いつも通り残業を終え、既に暗くなってしまった帰路を辿り家に着く。

「ただいま、我が家」

7畳半の我が家に帰宅を告げるがこの時ふと違和感を感じた。家の中が少し血生臭い。もしかして強盗か、何かなのだろうかと居間の扉に手をかけたはずだが…………

体の痛みと共に天を仰いでいた。



「お前はここの住人だな?」


剣のようなものが付いた銃口を向けられながら、獣のような目をした屈強な男に問われる
。

「は、い……」
「目的は何だ?何故俺をここに連れてきた?」
「あな、た、、ごうとうでは……」

強盗ではないのか?何故私がこんな如何にも強そうな男を連れてくるのか?運ぶこともままならないだろうに。

「まあ、俺を連れてきたにしては筋力も体力もなさそうだがな」

強盗と間違えるなんて酷いな、お嬢さん。と下顎の縫われた猫の様な顔をした男は楽し気に笑う。その容貌は今絶賛ハマっているゴールデンカムイという漫画の尾形 百之助そのものだ。

「北海道にしては暑いな...」
「ここは島根なので、北海道とは気候が全然違うのかもしれません」
「随分とまあ、遠くへ来たものだ。そうだろう、月島軍曹」

奥からもう1人体格の良い男が出てくる。さっきまでの男は偵察でこちらの人がどうやら本命のようだ。

「尾形上等兵、元上等兵だな。俺が出て行ってもいいと言ったんだがな...」
「軍曹のお手を煩わせるわけにはいきませんからな」
「思ってもないことを言う」
「お二方は....」

「俺は月島基だ。そしてこちらが」
「尾形百之助だ。お嬢さん」
「私は藤原佳代子です」

この2人の事情はまだ分からないけど、これからどうなっていくのだろうか。ぼんやりとした疑問が浮かぶ。