」
「ぐえっ」
モヤに包まれた後、すぐに落下した感覚に襲われ、私は勝己の上に上手く着地していた。
「オイ、大丈夫か⁉」
「ごめん、勝己……」
切島くんも一緒にいて、私に手を貸してくれる。
あたりを見渡すけれど、他のクラスメイトはいない。私たち三人がこの場所に飛ばされた。多分、USJ内の倒壊ビルを模したエリアだ。
とりあえず、事情を知っている勝己がいる。何とかなるといいけど……
「て、早速敵⁉」
周囲の状況を理解してすぐにあたりに潜んでいたらしい敵たちが現れた。
元々私たち生徒を分散して潰す気でいたってことか。
人数は、馬鹿みたいに多いわけじゃない。倒壊はしているけど、ビルの中。多分声も通る。――でも、勝己がいると……
――いや、やらなくちゃだ。
「……勝己、歌うよ。いつでも戦えるようにして。――切島くん、悪いけど、勝己の耳抑えてて?」
「お、おう?」
「足が乾くまでは動けなくなるからね、私! 後は頼んだ‼」
勝己の耳が塞がれたのを確認して、戦闘服に備え付けてある水を取り出した。
そしてそれを――迷うことなく自分の頭にぶっかけた。
「お、おい魚住⁉」
私の個性。水があれば人魚になれる。まあ、足が乾くまで陸じゃ動けなくなるっていう制限付きだけど。
人魚状態で歌えば、歌声で敵を止めることができる。
人間状態でもできることにはできるけれど、人魚になった方が威力は上がる。この数だし、確実に止めるには捨て身の策で人魚になる方がいい。
『誘惑――いや、戦意喪失!』
歌声に戦意喪失をさせる効果を与える。歌声を聞いた敵たちは動きを鈍らせ、フラフラになる。
『今のうちに!』
私の声に二人が敵へと向かって行った。
「あらかた片付いたな」
現れた敵は全員無力化された。勝己に言わせれば「弱ぇ」らしい。
「奏、足は」
勝己が邪魔にならない所で座っていた私を振り返った。
『もうちょっとかな』
大量のタオルとかで尾を拭いてしまえればいいんだけれど、今はそれを持ち合わせていない。
「あのさ、さっき二人が話してるの聞こえたんだけどよ、魚住が狙われてるって本当か?」
敵が出てきたときに話したのを思い出す。そういえばそうだった。
となるとまずは、私の個性の説明からしなくちゃいけなくなる。
『えっとさ、切島くんは八百比丘尼伝説は知ってるかな?』
「人魚の肉を食った人間が八〇〇年生きたって話だよな?」
この話を知っていれば、話は早い。
『うん。この前の戦闘訓練で言ったように、私の血は怪我を治せる。血だけの摂取、ならね。でも、肉とかそういうのになると、不老長寿の妙薬になるって言われてるんだ。だから、結構小さい頃から敵に狙われることとかあったんだよね』
変なおじさんに話しかけるのは日常茶飯事だったし。敵に誘拐されそうになるのも慣れたくはなかったが、よくあることだった。
『でも、今回はモヤが狙いはオールマイトだって言ってた。ついでに狙われる可能性はあるけれどね。……――よし、乾いた』
尾びれから人間の足に戻る。
「っし! 早く皆を助けに行こうぜ! 俺らがここにいるってことからして、皆USJ内にいるだろうし! 攻撃手段少ねえ奴らが心配だ! 俺らが先走った所為で13号先生が後手に回った。先生があのモヤ吸っちまえばこんなことになっていなかったんだ。男として責任取らなきゃ……」
確かに、他にも飛ばされて敵に囲まれている人たちがいるってことだ。救援を呼ぶにしても、何かをしなくちゃいけない。
「行きてえなら一人で行け。俺はあのワープゲートぶっ殺す!」
「はあ⁉」
三人で助けに行こうって流れだったのに、何でそんなことを⁉
「この期に及んでそんなガキみてぇな……それに、アイツに攻撃は……」
そうだ。モヤには勝己の爆破も切島くんの攻撃も効いていなかった。どうやって倒す気なんだ。
「うっせ! 敵の出入り口だぞ。いざって時逃げ出さねえように元を締めとくんだよ! モヤの対策もねえわけじゃねえ……!」
「んなこと言ったって……」
勝己の出入り口を塞ぐという策は、至極真っ当であるけれども……
勝己の隣で考えあぐねていると切島くんが私の後ろの何かに気が付いた。
「わっ」
咄嗟に勝己に抱き寄せられて、後ろで爆破音が響く。
倒し損ねていた敵が襲ってきたようだった。
「つーか生徒に充てられたのがこんな三下なら、大概大丈夫だろ」
三下て……でも、学生の私たちにやられてしまう程度なら、そうなるのか。
「つーかそんな冷静な感じだっけ? おめぇ……」
「あんなんでも雄英に受かる学力はあるからね……」
冷静な勝己に切島くんが困惑する。
「俺はいつでも冷静だ、クソ髪野郎‼」
「ああ、そっちだ」
勝己はああ見えて冷静に物事を考えるタイプだ。普段の言動がそれに伴っていないだけで。あと普通に昔から頭いいし。
「じゃあ行っちまえ」
「待て待て、ダチを信じる……! 男らしいぜ爆豪! ノったよ、おめぇに!」
「私もできる限りのサポートするよ! 怪我したら治す! し!」
「奏は他の奴らと合流しろ」
二人だけで行くってどういうことだ。
「何で⁉」
「お前は敵に狙われやすいだろうが‼ 前線に出るんじゃねぇ‼」
「うぅ……」
まさに正論。二人に敵と戦う以外に私を守るっていうことも任せなくちゃいけなくなる。頭では納得できるけど、二人だけで行かせるなんてのは絶対に譲れない。
「ぐえっ」
モヤに包まれた後、すぐに落下した感覚に襲われ、私は勝己の上に上手く着地していた。
「オイ、大丈夫か⁉」
「ごめん、勝己……」
切島くんも一緒にいて、私に手を貸してくれる。
あたりを見渡すけれど、他のクラスメイトはいない。私たち三人がこの場所に飛ばされた。多分、USJ内の倒壊ビルを模したエリアだ。
とりあえず、事情を知っている勝己がいる。何とかなるといいけど……
「て、早速敵⁉」
周囲の状況を理解してすぐにあたりに潜んでいたらしい敵たちが現れた。
元々私たち生徒を分散して潰す気でいたってことか。
人数は、馬鹿みたいに多いわけじゃない。倒壊はしているけど、ビルの中。多分声も通る。――でも、勝己がいると……
――いや、やらなくちゃだ。
「……勝己、歌うよ。いつでも戦えるようにして。――切島くん、悪いけど、勝己の耳抑えてて?」
「お、おう?」
「足が乾くまでは動けなくなるからね、私! 後は頼んだ‼」
勝己の耳が塞がれたのを確認して、戦闘服に備え付けてある水を取り出した。
そしてそれを――迷うことなく自分の頭にぶっかけた。
「お、おい魚住⁉」
私の個性。水があれば人魚になれる。まあ、足が乾くまで陸じゃ動けなくなるっていう制限付きだけど。
人魚状態で歌えば、歌声で敵を止めることができる。
人間状態でもできることにはできるけれど、人魚になった方が威力は上がる。この数だし、確実に止めるには捨て身の策で人魚になる方がいい。
『誘惑――いや、戦意喪失!』
歌声に戦意喪失をさせる効果を与える。歌声を聞いた敵たちは動きを鈍らせ、フラフラになる。
『今のうちに!』
私の声に二人が敵へと向かって行った。
「あらかた片付いたな」
現れた敵は全員無力化された。勝己に言わせれば「弱ぇ」らしい。
「奏、足は」
勝己が邪魔にならない所で座っていた私を振り返った。
『もうちょっとかな』
大量のタオルとかで尾を拭いてしまえればいいんだけれど、今はそれを持ち合わせていない。
「あのさ、さっき二人が話してるの聞こえたんだけどよ、魚住が狙われてるって本当か?」
敵が出てきたときに話したのを思い出す。そういえばそうだった。
となるとまずは、私の個性の説明からしなくちゃいけなくなる。
『えっとさ、切島くんは八百比丘尼伝説は知ってるかな?』
「人魚の肉を食った人間が八〇〇年生きたって話だよな?」
この話を知っていれば、話は早い。
『うん。この前の戦闘訓練で言ったように、私の血は怪我を治せる。血だけの摂取、ならね。でも、肉とかそういうのになると、不老長寿の妙薬になるって言われてるんだ。だから、結構小さい頃から敵に狙われることとかあったんだよね』
変なおじさんに話しかけるのは日常茶飯事だったし。敵に誘拐されそうになるのも慣れたくはなかったが、よくあることだった。
『でも、今回はモヤが狙いはオールマイトだって言ってた。ついでに狙われる可能性はあるけれどね。……――よし、乾いた』
尾びれから人間の足に戻る。
「っし! 早く皆を助けに行こうぜ! 俺らがここにいるってことからして、皆USJ内にいるだろうし! 攻撃手段少ねえ奴らが心配だ! 俺らが先走った所為で13号先生が後手に回った。先生があのモヤ吸っちまえばこんなことになっていなかったんだ。男として責任取らなきゃ……」
確かに、他にも飛ばされて敵に囲まれている人たちがいるってことだ。救援を呼ぶにしても、何かをしなくちゃいけない。
「行きてえなら一人で行け。俺はあのワープゲートぶっ殺す!」
「はあ⁉」
三人で助けに行こうって流れだったのに、何でそんなことを⁉
「この期に及んでそんなガキみてぇな……それに、アイツに攻撃は……」
そうだ。モヤには勝己の爆破も切島くんの攻撃も効いていなかった。どうやって倒す気なんだ。
「うっせ! 敵の出入り口だぞ。いざって時逃げ出さねえように元を締めとくんだよ! モヤの対策もねえわけじゃねえ……!」
「んなこと言ったって……」
勝己の出入り口を塞ぐという策は、至極真っ当であるけれども……
勝己の隣で考えあぐねていると切島くんが私の後ろの何かに気が付いた。
「わっ」
咄嗟に勝己に抱き寄せられて、後ろで爆破音が響く。
倒し損ねていた敵が襲ってきたようだった。
「つーか生徒に充てられたのがこんな三下なら、大概大丈夫だろ」
三下て……でも、学生の私たちにやられてしまう程度なら、そうなるのか。
「つーかそんな冷静な感じだっけ? おめぇ……」
「あんなんでも雄英に受かる学力はあるからね……」
冷静な勝己に切島くんが困惑する。
「俺はいつでも冷静だ、クソ髪野郎‼」
「ああ、そっちだ」
勝己はああ見えて冷静に物事を考えるタイプだ。普段の言動がそれに伴っていないだけで。あと普通に昔から頭いいし。
「じゃあ行っちまえ」
「待て待て、ダチを信じる……! 男らしいぜ爆豪! ノったよ、おめぇに!」
「私もできる限りのサポートするよ! 怪我したら治す! し!」
「奏は他の奴らと合流しろ」
二人だけで行くってどういうことだ。
「何で⁉」
「お前は敵に狙われやすいだろうが‼ 前線に出るんじゃねぇ‼」
「うぅ……」
まさに正論。二人に敵と戦う以外に私を守るっていうことも任せなくちゃいけなくなる。頭では納得できるけど、二人だけで行かせるなんてのは絶対に譲れない。