デクVSかっちゃん2
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「てめェの“個性の話”だ」
仮免試験が終わって、皆が寮の共有スペースでくつろいでいる中、すれ違いざまに勝己が出久に言った言葉。
耳はいいから聞こえてしまった。
出久の個性。四歳の頃から小学校の卒業まで。出久に個性なんてなかった。『無個性』だった。
高校に入って久しぶりに会った時に出久は「個性」を持っていた。
上手く制御ができていないのか、「個性」使うたびに身体をボロボロにする増強型の個性だった。確か滅多に会うことはなかったけど、出久のお父さんは火を吹く個性で、お母さんは物を引き寄せる個性。突然変異と言われればそれまでだけど、どうにも腑に落ちなかった。
まるで……つい最近に個性が発現したような。
夜も更けて皆が眠りについた頃、私は静かに寮を抜け出した。
勝己と出久のあとを追った。
グランウンドβ。入学して最初のヒーロー基礎学の授業。ここで戦闘訓練をしたときに勝己が出久に負けた場所。
勝己が初めて負けた場所。
いわば、因縁の場所だ。
ビルの影に隠れて二人の話を盗み聞く。二人とも気付いてはいなかった。
勝己が淡々と、出久の個性を語る。私の抱えた疑問を勝己も持っていた。
勝己は出久の個性が『他人から授かったもの』だと聞いた。
そして、オールマイトが雄英に来たこと、神野事件のこと、それらを照らし合わせて勝己が出した答え。
「オールマイトから貰ったんだろ、その“個性”」
――ああ、そうだ。考えればそうだった。出久の“個性”はオールマイトによく似ている。USJに行くときのバスの中で梅雨ちゃんが出久にそんなことを言っていた。
使うたびに身体をボロボロにしていたから気づけないだけで、出久のパワーはオールマイトに相当していた。
そうか、出久は憧れのオールマイトから“個性”を貰ったんだ。
出久の憧れで勝己の憧れのオールマイトから。
二人は、戦った。
勝己はずっとつらかったんだ。自分が弱いせいで敵に捕まって、そのせいでオールマイトは敵連合のボスと戦うことになって、引退させてしまった。
ずっとずっと抱え込んでいた。どうすればいいかなんてわからなくて。
今、敵犯罪は増加している。理由は明らか。象徴の不在。オールマイトの引退は、社会に大きな影響を及ぼしていた。
今日の仮免試験だってオールマイトの引退を受けて、より質の高いヒーローをという目的で試験内容が組まれていた。
オールマイトの引退の原因は敵連合ボスとの戦い。起因は、勝己が連合に攫われたから。
勝己はここまでのすべてを理解して自分を責めている。
何で、私は一番大切な人がこんなにも苦しんでいるのに何も、何かを知ることもできなかったんだ。
出久は憧れのオールマイトに認められて強くなっているのに、自分はオールマイトを終わらせてしまった。
「どんだけピンチでも最後は絶対勝つんだよなあ‼」
勝己がそう言って憧れたのがオールマイトだ。
「どうすりゃいいかわかんねんだよ‼」
勝己の悲痛な声。
こんな声聞いたことがなかった。聞けるはずもなかった。勝己はいつだって私に弱いところなんて見せない。
いつも私の前で勝己は“勝つヒーロー”だった。
自分の無力さに、不甲斐なさに泣くことはできなかった。泣く資格なんてなかった。
この勝己の抱え込んだ思いを受けられるのは、出久しかいない。
震える唇を噛み締めて、二人の戦いが終わるのを待つことしか私にはできなかった。
仮免試験が終わって、皆が寮の共有スペースでくつろいでいる中、すれ違いざまに勝己が出久に言った言葉。
耳はいいから聞こえてしまった。
出久の個性。四歳の頃から小学校の卒業まで。出久に個性なんてなかった。『無個性』だった。
高校に入って久しぶりに会った時に出久は「個性」を持っていた。
上手く制御ができていないのか、「個性」使うたびに身体をボロボロにする増強型の個性だった。確か滅多に会うことはなかったけど、出久のお父さんは火を吹く個性で、お母さんは物を引き寄せる個性。突然変異と言われればそれまでだけど、どうにも腑に落ちなかった。
まるで……つい最近に個性が発現したような。
夜も更けて皆が眠りについた頃、私は静かに寮を抜け出した。
勝己と出久のあとを追った。
グランウンドβ。入学して最初のヒーロー基礎学の授業。ここで戦闘訓練をしたときに勝己が出久に負けた場所。
勝己が初めて負けた場所。
いわば、因縁の場所だ。
ビルの影に隠れて二人の話を盗み聞く。二人とも気付いてはいなかった。
勝己が淡々と、出久の個性を語る。私の抱えた疑問を勝己も持っていた。
勝己は出久の個性が『他人から授かったもの』だと聞いた。
そして、オールマイトが雄英に来たこと、神野事件のこと、それらを照らし合わせて勝己が出した答え。
「オールマイトから貰ったんだろ、その“個性”」
――ああ、そうだ。考えればそうだった。出久の“個性”はオールマイトによく似ている。USJに行くときのバスの中で梅雨ちゃんが出久にそんなことを言っていた。
使うたびに身体をボロボロにしていたから気づけないだけで、出久のパワーはオールマイトに相当していた。
そうか、出久は憧れのオールマイトから“個性”を貰ったんだ。
出久の憧れで勝己の憧れのオールマイトから。
二人は、戦った。
勝己はずっとつらかったんだ。自分が弱いせいで敵に捕まって、そのせいでオールマイトは敵連合のボスと戦うことになって、引退させてしまった。
ずっとずっと抱え込んでいた。どうすればいいかなんてわからなくて。
今、敵犯罪は増加している。理由は明らか。象徴の不在。オールマイトの引退は、社会に大きな影響を及ぼしていた。
今日の仮免試験だってオールマイトの引退を受けて、より質の高いヒーローをという目的で試験内容が組まれていた。
オールマイトの引退の原因は敵連合ボスとの戦い。起因は、勝己が連合に攫われたから。
勝己はここまでのすべてを理解して自分を責めている。
何で、私は一番大切な人がこんなにも苦しんでいるのに何も、何かを知ることもできなかったんだ。
出久は憧れのオールマイトに認められて強くなっているのに、自分はオールマイトを終わらせてしまった。
「どんだけピンチでも最後は絶対勝つんだよなあ‼」
勝己がそう言って憧れたのがオールマイトだ。
「どうすりゃいいかわかんねんだよ‼」
勝己の悲痛な声。
こんな声聞いたことがなかった。聞けるはずもなかった。勝己はいつだって私に弱いところなんて見せない。
いつも私の前で勝己は“勝つヒーロー”だった。
自分の無力さに、不甲斐なさに泣くことはできなかった。泣く資格なんてなかった。
この勝己の抱え込んだ思いを受けられるのは、出久しかいない。
震える唇を噛み締めて、二人の戦いが終わるのを待つことしか私にはできなかった。