爆豪告白大作戦
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晩ご飯のカレーも食べ終わり、性欲の権化によって男女の入浴時間がずらされ、あっという間に夜だ。
「……目が覚めた……」
布団に入るなり泥のように眠ったが、真夜中の中途半端な時間に目が覚めた。
芦戸ちゃんの布団を見るが、空っぽ。補習組はまだ起きているということは夜中の一時くらいか。
「水……」
喉の渇きを思い出す。そう言えば昼間に買ったペットボトルはもう空だった。寝る前に買っておこうと思っていたのに、布団に入った途端に意識を失ったから買うのをすっかり忘れていた。
「……買いに行くか」
寝ぼけてフラフラしながら財布から小銭を取り出す。二〇〇円あれば足りるはず。
寝ている子を起こさないようにゆっくりと歩いて部屋を出た。
自動販売機は一か所。お風呂があるラウンジのようなもののみ。
間接照明の明かりを頼りに廊下を歩いた。自販機の強い灯りが見えてきたところでガタンと音がした。
ペットボトルが取り出し口に落ちた音だ。誰かがいるんだろう。女子部屋からは芦戸ちゃん以外全員いたから男子の誰か、だろうか。
「……あ?」
「勝己……」
勝己だった。
「あ、えっと……勝己も目が覚めたんだ……」
「……ああ」
か、会話が続かない……! いや夜も遅いんだから会話を弾ませる必要はないか……
自販機の横に立ったままの勝己を横目にそそくさと自販機で用事を済ませる。
いつも飲まないミネラルウォーターだけど、これしかないからしょうがないか。
ボタンに指を伸ばそうとしていたとき、黙っていた勝己から声を掛けられた。
「スポーツドリンク飲まねぇんか」
「え?」
「お前、水ばっか飲んでんのか」
「うん……」
「……運動後はスポーツドリンク飲んどけ。へばるぞ」
勝己なりの優しさかな、と解釈する。確かに運動量から見れば水だと効率が悪いかも。勝己はこういうのも詳しいのか、ストイックだもんな。なるほど。
「ありがとう勝己」
ポチリとスポーツドリンクの方のボタンを押した。すぐに取り出し口にペットボトルが落ちてきた。
スポーツドリンクって自分用に研究とかした方がいいのかな、と成分表示を睨んだ。眠気の残る頭では何も入って来ない。
「……奏」
「ん?」
そういや自分の用事は終わってるのに部屋に戻らないのかと思って勝己を振り返る。
「あ…」
変な声が出た。また、勝己の真剣な表情だ。
期末試験の後の休日のあの時と同じ。
夕飯のときは思い違いかもしれないと思った。勝己がいつもと違かったのはあの時だけだったから。
いつもと違うのはあの時だけじゃなかった。私が寝ぼけて立ちながら都合のいい夢を見ているのではなかったら、これは、思い違いじゃない。
「――爆豪? 魚住?」
勝己から視線を逸らせないまま立ち尽くしていると後ろから声がかかる。
「……っ、あ、障子くん……」
大きな影だったからすぐに障子くんだとわかった。
「二人とも目が覚めていたのか。――魚住、どうかしたか」
「え? な、何ともないよ‼ おやすみ、二人とも」
勝己の顔を一度も見ることはなく、私は部屋に戻った。小走りに戻ったから壁にぶつかりかけた。
部屋の戸はゆっくりと開け、最低限の音で布団へと潜った。
「全っ然、大丈夫じゃないじゃんか……出久……」
大丈夫と笑った幼馴染の顔を恨めしく思いながら、ドカドカ鳴る心臓の音を無視するように目をつぶった。
合宿三日目。訓練の疲れもあってか目覚めは最悪だった。
夜中のあのでき事は、自分の都合のいい夢の中のでき事なのかもしれないと思ったけど、枕元には自販機で買ったスポーツドリンクがあった。
それにダメ押しに障子くんに確認したら、確かに夜中に自販機の前で私と勝己に会ったと。
夢ではないと。
「魚住、何ぼーっとしてる」
「うぐっ」
相澤先生の捕縛布で縛られて思考が現実に戻った。
「注意力の散漫。お前でも溺れるぞ」
「すみません……」
縛られたまま岸に引っ張り上げられてストップウォッチをスタートさせた。
ひたすら人魚になる、人間に戻るを繰り返す。ストップウォッチはその間の時間を計るものだ。
この訓練を始めて二日目。最初の頃よりもタイムはわずかに縮んだか、というところだ。
まだまだだ。最終目標は人間に戻る状態を意識的にできるように。少しでも私に戦う手段を増やさなければ。
ベシンと両頬を叩いて気合を入れ直す。
目標を、原点を意識しておけ。相澤先生の言葉を反芻して、尾ひれの残った足に念を込めた。
「……目が覚めた……」
布団に入るなり泥のように眠ったが、真夜中の中途半端な時間に目が覚めた。
芦戸ちゃんの布団を見るが、空っぽ。補習組はまだ起きているということは夜中の一時くらいか。
「水……」
喉の渇きを思い出す。そう言えば昼間に買ったペットボトルはもう空だった。寝る前に買っておこうと思っていたのに、布団に入った途端に意識を失ったから買うのをすっかり忘れていた。
「……買いに行くか」
寝ぼけてフラフラしながら財布から小銭を取り出す。二〇〇円あれば足りるはず。
寝ている子を起こさないようにゆっくりと歩いて部屋を出た。
自動販売機は一か所。お風呂があるラウンジのようなもののみ。
間接照明の明かりを頼りに廊下を歩いた。自販機の強い灯りが見えてきたところでガタンと音がした。
ペットボトルが取り出し口に落ちた音だ。誰かがいるんだろう。女子部屋からは芦戸ちゃん以外全員いたから男子の誰か、だろうか。
「……あ?」
「勝己……」
勝己だった。
「あ、えっと……勝己も目が覚めたんだ……」
「……ああ」
か、会話が続かない……! いや夜も遅いんだから会話を弾ませる必要はないか……
自販機の横に立ったままの勝己を横目にそそくさと自販機で用事を済ませる。
いつも飲まないミネラルウォーターだけど、これしかないからしょうがないか。
ボタンに指を伸ばそうとしていたとき、黙っていた勝己から声を掛けられた。
「スポーツドリンク飲まねぇんか」
「え?」
「お前、水ばっか飲んでんのか」
「うん……」
「……運動後はスポーツドリンク飲んどけ。へばるぞ」
勝己なりの優しさかな、と解釈する。確かに運動量から見れば水だと効率が悪いかも。勝己はこういうのも詳しいのか、ストイックだもんな。なるほど。
「ありがとう勝己」
ポチリとスポーツドリンクの方のボタンを押した。すぐに取り出し口にペットボトルが落ちてきた。
スポーツドリンクって自分用に研究とかした方がいいのかな、と成分表示を睨んだ。眠気の残る頭では何も入って来ない。
「……奏」
「ん?」
そういや自分の用事は終わってるのに部屋に戻らないのかと思って勝己を振り返る。
「あ…」
変な声が出た。また、勝己の真剣な表情だ。
期末試験の後の休日のあの時と同じ。
夕飯のときは思い違いかもしれないと思った。勝己がいつもと違かったのはあの時だけだったから。
いつもと違うのはあの時だけじゃなかった。私が寝ぼけて立ちながら都合のいい夢を見ているのではなかったら、これは、思い違いじゃない。
「――爆豪? 魚住?」
勝己から視線を逸らせないまま立ち尽くしていると後ろから声がかかる。
「……っ、あ、障子くん……」
大きな影だったからすぐに障子くんだとわかった。
「二人とも目が覚めていたのか。――魚住、どうかしたか」
「え? な、何ともないよ‼ おやすみ、二人とも」
勝己の顔を一度も見ることはなく、私は部屋に戻った。小走りに戻ったから壁にぶつかりかけた。
部屋の戸はゆっくりと開け、最低限の音で布団へと潜った。
「全っ然、大丈夫じゃないじゃんか……出久……」
大丈夫と笑った幼馴染の顔を恨めしく思いながら、ドカドカ鳴る心臓の音を無視するように目をつぶった。
合宿三日目。訓練の疲れもあってか目覚めは最悪だった。
夜中のあのでき事は、自分の都合のいい夢の中のでき事なのかもしれないと思ったけど、枕元には自販機で買ったスポーツドリンクがあった。
それにダメ押しに障子くんに確認したら、確かに夜中に自販機の前で私と勝己に会ったと。
夢ではないと。
「魚住、何ぼーっとしてる」
「うぐっ」
相澤先生の捕縛布で縛られて思考が現実に戻った。
「注意力の散漫。お前でも溺れるぞ」
「すみません……」
縛られたまま岸に引っ張り上げられてストップウォッチをスタートさせた。
ひたすら人魚になる、人間に戻るを繰り返す。ストップウォッチはその間の時間を計るものだ。
この訓練を始めて二日目。最初の頃よりもタイムはわずかに縮んだか、というところだ。
まだまだだ。最終目標は人間に戻る状態を意識的にできるように。少しでも私に戦う手段を増やさなければ。
ベシンと両頬を叩いて気合を入れ直す。
目標を、原点を意識しておけ。相澤先生の言葉を反芻して、尾ひれの残った足に念を込めた。