爆豪勝己連載の番外編を置いていきます。
向日葵 番外編
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『出久君、出久君!出久君には特別に歌歩の夢教えてあげる。でも、他の子達…特に勝己君には内緒だよ?』
そう言い少し顔を赤くしながら人差し指を口元に当ててしーっと言っていた歌歩ちゃんは、子供ながらにとても愛おしく見えた。
◇
「いやぁ…すっげー広い会場だな!さっすが若手注目度№1ヒーローの結婚式会場だぜ」
隣の席で会場を見渡す上鳴君が感激したように声を上げる。
「すげー規模だよねー。まぁアイツなら派手にやるだろうとは思ったけどよ。…つか切島さっきからどうした?」
上鳴君に同調しつつ、先程から会話に参加せずに無心に水を飲みながら何かブツブツと呟いている切島君に若干引いたように瀬呂君が話しかけた。
「ほら、切島友人代表のスピーチするじゃん?爆豪の。それですっごいキンチョ―してるみたいでさ。昨日寝れなかったんだって」
そんな瀬呂君に芦戸さんが苦笑気味で説明すると、その場にいた全員が「あー…」と納得したように声を上げた。
「そんな気負わなくても大丈夫だよ!リラックスしよう。あんまり固くなると逆に良くないと思うよー?」
「お茶子ちゃんの言う通りよ。リラックスしましょう、切島ちゃん」
そんな風に励ます麗日さんと蛙吹さんに力なく「お、おー…」と返事する切島君はやはりまだ緊張しているようだ。そんな切島君をみんなで応援していると、結婚式が始まった。
煌びやかなバージンロードを真っ白なタキシードを着たかっちゃんの元へ、お父さんの代役としてオールマイトと腕を組んで音楽と共に入場してくる歌歩ちゃん…。真っ白で豪華なウエディングドレスを着た歌歩ちゃんは本当にすごく綺麗で辺りからも声が上がった。……かっちゃんと歌歩ちゃんが、結婚か。
「緑谷?どうした?」
「え?」
突然轟君に声をかけられて何かと思って首を傾げていると、
「お前、何。泣いてんの?」
そう心操君に言われて初めて、自分が泣いていることに気がついた。
「緑谷君大丈夫かい?どこか具合でも悪いのかい?」
飯田君がそういうと他のみんなも大丈夫か尋ねてきた。心配かけてしまっている。慌てて大丈夫だといおうとするが、そうすればするほど涙が止まらなくなり、とうとう嗚咽し始めてしまった。そんな僕をみんな焦って宥めようとするが、そうされればされるほどやはり止まらなくなってしまった。
「おいコラクソデク!テメェ何主役より目立ってるんだ!!」
僕が泣きだして目立ってしまっていることが面白くなかったらしく、かっちゃんが怒鳴りながらやって来た。それを合図に結婚式は大騒ぎになった。
◇
「いやー…なんかすげぇ式だったなー…」
結婚式場から出て、夜道をみんなで歩いていると上鳴君が呟いた。
「まぁなんか、すごく爆豪らしい式でもあったとは思うけどね」
それに対して耳朗さんが言う。
「まさか式場で爆破するとは思わなかったね。でも歌歩ちゃんも爆豪君も幸せそうだったね」
「だね。爆豪なんか子供の頃からずっと無居さんのこと好きだったらしいし、幸せなんて言葉じゃ片付けられないくらいかもね」
葉隠さんと尾白君の会話を聞きながら、子供の頃のことを思い出す。あの日僕だけにこっそり教えてくれた、歌歩ちゃんの夢を。
「緑谷が泣きだしたのには驚いたけどな」
今まで黙って聞いていた轟君が会話に入ってきた。
「具合でも悪いのかと思ったぞ」
そこに飯田君も加わる。
「し、心配させちゃってごめんね。なんかかっちゃんと歌歩ちゃん見てたら涙出てたというかなんというか…」
「デク君ずっと近くで爆豪君と歌歩ちゃんのこと見てたんだもんね。そりゃ感動しちゃうよね」
歯切れ悪く話す僕のことを麗日さんがフォローしてくれた。
「緑谷が泣くのはまぁわかるとして…」
そう冷や汗をかきながら言う瀬呂君の視線の先には
「うおおお、爆豪も無居も、幸せそうで…!良かった、良かったぜ…!」
大号泣しながら叫び声を上げている切島君がいる。スピーチ始める少し前くらいからずっとあの調子だ。芦戸さんや蛙吹さんに宥められているが、収まる気配はない。
「相変わらずすげーな、元Aの連中は」
そんな様子を少し引き気味に、そして苦笑気味に心操君が話しかけてきた。
「あはは、なんかごめん…」
「いやいいよ、楽しかったし。……幸せそうなアイツの顔も見れたしな」
そう少し、切なげに笑う心操君。
「やっぱ悔しいけど、無居は爆豪の隣にいるのが1番似あってるな」
そう言いながら笑う心操君の顔は、嬉しいような、切ないような、寂しいようなとても複雑そうな顔をしていた。
そんな心操君に何も言えなくなってしまった。
「緑谷、ありがとな」
黙り込んだ僕に心操君がお礼を言う。
「えっ?何が?」
「お前が泣いてくれたお陰で情けない顔せずに済んだ」
少し意地悪気に笑う心操君に「えっちょっ…酷い…」というと「悪い悪い。半分冗談だ」と言われた。半分てことは残り半分は本気なのか…。
不意に心操君が立ち止まった。釣られて僕も立ち止まる。
「……今日さ、本当は来るの辞めようと思ってたんだ。正直、素直におめでとうって言ってやれる自信なくてさ」
あぁ…やっぱり心操君、来ないつもりだったのか…。高校生の頃からずっと今も、心操君は歌歩ちゃんのことが好きなんだ…。
「けど実際、ウエディングドレス着て幸せそうに爆豪の隣で笑うアイツ見てたら、俺も幸せな気分になれた。きっと今日来なかったら、一生後悔してたと思う。お前がこの前、連絡くれなかったらきっと来なかった。…お前、予想してたんだろ?俺が来ないつもりだって。だからわざわざ一緒に行こうって連絡してきたんだろ?」
僕の考えは全てお見通しだったようだ。
「あはは…なんだ、バレバレだったんだ…恥ずかしいや…。心操君て勘いいよね…」
「お前が分かりやすいだけだろ。…それにお前って、アイツに似てるし」
「アイツ?誰に?」
「………お前の知らないやつ」
そう言って心操君が僕から目を逸らした。…誰に似てると思っているんだろう?
「緑谷ー、心操ー!お前らも二次会行くだろー?早く来いよー!」
少し先を歩く上鳴君が僕達を呼んでいる。その声に心操君が「おー」と返事をして、
「行こうぜ」
と僕に言った。
「あ、うん…ごめん、ちょっと先に行っててもらっていいかな?僕は後から1人で行くから」
そう伝えると心操君は「わかった」と言って足早にみんなの所へと向かって行った。
『出久君、出久君!出久君には特別に歌歩の夢教えてあげる。でも、他の子達…特に勝己君には内緒だよ?』
またあの日の、歌歩ちゃんの言葉が蘇ってきた。
『かっちゃんにも内緒なの?』
『うん、内緒。絶対に内緒。内緒にしてくれなかったら歌歩、出久君のこと嫌いになっちゃう!』
『わ、わかった、内緒にする!だから嫌いにならないで』
『うん、約束だよ!あのね、歌歩ね…大きくなったら、勝己君のお嫁さんになりたいの!』
顔を微かに赤くしながら、耳元でこっそりと僕にだけ教えてくれた、歌歩ちゃんの夢。その夢が今日、叶ったんだ。
「歌歩ちゃん、夢叶って良かったね。おめでとう」
願わくばどうか、2人が永遠に幸せでありますように。
そう言い少し顔を赤くしながら人差し指を口元に当ててしーっと言っていた歌歩ちゃんは、子供ながらにとても愛おしく見えた。
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「いやぁ…すっげー広い会場だな!さっすが若手注目度№1ヒーローの結婚式会場だぜ」
隣の席で会場を見渡す上鳴君が感激したように声を上げる。
「すげー規模だよねー。まぁアイツなら派手にやるだろうとは思ったけどよ。…つか切島さっきからどうした?」
上鳴君に同調しつつ、先程から会話に参加せずに無心に水を飲みながら何かブツブツと呟いている切島君に若干引いたように瀬呂君が話しかけた。
「ほら、切島友人代表のスピーチするじゃん?爆豪の。それですっごいキンチョ―してるみたいでさ。昨日寝れなかったんだって」
そんな瀬呂君に芦戸さんが苦笑気味で説明すると、その場にいた全員が「あー…」と納得したように声を上げた。
「そんな気負わなくても大丈夫だよ!リラックスしよう。あんまり固くなると逆に良くないと思うよー?」
「お茶子ちゃんの言う通りよ。リラックスしましょう、切島ちゃん」
そんな風に励ます麗日さんと蛙吹さんに力なく「お、おー…」と返事する切島君はやはりまだ緊張しているようだ。そんな切島君をみんなで応援していると、結婚式が始まった。
煌びやかなバージンロードを真っ白なタキシードを着たかっちゃんの元へ、お父さんの代役としてオールマイトと腕を組んで音楽と共に入場してくる歌歩ちゃん…。真っ白で豪華なウエディングドレスを着た歌歩ちゃんは本当にすごく綺麗で辺りからも声が上がった。……かっちゃんと歌歩ちゃんが、結婚か。
「緑谷?どうした?」
「え?」
突然轟君に声をかけられて何かと思って首を傾げていると、
「お前、何。泣いてんの?」
そう心操君に言われて初めて、自分が泣いていることに気がついた。
「緑谷君大丈夫かい?どこか具合でも悪いのかい?」
飯田君がそういうと他のみんなも大丈夫か尋ねてきた。心配かけてしまっている。慌てて大丈夫だといおうとするが、そうすればするほど涙が止まらなくなり、とうとう嗚咽し始めてしまった。そんな僕をみんな焦って宥めようとするが、そうされればされるほどやはり止まらなくなってしまった。
「おいコラクソデク!テメェ何主役より目立ってるんだ!!」
僕が泣きだして目立ってしまっていることが面白くなかったらしく、かっちゃんが怒鳴りながらやって来た。それを合図に結婚式は大騒ぎになった。
◇
「いやー…なんかすげぇ式だったなー…」
結婚式場から出て、夜道をみんなで歩いていると上鳴君が呟いた。
「まぁなんか、すごく爆豪らしい式でもあったとは思うけどね」
それに対して耳朗さんが言う。
「まさか式場で爆破するとは思わなかったね。でも歌歩ちゃんも爆豪君も幸せそうだったね」
「だね。爆豪なんか子供の頃からずっと無居さんのこと好きだったらしいし、幸せなんて言葉じゃ片付けられないくらいかもね」
葉隠さんと尾白君の会話を聞きながら、子供の頃のことを思い出す。あの日僕だけにこっそり教えてくれた、歌歩ちゃんの夢を。
「緑谷が泣きだしたのには驚いたけどな」
今まで黙って聞いていた轟君が会話に入ってきた。
「具合でも悪いのかと思ったぞ」
そこに飯田君も加わる。
「し、心配させちゃってごめんね。なんかかっちゃんと歌歩ちゃん見てたら涙出てたというかなんというか…」
「デク君ずっと近くで爆豪君と歌歩ちゃんのこと見てたんだもんね。そりゃ感動しちゃうよね」
歯切れ悪く話す僕のことを麗日さんがフォローしてくれた。
「緑谷が泣くのはまぁわかるとして…」
そう冷や汗をかきながら言う瀬呂君の視線の先には
「うおおお、爆豪も無居も、幸せそうで…!良かった、良かったぜ…!」
大号泣しながら叫び声を上げている切島君がいる。スピーチ始める少し前くらいからずっとあの調子だ。芦戸さんや蛙吹さんに宥められているが、収まる気配はない。
「相変わらずすげーな、元Aの連中は」
そんな様子を少し引き気味に、そして苦笑気味に心操君が話しかけてきた。
「あはは、なんかごめん…」
「いやいいよ、楽しかったし。……幸せそうなアイツの顔も見れたしな」
そう少し、切なげに笑う心操君。
「やっぱ悔しいけど、無居は爆豪の隣にいるのが1番似あってるな」
そう言いながら笑う心操君の顔は、嬉しいような、切ないような、寂しいようなとても複雑そうな顔をしていた。
そんな心操君に何も言えなくなってしまった。
「緑谷、ありがとな」
黙り込んだ僕に心操君がお礼を言う。
「えっ?何が?」
「お前が泣いてくれたお陰で情けない顔せずに済んだ」
少し意地悪気に笑う心操君に「えっちょっ…酷い…」というと「悪い悪い。半分冗談だ」と言われた。半分てことは残り半分は本気なのか…。
不意に心操君が立ち止まった。釣られて僕も立ち止まる。
「……今日さ、本当は来るの辞めようと思ってたんだ。正直、素直におめでとうって言ってやれる自信なくてさ」
あぁ…やっぱり心操君、来ないつもりだったのか…。高校生の頃からずっと今も、心操君は歌歩ちゃんのことが好きなんだ…。
「けど実際、ウエディングドレス着て幸せそうに爆豪の隣で笑うアイツ見てたら、俺も幸せな気分になれた。きっと今日来なかったら、一生後悔してたと思う。お前がこの前、連絡くれなかったらきっと来なかった。…お前、予想してたんだろ?俺が来ないつもりだって。だからわざわざ一緒に行こうって連絡してきたんだろ?」
僕の考えは全てお見通しだったようだ。
「あはは…なんだ、バレバレだったんだ…恥ずかしいや…。心操君て勘いいよね…」
「お前が分かりやすいだけだろ。…それにお前って、アイツに似てるし」
「アイツ?誰に?」
「………お前の知らないやつ」
そう言って心操君が僕から目を逸らした。…誰に似てると思っているんだろう?
「緑谷ー、心操ー!お前らも二次会行くだろー?早く来いよー!」
少し先を歩く上鳴君が僕達を呼んでいる。その声に心操君が「おー」と返事をして、
「行こうぜ」
と僕に言った。
「あ、うん…ごめん、ちょっと先に行っててもらっていいかな?僕は後から1人で行くから」
そう伝えると心操君は「わかった」と言って足早にみんなの所へと向かって行った。
『出久君、出久君!出久君には特別に歌歩の夢教えてあげる。でも、他の子達…特に勝己君には内緒だよ?』
またあの日の、歌歩ちゃんの言葉が蘇ってきた。
『かっちゃんにも内緒なの?』
『うん、内緒。絶対に内緒。内緒にしてくれなかったら歌歩、出久君のこと嫌いになっちゃう!』
『わ、わかった、内緒にする!だから嫌いにならないで』
『うん、約束だよ!あのね、歌歩ね…大きくなったら、勝己君のお嫁さんになりたいの!』
顔を微かに赤くしながら、耳元でこっそりと僕にだけ教えてくれた、歌歩ちゃんの夢。その夢が今日、叶ったんだ。
「歌歩ちゃん、夢叶って良かったね。おめでとう」
願わくばどうか、2人が永遠に幸せでありますように。