うなれ体育祭
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敵襲撃の翌日は臨時休校となった。
そして、そのまた翌日――
「皆ー‼ 朝のホームルームが始まる。席につけー!」
「ついてるよ。ついてねーのおめーだけだ」
元気に飯田くんが委員長をしている。いつも通りの光景だ。
「おはよう」
定刻になって相澤先生が教室へやって来た。
「相澤先生復帰早えええええ‼」
「先生無事だったのですね‼」
「無事言うんかなぁアレ……」
すごいヨロヨロの動きで腕も顔も包帯だらけで、ミイラ男みたいだ。
「俺の安否はどうでもいい。何より戦いは終わってねぇ」
「まさか……」
「まだ敵が――⁉」
「雄英体育祭が迫っている!」
「クソ学校っぽいの来たあああ‼」
「雄英体育祭」。確かプロヒーローも見に来るすごいやつだったっけ?
「待って待って! 敵に侵入されたばっかなのに大丈夫なんですか⁉」
確かに、敵の個性があったのは仕方がないけど、一度敷地内に侵入されている。これはさすがに……
「逆に開催することで、雄英の危機管理体制が盤石だと示す……って考えらしい。警備は例年の五倍に強化するそうだ。何より雄英体育祭は……最大のチャンス。敵ごときで中止していい催しじゃねえ」
入学式はやらなかったくせになぁ。
雄英の体育祭って昔のオリンピックとやらにも負けないイベントなんだそうだ。そこまでの規模だとは知らなかった。
「当然全国のトップヒーローも観ますのよ、スカウト目的でね!」
全国のヒーローではたと思い至る。
「ヒーロー……あー……お兄ちゃん来たら面倒なことになるぞ……これ……」
兄が旗を持って応援する姿が目に浮かぶ。――いや、あの人も一応ヒーローなんだから、そのあたりはわきまえているはずだ。
「当然名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も話題性も高くなる。時間は有限。プロに見込まれれば、その場で将来が拓けるワケだ。年に一回……計三回だけのチャンス。ヒーロー志すなら絶対にはずせないイベントだ」
昼休み――
「そう言えばよ~USJで魚住のところに走ってきた人って……」
お昼の準備をしていると、切島くんが話しかけてきた。
そうだ、切島くん――と轟くんもだけど――には兄の愚行を見られてしまっていたんだった。
「あー……私の兄だね。まだ知名度とかは低いけど……『スノーマン』ってヒーロー。雄英のOBだよ」
「やっぱりか‼ 何で爆豪と仲悪いんだ? すっげー言い合いしてたよな」
「昔からああだから……なんでだろ。ねえ、勝己。何で?」
私の後ろで話に混ざる気はさらさらなかった勝己に疑問を飛ばした。
「俺に訊くな」
「――ま、まあ何となく予想はつくけどな。魚住関係なのは確か」
「え、私?」
私関係か。二人の接点と言ったら私になるから、妥当ではある。
「奏」
「うん?」
「飯行くぞ」
「あ、うん……」
勝己は、昔から兄の話になると喋らなくなるな。いつも以上に黙るし、機嫌悪いし。なんだかなぁ。
放課後――
「うおおおお……何事だあ⁉」
教室の外に人だかり。普通科や他の科の人もいるんだろうか、これは……
「出れねーじゃん! 何しに来たんだよ」
「敵情視察だろ、雑魚」
勝己に暴言を吐かれた峰田くん。何なんだよコイツと指をさす。
ナチュラルに毒を吐くのがこいつの常だからな。
「敵の襲撃耐え抜いた連中だもんな。体育祭前に見ときてえんだろ。意味ねえからどけモブ共」
「知らない人のこと取り敢えずモブって言うのやめなよ!」
あーあーほんっと悪い癖だ。
「どんなもんかと見に来たが、随分偉そうだなぁ。ヒーロー科に在籍するやつは皆こんななのかい?」
「いや、こいつだけ。こいつはクソを下水で煮込んだ性格してっから」
「オイ‼」
人垣の中から紫髪の逆立った凄い髪型の人が出てきた。
「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ。普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴結構いるんだ。知ってた?」
そんな噂、聞いたことあるような。ないような。
「体育祭のリザルトによっちゃ、ヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆もまた然りらしいよ……敵情視察? 少なくとも普通は調子のってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー宣戦布告しに来たつもり」
大胆不敵だなぁ、この人。
そしてまたもう一人が人垣の中から声を上げた。
「隣のB組のモンだけどよぅ! 敵と戦ったっつうから話聞こうと思ってんだがよぅ‼ えらく調子づいちゃってんなオイ‼ 本番で恥ずかしいことなんぞ‼」
ヘイトが一方的に溜まっていく。勝己のせいだ。
「奏、帰んぞ」
「へ?」
勝己が私の手を掴んで歩き出す。
「待てコラどうしてくれんだ。おめーの所為でヘイト集まりまくってんじゃねえか! リア充するな!」
教室から切島くんが叫んだ。リア充じゃないよ。
「関係ねぇよ……上に上がりゃ、関係ねえ」
「く……! シンプルで男らしいじゃねぇか」
「上か……一理ある」
切島くんと常闇くんがまんまと騙される。
「騙されんな! 無駄に敵増やしただけだぞ!」
「おら、帰んぞ」
勝己が私の手を強く引いた。本当に周りのことは関係ないスタンスらしい。
「はいはい……――勝己、今日うちでご飯食べてく?」
「クソ兄貴がいなかったらな」
「いないから来なって。キムチ買ってあるから」
「ん」
そして、そのまた翌日――
「皆ー‼ 朝のホームルームが始まる。席につけー!」
「ついてるよ。ついてねーのおめーだけだ」
元気に飯田くんが委員長をしている。いつも通りの光景だ。
「おはよう」
定刻になって相澤先生が教室へやって来た。
「相澤先生復帰早えええええ‼」
「先生無事だったのですね‼」
「無事言うんかなぁアレ……」
すごいヨロヨロの動きで腕も顔も包帯だらけで、ミイラ男みたいだ。
「俺の安否はどうでもいい。何より戦いは終わってねぇ」
「まさか……」
「まだ敵が――⁉」
「雄英体育祭が迫っている!」
「クソ学校っぽいの来たあああ‼」
「雄英体育祭」。確かプロヒーローも見に来るすごいやつだったっけ?
「待って待って! 敵に侵入されたばっかなのに大丈夫なんですか⁉」
確かに、敵の個性があったのは仕方がないけど、一度敷地内に侵入されている。これはさすがに……
「逆に開催することで、雄英の危機管理体制が盤石だと示す……って考えらしい。警備は例年の五倍に強化するそうだ。何より雄英体育祭は……最大のチャンス。敵ごときで中止していい催しじゃねえ」
入学式はやらなかったくせになぁ。
雄英の体育祭って昔のオリンピックとやらにも負けないイベントなんだそうだ。そこまでの規模だとは知らなかった。
「当然全国のトップヒーローも観ますのよ、スカウト目的でね!」
全国のヒーローではたと思い至る。
「ヒーロー……あー……お兄ちゃん来たら面倒なことになるぞ……これ……」
兄が旗を持って応援する姿が目に浮かぶ。――いや、あの人も一応ヒーローなんだから、そのあたりはわきまえているはずだ。
「当然名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も話題性も高くなる。時間は有限。プロに見込まれれば、その場で将来が拓けるワケだ。年に一回……計三回だけのチャンス。ヒーロー志すなら絶対にはずせないイベントだ」
昼休み――
「そう言えばよ~USJで魚住のところに走ってきた人って……」
お昼の準備をしていると、切島くんが話しかけてきた。
そうだ、切島くん――と轟くんもだけど――には兄の愚行を見られてしまっていたんだった。
「あー……私の兄だね。まだ知名度とかは低いけど……『スノーマン』ってヒーロー。雄英のOBだよ」
「やっぱりか‼ 何で爆豪と仲悪いんだ? すっげー言い合いしてたよな」
「昔からああだから……なんでだろ。ねえ、勝己。何で?」
私の後ろで話に混ざる気はさらさらなかった勝己に疑問を飛ばした。
「俺に訊くな」
「――ま、まあ何となく予想はつくけどな。魚住関係なのは確か」
「え、私?」
私関係か。二人の接点と言ったら私になるから、妥当ではある。
「奏」
「うん?」
「飯行くぞ」
「あ、うん……」
勝己は、昔から兄の話になると喋らなくなるな。いつも以上に黙るし、機嫌悪いし。なんだかなぁ。
放課後――
「うおおおお……何事だあ⁉」
教室の外に人だかり。普通科や他の科の人もいるんだろうか、これは……
「出れねーじゃん! 何しに来たんだよ」
「敵情視察だろ、雑魚」
勝己に暴言を吐かれた峰田くん。何なんだよコイツと指をさす。
ナチュラルに毒を吐くのがこいつの常だからな。
「敵の襲撃耐え抜いた連中だもんな。体育祭前に見ときてえんだろ。意味ねえからどけモブ共」
「知らない人のこと取り敢えずモブって言うのやめなよ!」
あーあーほんっと悪い癖だ。
「どんなもんかと見に来たが、随分偉そうだなぁ。ヒーロー科に在籍するやつは皆こんななのかい?」
「いや、こいつだけ。こいつはクソを下水で煮込んだ性格してっから」
「オイ‼」
人垣の中から紫髪の逆立った凄い髪型の人が出てきた。
「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ。普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴結構いるんだ。知ってた?」
そんな噂、聞いたことあるような。ないような。
「体育祭のリザルトによっちゃ、ヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆もまた然りらしいよ……敵情視察? 少なくとも普通は調子のってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー宣戦布告しに来たつもり」
大胆不敵だなぁ、この人。
そしてまたもう一人が人垣の中から声を上げた。
「隣のB組のモンだけどよぅ! 敵と戦ったっつうから話聞こうと思ってんだがよぅ‼ えらく調子づいちゃってんなオイ‼ 本番で恥ずかしいことなんぞ‼」
ヘイトが一方的に溜まっていく。勝己のせいだ。
「奏、帰んぞ」
「へ?」
勝己が私の手を掴んで歩き出す。
「待てコラどうしてくれんだ。おめーの所為でヘイト集まりまくってんじゃねえか! リア充するな!」
教室から切島くんが叫んだ。リア充じゃないよ。
「関係ねぇよ……上に上がりゃ、関係ねえ」
「く……! シンプルで男らしいじゃねぇか」
「上か……一理ある」
切島くんと常闇くんがまんまと騙される。
「騙されんな! 無駄に敵増やしただけだぞ!」
「おら、帰んぞ」
勝己が私の手を強く引いた。本当に周りのことは関係ないスタンスらしい。
「はいはい……――勝己、今日うちでご飯食べてく?」
「クソ兄貴がいなかったらな」
「いないから来なって。キムチ買ってあるから」
「ん」