魚住:オリジン
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
一回戦はシード戦をのぞいてすべてが終了。私の対戦相手は勝己だ。
そして、二回戦最初の試合は、出久と轟くん。
激しい攻防の中、出久は轟くんの弱点をついた。試合中、出久が叫んだ言葉が背中を押したのだろうか、轟くんが左側の個性を使った。
途中で私は控室に移動しろと指示されたので、詳しい部分はわからなかったけど、どうやら轟くんが勝ったらしい。
そして、とうとう私と勝己の試合が始まろうとしている。
控室で心を落ち着かせながら私は、昔のことを思い出していた。
「奏ちゃんの歌声きれー‼」
あれは私の個性が発現したばかりの頃。歌声を褒められたくて何かしらいつも歌ってばかりいた。
「えへへ……ありがと、出久」
「奏ちゃんの歌声ってきれーだよね、かっちゃん」
一緒に歌を聴いていた勝己に出久が同意を求めた。
「……どこがだよ、音痴だろ」
「ひ、ひどいよ、かっちゃん!」
なぜだか勝己は私の歌を音痴と言ったんだ。幼いながらに好きな人から音痴と言われたのはかなりショックだった。
あれ以来だ。
私が勝己の前で歌えないのは。
いつまで引きずってるんだろうな、こんな昔の事。あの時、勝己はただ素直に綺麗とは言えなかったんだと今思えばわかる。私の歌は音痴じゃないのだってもうわかってる。
それなのに……
「恋愛、ごっこかなぁ……」
『先延ばしにしていた一回戦最後の試合だ! A組、歌姫魚住奏‼ そして…今回も女子相手だぜ! 同じくA組! 爆豪勝己‼』
マイク先生の声が会場に響き渡る。
会場中の歓声も気にしてられないほど、勝己は心底戦いたくない相手だ。
『んじゃ……――スタート‼』
開始と同時に勝己がこちらに向かってくる。射程圏内に入れば、すぐに爆発をかますだろう。なら――
勝己の右手に火花が散るのが見えた。
BOOM‼
「ったぁ…!」
「すげぇ! あれを避けた!」
観客席から声が上がる。
完全にではないけど、なんとか避けれた……ってところだ。
すきを狙って蹴りを一発……!
私が足に力を入れると、すぐにまた火花が散った。近づいてもすぐに迎撃されちゃ意味がない。
「髪が……!」
さっきの攻撃を避けた時に掠ったのか、髪が焦げていた。
「クソッ!」
まだ勝己はエンジンがかかってない。この状態ならまだ私の動体視力で逃げ切れる。……でも、長期戦は勝己の調子を上げるだけだ。
勝己の攻撃を避けるたびに、長い髪が掠って痛みが広がっていく。
「邪魔なら切ったらいいだろ、んな髪」
勝己が言う。
「誰の、誰のためにこの髪を伸ばしてきたと思ってんの‼」
昔、勝己は女らしい子が好きだって言ってた! だから少しでも女の子らしくなるようにってこんな目立つ青髪を伸ばしてきた。伸ばし続けてきた‼
私のやってきたこと全て…勝己に振り向いてほしいからなのに……!
私のほんの一瞬の隙で勝己に間合いに攻め込まれて爆破される。
「ゲホッ」
脇腹に一発食らってしまった。
脇腹を庇って怯んだ隙に勝己が爆発を起こして私を場外へ飛ばそうとする。爆風の中なんとか受け身を取って着地したが、私の体力はもうギリギリだ。
それに比べて勝己はまだ余裕がある。
さっきの脇腹の攻撃でとうとう髪留めが燃えた。
勝己が昔にくれた赤い髪留めだ。
――もう、歌うしか私に戦う選択肢はない。
けど……勝己を目に入れれば昔のことを思い出して喉から声が出てこない。
「クソッ……」
歌えよ……私…!
――「恋愛感情が邪魔してんじゃないか?」
ふいに、轟くんの言葉を思い出した。
そして、二回戦最初の試合は、出久と轟くん。
激しい攻防の中、出久は轟くんの弱点をついた。試合中、出久が叫んだ言葉が背中を押したのだろうか、轟くんが左側の個性を使った。
途中で私は控室に移動しろと指示されたので、詳しい部分はわからなかったけど、どうやら轟くんが勝ったらしい。
そして、とうとう私と勝己の試合が始まろうとしている。
控室で心を落ち着かせながら私は、昔のことを思い出していた。
「奏ちゃんの歌声きれー‼」
あれは私の個性が発現したばかりの頃。歌声を褒められたくて何かしらいつも歌ってばかりいた。
「えへへ……ありがと、出久」
「奏ちゃんの歌声ってきれーだよね、かっちゃん」
一緒に歌を聴いていた勝己に出久が同意を求めた。
「……どこがだよ、音痴だろ」
「ひ、ひどいよ、かっちゃん!」
なぜだか勝己は私の歌を音痴と言ったんだ。幼いながらに好きな人から音痴と言われたのはかなりショックだった。
あれ以来だ。
私が勝己の前で歌えないのは。
いつまで引きずってるんだろうな、こんな昔の事。あの時、勝己はただ素直に綺麗とは言えなかったんだと今思えばわかる。私の歌は音痴じゃないのだってもうわかってる。
それなのに……
「恋愛、ごっこかなぁ……」
『先延ばしにしていた一回戦最後の試合だ! A組、歌姫魚住奏‼ そして…今回も女子相手だぜ! 同じくA組! 爆豪勝己‼』
マイク先生の声が会場に響き渡る。
会場中の歓声も気にしてられないほど、勝己は心底戦いたくない相手だ。
『んじゃ……――スタート‼』
開始と同時に勝己がこちらに向かってくる。射程圏内に入れば、すぐに爆発をかますだろう。なら――
勝己の右手に火花が散るのが見えた。
BOOM‼
「ったぁ…!」
「すげぇ! あれを避けた!」
観客席から声が上がる。
完全にではないけど、なんとか避けれた……ってところだ。
すきを狙って蹴りを一発……!
私が足に力を入れると、すぐにまた火花が散った。近づいてもすぐに迎撃されちゃ意味がない。
「髪が……!」
さっきの攻撃を避けた時に掠ったのか、髪が焦げていた。
「クソッ!」
まだ勝己はエンジンがかかってない。この状態ならまだ私の動体視力で逃げ切れる。……でも、長期戦は勝己の調子を上げるだけだ。
勝己の攻撃を避けるたびに、長い髪が掠って痛みが広がっていく。
「邪魔なら切ったらいいだろ、んな髪」
勝己が言う。
「誰の、誰のためにこの髪を伸ばしてきたと思ってんの‼」
昔、勝己は女らしい子が好きだって言ってた! だから少しでも女の子らしくなるようにってこんな目立つ青髪を伸ばしてきた。伸ばし続けてきた‼
私のやってきたこと全て…勝己に振り向いてほしいからなのに……!
私のほんの一瞬の隙で勝己に間合いに攻め込まれて爆破される。
「ゲホッ」
脇腹に一発食らってしまった。
脇腹を庇って怯んだ隙に勝己が爆発を起こして私を場外へ飛ばそうとする。爆風の中なんとか受け身を取って着地したが、私の体力はもうギリギリだ。
それに比べて勝己はまだ余裕がある。
さっきの脇腹の攻撃でとうとう髪留めが燃えた。
勝己が昔にくれた赤い髪留めだ。
――もう、歌うしか私に戦う選択肢はない。
けど……勝己を目に入れれば昔のことを思い出して喉から声が出てこない。
「クソッ……」
歌えよ……私…!
――「恋愛感情が邪魔してんじゃないか?」
ふいに、轟くんの言葉を思い出した。