デクVSかっちゃん2
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一番大きい爆発音。
勝負が着いた。勝己が勝った。一応。
二人ともボロボロだった。
「魚住少女、出ておいで」
オールマイトが出てきて二人と話した後、隠れていた私に声をかけてきた。
バレずに上手く隠れていたつもりでいたけれど、オールマイトには見抜かれていたようだった。
「――……ごめん、聞こえてた、リビングでのこと……」
ゆっくりと影から出てきて二人の顔を見た。
あれだけ大暴れしても気づけなかったから驚いたような顔にも見えたし、私が泣きそうな顔をしていたから戸惑っているようにも見えた。
ボロボロになって拳をぶつけ合って、本音をさらけ出せて、二人がうらやましい。
「――なんでっ……‼」
二人へ向かって歩きながら拳を強く握り込む。どんどんと勢いがついて行くのがわかる。
拳を振りかぶってまずは勝己に一撃。すぐに勢いを殺さないで出久に一撃だった。
オールマイトはやせ細った体でポカーンと突っ立っていた。
私がこんなことをするなんて予想もしていなかったみたいだ。
最初のうちは、勝己の抱えていたことを知ることもできなくて悔しくて、悲しかった。でも段々と二人が戦っているのを見て、羨まくて悔しくなった。
二人とも私に対してはこんなふうにしてはくれないだろう。殴り合って本音で話すことなんてきっと、絶対に。
だから、というのも無理やりのような、子供じみた理由ではあるけれど、私はこれしかできなかった。
「なんで‼ 言ってくれなかったんだよ‼ 私だって……アンタたちと幼馴染で……勝己は……私は、ずっとかっちゃんの近くにいると思ってたのに‼」
泣くもんかと、泣く立場ではないと心に決めていたのに、涙が溢れた。
「――世界で一番好きな人がつらい思いをしてるなら、支えてあげたかったのに」
言えるはずなかったのはわかっている。オールマイトの“個性”のことなんてそう簡単に言えるわけがなかった。
想いが通じ合えただけで満足して、浮かれて、勝己の苦しみなんてわからなかった自分に腹が立つ。
「かっちゃんの、ばかやろう……」
一番ばかなのは自分自身だ。
私がどうにかして涙を収めて落ち着いてからオールマイトは話してくれた。
オールマイトの“個性”が巨悪に立ち向かう為代々受け継がれてきた力ということ。その力でナンバーワンヒーロー・平和の象徴となったこと。傷を負い、限界を迎えていたこと。そして、後継を選んだこと。
その後継は出久だということ。
「まあ……確かに…力の所在とかで混乱が起きるんだね」
「っとに……何でバラしてんだクソデク……」
嘘をつけないのは出久のいいところでもあるけれど、これは簡単に口外しちゃいけない所だ。
「私が力尽きたのは私の選択だ。さっきも言ったが君の責任じゃないよ」
「……」
「……奏ちゃん。この秘密を知ってるってことは、危険が伴うんだ。だから――」
「敵に狙われるなんて昔からだっての」
出久はこのことを私に話すのに一番渋った。危険が伴う。そんなことわかっている。現にオールマイトと戦ったのは、敵連合のボスで半端なく強かった。
「今更理由が増えたってどうってことない。それよりも、バカみたいに怪我するんなら治せる人間はいた方がいいでしょ」
「……でも」
入学してからずっとボロボロになる出久を見てきた。こいつは絶対に無理をする。いつかまた出久が巨悪と戦う日が来るとして、事情を知っている私がいれば、多少は何かができるはずだ。
「私はそんなに心配されるほど弱くないっての! 今ここで戦う⁉」
「コラコラ、やめなさい魚住少女」
歩きながら拳を構える。武器はないけど一戦交える余裕はあるが、オールマイトに止められてしまった。
「結局……俺のやることは変わんねえや……」
勝己はいつだって、『オールマイトをも超えるヒーロー』になるんだ。
「俺も全部俺のモンにして上へ行く。“選ばれた”おまえよりもな」
「じゃっ…じゃあ僕はその上を行く。行かなきゃいけないんだ……!」
前を歩く二人が言い合いを始める。
勝己は出久を超えたい。そしてその出久も勝己を超えたい。
もうどっちがどっちだかわからなくなって私は後ろで苦笑いしかできなかった。
「……私は、二人に追いつけるよう頑張るからね」
ギャンギャン吠える勝己と出久の後ろで私は、静かに決意を呟いた。
勝負が着いた。勝己が勝った。一応。
二人ともボロボロだった。
「魚住少女、出ておいで」
オールマイトが出てきて二人と話した後、隠れていた私に声をかけてきた。
バレずに上手く隠れていたつもりでいたけれど、オールマイトには見抜かれていたようだった。
「――……ごめん、聞こえてた、リビングでのこと……」
ゆっくりと影から出てきて二人の顔を見た。
あれだけ大暴れしても気づけなかったから驚いたような顔にも見えたし、私が泣きそうな顔をしていたから戸惑っているようにも見えた。
ボロボロになって拳をぶつけ合って、本音をさらけ出せて、二人がうらやましい。
「――なんでっ……‼」
二人へ向かって歩きながら拳を強く握り込む。どんどんと勢いがついて行くのがわかる。
拳を振りかぶってまずは勝己に一撃。すぐに勢いを殺さないで出久に一撃だった。
オールマイトはやせ細った体でポカーンと突っ立っていた。
私がこんなことをするなんて予想もしていなかったみたいだ。
最初のうちは、勝己の抱えていたことを知ることもできなくて悔しくて、悲しかった。でも段々と二人が戦っているのを見て、羨まくて悔しくなった。
二人とも私に対してはこんなふうにしてはくれないだろう。殴り合って本音で話すことなんてきっと、絶対に。
だから、というのも無理やりのような、子供じみた理由ではあるけれど、私はこれしかできなかった。
「なんで‼ 言ってくれなかったんだよ‼ 私だって……アンタたちと幼馴染で……勝己は……私は、ずっとかっちゃんの近くにいると思ってたのに‼」
泣くもんかと、泣く立場ではないと心に決めていたのに、涙が溢れた。
「――世界で一番好きな人がつらい思いをしてるなら、支えてあげたかったのに」
言えるはずなかったのはわかっている。オールマイトの“個性”のことなんてそう簡単に言えるわけがなかった。
想いが通じ合えただけで満足して、浮かれて、勝己の苦しみなんてわからなかった自分に腹が立つ。
「かっちゃんの、ばかやろう……」
一番ばかなのは自分自身だ。
私がどうにかして涙を収めて落ち着いてからオールマイトは話してくれた。
オールマイトの“個性”が巨悪に立ち向かう為代々受け継がれてきた力ということ。その力でナンバーワンヒーロー・平和の象徴となったこと。傷を負い、限界を迎えていたこと。そして、後継を選んだこと。
その後継は出久だということ。
「まあ……確かに…力の所在とかで混乱が起きるんだね」
「っとに……何でバラしてんだクソデク……」
嘘をつけないのは出久のいいところでもあるけれど、これは簡単に口外しちゃいけない所だ。
「私が力尽きたのは私の選択だ。さっきも言ったが君の責任じゃないよ」
「……」
「……奏ちゃん。この秘密を知ってるってことは、危険が伴うんだ。だから――」
「敵に狙われるなんて昔からだっての」
出久はこのことを私に話すのに一番渋った。危険が伴う。そんなことわかっている。現にオールマイトと戦ったのは、敵連合のボスで半端なく強かった。
「今更理由が増えたってどうってことない。それよりも、バカみたいに怪我するんなら治せる人間はいた方がいいでしょ」
「……でも」
入学してからずっとボロボロになる出久を見てきた。こいつは絶対に無理をする。いつかまた出久が巨悪と戦う日が来るとして、事情を知っている私がいれば、多少は何かができるはずだ。
「私はそんなに心配されるほど弱くないっての! 今ここで戦う⁉」
「コラコラ、やめなさい魚住少女」
歩きながら拳を構える。武器はないけど一戦交える余裕はあるが、オールマイトに止められてしまった。
「結局……俺のやることは変わんねえや……」
勝己はいつだって、『オールマイトをも超えるヒーロー』になるんだ。
「俺も全部俺のモンにして上へ行く。“選ばれた”おまえよりもな」
「じゃっ…じゃあ僕はその上を行く。行かなきゃいけないんだ……!」
前を歩く二人が言い合いを始める。
勝己は出久を超えたい。そしてその出久も勝己を超えたい。
もうどっちがどっちだかわからなくなって私は後ろで苦笑いしかできなかった。
「……私は、二人に追いつけるよう頑張るからね」
ギャンギャン吠える勝己と出久の後ろで私は、静かに決意を呟いた。