爆豪勝己:オリジン
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
校舎、保健室――
「しつれーしまーす。――っと、一抜けコンビだ」
両手が塞がっていたから行儀が悪く足で保健室の扉を開けると、戦闘中に聞こえた一抜けの二人が休んでいた。
「あら、魚住さん」
「二番目は魚住達だったのか」
「いやー危なかったよ、私たちは。満身創痍。全員ボロボロ。勝己はホラ、気絶しちゃってるし」
背中の勝己を見せると轟くんがベッドを開けてくれた。ありがたい。
「緑谷さんはどうしたんですの?」
「出久はリカバリーガールの所に残ってる。他の皆の戦闘見たいんだって」
「緑谷らしいな」
「――よっと」
ゆっくりと勝己をベッドに寝かせた。よく寝てる。後で着替えとか持ってきてやらないとかなぁ……
「じゃあ、俺達これから感想戦だから」
「うん。おつかれー」
「お二人ともお大事に」
二人が保健室を出ていくと、私の身体にもドッと疲れがやって来た。
少し休もうかな。
勝己が寝ているベッドのそばに椅子を持ってきて、ウトウトと船を漕ぎだした。
爆豪は窓から入る西日のかすかな光で目を覚ました。
身体の節々、特に手が痛む。しかし、戦闘をしていた時ほどではない。大方治癒してもらったんだろうとすぐに理解した。
ぼんやりと自分が寝ていた周りを見渡した。
校舎の保健室。
隣に椅子に座って眠りこける幼馴染。
「……ガチで寝てやがる…」
身体に負荷がかかるかかからないか微妙な体制でいびきをかく奏に呆れかえる。
外されていたマスクから覗く口元は緩みきって、微かによだれが垂れていた。
熟睡するほど、疲れていたんだろう。それほどまでに過酷だった、今回の試験は。
「――何もしてないわけじゃない。好きな人の隣に立つために……大切な人を傷つけさせないために……歌だけで勝てるわけないでしょ……‼‼」
幼い頃から、奏は自分に好意を寄せ続けていた。爆豪はそれを知っていながらも応えてはいなかった。
タイミングはあったはずだった。小学生の彼女は真っ直ぐに自分への好意を伝え続けていた。
それに、体育祭で奏と戦った後、幼い頃の戯言ではない本気の告白を奏はした。
応える口実はあった。
しかし、その出来事を境に奏は自ら話しかけることがなくなっていた。
あろうことか、緑谷や轟と話すようになった。腹立たしい。
爆豪が黙って奏を見つめていると、もごもごと奏が声を発した。
「かつ……き……」
少し掠れた声は、昔と変わらず真っ直ぐに自分を呼んでいた。
無防備に眠る少女の短くなってしまった髪に手を伸ばす。
別に長い髪も短い髪も爆豪にとってはどうでもよかった。
奏が奏らしくあるのなら、どちらでもよかった。
ギシッ
鈍い音を立てて爆豪の眠っていたベッドが軋んだ。
「ん……?」
さっきの音で奏の意識が覚醒した。
何故このタイミングなんだクソベッド。と爆豪は頭の中で悪態をつく。
「あれ? もうこんなに経ってたの……?」
「……おう…」
「あ、勝己起きてたんだ。手はもう大丈夫?」
「ああ……痛みはほとんどひいた」
「そっか、よかった」
奏は安心したように微笑んだ。
「しつれーしまーす。――っと、一抜けコンビだ」
両手が塞がっていたから行儀が悪く足で保健室の扉を開けると、戦闘中に聞こえた一抜けの二人が休んでいた。
「あら、魚住さん」
「二番目は魚住達だったのか」
「いやー危なかったよ、私たちは。満身創痍。全員ボロボロ。勝己はホラ、気絶しちゃってるし」
背中の勝己を見せると轟くんがベッドを開けてくれた。ありがたい。
「緑谷さんはどうしたんですの?」
「出久はリカバリーガールの所に残ってる。他の皆の戦闘見たいんだって」
「緑谷らしいな」
「――よっと」
ゆっくりと勝己をベッドに寝かせた。よく寝てる。後で着替えとか持ってきてやらないとかなぁ……
「じゃあ、俺達これから感想戦だから」
「うん。おつかれー」
「お二人ともお大事に」
二人が保健室を出ていくと、私の身体にもドッと疲れがやって来た。
少し休もうかな。
勝己が寝ているベッドのそばに椅子を持ってきて、ウトウトと船を漕ぎだした。
爆豪は窓から入る西日のかすかな光で目を覚ました。
身体の節々、特に手が痛む。しかし、戦闘をしていた時ほどではない。大方治癒してもらったんだろうとすぐに理解した。
ぼんやりと自分が寝ていた周りを見渡した。
校舎の保健室。
隣に椅子に座って眠りこける幼馴染。
「……ガチで寝てやがる…」
身体に負荷がかかるかかからないか微妙な体制でいびきをかく奏に呆れかえる。
外されていたマスクから覗く口元は緩みきって、微かによだれが垂れていた。
熟睡するほど、疲れていたんだろう。それほどまでに過酷だった、今回の試験は。
「――何もしてないわけじゃない。好きな人の隣に立つために……大切な人を傷つけさせないために……歌だけで勝てるわけないでしょ……‼‼」
幼い頃から、奏は自分に好意を寄せ続けていた。爆豪はそれを知っていながらも応えてはいなかった。
タイミングはあったはずだった。小学生の彼女は真っ直ぐに自分への好意を伝え続けていた。
それに、体育祭で奏と戦った後、幼い頃の戯言ではない本気の告白を奏はした。
応える口実はあった。
しかし、その出来事を境に奏は自ら話しかけることがなくなっていた。
あろうことか、緑谷や轟と話すようになった。腹立たしい。
爆豪が黙って奏を見つめていると、もごもごと奏が声を発した。
「かつ……き……」
少し掠れた声は、昔と変わらず真っ直ぐに自分を呼んでいた。
無防備に眠る少女の短くなってしまった髪に手を伸ばす。
別に長い髪も短い髪も爆豪にとってはどうでもよかった。
奏が奏らしくあるのなら、どちらでもよかった。
ギシッ
鈍い音を立てて爆豪の眠っていたベッドが軋んだ。
「ん……?」
さっきの音で奏の意識が覚醒した。
何故このタイミングなんだクソベッド。と爆豪は頭の中で悪態をつく。
「あれ? もうこんなに経ってたの……?」
「……おう…」
「あ、勝己起きてたんだ。手はもう大丈夫?」
「ああ……痛みはほとんどひいた」
「そっか、よかった」
奏は安心したように微笑んだ。