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『よぉーし組み終わったな⁉ 準備はいいかなんて聞かねえぞ‼ いくぜ‼ 残虐バトルロワイヤルカウントダウン‼ 三‼ 二‼一……!スタート‼』
マイク先生のカウントダウンで騎馬が一斉に動き始める。全員狙うのは出久の一千万ポイント! 出久には申し訳ないけれど‼
「勝己! 出久いたよ! 常闇くんの影‼」
出久の騎馬を見つけると、単騎で出久たちに向かって行く影が。あれは――障子くん⁉ 一人でいいのか?
「中に峰田と梅雨ちゃんだー‼」
「小柄な体格を活かしたのか……」
障子くんの腕の中にクラスの中でも小柄な二人の梅雨ちゃんと峰田くん。中からモギモギ投げたり、舌を伸ばしたりして動きを封じ、ハチマキを狙ってくる。
『峰田チーム圧倒的体格差を利用し、まるで戦車だぜ! たまらず緑谷チーム離れる!』
「うわっ!」
出久たちが空中に退避してすぐ、勝己が跳んでいきやがった。
「調子乗ってんじゃねえぞクソが!」
「瀬呂くんテープ!」
「おうよ!」
『おおおおおお⁉ 騎馬から離れたぞ⁉ 良いのかアレ⁉』
ミッドナイト先生の判断を伺う。地面に落ちていたらアウトだったらしい。
常闇くんの影に防がれて勝己が落下してくる。瀬呂くんのテープで上手く騎馬へと着地した。
『やはり狙われまくる一位と猛追を仕掛けるA組面々ともに実力者揃い! 現在の保持ポイントはどうなっているのか……』
マイク先生の実況で周りを見渡し、会場の電光掲示板を見る。
「あれ……⁉」
私たちのチームのポイントが、いや、他のチームのポイントもなくなっている。
「単純なんだよ、A組」
「んだてめぇ返せ殺すぞ‼」
「やられた!」
後ろからハチマキを取られた……! 全然気がつかなかった!
こいつ、B組か……!
「ミッドナイトが第一種目と言った時点で、予選段階から極端に数を減らすとは考えにくいと思わない?」
金髪に薄ら笑いを浮かべた騎手が話し出す。
他の騎馬のハチマキも取っている。〇ポイントのチームが多いのはこいつらの仕業か。
「だからおおよその目安を仮定し、その順位より下にならないよう予選走ってさ。後方からライバルになる者たちの個性や性格を観察させてもらった。その場限りの優位に執着したって仕方ないだろう?」
「組ぐるみか……‼」
「まあ全員の総意ってわかじゃないけど、いい案だろ? 人参ぶら下げた馬みたいに仮初の頂点狙うよりさ」
彼の言葉に私は勝己を見上げた。――あ、ヤバイ。それだけ感じた。
「あ、あとついでに君有名人だよね? 『ヘドロ事件』の被害者! 今度参考に聞かせてよ。年に一度敵に襲われる気持ちてのをさ」
去り際に彼が言い捨てる。
ああ、ダメだこれは。
「切島……予定変更だ……デクの前にこいつら全員殺そう……‼」
勝己がキレた。
「か、勝己落ち着いて……敵に狙われるのなんて私の方が頻度多いんだから……!」
「魚住、違う。そこじゃない」
「おっおっおおぉぉぉ……」
「爆豪落ち着け。冷静にならねえとポイント取り返せねえぞ‼」
「おォオオオ……」
切島くんの諫める声は聞こえている。多分、大丈夫なはず。多分。
「っし進め切島……‼ 俺は今……すこぶる冷静だ……‼‼」
「頼むぞ、マジで」
「アレ大丈夫なん?」
「んー……多分?」
瀬呂くんの言葉には、曖昧な答えしか返せない。勝己自身が「冷静」と言ったのなら、多分大丈夫だとは思う。勝己はまあ、基本的には頭の回る冷静な奴だ。
向こうは見たところ三つくらいはハチマキを獲っている。全部獲れれば上位に戻れるかも。
向こうの騎馬に向かって行くと、迎撃された。
それは、よく見慣れた爆破。
「ははぁ……へえ! すごい! いい個性だね!」
「うわっ!」
「俺の……‼」
まるで勝己と同じ……
「爆豪おめーもダダかぶりか‼」
「くそが‼」
勝己も負けじと爆破でやり返す。でも、向こうにはダメージがない。
「僕のがいいけどさ」
勝己の爆破を防いだってことか!
「んなあああー! 俺の⁉ また被っ……」
「違え、こいつ……コピーしやがった」
「正解! まぁバカでもわかるよね」
くっそ厄介な個性だ。これで芦戸ちゃんの個性もコピーされたらやばいし…何より今何をコピーしているのかわからない。
「おわっ!」
「固まった! すげえ! 動けねえ!」
別チームからの攻撃。粘着性のある液体で足元を固められてしまった。
「ちょい待ち! 私の個性で溶かすから!」
「早く! 〇ポイントだぞ早く‼」
「――あ、怒らないでね。煽ったのは君だろ? ホラ……宣誓で何て言ってたっけ……恥ずかしい奴……えー……まあいいや。おつかれ‼」
「ふざけんなモノマネ野郎‼」
舐め腐りやがって…勝己を馬鹿にしてんじゃねえよ‼‼
「一位だ……ただの一位じゃねえ。俺が獲るのは完膚なきまでの一位だ……‼ 奏!」
「は、はい⁉」
「歌え‼‼」
「今ぁ⁉」
相手の騎馬との距離を見る。他のチームも動いていて声が届きにくい。
「この距離だと……難しい。拡声器がないから尚更……もう少し近づけたら、行ける!」
「――わかった。奏、俺が言ったら歌え」
「でも……」
「耳栓するに決まってんだろ。――いつまで引きずってんだ」
最後、勝己が何かを呟いた。何を言ったのかは、今は気に留めていられなかった。
「――わかった……!」
私の返事を聞くと、勝己はB組の騎馬へと跳んで行った。
「待てえええええ‼ 待てって‼ 勝手すなああ爆豪ーー‼」
「円場‼ 防壁‼」
「っしゃぁ‼」
「てっ!」
騎馬の人の個性の透明な壁のようなものに勝己がぶつかった。けど、そんなのをものとせずに壁をぶち破った。
「跳ぶとき言えってば‼」
一度落ちかけた勝己を瀬呂くんが拾ってくれる。二個ハチマキを獲ったみたいだ。
「三位! これで通過できる……!」
「まだだ‼‼」
「はあ⁉」
「完膚なきまでの一位なんだよ、獲るのは‼」
勝己が切島くんの頭をポカポカ叩く。
「さっきの俺単騎じゃ踏ん張りが効かねえ。行け‼ “俺ら”のポイントも取り戻して一千万ポイントへ行く‼」
「っしゃあ‼」
「ったく!」
“俺ら”
勝己らしい。そこが大好きなんだ。
「しょうゆ顔! テープ‼」
「瀬呂なっと‼」
「黒目! 進行方向に弱めの溶解液!」
「あ・し・ど・み・な!」
「奏! 歌え‼」
「っ了解! ――男性陣、意識持ってかれないように歯ぁ食いしばりなよ……」
ちょうどいい具合に向こうのチームは男ばかり。私が一番能力を発揮できる!最大限の誘惑の歌で動きを鈍らせてやる!
『――惑え』
「うっ……」
よし! 効いた‼ 騎手の物真似野郎も騎馬の面々も動きが鈍くなった。
『私らのポイント返してもらうよ‼』
「爆豪‼ 容赦なしーーー‼‼」
「っしゃああ‼」
「次‼ デクと轟んとこだ‼」
二組を探してフィールドを見渡す。
「勝己! あっち‼ 氷で囲われてるとこ‼」
残り時間がもう残っていない。芦戸ちゃんの個性で溶かして間に合う……?
「抜けた!」
氷の壁を抜けた途端に勝己はポイントを奪うべく跳んだ。
しかし、すでに実況席からは、終了のカウントダウンが始まっていて――
『タイムアップ‼‼』
間に合わなかった。ビタンと勝己が地面に落っこちた。
『早速上位四チーム見てみよか‼ 一位、轟チーム‼』
一位が轟くんたちってことは、出久の一千万ポイント獲ったのか……
『二位爆豪チーム‼ 三位鉄て……アレェ⁉ オイ‼‼ 心操チーム⁉ いつの間に逆転してたんだよオイオイ‼ 四位緑谷チーム‼』
出久も通過してたんだ。よかった。
『以上四組が最終種目へ……進出だあああーー‼』
地面を殴っている勝己に近づいて顔を見る。
「勝己、顔汚れてんじゃん……もー」
ハンカチを取り出して顔の汚れを拭ってやろうと、ポケットを漁る。あれ? ない。
「あれー? 確か入れてたはずなんだけど……」
「あの……」
声をかけられて振り返る。
さっきまで私たちを煽っていたB組の物真似野郎だ。
「こ、これ……」
「あ、私の……」
ハンカチどこかに落としていたみたいだ。
「その、綺麗な歌声、でした……」
「は、はあ……」
私にハンカチを渡すとそそくさとその人は去って行った。
何なんだ、一体。
マイク先生のカウントダウンで騎馬が一斉に動き始める。全員狙うのは出久の一千万ポイント! 出久には申し訳ないけれど‼
「勝己! 出久いたよ! 常闇くんの影‼」
出久の騎馬を見つけると、単騎で出久たちに向かって行く影が。あれは――障子くん⁉ 一人でいいのか?
「中に峰田と梅雨ちゃんだー‼」
「小柄な体格を活かしたのか……」
障子くんの腕の中にクラスの中でも小柄な二人の梅雨ちゃんと峰田くん。中からモギモギ投げたり、舌を伸ばしたりして動きを封じ、ハチマキを狙ってくる。
『峰田チーム圧倒的体格差を利用し、まるで戦車だぜ! たまらず緑谷チーム離れる!』
「うわっ!」
出久たちが空中に退避してすぐ、勝己が跳んでいきやがった。
「調子乗ってんじゃねえぞクソが!」
「瀬呂くんテープ!」
「おうよ!」
『おおおおおお⁉ 騎馬から離れたぞ⁉ 良いのかアレ⁉』
ミッドナイト先生の判断を伺う。地面に落ちていたらアウトだったらしい。
常闇くんの影に防がれて勝己が落下してくる。瀬呂くんのテープで上手く騎馬へと着地した。
『やはり狙われまくる一位と猛追を仕掛けるA組面々ともに実力者揃い! 現在の保持ポイントはどうなっているのか……』
マイク先生の実況で周りを見渡し、会場の電光掲示板を見る。
「あれ……⁉」
私たちのチームのポイントが、いや、他のチームのポイントもなくなっている。
「単純なんだよ、A組」
「んだてめぇ返せ殺すぞ‼」
「やられた!」
後ろからハチマキを取られた……! 全然気がつかなかった!
こいつ、B組か……!
「ミッドナイトが第一種目と言った時点で、予選段階から極端に数を減らすとは考えにくいと思わない?」
金髪に薄ら笑いを浮かべた騎手が話し出す。
他の騎馬のハチマキも取っている。〇ポイントのチームが多いのはこいつらの仕業か。
「だからおおよその目安を仮定し、その順位より下にならないよう予選走ってさ。後方からライバルになる者たちの個性や性格を観察させてもらった。その場限りの優位に執着したって仕方ないだろう?」
「組ぐるみか……‼」
「まあ全員の総意ってわかじゃないけど、いい案だろ? 人参ぶら下げた馬みたいに仮初の頂点狙うよりさ」
彼の言葉に私は勝己を見上げた。――あ、ヤバイ。それだけ感じた。
「あ、あとついでに君有名人だよね? 『ヘドロ事件』の被害者! 今度参考に聞かせてよ。年に一度敵に襲われる気持ちてのをさ」
去り際に彼が言い捨てる。
ああ、ダメだこれは。
「切島……予定変更だ……デクの前にこいつら全員殺そう……‼」
勝己がキレた。
「か、勝己落ち着いて……敵に狙われるのなんて私の方が頻度多いんだから……!」
「魚住、違う。そこじゃない」
「おっおっおおぉぉぉ……」
「爆豪落ち着け。冷静にならねえとポイント取り返せねえぞ‼」
「おォオオオ……」
切島くんの諫める声は聞こえている。多分、大丈夫なはず。多分。
「っし進め切島……‼ 俺は今……すこぶる冷静だ……‼‼」
「頼むぞ、マジで」
「アレ大丈夫なん?」
「んー……多分?」
瀬呂くんの言葉には、曖昧な答えしか返せない。勝己自身が「冷静」と言ったのなら、多分大丈夫だとは思う。勝己はまあ、基本的には頭の回る冷静な奴だ。
向こうは見たところ三つくらいはハチマキを獲っている。全部獲れれば上位に戻れるかも。
向こうの騎馬に向かって行くと、迎撃された。
それは、よく見慣れた爆破。
「ははぁ……へえ! すごい! いい個性だね!」
「うわっ!」
「俺の……‼」
まるで勝己と同じ……
「爆豪おめーもダダかぶりか‼」
「くそが‼」
勝己も負けじと爆破でやり返す。でも、向こうにはダメージがない。
「僕のがいいけどさ」
勝己の爆破を防いだってことか!
「んなあああー! 俺の⁉ また被っ……」
「違え、こいつ……コピーしやがった」
「正解! まぁバカでもわかるよね」
くっそ厄介な個性だ。これで芦戸ちゃんの個性もコピーされたらやばいし…何より今何をコピーしているのかわからない。
「おわっ!」
「固まった! すげえ! 動けねえ!」
別チームからの攻撃。粘着性のある液体で足元を固められてしまった。
「ちょい待ち! 私の個性で溶かすから!」
「早く! 〇ポイントだぞ早く‼」
「――あ、怒らないでね。煽ったのは君だろ? ホラ……宣誓で何て言ってたっけ……恥ずかしい奴……えー……まあいいや。おつかれ‼」
「ふざけんなモノマネ野郎‼」
舐め腐りやがって…勝己を馬鹿にしてんじゃねえよ‼‼
「一位だ……ただの一位じゃねえ。俺が獲るのは完膚なきまでの一位だ……‼ 奏!」
「は、はい⁉」
「歌え‼‼」
「今ぁ⁉」
相手の騎馬との距離を見る。他のチームも動いていて声が届きにくい。
「この距離だと……難しい。拡声器がないから尚更……もう少し近づけたら、行ける!」
「――わかった。奏、俺が言ったら歌え」
「でも……」
「耳栓するに決まってんだろ。――いつまで引きずってんだ」
最後、勝己が何かを呟いた。何を言ったのかは、今は気に留めていられなかった。
「――わかった……!」
私の返事を聞くと、勝己はB組の騎馬へと跳んで行った。
「待てえええええ‼ 待てって‼ 勝手すなああ爆豪ーー‼」
「円場‼ 防壁‼」
「っしゃぁ‼」
「てっ!」
騎馬の人の個性の透明な壁のようなものに勝己がぶつかった。けど、そんなのをものとせずに壁をぶち破った。
「跳ぶとき言えってば‼」
一度落ちかけた勝己を瀬呂くんが拾ってくれる。二個ハチマキを獲ったみたいだ。
「三位! これで通過できる……!」
「まだだ‼‼」
「はあ⁉」
「完膚なきまでの一位なんだよ、獲るのは‼」
勝己が切島くんの頭をポカポカ叩く。
「さっきの俺単騎じゃ踏ん張りが効かねえ。行け‼ “俺ら”のポイントも取り戻して一千万ポイントへ行く‼」
「っしゃあ‼」
「ったく!」
“俺ら”
勝己らしい。そこが大好きなんだ。
「しょうゆ顔! テープ‼」
「瀬呂なっと‼」
「黒目! 進行方向に弱めの溶解液!」
「あ・し・ど・み・な!」
「奏! 歌え‼」
「っ了解! ――男性陣、意識持ってかれないように歯ぁ食いしばりなよ……」
ちょうどいい具合に向こうのチームは男ばかり。私が一番能力を発揮できる!最大限の誘惑の歌で動きを鈍らせてやる!
『――惑え』
「うっ……」
よし! 効いた‼ 騎手の物真似野郎も騎馬の面々も動きが鈍くなった。
『私らのポイント返してもらうよ‼』
「爆豪‼ 容赦なしーーー‼‼」
「っしゃああ‼」
「次‼ デクと轟んとこだ‼」
二組を探してフィールドを見渡す。
「勝己! あっち‼ 氷で囲われてるとこ‼」
残り時間がもう残っていない。芦戸ちゃんの個性で溶かして間に合う……?
「抜けた!」
氷の壁を抜けた途端に勝己はポイントを奪うべく跳んだ。
しかし、すでに実況席からは、終了のカウントダウンが始まっていて――
『タイムアップ‼‼』
間に合わなかった。ビタンと勝己が地面に落っこちた。
『早速上位四チーム見てみよか‼ 一位、轟チーム‼』
一位が轟くんたちってことは、出久の一千万ポイント獲ったのか……
『二位爆豪チーム‼ 三位鉄て……アレェ⁉ オイ‼‼ 心操チーム⁉ いつの間に逆転してたんだよオイオイ‼ 四位緑谷チーム‼』
出久も通過してたんだ。よかった。
『以上四組が最終種目へ……進出だあああーー‼』
地面を殴っている勝己に近づいて顔を見る。
「勝己、顔汚れてんじゃん……もー」
ハンカチを取り出して顔の汚れを拭ってやろうと、ポケットを漁る。あれ? ない。
「あれー? 確か入れてたはずなんだけど……」
「あの……」
声をかけられて振り返る。
さっきまで私たちを煽っていたB組の物真似野郎だ。
「こ、これ……」
「あ、私の……」
ハンカチどこかに落としていたみたいだ。
「その、綺麗な歌声、でした……」
「は、はあ……」
私にハンカチを渡すとそそくさとその人は去って行った。
何なんだ、一体。