師団パーティまで
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魔生物授業。
今日から魔術の授業で一同は植物塔に来ていた。
その中で行われたのは、特殊な苗に魔力を通して育てる『自分の魔力を形としてみる』授業だった。
「ふぃ、コツは頭の中に完成形を思い浮かべることでぇす。」
教壇でふんわりと微笑むのは、魔生物学の担当であるスージー・ストラス先生。
小さくておっとりとした可愛らしい先生だ。
私とイルマは、お互いの植木鉢を並べて顔を見合わせた。
「…魔力がない私達はどうしようね。」
「あはは、そうだね…。とにかく目立たないように気をつけなきゃ」
と話をしているとアスモデウス達が集まってきてそれぞれの花を見せてきた。
サブロはやたらと攻撃的な植物。破壊神っと名付けられてた。
アスモデウスは燃える花。綺麗だった。サブロに水かけられてたけど
クララは、、、よくわからない集合体の植物。なんか鳴いてた。
これが魔力を形で見る、か。個性満載だな
周りのみんなが、それぞれの個性を映した面白い花を咲かせている。賑やかで平和な光景に、私の心は少しだけ自分はどんな花が咲かせれるだろうか、と考える。
(あの花の名前、はなんだったかな。花火のような、綺麗な花。赤よりも白、の方が好きかも……)
一度見たことがある真っ赤な絨毯のように咲き乱れていた。ただ、赤はまるで死者に向けた花のようであまり好きではなかった。これが白だったらもっといいのに、と
イルマも同じく花を思い浮かべたのか、目が合う。
「とりあえず、唱えてみる?」
「そうだね!カンナちゃん、準備はいい? せーので唱えようか」
「ええ。…では」
そう言って、2人で純粋に呪文を唱えた。
私も、特注の番傘『夜帷』を触りながら特殊な苗に向け、魔力注ぐイメージをして
「「――『クワンックワンッ』!!」」
特に反応が無い苗にイルマは恥ずかしくなったのか誤魔化そうとした次の瞬間、特殊な苗が光出した。
「えっ……!?」
「うわあああ!? なにこれぇ!?」
『ピロロロロロ♪ ピロロロロロ♪』
間の抜けた着信音がけたたましく響き渡った。イルマが慌てて懐から『ス魔ホ』を取り出す。
「わ、わ、電話?! ……もしもし『やっほー!おじいちゃんだよー!イェーイ!初電話!あ、入間くん! カンナちゃん! 言い忘れてたんだけどね!』
スピーカーから漏れ出たサリバンの声にカンナも聞き耳を立てる。
『イルマくんの指輪とカンナちゃんの傘、僕の魔力込めたでしょ?だから2人とも今、魔術使えるから!あ、でもまだ魔力の出力の調整してないから、ヘタに魔術を使っちゃダメだよ〜〜〜!!!』
「「……え」」
私とイルマの動きが、同時にピキリと凍りついた。
「……それを言うなら、授業が始まる前、せめて私たちが植木鉢の前に立つ前に言うべきです。遅すぎます、サリバン様のバカ」
私が虚ろな琥珀色の瞳でス魔ホに辛辣なツッコミを入れたが、時すでに遅し。
引き金を引くように解放されてしまった二人の膨大な魔力は、遅すぎる助言の直後、完全に限界を突破して暴走を始めていた。
ゴ、ゴゴゴゴゴゴゴッ……!!!
凄まじい地鳴りと共に、入間の植木鉢から溢れた強大な魔力が、地面を突き破って天井をも突き破らんばかりの巨木へと急成長していく。
外の世界へ向かって爆発的に上空へと伸びる、鮮やかなピンク色の巨大な桜の木。
そして、それと完全に『同時』に、私の番傘から大放出された膨大な魔力が、濁流となって植物塔の床一面を侵食した。
その巨大な桜を地上の底から支えるかのように、植物塔の床を一面、跡形もなく埋め尽くしたのは――数千、数万の、純白の『リコリス(白い彼岸花)』だった。
「な……んだ、これ……。一面、ピンクと白……」
「綺麗だけど、ヤバすぎるだろこれ!!」
リードやジャズ、クラスメイトたちが、腰を抜かして上下の絶景を見回す。
戦場の爛れた赤ではない、私の肌のようにどこまでも透き通るような白と、イルマの優しいピンク。二人の異質な人間(天人)が咲かせた世界が、植物塔を完全に支配していた
「早く言って…」
そう呟くイルマの横で急激な大放出による魔力拒絶アンチ・マギアの残光が身体を走り、私の全神経にビリビリとした軽い痺れが走る。私は微かに震える手を隠すように、番傘をカタ、と肩に担ぎ直した。
頭上を覆う満開の桜と、足元を埋め尽くす白い彼岸花。
この日、魔界で咲かない花々から得体の知れない危うさと目を離せない妖艶さを感じさせる日になった。
