THE 試験
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そして、訓練の日々は流れ――……
ヒーロー仮免許取得試験当日がやって来た。
「この試験に合格し仮免許を取得できれば、おまえら志望者は晴れてヒヨッ子……セミプロへと孵化できる。頑張ってこい」
「っしゃあなってやろうぜヒヨッ子によォ‼」
今まで有精卵だ、なんだと言われていた私たちがやっとヒヨッ子……
「いつもの一発決めて行こーぜ! せーのっ“PLUS……」
「ULTRA‼」
音頭を取った切島くんの言葉に続いたのは、A組の誰でもなかった。
学生帽の巨漢。おそらくは他校のヒーロー科の生徒だ。
「勝手に他所様の円陣へ加わるのは良くないよ、イナサ」
「ああ、しまった‼ どうも大変失礼致しましたァ‼」
すごい勢いで頭を下げた。学生帽は吹っ飛んだし、頭が地面に着いてる。音もおおよそ頭を下げた時にする音じゃない。
「なんだこのテンションだけで乗り切る感じの人は⁉」
「飯田と切島を足して二乗したような……!」
なんだその混生物。
「待って、あの制服……!」
「あ! マジでか」
「アレじゃん‼ 西の‼‼ 有名な‼」
ヤバい人の所為で注目が集まって周りの受験生たちからざわざわと囁かれる。
「東の雄英、西の士傑」
「数あるヒーロー科の中でも雄英に匹敵する程の難関校――……士傑高校!」
噂には聞いていた、これが士傑高校……
「勝己、何その高校生探偵的なやつ」
「通称だろ、知らんのか」
「そこまでは知らんかった……」
元々ヒーロー科は雄英一択だったからなぁ。士傑は全然視野に入れてなかった。昔から勝己も出久も雄英に行くって言ってたからかな。
あのヤバい人は夜嵐イナサ。雄英の推薦入試をトップで合格したのに入学を辞退した人だそうだ。
「ってことは……轟くんより実力は上……」
雄英好きっぽいのに変な人だ。
「イレイザー⁉ イレイザーじゃないか‼ テレビや体育祭で姿は見てたけど、こうして直で会うのは久し振りだな‼‼」
女性のヒーローが相澤先生に話しかけてきた。振り向いた相澤先生は嫌そうな顔をしている。珍しい。
「結婚しようぜ」
「しない」
「わあ‼」
またもや色恋っぽい話に芦戸ちゃんが色めき立った。
「スマイルヒーロー『Ms.ジョーク』! “個性”は『爆笑』! 近くの人を強制的に笑わせて思考・行動共に鈍らせるんだ! 彼女の敵退治は狂気に満ちてるよ!」
出久の解説がある。ああ、この人か。テレビで見たことがある。そうだ、敵退治の様子が狂った空間過ぎて印象に残っているんだ。
「傑物学園高校二年二組! 私の受け持ちよろしくな」
Ms.ジョークの受け持ちの生徒がやってくる。テレビで見たと浮かれていたりと雄英生は有名なのがわかる。体育祭の影響…と敵襲撃もあるのか。
「俺は真堂! 今年の雄英はトラブル続きで大変だったね」
傑物の生徒の一人、爽やかそうな黒髪の人が近づく。近くにいた出久や上鳴くん、耳郎ちゃんの手を取っていく。
「しかし君たちはこうしてヒーローを志し続けているんだね。すばらしいよ‼ 不屈の心こそこれからのヒーローが持つべき素養だと思う‼」
バチコンッとウィンクを決めてきてまぶしい。
まさにドストレートに爽やかイケメンだ。
「中でも神野事件を中心で経験した爆豪くん。君は特別に強い心を持っている」
初対面で勝己に絡んでいくなんて命知らず、というか度胸ある人だな。
「今日は君たちの胸を借りるつもりで頑張らせてもらうよ」
「フかしてんじゃねえ。台詞と面が合ってねえんだよ」
「あ、コラ勝己!」
真堂さんが差し出した手を勝己が叩く。
「良いんだよ! 心が強い証拠さ!魚住さんもよろしく!」
「あ、はい――」
真堂さんの握手に応えようとして手を差し出したところで、後ろから襟首を掴まれた。
「か、勝己⁉」
振り返ると勝己が私の襟を引っ張っていた。息苦しいから即刻手を放して欲しい。
「ロクなこと考えてねえんだから、ほっとけ」
「はあ⁉」
「こらおめー失礼だろ!すみません、無礼で……」
勝己と私を特に注目していたのだからまあ、悪い意味で名が知られてしまっているのだろう。この人もそういう類だと思って勝己は警戒していると言ったところか。
「そうだとしても失礼なことはしちゃダメでしょうが。知らん顔しておけばいいんだよ」
変に目立つときはそうしておけばいいんだ。これは私の経験則だ。あと所構わず敵を作るのはよくないっていう考えだ。
「――もしかして、嫉妬?」
これは完全に自惚れだ。多分違うだろう。
「……」
勝己の答えは沈黙。多分外れだろうな、残念。
会場にぎゅうぎゅうに受験者が詰められ試験の説明が始まった。
「ずばりこの場にいる受験者一五四〇人一斉に勝ち抜けの演習を行ってもらいます」
ヒーロー公安委員会の人が眠そうに気だるげに説明を続ける。
「君たちは仮免許を取得し、いよいよその激流の中に身を投じる。そのスピードについていけない者、ハッキリ言って厳しい。よって試されるは、スピード!条件達成者先着一〇〇名を通過とします」
1540人の中から100人だけ⁉ 半分の五割もないのか。
ヒーロー殺し、神野事件のオールマイト引退。社会が大きく変化した。だから仕方のないことかもしれない。
そして今回の条件というのが、受験者のつけたターゲットをボールで当てる。3つつけられたターゲットが全部当てられたら脱落。二人倒したらクリア。
入学試験と似ているけど、ロボとは勝手が違う。ボールの所持数は合格ラインぴったり。無駄打ちはできないし、三つ目のターゲットをかすめ取る策を推奨している節もある。
これは、入試以上に苛烈なルールになっているんだ。
「えー……じゃ展開後、ターゲットとボール配るんで、全員に行き渡ってから1分後にスタートとします」
「展開?」
意味が分からず上を見上げると、天井が開き出した。
箱状の試験の説明会場が開く。まさに、展開。無駄に大掛かりだ。
「先着で合格なら……同校で潰し合いは無い……むしろ手の内を知った仲でチームアップが勝ち筋……! 皆! あまり離れず一かたまりで動こう!」
展開後呆気にとられる中、出久が指示を出す。
「フザけろ遠足じゃねえんだよ」
「バッカ待て待て‼」
タッタカターと勝己がクラスの中から離れる。それを追って切島くんも離れていった。
「ええー! 爆豪、切島ー‼」
「わ、私も追っかける!」
上鳴くんもそれを追い、そしてまた私も三人を追いかけた。
ヒーロー仮免許取得試験当日がやって来た。
「この試験に合格し仮免許を取得できれば、おまえら志望者は晴れてヒヨッ子……セミプロへと孵化できる。頑張ってこい」
「っしゃあなってやろうぜヒヨッ子によォ‼」
今まで有精卵だ、なんだと言われていた私たちがやっとヒヨッ子……
「いつもの一発決めて行こーぜ! せーのっ“PLUS……」
「ULTRA‼」
音頭を取った切島くんの言葉に続いたのは、A組の誰でもなかった。
学生帽の巨漢。おそらくは他校のヒーロー科の生徒だ。
「勝手に他所様の円陣へ加わるのは良くないよ、イナサ」
「ああ、しまった‼ どうも大変失礼致しましたァ‼」
すごい勢いで頭を下げた。学生帽は吹っ飛んだし、頭が地面に着いてる。音もおおよそ頭を下げた時にする音じゃない。
「なんだこのテンションだけで乗り切る感じの人は⁉」
「飯田と切島を足して二乗したような……!」
なんだその混生物。
「待って、あの制服……!」
「あ! マジでか」
「アレじゃん‼ 西の‼‼ 有名な‼」
ヤバい人の所為で注目が集まって周りの受験生たちからざわざわと囁かれる。
「東の雄英、西の士傑」
「数あるヒーロー科の中でも雄英に匹敵する程の難関校――……士傑高校!」
噂には聞いていた、これが士傑高校……
「勝己、何その高校生探偵的なやつ」
「通称だろ、知らんのか」
「そこまでは知らんかった……」
元々ヒーロー科は雄英一択だったからなぁ。士傑は全然視野に入れてなかった。昔から勝己も出久も雄英に行くって言ってたからかな。
あのヤバい人は夜嵐イナサ。雄英の推薦入試をトップで合格したのに入学を辞退した人だそうだ。
「ってことは……轟くんより実力は上……」
雄英好きっぽいのに変な人だ。
「イレイザー⁉ イレイザーじゃないか‼ テレビや体育祭で姿は見てたけど、こうして直で会うのは久し振りだな‼‼」
女性のヒーローが相澤先生に話しかけてきた。振り向いた相澤先生は嫌そうな顔をしている。珍しい。
「結婚しようぜ」
「しない」
「わあ‼」
またもや色恋っぽい話に芦戸ちゃんが色めき立った。
「スマイルヒーロー『Ms.ジョーク』! “個性”は『爆笑』! 近くの人を強制的に笑わせて思考・行動共に鈍らせるんだ! 彼女の敵退治は狂気に満ちてるよ!」
出久の解説がある。ああ、この人か。テレビで見たことがある。そうだ、敵退治の様子が狂った空間過ぎて印象に残っているんだ。
「傑物学園高校二年二組! 私の受け持ちよろしくな」
Ms.ジョークの受け持ちの生徒がやってくる。テレビで見たと浮かれていたりと雄英生は有名なのがわかる。体育祭の影響…と敵襲撃もあるのか。
「俺は真堂! 今年の雄英はトラブル続きで大変だったね」
傑物の生徒の一人、爽やかそうな黒髪の人が近づく。近くにいた出久や上鳴くん、耳郎ちゃんの手を取っていく。
「しかし君たちはこうしてヒーローを志し続けているんだね。すばらしいよ‼ 不屈の心こそこれからのヒーローが持つべき素養だと思う‼」
バチコンッとウィンクを決めてきてまぶしい。
まさにドストレートに爽やかイケメンだ。
「中でも神野事件を中心で経験した爆豪くん。君は特別に強い心を持っている」
初対面で勝己に絡んでいくなんて命知らず、というか度胸ある人だな。
「今日は君たちの胸を借りるつもりで頑張らせてもらうよ」
「フかしてんじゃねえ。台詞と面が合ってねえんだよ」
「あ、コラ勝己!」
真堂さんが差し出した手を勝己が叩く。
「良いんだよ! 心が強い証拠さ!魚住さんもよろしく!」
「あ、はい――」
真堂さんの握手に応えようとして手を差し出したところで、後ろから襟首を掴まれた。
「か、勝己⁉」
振り返ると勝己が私の襟を引っ張っていた。息苦しいから即刻手を放して欲しい。
「ロクなこと考えてねえんだから、ほっとけ」
「はあ⁉」
「こらおめー失礼だろ!すみません、無礼で……」
勝己と私を特に注目していたのだからまあ、悪い意味で名が知られてしまっているのだろう。この人もそういう類だと思って勝己は警戒していると言ったところか。
「そうだとしても失礼なことはしちゃダメでしょうが。知らん顔しておけばいいんだよ」
変に目立つときはそうしておけばいいんだ。これは私の経験則だ。あと所構わず敵を作るのはよくないっていう考えだ。
「――もしかして、嫉妬?」
これは完全に自惚れだ。多分違うだろう。
「……」
勝己の答えは沈黙。多分外れだろうな、残念。
会場にぎゅうぎゅうに受験者が詰められ試験の説明が始まった。
「ずばりこの場にいる受験者一五四〇人一斉に勝ち抜けの演習を行ってもらいます」
ヒーロー公安委員会の人が眠そうに気だるげに説明を続ける。
「君たちは仮免許を取得し、いよいよその激流の中に身を投じる。そのスピードについていけない者、ハッキリ言って厳しい。よって試されるは、スピード!条件達成者先着一〇〇名を通過とします」
1540人の中から100人だけ⁉ 半分の五割もないのか。
ヒーロー殺し、神野事件のオールマイト引退。社会が大きく変化した。だから仕方のないことかもしれない。
そして今回の条件というのが、受験者のつけたターゲットをボールで当てる。3つつけられたターゲットが全部当てられたら脱落。二人倒したらクリア。
入学試験と似ているけど、ロボとは勝手が違う。ボールの所持数は合格ラインぴったり。無駄打ちはできないし、三つ目のターゲットをかすめ取る策を推奨している節もある。
これは、入試以上に苛烈なルールになっているんだ。
「えー……じゃ展開後、ターゲットとボール配るんで、全員に行き渡ってから1分後にスタートとします」
「展開?」
意味が分からず上を見上げると、天井が開き出した。
箱状の試験の説明会場が開く。まさに、展開。無駄に大掛かりだ。
「先着で合格なら……同校で潰し合いは無い……むしろ手の内を知った仲でチームアップが勝ち筋……! 皆! あまり離れず一かたまりで動こう!」
展開後呆気にとられる中、出久が指示を出す。
「フザけろ遠足じゃねえんだよ」
「バッカ待て待て‼」
タッタカターと勝己がクラスの中から離れる。それを追って切島くんも離れていった。
「ええー! 爆豪、切島ー‼」
「わ、私も追っかける!」
上鳴くんもそれを追い、そしてまた私も三人を追いかけた。