食堂から戻ると出久たちはクラスの皆に拳藤さんから聞いた情報を伝えた。

「んだよ、ロボなら楽チンだぜ‼」

対人だと個性の調整が難しい組は喜ぶ。
私は人の方が個性が効きやすいから難しいところ。

「人でもロボでもぶっ飛ばすのは同じだろ。何が楽チンだ、アホが」
「アホとは何だ、アホとは‼」

不機嫌に立ち上がった勝己。ここの所いつもこれだ。

「うるせえな、調整なんか勝手にできるもんだアホだろ！　なあ⁉　デク！」
「！」

勝己が……出久に話しかけた……！　何が起こるんだ。

「個性の使い方……ちょっとわかってきたか知らねえけどよ、てめぇはつくづく俺の神経逆撫でするな」

勝己もやっぱり気づいてたんだ、自分の動きなんだし気づかない方が変だけど。私の予想通り、ムカついてんだ。

「体育祭みてぇな半端な結果はいらねぇ……！　次の期末なら個人成績でいやがおうにも優劣つく……！　完膚なきまでに差ぁつけて、てめぇぶち殺してやる！」

一方的な宣戦布告。雰囲気が悪くなる。

「ちょっと、勝己……」

二人の間に入ろうと声を出した。

「……」

勝己が何も言わないで見てきた。睨んできた。こんなに睨まれたことなんてない。

「……っ」

何、今の目……

「轟ぃ……‼　てめぇもなぁ‼」

轟くんも睨みつけて壊すような勢いで教室の扉を閉めた。

「勝己‼」

呼び止めたけど、無視された。追いかけるのは怖かった。