爆豪告白大作戦
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翌日、合宿二日目。
現在の時刻、午前五時半。
昨日の疲れもあってほぼ全員が寝ぼけまなこ。数名が寝ぐせが残った状態で、種は駆除の外の、開けた場所で突っ立っている。
「おはよう、諸君」
朝に弱そうなイメージの相澤先生は普段と変わりない状態で立っていた。
「本日から本格的に強化合宿を始める。今合宿の目的は、全員の強化及び、“仮免”の取得。具体的になりつつある敵意に、立ち向かうための準備だ。心して臨むように。――と言うわけで、爆豪。こいつを投げてみろ」
相澤先生が投げてよこしたのは、四月にやった体力テストのときのボール投げのボール。
「前回の……入学直後の記録は七〇五・二メートル……どんだけ伸びてるかな」
なるほど、現時点の成長具合を見るわけか。
今なら記録が伸びそうだ。
「いったれバクゴー!」
「んじゃよっこら………くたばれ‼」
勝己の「よっこらせ」の意である暴言に呆れかえる。
大爆破に煽られてボールは遠くへと飛んで行った。
「七〇九・六メートル」
記録は、全員の予想とはかけ離れて、伸びていない。
「約三カ月間、様々な経験を経て確かに君らは成長している。だがあくまで精神面や技術面。あとは多少体力的な成長がメインで、“個性”そのものは今見た通りでそこまで成長していない。だから――今日から君らの“個性”を伸ばす。死ぬほどキツイが、くれぐれも……死なないように――……」
死んだらどうするんだろう、と思うのは野暮なんだろうか。
事前に私に用意させられた水着も“個性”を伸ばすのに必要なんだろうか。袋を抱きしめて相澤先生を見た。
と言うわけで始まった林間合宿。
プッシーキャッツの協力のもと、私たちの個性の弱点を見てもらい、強化する。
そしてただひたすら個性を使って限界突破する。
まさにPLUS ULTRA。雄英の校風らしいということだ。
私に課せられた課題は、単純だ。人魚化を解くことを任意化させること。
基本的に戦闘の場は陸地で、私が人魚になれば、私は足が戻るまで移動手段がない。
常に勝己や轟くんのように足元を乾かせる個性を持ったヒーローがいるわけではない。一人で戦えないといけない。
遠くで勝己の爆破やら上鳴くんの電気やら、皆の特訓の様子が見えてくる。
ピクシーボブが拵えた特訓場からは離れた大きな池。持って来た水着に着替えて一人畔に立った。
「敵に狙われやすいお前は、自衛の手段を他のやつらより増やさなければならない。爆豪は常に隣にいるわけじゃない」
「っす……」
相澤先生にそう言われてしまうとこの弱点に向き合うしかない。
「やったろうじゃねぇか」
水面を睨みつけ、まずは一度と池に飛び込んだ。
そして、一日の訓練は終わり、晩ご飯の時間――
「さぁ昨日言ったね、『世話焼くのは今日だけ』って‼」
「己で食う飯くらい己で作れ‼ カレー‼」
「イエッサ……」
疲れきって返事が弱々しい。正直料理する気力が起きない。でも、作らなければこの空腹は収まらない。
先生に性格をいいように使われた飯田くんが主導になってカレーを作り始める。
と、その前に先生に言われたことをやらなくてはならないのを思い出す。
「怪我した人~! 料理始める前に私の所来て‼ 手当するから」
今回の合宿にリカバリーガールは帯同していない。怪我の処理は各自に任せる。
一年生の場合は、個性に治癒の側面を持つ私が主導でやることになっている。少しずつではあるけど、リカバリーガールのもとで処置の方法を学んでいることが理由だ。
「魚住、頼む」
「俺も」
私の声に切島くんと尾白くんがやってきた。
確か、二人はひたすら尻尾で殴り殴られしていたはずだ。
「魚住ってどこにいたんだ? ずっと見かけなかった」
「私は離れたところの池。人魚状態の切り替えを意識的にできるようにする訓練。切島くんは打ち身だね、えっと湿布を貼って貰えるかな。尾白くんも尻尾に……尻尾って湿布大丈夫?」
「うん大丈夫。ありがとう」
「池かー、道理で見ないわけだ」
「アッ、池に何回も潜ったから臭いついてない⁉ 一応シャワーは浴びたんだけど……」
くんくんと髪の臭いを嗅いだ。ダメだ、ずっと池にいたからよくわからない。
「俺は気にしないけど……」
「おっ、バクゴーお前は大丈夫なのか?」
「うっせぇ」
切島くんの後ろを通り過ぎようとしていた勝己の腕を見た。
「勝己、アンタもこっちきて‼」
腕を掴んだ。真っ赤になっていた。肌の色が白い勝己だとすぐわかってしまう。
「やけど……かな……もう、そこ座って!」
氷は、特訓で轟くんが大量に出したのを砕いてもらってるからそれを使うか。
勝己の特訓は汗腺の拡大だったか。熱湯に腕突っ込んで何回も爆破させていた。遠く離れた池からも勝己の爆音は届いていたから覚えている。
「手のひらは冷やしたくないんだったよね? 腕だけでも冷やしておこう」
「……」
勝己は黙って私の処置を受ける。手のひらを一応確認したが、処置する必要はないと判断した。さすが手のひらの皮が厚い。
最後に手を繋いだのっていつだったけ。確か入学した直後に握った記憶がある。あの時よりまた皮が厚くなっている気がする。
「……おい、いつまで診とんだ」
「あ、うわ、ごめん! うん、やけどの方、大丈夫だから!」
まじまじと手のひらを見て考え込んでいた。ぱっと勝己の手を放すと、勝己は立ち上がってさっさとカレーを作りに行った。
「やっぱこの前のは気のせいだったのかな……」
私の部屋に来た時の勝己と今の勝己。今の勝己の方が普段通りだった。
あの時の勝己の違和感は私の思い違いだったんだろうか。
現在の時刻、午前五時半。
昨日の疲れもあってほぼ全員が寝ぼけまなこ。数名が寝ぐせが残った状態で、種は駆除の外の、開けた場所で突っ立っている。
「おはよう、諸君」
朝に弱そうなイメージの相澤先生は普段と変わりない状態で立っていた。
「本日から本格的に強化合宿を始める。今合宿の目的は、全員の強化及び、“仮免”の取得。具体的になりつつある敵意に、立ち向かうための準備だ。心して臨むように。――と言うわけで、爆豪。こいつを投げてみろ」
相澤先生が投げてよこしたのは、四月にやった体力テストのときのボール投げのボール。
「前回の……入学直後の記録は七〇五・二メートル……どんだけ伸びてるかな」
なるほど、現時点の成長具合を見るわけか。
今なら記録が伸びそうだ。
「いったれバクゴー!」
「んじゃよっこら………くたばれ‼」
勝己の「よっこらせ」の意である暴言に呆れかえる。
大爆破に煽られてボールは遠くへと飛んで行った。
「七〇九・六メートル」
記録は、全員の予想とはかけ離れて、伸びていない。
「約三カ月間、様々な経験を経て確かに君らは成長している。だがあくまで精神面や技術面。あとは多少体力的な成長がメインで、“個性”そのものは今見た通りでそこまで成長していない。だから――今日から君らの“個性”を伸ばす。死ぬほどキツイが、くれぐれも……死なないように――……」
死んだらどうするんだろう、と思うのは野暮なんだろうか。
事前に私に用意させられた水着も“個性”を伸ばすのに必要なんだろうか。袋を抱きしめて相澤先生を見た。
と言うわけで始まった林間合宿。
プッシーキャッツの協力のもと、私たちの個性の弱点を見てもらい、強化する。
そしてただひたすら個性を使って限界突破する。
まさにPLUS ULTRA。雄英の校風らしいということだ。
私に課せられた課題は、単純だ。人魚化を解くことを任意化させること。
基本的に戦闘の場は陸地で、私が人魚になれば、私は足が戻るまで移動手段がない。
常に勝己や轟くんのように足元を乾かせる個性を持ったヒーローがいるわけではない。一人で戦えないといけない。
遠くで勝己の爆破やら上鳴くんの電気やら、皆の特訓の様子が見えてくる。
ピクシーボブが拵えた特訓場からは離れた大きな池。持って来た水着に着替えて一人畔に立った。
「敵に狙われやすいお前は、自衛の手段を他のやつらより増やさなければならない。爆豪は常に隣にいるわけじゃない」
「っす……」
相澤先生にそう言われてしまうとこの弱点に向き合うしかない。
「やったろうじゃねぇか」
水面を睨みつけ、まずは一度と池に飛び込んだ。
そして、一日の訓練は終わり、晩ご飯の時間――
「さぁ昨日言ったね、『世話焼くのは今日だけ』って‼」
「己で食う飯くらい己で作れ‼ カレー‼」
「イエッサ……」
疲れきって返事が弱々しい。正直料理する気力が起きない。でも、作らなければこの空腹は収まらない。
先生に性格をいいように使われた飯田くんが主導になってカレーを作り始める。
と、その前に先生に言われたことをやらなくてはならないのを思い出す。
「怪我した人~! 料理始める前に私の所来て‼ 手当するから」
今回の合宿にリカバリーガールは帯同していない。怪我の処理は各自に任せる。
一年生の場合は、個性に治癒の側面を持つ私が主導でやることになっている。少しずつではあるけど、リカバリーガールのもとで処置の方法を学んでいることが理由だ。
「魚住、頼む」
「俺も」
私の声に切島くんと尾白くんがやってきた。
確か、二人はひたすら尻尾で殴り殴られしていたはずだ。
「魚住ってどこにいたんだ? ずっと見かけなかった」
「私は離れたところの池。人魚状態の切り替えを意識的にできるようにする訓練。切島くんは打ち身だね、えっと湿布を貼って貰えるかな。尾白くんも尻尾に……尻尾って湿布大丈夫?」
「うん大丈夫。ありがとう」
「池かー、道理で見ないわけだ」
「アッ、池に何回も潜ったから臭いついてない⁉ 一応シャワーは浴びたんだけど……」
くんくんと髪の臭いを嗅いだ。ダメだ、ずっと池にいたからよくわからない。
「俺は気にしないけど……」
「おっ、バクゴーお前は大丈夫なのか?」
「うっせぇ」
切島くんの後ろを通り過ぎようとしていた勝己の腕を見た。
「勝己、アンタもこっちきて‼」
腕を掴んだ。真っ赤になっていた。肌の色が白い勝己だとすぐわかってしまう。
「やけど……かな……もう、そこ座って!」
氷は、特訓で轟くんが大量に出したのを砕いてもらってるからそれを使うか。
勝己の特訓は汗腺の拡大だったか。熱湯に腕突っ込んで何回も爆破させていた。遠く離れた池からも勝己の爆音は届いていたから覚えている。
「手のひらは冷やしたくないんだったよね? 腕だけでも冷やしておこう」
「……」
勝己は黙って私の処置を受ける。手のひらを一応確認したが、処置する必要はないと判断した。さすが手のひらの皮が厚い。
最後に手を繋いだのっていつだったけ。確か入学した直後に握った記憶がある。あの時よりまた皮が厚くなっている気がする。
「……おい、いつまで診とんだ」
「あ、うわ、ごめん! うん、やけどの方、大丈夫だから!」
まじまじと手のひらを見て考え込んでいた。ぱっと勝己の手を放すと、勝己は立ち上がってさっさとカレーを作りに行った。
「やっぱこの前のは気のせいだったのかな……」
私の部屋に来た時の勝己と今の勝己。今の勝己の方が普段通りだった。
あの時の勝己の違和感は私の思い違いだったんだろうか。