爆豪告白大作戦
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翌日。
先生から配られた合宿のしおりを見ながら必要なものを確認していく。
水着はもともと持ってるし、靴もある。
やっぱり皆と買い物に行っても私だけ買うのがなくて浮いちゃってたな。
今日は兄ちゃんが非番だから、お昼作らなくちゃで、夜には父さんも母さんも帰ってくるから――お昼は残り物かな。
お昼の献立を考えているとゴンゴンと音が鳴った。
窓のガラスを叩く音だ。
「あ、勝己」
勝己が自分の部屋から身を乗り出して、私の部屋の窓を叩いていた。
隣の家同士で私と勝己の私室は窓を挟んで向かい合っている。
どこの少女漫画だと思ったことはあったが、まあ小さい頃はいつでも簡単に会いに行けるから嫌だとは思わなかった。
「どうしたの? 危ないからこっちの屋根飛び移りなよ……」
向かい合わせといえども窓と窓の間は距離がある。二階だから落ちたら危ない。
「……」
軽々とこちらへと飛び移ってくる。
勝己は何も喋らない。何か用があるからこっちに来たのに。
「奏」
振り返ると勝己は真剣な表情をしていた。眉間にしわが寄ってない。いつもそうしていればいいのになぁ。
呑気に考えていると、勝己が唐突に手を伸ばした。その手は、私の顔へと真っ直ぐ伸びていた。
「かつ、き……?」
いつになく真剣な表情の勝己を見て体温が上昇する。
何をされるのか、熱が回った頭では思考が追いつかなかった。
皮の厚い勝己の手が私の頬に触れ――
「奏、今日の昼飯、昨日の残りのカレーでラーメンでいい……か……」
兄が私の部屋に入ってきた。
「チッ‼」
兄を見て勝己が盛大な舌打ちをする。
「勝己……てんめぇ‼」
真っ赤な顔の私を見て兄が切れる。
「兄ちゃん、落ち着いて……――てか、ノックなしにドア開けないでよ……‼」
「うぐっ……」
勝己と兄を一緒の空間にいさせるのは危険と判断して、兄を部屋から追い出す。
「勝己……さっきなんて……あれ?」
窓際に戻ると勝己の姿はなかった。帰ってしまったようだった。
勝己の部屋の窓はカーテンがされていた。
冷静になって思い出す。勝己は何がしたかったのだろう。私に何を言いたかったんだろう。
ドクドクと心臓は未だに脈打ち続けていた。
その晩。夕食を片づけていると母に使いを頼まれた。
「これ、緑谷さんちに届けてくれない?」
母はタッパーに今晩のおかずを詰めていた。
「ああ、出久が昼間に敵に絡まれたんだ。引子さんが今、警察署に迎えに行ってんだ」
リビングで書類仕事をしていた兄が言う。
「夕ご飯作ってる時間なかっただろうから、持って行ってあげて」
「はーい」
出久の住む家は、近所のマンションにある。
そのすぐそこには公園があって、小さい頃はいつもそこで遊んでいた。
そしてそのまた向こうには森があって、探検したり、肝試ししたり、虫捕りをしたりしていた。
小学校卒業以来こっちには来なかったから懐かしい。
出久の家の場所は覚えていたから迷うことなくインターホンを押した。無言が返ってくる。
普通ならおばさんがすぐ出てきそうだけど、不在かな。
食べ物だから玄関前に置いていくわけにも行かない。どうしようか。
「あら?」
「あ」
玄関前で考えていると、緑谷親子が帰ってきた。
「奏ちゃん、どうしたの?」
「母から夕食のおかずです。出久を迎えに行って準備する暇がなかっただろうからって」
「あらあらありがとうね~奏ちゃんはもう食べたの?」
「はい」
引子おばさんにタッパーを入れた袋を渡す。
「奏ちゃん、敵のこと知ってたの? クラスの人から?」
「いや、兄ちゃんからで……大丈夫だったの?」
引子おばさんの目が真っ赤になっている。出久のお母さんだから涙腺が弱いんだ。多分、心配して泣き腫らしたんだろう。
「うん、まあ……」
「そっか。じゃあ私帰りますね。出久、また学校でね」
出久に手を振って、階段を降りて行った。
マンションを出る直前に出久が送ると言って追いかけてきた。
「奏ちゃん、送るよ!」
「ならさ、ちょっと公園寄ってかない?」
先生から配られた合宿のしおりを見ながら必要なものを確認していく。
水着はもともと持ってるし、靴もある。
やっぱり皆と買い物に行っても私だけ買うのがなくて浮いちゃってたな。
今日は兄ちゃんが非番だから、お昼作らなくちゃで、夜には父さんも母さんも帰ってくるから――お昼は残り物かな。
お昼の献立を考えているとゴンゴンと音が鳴った。
窓のガラスを叩く音だ。
「あ、勝己」
勝己が自分の部屋から身を乗り出して、私の部屋の窓を叩いていた。
隣の家同士で私と勝己の私室は窓を挟んで向かい合っている。
どこの少女漫画だと思ったことはあったが、まあ小さい頃はいつでも簡単に会いに行けるから嫌だとは思わなかった。
「どうしたの? 危ないからこっちの屋根飛び移りなよ……」
向かい合わせといえども窓と窓の間は距離がある。二階だから落ちたら危ない。
「……」
軽々とこちらへと飛び移ってくる。
勝己は何も喋らない。何か用があるからこっちに来たのに。
「奏」
振り返ると勝己は真剣な表情をしていた。眉間にしわが寄ってない。いつもそうしていればいいのになぁ。
呑気に考えていると、勝己が唐突に手を伸ばした。その手は、私の顔へと真っ直ぐ伸びていた。
「かつ、き……?」
いつになく真剣な表情の勝己を見て体温が上昇する。
何をされるのか、熱が回った頭では思考が追いつかなかった。
皮の厚い勝己の手が私の頬に触れ――
「奏、今日の昼飯、昨日の残りのカレーでラーメンでいい……か……」
兄が私の部屋に入ってきた。
「チッ‼」
兄を見て勝己が盛大な舌打ちをする。
「勝己……てんめぇ‼」
真っ赤な顔の私を見て兄が切れる。
「兄ちゃん、落ち着いて……――てか、ノックなしにドア開けないでよ……‼」
「うぐっ……」
勝己と兄を一緒の空間にいさせるのは危険と判断して、兄を部屋から追い出す。
「勝己……さっきなんて……あれ?」
窓際に戻ると勝己の姿はなかった。帰ってしまったようだった。
勝己の部屋の窓はカーテンがされていた。
冷静になって思い出す。勝己は何がしたかったのだろう。私に何を言いたかったんだろう。
ドクドクと心臓は未だに脈打ち続けていた。
その晩。夕食を片づけていると母に使いを頼まれた。
「これ、緑谷さんちに届けてくれない?」
母はタッパーに今晩のおかずを詰めていた。
「ああ、出久が昼間に敵に絡まれたんだ。引子さんが今、警察署に迎えに行ってんだ」
リビングで書類仕事をしていた兄が言う。
「夕ご飯作ってる時間なかっただろうから、持って行ってあげて」
「はーい」
出久の住む家は、近所のマンションにある。
そのすぐそこには公園があって、小さい頃はいつもそこで遊んでいた。
そしてそのまた向こうには森があって、探検したり、肝試ししたり、虫捕りをしたりしていた。
小学校卒業以来こっちには来なかったから懐かしい。
出久の家の場所は覚えていたから迷うことなくインターホンを押した。無言が返ってくる。
普通ならおばさんがすぐ出てきそうだけど、不在かな。
食べ物だから玄関前に置いていくわけにも行かない。どうしようか。
「あら?」
「あ」
玄関前で考えていると、緑谷親子が帰ってきた。
「奏ちゃん、どうしたの?」
「母から夕食のおかずです。出久を迎えに行って準備する暇がなかっただろうからって」
「あらあらありがとうね~奏ちゃんはもう食べたの?」
「はい」
引子おばさんにタッパーを入れた袋を渡す。
「奏ちゃん、敵のこと知ってたの? クラスの人から?」
「いや、兄ちゃんからで……大丈夫だったの?」
引子おばさんの目が真っ赤になっている。出久のお母さんだから涙腺が弱いんだ。多分、心配して泣き腫らしたんだろう。
「うん、まあ……」
「そっか。じゃあ私帰りますね。出久、また学校でね」
出久に手を振って、階段を降りて行った。
マンションを出る直前に出久が送ると言って追いかけてきた。
「奏ちゃん、送るよ!」
「ならさ、ちょっと公園寄ってかない?」