爆豪告白大作戦
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爆豪家にお泊りしたことは今までにも多々あれど。
この歳でのお泊りは初めてだ。多分以前にお泊りをしたのは小学生の頃だ。しかも出久も一緒だった。
確かその時は三人でリビングで布団並べて寝たとかそんなだった気がする。だからいやはやまさかこんなことになるとは思ってもみなかった。
「今ね、空いている部屋がないから悪いんだけど勝己の部屋でもいい?」
光己さんにそんなことを言われて客用布団を持った私はその場に立ち竦んでしまった。
「……布団、ここでいい?」
「ん」
勝己のベッドの隣に布団を畳んで置く。何となく気まずい。以前の気まずさとは全く違う何か。多分これは照れだ。
勝己の部屋は、私の部屋からたまに見えるように物が少なくシンプルでスマート。特に昔と変わった様子はない。
「これ……」
音楽プレイヤーの隣に真新しいCD。勝己の音楽の好みとは全く異なるジャンルのパッケージ。
これは私が見慣れたパッケージだ。私が数か月前の職場体験で収録した曲が入っているCD。
「か、買わないって言ったじゃん!」
勝己は確かに言っていた。切島くんに「買ってやれば」と言われて「誰が買うか」と。その一言があったから勝己には聴かれなくてすむと安心していたのに。
「買うも買わないも俺の勝手だろ‼」
「うぐ……かっちゃんの嘘つき……」
あの曲は、デモ聴いただけの出久でも察しがつくくらいに私の恋愛感情を綴っている。恥ずかしい。
「……どう、思った?」
こうなればヤケだ。聞けるときに聞いておこう。勝己の気持ちなんてこの前伝えてくれたのがレアなんだ。
「……バカみてえに誰かの事考えてやがる甘ったるい歌だな」
「んなっ‼ こ、これ勝己の事考えて歌ったんだからな……! 私にとって恋愛なんて勝己しか引き出しないんだから!」
『好き』という感情を私は勝己にしか向けたことがない。それなのに、『バカ』だの『甘ったるい』だの酷いもんだ。
「――俺のことしか考えないで歌ったことくらい知っとるわ。ガキん頃からずっと」
「そうだよ。だから嬉しかったんだから。勝己も……好きって言ってくれて……」
思い出して少し体温が上がる。血の巡りは良好だ。
私と勝己は多分、両想いというものになったんだ。
「すごく、すごく待った。体育祭の時に告白して……」
体育祭が凄く昔のことのように感じられる。返事をしてって言ってたらこんなにヤキモキしなくて済んだんだよなぁと思うと乾いた笑いが浮かんでくる。
そういえば、あの時勝己は確か……
「ボロボロになった髪留めの代わりをくれるって言ったよね?」
そうだ、確かそんなことを言っていた気がする。自信はないけど、多分そう。なんならあそこにいたクラスの誰かに聞いてみてもいい。あの時は確か瀬呂くんが近くにいたから覚えているはずだ。
「……覚えとったんか」
「いや、思い出しただけだよ。あの髪留め、使いはしてないんだけど、取ってあるんだ。お守り替わり、というか、決意の象徴?みたいな感じで」
病院で眠っていた時に、おそらく兄が私の手の中に置いていたらしい。あれがあったからなのかはわからないけど、私は無事に目を覚ますことができた。
「本当なら、もっといい場所でとかを考えてたんだけどよ」
勝己が机の引き出しを開ける。
「誕生日、とかに渡してやろうかと思ってた」
小さめの小包み。青色の包装紙と赤色のリボン。
開けていいのかを目で見ると、勝己はさっさと開けろという顔をしていた。
恐る恐る丁寧に包みを開けると、箱の中に赤色のバレッタ。
装飾はそこまでない、いたってシンプルなもの。赤色。髪留めと同じ赤。少しオレンジっぽい赤色。勝己の色。
「短くなっても使えんだろ。誕生日にやるつもりだった」
私の誕生日は七月の中旬。もう一か月くらい前の話だ。
「遅いよ、かっちゃん……」
返事をするタイミングできっと渡すつもりだったんだろう、この様子だと。記憶を辿るなら、その兆候があったのは、期末試験が終わった頃。タイミングとしては大体一致する。
「遅いけど、ちゃんと伝えてくれた。ちゃんと渡してくれた。それだけで嬉しいよ、勝己」
勝己に笑いかけてあげた。遅いのとか、今まで気まずかったのとかすべて水に流そう。いや、期末でのあのブチギレはいただけないけれど。
その日は静かな勝己と一緒に枕を並べて眠った。小さい頃とあまり変わらない。ただただ一緒にいて一緒に寝た。
あの頃と少し違ったのは、ずっと手を繋いでいたことだった。
この歳でのお泊りは初めてだ。多分以前にお泊りをしたのは小学生の頃だ。しかも出久も一緒だった。
確かその時は三人でリビングで布団並べて寝たとかそんなだった気がする。だからいやはやまさかこんなことになるとは思ってもみなかった。
「今ね、空いている部屋がないから悪いんだけど勝己の部屋でもいい?」
光己さんにそんなことを言われて客用布団を持った私はその場に立ち竦んでしまった。
「……布団、ここでいい?」
「ん」
勝己のベッドの隣に布団を畳んで置く。何となく気まずい。以前の気まずさとは全く違う何か。多分これは照れだ。
勝己の部屋は、私の部屋からたまに見えるように物が少なくシンプルでスマート。特に昔と変わった様子はない。
「これ……」
音楽プレイヤーの隣に真新しいCD。勝己の音楽の好みとは全く異なるジャンルのパッケージ。
これは私が見慣れたパッケージだ。私が数か月前の職場体験で収録した曲が入っているCD。
「か、買わないって言ったじゃん!」
勝己は確かに言っていた。切島くんに「買ってやれば」と言われて「誰が買うか」と。その一言があったから勝己には聴かれなくてすむと安心していたのに。
「買うも買わないも俺の勝手だろ‼」
「うぐ……かっちゃんの嘘つき……」
あの曲は、デモ聴いただけの出久でも察しがつくくらいに私の恋愛感情を綴っている。恥ずかしい。
「……どう、思った?」
こうなればヤケだ。聞けるときに聞いておこう。勝己の気持ちなんてこの前伝えてくれたのがレアなんだ。
「……バカみてえに誰かの事考えてやがる甘ったるい歌だな」
「んなっ‼ こ、これ勝己の事考えて歌ったんだからな……! 私にとって恋愛なんて勝己しか引き出しないんだから!」
『好き』という感情を私は勝己にしか向けたことがない。それなのに、『バカ』だの『甘ったるい』だの酷いもんだ。
「――俺のことしか考えないで歌ったことくらい知っとるわ。ガキん頃からずっと」
「そうだよ。だから嬉しかったんだから。勝己も……好きって言ってくれて……」
思い出して少し体温が上がる。血の巡りは良好だ。
私と勝己は多分、両想いというものになったんだ。
「すごく、すごく待った。体育祭の時に告白して……」
体育祭が凄く昔のことのように感じられる。返事をしてって言ってたらこんなにヤキモキしなくて済んだんだよなぁと思うと乾いた笑いが浮かんでくる。
そういえば、あの時勝己は確か……
「ボロボロになった髪留めの代わりをくれるって言ったよね?」
そうだ、確かそんなことを言っていた気がする。自信はないけど、多分そう。なんならあそこにいたクラスの誰かに聞いてみてもいい。あの時は確か瀬呂くんが近くにいたから覚えているはずだ。
「……覚えとったんか」
「いや、思い出しただけだよ。あの髪留め、使いはしてないんだけど、取ってあるんだ。お守り替わり、というか、決意の象徴?みたいな感じで」
病院で眠っていた時に、おそらく兄が私の手の中に置いていたらしい。あれがあったからなのかはわからないけど、私は無事に目を覚ますことができた。
「本当なら、もっといい場所でとかを考えてたんだけどよ」
勝己が机の引き出しを開ける。
「誕生日、とかに渡してやろうかと思ってた」
小さめの小包み。青色の包装紙と赤色のリボン。
開けていいのかを目で見ると、勝己はさっさと開けろという顔をしていた。
恐る恐る丁寧に包みを開けると、箱の中に赤色のバレッタ。
装飾はそこまでない、いたってシンプルなもの。赤色。髪留めと同じ赤。少しオレンジっぽい赤色。勝己の色。
「短くなっても使えんだろ。誕生日にやるつもりだった」
私の誕生日は七月の中旬。もう一か月くらい前の話だ。
「遅いよ、かっちゃん……」
返事をするタイミングできっと渡すつもりだったんだろう、この様子だと。記憶を辿るなら、その兆候があったのは、期末試験が終わった頃。タイミングとしては大体一致する。
「遅いけど、ちゃんと伝えてくれた。ちゃんと渡してくれた。それだけで嬉しいよ、勝己」
勝己に笑いかけてあげた。遅いのとか、今まで気まずかったのとかすべて水に流そう。いや、期末でのあのブチギレはいただけないけれど。
その日は静かな勝己と一緒に枕を並べて眠った。小さい頃とあまり変わらない。ただただ一緒にいて一緒に寝た。
あの頃と少し違ったのは、ずっと手を繋いでいたことだった。