爆豪告白大作戦
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八月中旬。久しぶりに雄英へ。
雄英敷地内、校舎から徒歩五分の築三日。『ハイツアライアンス』。
ここが新たな私たちの家になる。
A組の全員が無事に集まった。相澤先生もいる。記者会見の様子もあり相澤先生もここにいられることに安心する。
これからは“仮免”取得に向けて動いていくことになる。
そして、相澤先生から大事な話が。
「轟、切島、緑谷、八百万、飯田。この五人はあの晩あの場所へ爆豪救出に赴いた」
神野事件、兄からそんな話をぽろっと聞いた。五人の他にB組の語部さんが一緒にいたと聞いた。
他の皆も行く素振りは知っていた様子で、先生はその時意識のなかった私や耳郎ちゃん透ちゃん、そして勝己以外は除籍にしていたと言った。
オールマイトの引退で混乱が続き、敵連合の動きもわからないからそれはしないとの判断だそうだ。
しかし、信頼を裏切ったことになるから、これからは正規の手続きで正規の活躍をして、信頼を取り戻してほしい。と相澤先生。
「以上! さっ!中に入るぞ、元気に行こう」
先生はさっさと切り替えて寮の説明に移る。しかし、クラス全体には重たい空気が流れる。
どうしたものかとなったところで勝己が上鳴くんを茂みに連れて行く。
稲妻が光ったかと思うと、茂みからキャパオーバーでアホになってしまった上鳴くんが「うぇ~~~い」と言って現れた。
「いつもみてーに馬鹿晒せや」
切島くんにお金を渡した勝己はさっさと寮へと入って行った。
アホになった上鳴くんがツボの耳郎ちゃんをはじめとしてクラスの皆が笑いだす。
勝己なりの気の使い方なんだろう。
「あれ本当に下ろしたのか?」
「轟くん……登校するとき銀行寄ったから本当だよ。あ、B組の語部さんも……その、……一緒に行ったのって」
「ああ。お前が行けない代わりにとか言ってた」
語部さん……そんなことさせてしまっていたのか。申し訳ない。
「そっか。あとでお礼言っとかないと……あ、そうそう。轟くん。ぶっ倒れたのに運んでくれたりとか低体温症にならないようにしてくれたりとかありがとうね」
「いや、別に。手は何ともないか」
「え?」
突拍子もない轟くんの質問に変な声が出る。
何で手?
「俺が関わると手が……」
その一言で回路が繋がった。そうだ、ハンドクラッシャーだ。
「ぶっほぉ‼‼ だ、大丈夫!何ともないよ‼‼」
元気に手を振ってあげた。本当に手は何ともない。
ハンドはクラッシュされていない。
「……まだ気にしてたんだね」
なんとか笑いをこらえて轟くんに言ってあげた。言ってあげたら気が抜けて大爆笑してしまったけれど。
ハイツアライアンス。一棟一クラス。
右が女子棟で左が男子棟。一階は共同スペースで食堂、風呂、洗濯はここで行う。もちろんそこは男女別。
部屋は二階からで一フロア各四部屋の五階建て。一人一部屋。エアコン、トイレ、冷蔵庫にクローゼット付きの贅沢空間でベランダもある。
私は五階でヤオモモちゃんと梅雨ちゃんの部屋の間。
今日は荷解きしてろってことで、今後の説明は明日らしい。
事前に送っておいた荷物はすでに部屋に入ってるそうだ。
段ボールから荷物を取り出して部屋を作っているうちにあっという間に日は沈み、夜になっていた。
「んーこんなもんか」
ベッドに誰かにそっくりのハリネズミのぬいぐるみを置いて荷ほどきは終了した。
あとは生活して行くうちに必要なものを探していかないとだな。
他の人たちはもう終わらせたんだろうか。ヤオモモちゃんも梅雨ちゃんも騒がしいタイプではないからよくわからない。
どうしようかな、とぬいぐるみを突っついていると部屋からノック音が。
ヤオモモちゃんか梅雨ちゃんかと思って扉を開けるとなんと勝己が。
「え、なんで⁉」
「別に」
機嫌は特に悪くない様子。勝己は確か四階……切島くんと障子くんが同じフロアだったか。周りがしつこいから避難してきた、という感じではないはず。
ボスンと勝己がベッドに座る。ハリネズミのぬいぐるみを見て顔をしかめた。
「彼女の部屋に行くのは変か」
「変じゃないです‼‼‼」
勝己の言葉に食い気味に応えた。『彼女』の響きに目が輝く。そういうことでいいんだな、勝己……!
「……何かねぇんか」
「えーそんな急に……」
暇つぶしに何かを求める勝己。私の読む小説や漫画は多分趣味が合わないだろうから、そうだな。何がいいか。
「ん~……あ」
棚から雑誌を出した。
「これどう?」
私が読んでいる雑誌だ。総合格闘技の。
「ん」
これは肯定だな。
ベッドに寝っ転がって勝己は雑誌を読み始めた。バックナンバーも数冊持ってきているから隣に置いておいてやろう。
この状態だと勝己に話しかけても生返事しかなさそうだし、私も何か読むか。適当に本棚から取り出した少女漫画を一巻から数冊手に取って座卓に置いた。座椅子に座り込むと一巻一話から読み始めることにした。
現在三巻。ヒロインとヒーローは進展してるのかしてないんだか微妙なところだが、距離は縮まっているような気がして面白くなってきた。
さて、勝己は。と振り返ってベッドを見ると、眠りこけている。鼻提灯まで出しているからこれは中々起きないのでは。
眉間に皺のよっていないレアな勝己をまじまじと見る。起こさないように指先で眉間を突っついた。この顔見ていると顔面年齢少し下がってるように見えるようなぁと思う。こういうのをあどけないって言うんだろうか。
起こしてしまわないように勝己の手から雑誌を引き抜く。
どうしようか、私もこのまま寝ちゃうかな。と雑誌や漫画を棚に戻していると、またノック音。
「かーなでー! いるーー⁉⁉」
芦戸ちゃんの声だった。
廊下がざわざわしている。もしかして芦戸ちゃんだけじゃないのか。
音をできるだけ立てないで扉を開けた。おおよそクラスの皆が廊下にいた。
「なにごと⁉」
「部屋王‼ A組ベストセンス選手権だよ~‼」
「え~~」
見せられない部屋の状況ではないけど、今は勝己が寝ている。この人数が入ってくるとなると確実にヤツは起きる!
「んが」
ベッドで勝己の寝言。言語にもなっていないけど、寝言に近い声。こりゃ起きるわ。
「何か都合悪かったりする?」
「あー……えっと、まあ、そんな感じのアレで……勝己が来てて寝ちゃってるからお部屋披露は後日でいいですか」
こそっと芦戸ちゃんに耳打ちする。すると芦戸ちゃんは途端に悪い顔をする。悪い顔と言っても無邪気な部類ではあるけれど。
「なんと‼‼‼」
「勝己起きるからしーっ‼‼」
声を上げる芦戸ちゃんの口を抑えつける。マジで起きるから静かにして欲しい。
「え、爆豪いんの」
「部屋にいなかったのはそーいうことかぁ」
切島くんや上鳴くんも反応してガヤガヤしだす。
「とにかく、また今度でお願いしやす‼」
「根掘り葉掘り聞くから覚悟しろ~~‼」
芦戸ちゃんの恐ろしい言葉にこれからどうやって対処しようかと息をつく。本当にどうしたものか。
「誰か来てたんか」
「あ、起きちゃったのね」
勝己がベッドから起き上がっていた。
「部屋王でお部屋披露大会だって。クラスの皆の部屋回ってるみたいだね」
「……そうかよ」
寝起きだからか言葉数が少ない勝己。ちょいちょいと勝己が手招きしてきた。
「何?」
勝己のそばまで近づいてあげると、抱きしめられた。
「ちょ、え、かっちゃ⁉」
混乱して言葉が詰まる。何が、起きている。
一体、何が。
「………」
勝己からは沈黙。何も言わない。
「眠いなら部屋戻って寝なね?」
一緒に寝ることに抵抗はないけど、このベッドは一人で寝るためのものだからそこまで広くない。
「……そうする」
勝己はそのまんま部屋を出て行った。
家庭訪問の時にオールマイトと話した後のような静かさだった。
雄英敷地内、校舎から徒歩五分の築三日。『ハイツアライアンス』。
ここが新たな私たちの家になる。
A組の全員が無事に集まった。相澤先生もいる。記者会見の様子もあり相澤先生もここにいられることに安心する。
これからは“仮免”取得に向けて動いていくことになる。
そして、相澤先生から大事な話が。
「轟、切島、緑谷、八百万、飯田。この五人はあの晩あの場所へ爆豪救出に赴いた」
神野事件、兄からそんな話をぽろっと聞いた。五人の他にB組の語部さんが一緒にいたと聞いた。
他の皆も行く素振りは知っていた様子で、先生はその時意識のなかった私や耳郎ちゃん透ちゃん、そして勝己以外は除籍にしていたと言った。
オールマイトの引退で混乱が続き、敵連合の動きもわからないからそれはしないとの判断だそうだ。
しかし、信頼を裏切ったことになるから、これからは正規の手続きで正規の活躍をして、信頼を取り戻してほしい。と相澤先生。
「以上! さっ!中に入るぞ、元気に行こう」
先生はさっさと切り替えて寮の説明に移る。しかし、クラス全体には重たい空気が流れる。
どうしたものかとなったところで勝己が上鳴くんを茂みに連れて行く。
稲妻が光ったかと思うと、茂みからキャパオーバーでアホになってしまった上鳴くんが「うぇ~~~い」と言って現れた。
「いつもみてーに馬鹿晒せや」
切島くんにお金を渡した勝己はさっさと寮へと入って行った。
アホになった上鳴くんがツボの耳郎ちゃんをはじめとしてクラスの皆が笑いだす。
勝己なりの気の使い方なんだろう。
「あれ本当に下ろしたのか?」
「轟くん……登校するとき銀行寄ったから本当だよ。あ、B組の語部さんも……その、……一緒に行ったのって」
「ああ。お前が行けない代わりにとか言ってた」
語部さん……そんなことさせてしまっていたのか。申し訳ない。
「そっか。あとでお礼言っとかないと……あ、そうそう。轟くん。ぶっ倒れたのに運んでくれたりとか低体温症にならないようにしてくれたりとかありがとうね」
「いや、別に。手は何ともないか」
「え?」
突拍子もない轟くんの質問に変な声が出る。
何で手?
「俺が関わると手が……」
その一言で回路が繋がった。そうだ、ハンドクラッシャーだ。
「ぶっほぉ‼‼ だ、大丈夫!何ともないよ‼‼」
元気に手を振ってあげた。本当に手は何ともない。
ハンドはクラッシュされていない。
「……まだ気にしてたんだね」
なんとか笑いをこらえて轟くんに言ってあげた。言ってあげたら気が抜けて大爆笑してしまったけれど。
ハイツアライアンス。一棟一クラス。
右が女子棟で左が男子棟。一階は共同スペースで食堂、風呂、洗濯はここで行う。もちろんそこは男女別。
部屋は二階からで一フロア各四部屋の五階建て。一人一部屋。エアコン、トイレ、冷蔵庫にクローゼット付きの贅沢空間でベランダもある。
私は五階でヤオモモちゃんと梅雨ちゃんの部屋の間。
今日は荷解きしてろってことで、今後の説明は明日らしい。
事前に送っておいた荷物はすでに部屋に入ってるそうだ。
段ボールから荷物を取り出して部屋を作っているうちにあっという間に日は沈み、夜になっていた。
「んーこんなもんか」
ベッドに誰かにそっくりのハリネズミのぬいぐるみを置いて荷ほどきは終了した。
あとは生活して行くうちに必要なものを探していかないとだな。
他の人たちはもう終わらせたんだろうか。ヤオモモちゃんも梅雨ちゃんも騒がしいタイプではないからよくわからない。
どうしようかな、とぬいぐるみを突っついていると部屋からノック音が。
ヤオモモちゃんか梅雨ちゃんかと思って扉を開けるとなんと勝己が。
「え、なんで⁉」
「別に」
機嫌は特に悪くない様子。勝己は確か四階……切島くんと障子くんが同じフロアだったか。周りがしつこいから避難してきた、という感じではないはず。
ボスンと勝己がベッドに座る。ハリネズミのぬいぐるみを見て顔をしかめた。
「彼女の部屋に行くのは変か」
「変じゃないです‼‼‼」
勝己の言葉に食い気味に応えた。『彼女』の響きに目が輝く。そういうことでいいんだな、勝己……!
「……何かねぇんか」
「えーそんな急に……」
暇つぶしに何かを求める勝己。私の読む小説や漫画は多分趣味が合わないだろうから、そうだな。何がいいか。
「ん~……あ」
棚から雑誌を出した。
「これどう?」
私が読んでいる雑誌だ。総合格闘技の。
「ん」
これは肯定だな。
ベッドに寝っ転がって勝己は雑誌を読み始めた。バックナンバーも数冊持ってきているから隣に置いておいてやろう。
この状態だと勝己に話しかけても生返事しかなさそうだし、私も何か読むか。適当に本棚から取り出した少女漫画を一巻から数冊手に取って座卓に置いた。座椅子に座り込むと一巻一話から読み始めることにした。
現在三巻。ヒロインとヒーローは進展してるのかしてないんだか微妙なところだが、距離は縮まっているような気がして面白くなってきた。
さて、勝己は。と振り返ってベッドを見ると、眠りこけている。鼻提灯まで出しているからこれは中々起きないのでは。
眉間に皺のよっていないレアな勝己をまじまじと見る。起こさないように指先で眉間を突っついた。この顔見ていると顔面年齢少し下がってるように見えるようなぁと思う。こういうのをあどけないって言うんだろうか。
起こしてしまわないように勝己の手から雑誌を引き抜く。
どうしようか、私もこのまま寝ちゃうかな。と雑誌や漫画を棚に戻していると、またノック音。
「かーなでー! いるーー⁉⁉」
芦戸ちゃんの声だった。
廊下がざわざわしている。もしかして芦戸ちゃんだけじゃないのか。
音をできるだけ立てないで扉を開けた。おおよそクラスの皆が廊下にいた。
「なにごと⁉」
「部屋王‼ A組ベストセンス選手権だよ~‼」
「え~~」
見せられない部屋の状況ではないけど、今は勝己が寝ている。この人数が入ってくるとなると確実にヤツは起きる!
「んが」
ベッドで勝己の寝言。言語にもなっていないけど、寝言に近い声。こりゃ起きるわ。
「何か都合悪かったりする?」
「あー……えっと、まあ、そんな感じのアレで……勝己が来てて寝ちゃってるからお部屋披露は後日でいいですか」
こそっと芦戸ちゃんに耳打ちする。すると芦戸ちゃんは途端に悪い顔をする。悪い顔と言っても無邪気な部類ではあるけれど。
「なんと‼‼‼」
「勝己起きるからしーっ‼‼」
声を上げる芦戸ちゃんの口を抑えつける。マジで起きるから静かにして欲しい。
「え、爆豪いんの」
「部屋にいなかったのはそーいうことかぁ」
切島くんや上鳴くんも反応してガヤガヤしだす。
「とにかく、また今度でお願いしやす‼」
「根掘り葉掘り聞くから覚悟しろ~~‼」
芦戸ちゃんの恐ろしい言葉にこれからどうやって対処しようかと息をつく。本当にどうしたものか。
「誰か来てたんか」
「あ、起きちゃったのね」
勝己がベッドから起き上がっていた。
「部屋王でお部屋披露大会だって。クラスの皆の部屋回ってるみたいだね」
「……そうかよ」
寝起きだからか言葉数が少ない勝己。ちょいちょいと勝己が手招きしてきた。
「何?」
勝己のそばまで近づいてあげると、抱きしめられた。
「ちょ、え、かっちゃ⁉」
混乱して言葉が詰まる。何が、起きている。
一体、何が。
「………」
勝己からは沈黙。何も言わない。
「眠いなら部屋戻って寝なね?」
一緒に寝ることに抵抗はないけど、このベッドは一人で寝るためのものだからそこまで広くない。
「……そうする」
勝己はそのまんま部屋を出て行った。
家庭訪問の時にオールマイトと話した後のような静かさだった。