THE 試験
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コスチュームの改良について、専門外のことは考えてもわからないから、何かいじりたくなったら校舎一階にある開発攻防に行き、専門の方に聞くように。
「あれ魚住もサポート科?」
「耳郎ちゃん。うん、サポートアイテムの相談に。耳郎ちゃんは?」
「ウチはスピーカーの強化」
「スピーカーかぁ……」
脳直のスピーカーはこれからも使える時は使っていきたいけど、必殺技に上手く組み込めるアイディアが出ない。
「耳郎ちゃんの足元のスピーカーってどんな感じ? 動きとか……」
「ん、慣れちゃってるから何とも言えないけど、機動力落ちる感じはないね」
「そっかぁ」
マイク先生みたいにスピーカーで強化するのもアリではあるけど、変にアイテム装備していると肉弾戦に持ち込みにくいか。
「どうしたものか……」
「悩んでんね」
「うーん……」
取り敢えず近接格闘ふまえて動きやすいようにカスタマイズしてもらう方向で話を進めるかな。
「――という感じで近接と歌を融合させた戦闘スタイルを目指したいんですけど……」
「なるほど、なかなかに難題を押し付けてきますね、アナタ」
グイグイ来るなぁ、この人。
確か体育祭の騎馬戦で出久と組んでて、個人戦で飯田くんと当たって自分のサポートアイテムプレゼンしていた人、だよな。
「難題だとは思うんですけど、私の目標は凄く高いところにある……だからお願いします!」
「まあ、それに答えてこそのデザイナーなので‼」
真剣な私の懇願がさらっと流される。何と言うか、凄い人だなこの人。
「戦闘服のデザインの変更に要望などありますか?」
「いや、特には…動きやすさ優先でお願いします」
「わかりましたとも‼ 近接を目指したいのなら、グローブがいいでしょうね! でも、救助も力を入れているようですから、指先は開けておきましょうか!」
「は、はい……」
怒涛の勢いで新しい戦闘服のデザインを書き上げていく。勢いが凄い。けど、指摘は的確だし、私の要望にもあっている。勢いは半端ないけれど。
「このようなデザインはどうでしょう⁉ 上は半袖タイプで肩回りの動きやすさが現在よりも楽ですし、下のマント状の布も短くして動きやすさを出しました! グローブも指先が開いたものです!」
「……はい、とってもいいです! ――あ、その、戦闘服に差し色? にちょっとオレンジ系の赤を入れて欲しいんですけど……」
「なるほど、反対色があればデザインも引き締まりますね。わかりました。申請しておきましょうか!」
「ありがとうございます」
新しい戦闘服はあと数日あれば申請してサポート会社が改良してくれるそうだ。雄英の提携しているところは超一流なのでだいたい3日だそうだ。早い。
「魚住、いくつかお前と似たようなスタイルのヒーロー上げてみたが、ガッツリ肉弾戦は少ないぞ」
パワーローダー先生がピックアップしてくれたヒーローの冊子を見せてくれる。
「ん~……」
確かに私と同系統の戦闘スタイルのヒーローは少ない。
「せめてもう少し相手と距離を取れる状態に持ち込めたら……」
「それでしたら‼‼」
「うわっ‼」
ぐいんと発目さんがこちらを向く。眼力が、凄い。
「剣や薙刀のような長物である程度の距離を取るのはどうでしょう?」
「な、ながもの⁉」
剣道とかは今までやったことないジャンルだな…それに…
「長物を武器にするとしたら持ち物がかさ張りますよね? 救助するときは両手を空けておきたいし、手がふさがるタイプの武器は……」
「それについてはノープロブレムです! 伸縮自在の棒で邪魔にならないサイズにできます! 救助パックもありますし、収納には困らないと思いますが!」
「……なるほど」
確かにこれならある程度距離があって、歌うことに注力もできる。
「じゃあ、お願いします!」
取り敢えず試作品を明日までに仕上げますので、また明日来てください! と言われた。
これからしばらくは長物の扱いに慣れていく訓練をしていかなくちゃだ。エクトプラズム先生と組手三昧だな、こりゃ。
そんなこんなで四日後――
新しい戦闘服、そして、伸縮自在の長物がやってきた。
「名付けて如意棒です」
同封されていた取説に書かれていた文言。いや、私は猿か。孫悟空か。
「お、魚住も戦闘服変えたカンジ⁉ いーじゃん似合ってんね!!」
「ありがとう、上鳴くん」
上鳴くん、切島くんも戦闘服の変更をしたみたいだ。
「動きやすそうになったな、魚住!」
「うん! ゴリゴリの格闘とまでは行かないけどね、近接鍛えてるから!」
「なんか――前のより赤色増えた?」
上鳴くんが体育館の勝己のいる方を指さして言う。
「え、いや、そ、そんなことは……! ほら青色と赤って反対色だから、そのあれで……!」
「オーケーオーケー、わかったよ。魚住。そういうことにしといてやるから、落ち着け、な?」
確かに発目さんに差し色に赤色は足して欲しいってお願いしたけれど、本当にその辺完全に無意識だった……! そうだ、勝己の色だ。
「おあああああああ……‼‼」
「あ、奏ちゃん! 奏ちゃんもコスチューム変えたんだよね! もしかして、この間の音楽系のヒーロー聞いてきたのって新しい戦闘スタイルの参考にするつもりだった⁉⁉」
「どうどう出久……出久は蹴りに?」
「うん。腕の負担軽減とかで」
「なるほー」
足がごつくなってる。さっきの落下してきたコンクリの破壊力もそのサポートアイテムがあるからか。
「奏ちゃんの戦闘スタイル参考にしたいからあとで見せて欲しいんだけど‼」
「落ち着けて」
ヒーローオタクなのが全開で来てるよ、出久ってば……メモ持ってないのに指が動いてるんだけど、怖いぞ。
「そこまでだA組‼‼ 今日は午後から我々がTDLを使わせてもらう予定だ!」
ブラド先生とB組の面々がやってきた。
物間くんがA組全員落ちてよ‼ なんてもうストレートに感情をぶつけてくる。
けど、A組とB組は試験会場は別で申込しているから潰し合いはできないそうだ。
「直接手を出せないのが残念だ‼」
一瞬ホッとしていつもの物間くん節。
「ホッつったな」
「病名のある精神状態なんじゃないかな」
大変だなァ、物間くん。
そうだ、B組ということは。
「語部さん!」
「あ、奏ちゃん‼ わあっ‼ 奏ちゃんのコスチューム‼ すごい、カッコいいね‼」
「あははありがとう……あの、語部さん。神野事件のことで……」
語部さんは、神野事件の時出久たちと一緒に現場に行った。何の縁もゆかりもない、多分会話もしたことのない勝己の為に危険を冒してまで。
「私が行けない代わりに……って」
「……奏ちゃんが気絶した姿を見て、すごくつらそうに見えた。爆豪くんの事私は何も知らないけど、奏ちゃんの大切な人だっていうのはわかったから、身体が動いちゃってた。勿論、私のしたことが正しいとは思ってないよ。ブラド先生に怒られたし。でも、後悔するよりはマシかなって」
「そっか……ごめんね、私の所為で」
「いいよ、私がやりたくてやったことだから。気にしないで。奏ちゃんが元気になって嬉しいから」
「うん、ありがとう、語部さん」
「あれ魚住もサポート科?」
「耳郎ちゃん。うん、サポートアイテムの相談に。耳郎ちゃんは?」
「ウチはスピーカーの強化」
「スピーカーかぁ……」
脳直のスピーカーはこれからも使える時は使っていきたいけど、必殺技に上手く組み込めるアイディアが出ない。
「耳郎ちゃんの足元のスピーカーってどんな感じ? 動きとか……」
「ん、慣れちゃってるから何とも言えないけど、機動力落ちる感じはないね」
「そっかぁ」
マイク先生みたいにスピーカーで強化するのもアリではあるけど、変にアイテム装備していると肉弾戦に持ち込みにくいか。
「どうしたものか……」
「悩んでんね」
「うーん……」
取り敢えず近接格闘ふまえて動きやすいようにカスタマイズしてもらう方向で話を進めるかな。
「――という感じで近接と歌を融合させた戦闘スタイルを目指したいんですけど……」
「なるほど、なかなかに難題を押し付けてきますね、アナタ」
グイグイ来るなぁ、この人。
確か体育祭の騎馬戦で出久と組んでて、個人戦で飯田くんと当たって自分のサポートアイテムプレゼンしていた人、だよな。
「難題だとは思うんですけど、私の目標は凄く高いところにある……だからお願いします!」
「まあ、それに答えてこそのデザイナーなので‼」
真剣な私の懇願がさらっと流される。何と言うか、凄い人だなこの人。
「戦闘服のデザインの変更に要望などありますか?」
「いや、特には…動きやすさ優先でお願いします」
「わかりましたとも‼ 近接を目指したいのなら、グローブがいいでしょうね! でも、救助も力を入れているようですから、指先は開けておきましょうか!」
「は、はい……」
怒涛の勢いで新しい戦闘服のデザインを書き上げていく。勢いが凄い。けど、指摘は的確だし、私の要望にもあっている。勢いは半端ないけれど。
「このようなデザインはどうでしょう⁉ 上は半袖タイプで肩回りの動きやすさが現在よりも楽ですし、下のマント状の布も短くして動きやすさを出しました! グローブも指先が開いたものです!」
「……はい、とってもいいです! ――あ、その、戦闘服に差し色? にちょっとオレンジ系の赤を入れて欲しいんですけど……」
「なるほど、反対色があればデザインも引き締まりますね。わかりました。申請しておきましょうか!」
「ありがとうございます」
新しい戦闘服はあと数日あれば申請してサポート会社が改良してくれるそうだ。雄英の提携しているところは超一流なのでだいたい3日だそうだ。早い。
「魚住、いくつかお前と似たようなスタイルのヒーロー上げてみたが、ガッツリ肉弾戦は少ないぞ」
パワーローダー先生がピックアップしてくれたヒーローの冊子を見せてくれる。
「ん~……」
確かに私と同系統の戦闘スタイルのヒーローは少ない。
「せめてもう少し相手と距離を取れる状態に持ち込めたら……」
「それでしたら‼‼」
「うわっ‼」
ぐいんと発目さんがこちらを向く。眼力が、凄い。
「剣や薙刀のような長物である程度の距離を取るのはどうでしょう?」
「な、ながもの⁉」
剣道とかは今までやったことないジャンルだな…それに…
「長物を武器にするとしたら持ち物がかさ張りますよね? 救助するときは両手を空けておきたいし、手がふさがるタイプの武器は……」
「それについてはノープロブレムです! 伸縮自在の棒で邪魔にならないサイズにできます! 救助パックもありますし、収納には困らないと思いますが!」
「……なるほど」
確かにこれならある程度距離があって、歌うことに注力もできる。
「じゃあ、お願いします!」
取り敢えず試作品を明日までに仕上げますので、また明日来てください! と言われた。
これからしばらくは長物の扱いに慣れていく訓練をしていかなくちゃだ。エクトプラズム先生と組手三昧だな、こりゃ。
そんなこんなで四日後――
新しい戦闘服、そして、伸縮自在の長物がやってきた。
「名付けて如意棒です」
同封されていた取説に書かれていた文言。いや、私は猿か。孫悟空か。
「お、魚住も戦闘服変えたカンジ⁉ いーじゃん似合ってんね!!」
「ありがとう、上鳴くん」
上鳴くん、切島くんも戦闘服の変更をしたみたいだ。
「動きやすそうになったな、魚住!」
「うん! ゴリゴリの格闘とまでは行かないけどね、近接鍛えてるから!」
「なんか――前のより赤色増えた?」
上鳴くんが体育館の勝己のいる方を指さして言う。
「え、いや、そ、そんなことは……! ほら青色と赤って反対色だから、そのあれで……!」
「オーケーオーケー、わかったよ。魚住。そういうことにしといてやるから、落ち着け、な?」
確かに発目さんに差し色に赤色は足して欲しいってお願いしたけれど、本当にその辺完全に無意識だった……! そうだ、勝己の色だ。
「おあああああああ……‼‼」
「あ、奏ちゃん! 奏ちゃんもコスチューム変えたんだよね! もしかして、この間の音楽系のヒーロー聞いてきたのって新しい戦闘スタイルの参考にするつもりだった⁉⁉」
「どうどう出久……出久は蹴りに?」
「うん。腕の負担軽減とかで」
「なるほー」
足がごつくなってる。さっきの落下してきたコンクリの破壊力もそのサポートアイテムがあるからか。
「奏ちゃんの戦闘スタイル参考にしたいからあとで見せて欲しいんだけど‼」
「落ち着けて」
ヒーローオタクなのが全開で来てるよ、出久ってば……メモ持ってないのに指が動いてるんだけど、怖いぞ。
「そこまでだA組‼‼ 今日は午後から我々がTDLを使わせてもらう予定だ!」
ブラド先生とB組の面々がやってきた。
物間くんがA組全員落ちてよ‼ なんてもうストレートに感情をぶつけてくる。
けど、A組とB組は試験会場は別で申込しているから潰し合いはできないそうだ。
「直接手を出せないのが残念だ‼」
一瞬ホッとしていつもの物間くん節。
「ホッつったな」
「病名のある精神状態なんじゃないかな」
大変だなァ、物間くん。
そうだ、B組ということは。
「語部さん!」
「あ、奏ちゃん‼ わあっ‼ 奏ちゃんのコスチューム‼ すごい、カッコいいね‼」
「あははありがとう……あの、語部さん。神野事件のことで……」
語部さんは、神野事件の時出久たちと一緒に現場に行った。何の縁もゆかりもない、多分会話もしたことのない勝己の為に危険を冒してまで。
「私が行けない代わりに……って」
「……奏ちゃんが気絶した姿を見て、すごくつらそうに見えた。爆豪くんの事私は何も知らないけど、奏ちゃんの大切な人だっていうのはわかったから、身体が動いちゃってた。勿論、私のしたことが正しいとは思ってないよ。ブラド先生に怒られたし。でも、後悔するよりはマシかなって」
「そっか……ごめんね、私の所為で」
「いいよ、私がやりたくてやったことだから。気にしないで。奏ちゃんが元気になって嬉しいから」
「うん、ありがとう、語部さん」