爆豪勝己:オリジン
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
期末試験の時期が近くなり、季節は夏へと近づいた。
「えー……そろそろ夏休みも近いが、もちろん君らが三十日間一か月休める道理はない」
ホームルーム。相澤先生の言葉にクラスのみんなが生唾を飲む。
「夏休み、林間合宿やるぞ」
「知ってたよーーやったーーー‼」
皆が立ち上がって喜ぶ。夏休み、合宿。ワクワクする要素ばかりだ。
口々に合宿でやりたいことを言っていく。肝試しや花火に紛れて峰田が「風呂」とか「行水」とか「湯浴み」とか邪な目的しか感じないものも言っている。
寝食をみんなと。ワクワクで興奮が高まる。
「ただし。その前の期末テストで合格点に満たなかった奴は……学校で補習地獄だ」
「みんながんばろーぜ‼」
切島くんをはじめ賑やかし組が鼓舞をする。成績が怪しい人とかもいるから大変だ。
時は流れ六月最終週。期末テストまで残すところあと一週間――。
「全く勉強してねー‼」
それは、上鳴くんの悲痛な叫びから始まった。
前回の中間テストは入学したてで範囲が狭く、特に苦労はしていなかった。
しかし、今回は体育祭、職場体験を経たということで勉学が疎かになりつつある。
しかも、今回は演習試験もある。ヒーロー科としての実技。戦闘なのか救助なのか不明瞭だ。
「アシドさん、上鳴くん! が……頑張ろうよ! やっぱ全員で林間合宿行きたいもん! ね!」
「うむ!」
「普通に授業受けてりゃ赤点は出ねぇだろ」
「言葉には気をつけろ‼」
中間座学成績上位陣の容赦のない言葉が下位層の心に刺さる。特に轟くんの言葉は痛い。
私も成績は真ん中くらいだったけど、理数が弱いから不安だ。先を見据えると理数は強くありたい。
中間座学一位のヤオモモちゃんが自宅でお勉強会を開くのだそうで、プリプリと張り切っていてかあいい。
人の集まるヤオモモちゃんとは反対に、三位の勝己は全く頼りにされない。懐の広い切島くんは勝己に教え殺されるらしい。
気まずい状態じゃなければ、勝己にわからない所聞こうと思っていたんだけど……自分で頑張るか。
その日のお昼。
食堂で何人か集まっての昼食。話題になるのはやはり、期末試験。
演習試験が内容不透明で怖いと始まった。
相澤先生にそれとなく聞いても「一学期でやったことの総合的内容」とだけしか教えてくれなかった。
「一学期でやったこと言えば……」
「戦闘訓練と救助訓練……」
あとはほぼ基礎トレ。わからないことばかりが多い。
「試験勉強に加えて体力でも万全に……あイタ‼」
出久の頭が後ろから攻撃される。お盆を持っていた人の手にあたったようだ。
「ああ、ごめん頭大きいから当たってしまった」
「B組の! えっと……物間くん! よくも!」
体育祭の騎馬戦で当たった人だ。ハンカチを拾ってもらってから話はしていない。
「あ、魚住さん。お久しぶり」
「え、あ、うん……」
何でか好意的に接してくるんだよなぁ、この人。
「この前発売されたCD買ったよ。よかった」
「お、お買い上げありがとうございます……?」
クラスの人以外には言ってないのに何でこの人知ってるんだろう。どこで聞きつけたんだ。
「物間物間~その子? 人魚って‼」
物間くんの後ろから女の子が出てきた。
「どちらさまで?」
見覚えのない顔だ。B組なら体育祭で見ているから記憶にあるはずだ。
「私、語部詠海っていいます! 貴方のファンです! 奏ちゃん!」
ずいずいと近づかれて手を握られた。
「体育祭で歌声披露したでしょ、魚住さん。その時に一目惚れしたんだってさ」
「私、小さい頃から人魚が好きだったの‼ 雄英に来たら本物の人魚に会えるなんて‼」
キラキラした目でこっちを見上げてくる。眩しい……
「B組なんだよ、ね……?体育祭で見かけなかったけど……」
「ああ、私、生まれつき身体が弱くて……昔よりはマシになったんですけど、休みがちで……しかも体育祭休んじゃったから」
「そうだったんだ……」
「今日は爆豪といないんだね、ケンカでもしているの? もしかして」
何で嬉しそうな顔してるのかな、物間くん。
「いや、別にケンカしてるわけじゃないよ」
ケンカしてるわけでもないのに気まずいのか、私たち。冷静に考えると変なの。
「バクゴーって誰?」
「ほら、体育祭一位のヤツ」
「あ、あの怖い人! 拘束されてた‼ で、どうして奏ちゃん?」
「私と勝己、幼馴染なんだ。出久もだけど」
「そっかぁ」
語部さんは何であんな怖い人? って思っているんだろうな。私も出久もあんなに口が悪かったり性格悪かったりしてるやつの幼馴染やってるの不思議に思われてるのかな。
「そういえば、君らヒーロー殺しに遭遇したんだってね。体育祭に続いて注目を浴びる要素ばかり増えてくよね、A組って。ただその注目って決して期待値とかじゃなくて、トラブル引きつける的なものだよね。あー怖い! いつか君たちが呼ぶトラブルに巻き込まれて被害が及ぶかもしれないなあ! ああ怖……ふっ‼」
「シャレにならん飯田の件知らないの?」
「ナイス! 一佳ちゃん!」
マシンガンのように喋り出した物間くんが手刀で沈む。B組の拳藤さんだ。
「ゴメンなA組。こいつちょっと心がアレなんだよ」
心がアレ……
「あんたらさっき期末の演習試験不透明とか言ってたね。入試ん時みたいな、対ロボットの実践演習らしいよ」
「えっ⁉ 本当⁉ 何で知ってるの⁉」
「私、先輩に知り合いいるからさ、聞いた。ちょっとズルだけど」
ヒーロー科って部活がないから縦の繋がりってあまりないから貴重だな。
「ズルじゃないよ! そうだきっと前情報の収集も一巻に織り込まれてたんだ。そっか、先輩に聞けばよかったんだ。何で気づかなかったんだ。ブツブツブツブツブツブツブツブツ……」
またいつもの出久のブツブツ喋るやつが始まった。クラスの子はもう慣れ始めたけど、他のクラスの人は驚く。拳藤さんみたいに引くよね。そりゃあそうだ。
「……出久、やめなさい。ゴメンね、拳藤さん。ちょっとこの子オタクなだけだから」
「あ、うん……」
肩を叩いてあげると出久はブツブツをやめた。周りが見えなくなるのかいな。
「バカなのかい、拳藤。せっかくの情報アドバンテージを‼ ココこそ魚住さん以外の憎きA組を出し抜くチャンスだったんだ……」
「憎くはないっつーの」
「しかも奏ちゃん以外とか……引くよ、物間」
「君だけには言われたくないなぁ‼」
心がアレな物間くんは、そのまま拳藤さんに首根っこ掴まれて引きずられていった。語部さんと言い合いをしながらだから元気だなぁ。
「えー……そろそろ夏休みも近いが、もちろん君らが三十日間一か月休める道理はない」
ホームルーム。相澤先生の言葉にクラスのみんなが生唾を飲む。
「夏休み、林間合宿やるぞ」
「知ってたよーーやったーーー‼」
皆が立ち上がって喜ぶ。夏休み、合宿。ワクワクする要素ばかりだ。
口々に合宿でやりたいことを言っていく。肝試しや花火に紛れて峰田が「風呂」とか「行水」とか「湯浴み」とか邪な目的しか感じないものも言っている。
寝食をみんなと。ワクワクで興奮が高まる。
「ただし。その前の期末テストで合格点に満たなかった奴は……学校で補習地獄だ」
「みんながんばろーぜ‼」
切島くんをはじめ賑やかし組が鼓舞をする。成績が怪しい人とかもいるから大変だ。
時は流れ六月最終週。期末テストまで残すところあと一週間――。
「全く勉強してねー‼」
それは、上鳴くんの悲痛な叫びから始まった。
前回の中間テストは入学したてで範囲が狭く、特に苦労はしていなかった。
しかし、今回は体育祭、職場体験を経たということで勉学が疎かになりつつある。
しかも、今回は演習試験もある。ヒーロー科としての実技。戦闘なのか救助なのか不明瞭だ。
「アシドさん、上鳴くん! が……頑張ろうよ! やっぱ全員で林間合宿行きたいもん! ね!」
「うむ!」
「普通に授業受けてりゃ赤点は出ねぇだろ」
「言葉には気をつけろ‼」
中間座学成績上位陣の容赦のない言葉が下位層の心に刺さる。特に轟くんの言葉は痛い。
私も成績は真ん中くらいだったけど、理数が弱いから不安だ。先を見据えると理数は強くありたい。
中間座学一位のヤオモモちゃんが自宅でお勉強会を開くのだそうで、プリプリと張り切っていてかあいい。
人の集まるヤオモモちゃんとは反対に、三位の勝己は全く頼りにされない。懐の広い切島くんは勝己に教え殺されるらしい。
気まずい状態じゃなければ、勝己にわからない所聞こうと思っていたんだけど……自分で頑張るか。
その日のお昼。
食堂で何人か集まっての昼食。話題になるのはやはり、期末試験。
演習試験が内容不透明で怖いと始まった。
相澤先生にそれとなく聞いても「一学期でやったことの総合的内容」とだけしか教えてくれなかった。
「一学期でやったこと言えば……」
「戦闘訓練と救助訓練……」
あとはほぼ基礎トレ。わからないことばかりが多い。
「試験勉強に加えて体力でも万全に……あイタ‼」
出久の頭が後ろから攻撃される。お盆を持っていた人の手にあたったようだ。
「ああ、ごめん頭大きいから当たってしまった」
「B組の! えっと……物間くん! よくも!」
体育祭の騎馬戦で当たった人だ。ハンカチを拾ってもらってから話はしていない。
「あ、魚住さん。お久しぶり」
「え、あ、うん……」
何でか好意的に接してくるんだよなぁ、この人。
「この前発売されたCD買ったよ。よかった」
「お、お買い上げありがとうございます……?」
クラスの人以外には言ってないのに何でこの人知ってるんだろう。どこで聞きつけたんだ。
「物間物間~その子? 人魚って‼」
物間くんの後ろから女の子が出てきた。
「どちらさまで?」
見覚えのない顔だ。B組なら体育祭で見ているから記憶にあるはずだ。
「私、語部詠海っていいます! 貴方のファンです! 奏ちゃん!」
ずいずいと近づかれて手を握られた。
「体育祭で歌声披露したでしょ、魚住さん。その時に一目惚れしたんだってさ」
「私、小さい頃から人魚が好きだったの‼ 雄英に来たら本物の人魚に会えるなんて‼」
キラキラした目でこっちを見上げてくる。眩しい……
「B組なんだよ、ね……?体育祭で見かけなかったけど……」
「ああ、私、生まれつき身体が弱くて……昔よりはマシになったんですけど、休みがちで……しかも体育祭休んじゃったから」
「そうだったんだ……」
「今日は爆豪といないんだね、ケンカでもしているの? もしかして」
何で嬉しそうな顔してるのかな、物間くん。
「いや、別にケンカしてるわけじゃないよ」
ケンカしてるわけでもないのに気まずいのか、私たち。冷静に考えると変なの。
「バクゴーって誰?」
「ほら、体育祭一位のヤツ」
「あ、あの怖い人! 拘束されてた‼ で、どうして奏ちゃん?」
「私と勝己、幼馴染なんだ。出久もだけど」
「そっかぁ」
語部さんは何であんな怖い人? って思っているんだろうな。私も出久もあんなに口が悪かったり性格悪かったりしてるやつの幼馴染やってるの不思議に思われてるのかな。
「そういえば、君らヒーロー殺しに遭遇したんだってね。体育祭に続いて注目を浴びる要素ばかり増えてくよね、A組って。ただその注目って決して期待値とかじゃなくて、トラブル引きつける的なものだよね。あー怖い! いつか君たちが呼ぶトラブルに巻き込まれて被害が及ぶかもしれないなあ! ああ怖……ふっ‼」
「シャレにならん飯田の件知らないの?」
「ナイス! 一佳ちゃん!」
マシンガンのように喋り出した物間くんが手刀で沈む。B組の拳藤さんだ。
「ゴメンなA組。こいつちょっと心がアレなんだよ」
心がアレ……
「あんたらさっき期末の演習試験不透明とか言ってたね。入試ん時みたいな、対ロボットの実践演習らしいよ」
「えっ⁉ 本当⁉ 何で知ってるの⁉」
「私、先輩に知り合いいるからさ、聞いた。ちょっとズルだけど」
ヒーロー科って部活がないから縦の繋がりってあまりないから貴重だな。
「ズルじゃないよ! そうだきっと前情報の収集も一巻に織り込まれてたんだ。そっか、先輩に聞けばよかったんだ。何で気づかなかったんだ。ブツブツブツブツブツブツブツブツ……」
またいつもの出久のブツブツ喋るやつが始まった。クラスの子はもう慣れ始めたけど、他のクラスの人は驚く。拳藤さんみたいに引くよね。そりゃあそうだ。
「……出久、やめなさい。ゴメンね、拳藤さん。ちょっとこの子オタクなだけだから」
「あ、うん……」
肩を叩いてあげると出久はブツブツをやめた。周りが見えなくなるのかいな。
「バカなのかい、拳藤。せっかくの情報アドバンテージを‼ ココこそ魚住さん以外の憎きA組を出し抜くチャンスだったんだ……」
「憎くはないっつーの」
「しかも奏ちゃん以外とか……引くよ、物間」
「君だけには言われたくないなぁ‼」
心がアレな物間くんは、そのまま拳藤さんに首根っこ掴まれて引きずられていった。語部さんと言い合いをしながらだから元気だなぁ。