魚住:オリジン
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レクリエーションの間、私は仮眠をとって、目を覚ましたのは、個人戦が始まってしばらく経った頃だった。
急いで更衣室から出て会場が見える観客席へと私は走った。
「あ……」
切島くん、と繰り上がりで上がったB組の人だ。確か、体育祭前に教室まで来ていた人。
この後に勝己とお茶子ちゃんが戦って、二回戦の……一組目をやったら一回戦のシード戦、私は勝己とお茶子ちゃんのどちらかと戦うことになる。
「ん? 轟くん……」
観客席から離れたところに轟くんが立っていた。
「魚住か」
「一回戦どうだったの? 確か瀬呂くんとだったよね?」
「勝った」
「……そっか」
特に感情が見えない言葉で轟くんが返す。凄いなぁ、轟くんは。
「――魚住、お前は自分の個性を気に食わないって思ったことがあるか?」
轟くんがそんな話を振るなんて珍しい。――いや、まあ、轟くんと自体あまり話したことはないんだけど。
「……確かに、私の個性は敵に狙われるし、周りに迷惑かけちゃうから小さい頃はこんな個性イヤだって思ってたよ」
出久の前では一度も言えなかったなぁ。
「それでも、それでもさ、私は私だから。こんな守られるしかできない個性だけど……ヒーローになりたかったから。個性を受け入れることにしたんだ。――ま、結構得することもあるんだよ? この個性。泳ぐの楽しいし、音楽の成績いいしさ!」
「……そうか」
「轟くんは、誰もが羨みそうな個性がお嫌いで?」
「どう、なんだろうな」
迷ってる、のかな。
「……私は、轟くんのことあんまり知らないし、その強い個性に何があったのかもわからないけど、迷ったら自分の『原点』を見直せばいいんじゃないかなぁ」
「……魚住はどうしてヒーローになろうと思ったんだ?」
「え。私の知りたいの?」
轟くんは黙ってうなずいた。
「あんまり立派なものじゃないよ。色々不純だし……私は…勝己も出久も小さい頃からずっとヒーロー目指しててさ、三人で一緒にいたくて……気が付いたらって感じ。それにさ、また怪我してほしくないんだ、私の為に」
「また?」
またって言葉に轟くんが興味を持った。
「――1回だけね、あったんだ。あんまり話したくないんだけど……子供の頃、小学生の頃に一度だけ、勝己が私を守って大怪我したの。私が大泣きして血を飲ませて、後遺症とかそんなのも残らずに治ったんだけどね。……目の前で勝己が傷つくのを私は見ていることしかできなくて……悔しくて……だから、強くなりたくて……助けたくてヒーローになった」
あの時は、本当に怖かったなぁ……
「そんなことがあったのか」
「私が敵に狙われるたびに勝己が助けてくれるのはいつもの事だったけどね」
「助けてくれるヒーローがいたんだな、魚住は」
「うん。私にとって勝己は一番凄いヒーローなんだ。絶対助けてくれるヒーロー」
「そこまで好きなんだな、爆豪のこと」
「……うん。――て、なんか私、恥ずかしいこと言った気がするんだけど⁉」
少し熱くなった頬を抑えて轟くんを軽く小突く。いてぇなんて声が少し漏れていた。
「そこまで恥ずかしいことじゃないと思うがな」
「轟くんは乙女心ってのを理解した方がいいよ⁉」
轟くんてイケメンなのに鈍感な奴だ! ギャップ萌えとかで何人もの女子とか落としてきたタイプだ‼
「……じゃあ、魚住が爆豪の前で歌おうとしないのは乙女心に関係してるのか?」
「え?」
「爆豪に耳栓させてただろ」
轟くんが自分の耳を指した。騎馬戦で見ていたんだろうか。
「ああ……なんて言うのかな、小さい頃のトラウマ、なのかなぁ……」
「割り切れてねぇのか」
「私にとっての一番の課題は勝己に弱いとこだよ。どうにも好きって感情が邪魔しちゃう」
どうにかしなきゃいけないってのはわかっているんだけどなぁ……
「そんなんじゃ、ヒーローにはなれねえぞ」
轟くんの声が少し低くなった。
「プロの世界は私情を――ましてや恋愛感情を持ち込めるほど甘くねえ。USJで見ていた魚住ならわかるだろ」
「……うん」
あの全力のオールマイト見ていたら肯定しかできない。確かに、色恋なんて気にしていたら完全に殺されていた。
「魚住にとって爆豪に対する恋愛感情がヒーローになるって目標を邪魔してるようにしか俺には思えない」
「……」
「それでいいのか? 魚住は」
急いで更衣室から出て会場が見える観客席へと私は走った。
「あ……」
切島くん、と繰り上がりで上がったB組の人だ。確か、体育祭前に教室まで来ていた人。
この後に勝己とお茶子ちゃんが戦って、二回戦の……一組目をやったら一回戦のシード戦、私は勝己とお茶子ちゃんのどちらかと戦うことになる。
「ん? 轟くん……」
観客席から離れたところに轟くんが立っていた。
「魚住か」
「一回戦どうだったの? 確か瀬呂くんとだったよね?」
「勝った」
「……そっか」
特に感情が見えない言葉で轟くんが返す。凄いなぁ、轟くんは。
「――魚住、お前は自分の個性を気に食わないって思ったことがあるか?」
轟くんがそんな話を振るなんて珍しい。――いや、まあ、轟くんと自体あまり話したことはないんだけど。
「……確かに、私の個性は敵に狙われるし、周りに迷惑かけちゃうから小さい頃はこんな個性イヤだって思ってたよ」
出久の前では一度も言えなかったなぁ。
「それでも、それでもさ、私は私だから。こんな守られるしかできない個性だけど……ヒーローになりたかったから。個性を受け入れることにしたんだ。――ま、結構得することもあるんだよ? この個性。泳ぐの楽しいし、音楽の成績いいしさ!」
「……そうか」
「轟くんは、誰もが羨みそうな個性がお嫌いで?」
「どう、なんだろうな」
迷ってる、のかな。
「……私は、轟くんのことあんまり知らないし、その強い個性に何があったのかもわからないけど、迷ったら自分の『原点』を見直せばいいんじゃないかなぁ」
「……魚住はどうしてヒーローになろうと思ったんだ?」
「え。私の知りたいの?」
轟くんは黙ってうなずいた。
「あんまり立派なものじゃないよ。色々不純だし……私は…勝己も出久も小さい頃からずっとヒーロー目指しててさ、三人で一緒にいたくて……気が付いたらって感じ。それにさ、また怪我してほしくないんだ、私の為に」
「また?」
またって言葉に轟くんが興味を持った。
「――1回だけね、あったんだ。あんまり話したくないんだけど……子供の頃、小学生の頃に一度だけ、勝己が私を守って大怪我したの。私が大泣きして血を飲ませて、後遺症とかそんなのも残らずに治ったんだけどね。……目の前で勝己が傷つくのを私は見ていることしかできなくて……悔しくて……だから、強くなりたくて……助けたくてヒーローになった」
あの時は、本当に怖かったなぁ……
「そんなことがあったのか」
「私が敵に狙われるたびに勝己が助けてくれるのはいつもの事だったけどね」
「助けてくれるヒーローがいたんだな、魚住は」
「うん。私にとって勝己は一番凄いヒーローなんだ。絶対助けてくれるヒーロー」
「そこまで好きなんだな、爆豪のこと」
「……うん。――て、なんか私、恥ずかしいこと言った気がするんだけど⁉」
少し熱くなった頬を抑えて轟くんを軽く小突く。いてぇなんて声が少し漏れていた。
「そこまで恥ずかしいことじゃないと思うがな」
「轟くんは乙女心ってのを理解した方がいいよ⁉」
轟くんてイケメンなのに鈍感な奴だ! ギャップ萌えとかで何人もの女子とか落としてきたタイプだ‼
「……じゃあ、魚住が爆豪の前で歌おうとしないのは乙女心に関係してるのか?」
「え?」
「爆豪に耳栓させてただろ」
轟くんが自分の耳を指した。騎馬戦で見ていたんだろうか。
「ああ……なんて言うのかな、小さい頃のトラウマ、なのかなぁ……」
「割り切れてねぇのか」
「私にとっての一番の課題は勝己に弱いとこだよ。どうにも好きって感情が邪魔しちゃう」
どうにかしなきゃいけないってのはわかっているんだけどなぁ……
「そんなんじゃ、ヒーローにはなれねえぞ」
轟くんの声が少し低くなった。
「プロの世界は私情を――ましてや恋愛感情を持ち込めるほど甘くねえ。USJで見ていた魚住ならわかるだろ」
「……うん」
あの全力のオールマイト見ていたら肯定しかできない。確かに、色恋なんて気にしていたら完全に殺されていた。
「魚住にとって爆豪に対する恋愛感情がヒーローになるって目標を邪魔してるようにしか俺には思えない」
「……」
「それでいいのか? 魚住は」