爆豪勝己連載の番外編を置いていきます。
向日葵 番外編
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「なぁ無居ってさ、ブチ切れたりすることってあんの?」
休み時間に、僕とかっちゃんの机近くに集まってそんな質問を投げかけて来たのは上鳴君だ。
「あ?唐突に何言ってんだ」
「いやさー不意に気になって。あいついつもほわーんとしててさ、ニコニコしてて優しげじゃん?だからキレたりとかしなさそうだなーって思ってよ」
ただなんとなく疑問に思っただけ、と一言付け足す。歌歩ちゃんがブチ切れ……?思い当たらないや。
「歌歩ちゃんあんまり怒らないからね。僕は思い当たらないや。かっちゃんも……」
「いや、いっぺんあったろ。ドギツイブチ切れ方してたこと」
かっちゃんもないよねと言おうとすると、かっちゃんは「お前本気で言ってんのか…………?」とでも言いたげな顔で僕のことを見つめながら遮ってそう言った。
ドギツイブチ切れ方………………?えっと首を傾げながら答えると
「テメェマジで忘れてんのか……あんな泣きながらしがみついて止めてたくせに……」
との返答が。泣きながらしがみついて止めた………………あっ!!!
「小一の時!!」
「やっと思い出したか……」
かっちゃんが呆れたようにはぁ、とため息混じりに言う。
「なになにー?小一の時爆豪と緑谷、無居になんかしてキレられたのー?」
芦戸さんが楽しげに聞いてくる。
「違うよ!僕とかっちゃんは無実だってば!」
慌てて無実を訴えると、「なぁーんだ。ま、分かってたけどね」と楽しそうに笑いながら言われた。
「でも歌歩ちゃんがブチ切れるって想像つかないね」
「うん。歌歩ちゃんて、上鳴も言ってたけどほわほわーとしてて優しい子ーってイメージだよね」
「そもそも怒ったりすること自体苦手そうな印象があるわ、あの子」
麗日さんに葉隠さん、蛙吹さんが言う。
「よく言うだろ。普段大人しいやつほど本気でブチ切れるとヤベェって。あいつはそれの典型例だ」
かっちゃんがそう言うと、みんな「あー……」と声を揃えて納得したようなリアクションをする。
「小一の時無居どんな風にブチ切れたんだ?声荒らげて爆豪みてぇにキレてたのか?想像つかねぇな!」
切島君が笑いながら聞いてくる。かっちゃんみたいなキレ方する歌歩ちゃん……?確かにある意味怖いかも。けど、
「いや、歌歩ちゃんのキレ方はそうじゃないよ。なんか、なんて言ったらいいんだろう……」
「能面みてぇなツラだった……」
かっちゃんがぼそっと呟く。
「それだ!正しくそんなだった!」
例えが秀逸過ぎて、思わず興奮気味に言うと頭を軽くド突きながら「うるせぇクソナード!」と怒鳴られた。痛い。
「の、能面……?」
「どういうこと……?」
僕とかっちゃんのやり取りを不思議そうにみんなが見ている。
「いやあのね、歌歩ちゃん本気でブチ切れると無表情になるんだよ……で、その顔が……能面、みたいなんだ……」
◇
あれは小学校に上がって2ヶ月程たった日の事だった。歌歩ちゃんが顔色を真っ青にしながら「か、勝己君、出久君……!は、はり、ハリネズミさん……!ハリネズミさん知らない……?いなくなっちゃった……!」ガタガタと震えながら僕とかっちゃんに縋るようにしながら尋ねてきた。
「ハリネズミって……おじさんがくれたヌイバか?」
「うん……!」
「た、大変だ!早く探そう!」
そう言いながら3人で手分けして探したけれども、見つけることが出来ず、3人で沈みながら教室へ戻ると
「あ、戻ってきたー!歌歩ちゃんさー!こんな可愛くないヌイバランドセルに付けて持って学校来てるんだよー!変だよねー!」
僕達3人を見つけるとクラスの中心……所謂、スクールカースト上位というやつだろう。の女の子(多分かっちゃんの事が好きだったであろう子。それまでも何かにつけて歌歩ちゃんに意地悪してきてて僕は…いや恐らくかっちゃんも。あんまり好きじゃなかった)が歌歩ちゃんの宝物のヌイバを掲げていた。
「あっ……!」
と、歌歩ちゃんが顔色をさらに真っ青にしながら声を上げるのを見るとその子は意地悪そうに楽しそうに笑って
「こんなダサい子いらないよねー!だから捨ててあげるねー♪」
そう言いながらヌイバを窓から投げ捨ててしまった。歌歩ちゃんの宝物の、おじさんから最後にもらった、誕生日プレゼントを。
「おまえ!!ふざけん……!」
「酷いよ!歌歩ちゃんにあやまっ……!」
怒鳴りながらその子に詰めよろうとした僕とかっちゃん。…………の、頬を何かが掠めた。と、思った次の瞬間。とてつもない勢いでランドセルが飛んでいって女の子の顔面に直撃した。その子は一瞬驚いたように目を見開き、一泊置いてから大泣きし始めた。
ぽかん。とする僕とかっちゃんと、他のクラスメイト達。そんなの気にもとめずに歌歩ちゃんが女の子に近づく。そしてその子の近くに落ちたランドセルを手に持ち、女の子のことをランドセルで教室中に音が鳴り響くような勢いで思い切り叩いた。……叩いた?叩いた?!歌歩ちゃんが人を?!
「お、おい歌歩やめろよ!」
「歌歩ちゃん落ち着いて!!」
何が起こっているのか気が付き、僕とかっちゃんは慌てて歌歩ちゃんに詰め寄って止めようとした。
「2人とも邪魔」
そう言って僕達の腕を振りほどき、また女の子の近くへ行く。僕もかっちゃんも、そんなに力を入れてなかったとはいえ、女の子にあっさり(それもか弱い感じの歌歩ちゃんに)振りほどかれたことに少しショックを受けている間に歌歩ちゃんはまたその子を叩き始めた。
「歌歩!!ハリネズミ!!!こんなやつほっといてハリネズミ探しに行くぞ!!!!」
「歌歩ちゃんダメだよ、痛いことしちゃ!!やめてよ!!」
慌てて宥めようとするかっちゃんと、泣きながら歌歩ちゃんにしがみつく僕、女の子を無表情でランドセルで無心に叩き続ける歌歩ちゃん、泣き続ける女の子と慌てて先生を呼びに行くクラスメイト……今思い返すと、正しくカオスな空間だったな……。
◇
「それから僕とかっちゃんと歌歩ちゃんと女の子の親が呼ばれて大変だったよね……」
「あぁ……うちのババアもデクんとこのおばさんも『歌歩ちゃんがランドセルで友達叩いた?!』ってすげぇビビってたよな……」
はぁ……と大きなため息を同時に吐く。
「ら、ランドセル投げつけてそれ武器にして叩くって……ツッコミたいこと沢山あっけどなんでランドセルを選んだのあの子……」
「なんかたまたま目に入ったらしいよ。ランドセルが。それで気づいたらぶん投げてたって……」
そう説明するとみんなの「えぇぇ……」という少し引き気味の声が教室中に響き渡ったと同時に、始業のチャイムが鳴り響いた。
ちなみに。親を呼び出されて怒られ、担任の先生にお互い謝ろうねと言われた時歌歩ちゃんははっきりと意思の持った声と能面の様な無表情のまま「なんで?歌歩悪くないもん。謝らない」そう言って結局その子に謝らなかった。昔から意外と頑固で変に意思の強い子だよなあの子……。
休み時間に、僕とかっちゃんの机近くに集まってそんな質問を投げかけて来たのは上鳴君だ。
「あ?唐突に何言ってんだ」
「いやさー不意に気になって。あいついつもほわーんとしててさ、ニコニコしてて優しげじゃん?だからキレたりとかしなさそうだなーって思ってよ」
ただなんとなく疑問に思っただけ、と一言付け足す。歌歩ちゃんがブチ切れ……?思い当たらないや。
「歌歩ちゃんあんまり怒らないからね。僕は思い当たらないや。かっちゃんも……」
「いや、いっぺんあったろ。ドギツイブチ切れ方してたこと」
かっちゃんもないよねと言おうとすると、かっちゃんは「お前本気で言ってんのか…………?」とでも言いたげな顔で僕のことを見つめながら遮ってそう言った。
ドギツイブチ切れ方………………?えっと首を傾げながら答えると
「テメェマジで忘れてんのか……あんな泣きながらしがみついて止めてたくせに……」
との返答が。泣きながらしがみついて止めた………………あっ!!!
「小一の時!!」
「やっと思い出したか……」
かっちゃんが呆れたようにはぁ、とため息混じりに言う。
「なになにー?小一の時爆豪と緑谷、無居になんかしてキレられたのー?」
芦戸さんが楽しげに聞いてくる。
「違うよ!僕とかっちゃんは無実だってば!」
慌てて無実を訴えると、「なぁーんだ。ま、分かってたけどね」と楽しそうに笑いながら言われた。
「でも歌歩ちゃんがブチ切れるって想像つかないね」
「うん。歌歩ちゃんて、上鳴も言ってたけどほわほわーとしてて優しい子ーってイメージだよね」
「そもそも怒ったりすること自体苦手そうな印象があるわ、あの子」
麗日さんに葉隠さん、蛙吹さんが言う。
「よく言うだろ。普段大人しいやつほど本気でブチ切れるとヤベェって。あいつはそれの典型例だ」
かっちゃんがそう言うと、みんな「あー……」と声を揃えて納得したようなリアクションをする。
「小一の時無居どんな風にブチ切れたんだ?声荒らげて爆豪みてぇにキレてたのか?想像つかねぇな!」
切島君が笑いながら聞いてくる。かっちゃんみたいなキレ方する歌歩ちゃん……?確かにある意味怖いかも。けど、
「いや、歌歩ちゃんのキレ方はそうじゃないよ。なんか、なんて言ったらいいんだろう……」
「能面みてぇなツラだった……」
かっちゃんがぼそっと呟く。
「それだ!正しくそんなだった!」
例えが秀逸過ぎて、思わず興奮気味に言うと頭を軽くド突きながら「うるせぇクソナード!」と怒鳴られた。痛い。
「の、能面……?」
「どういうこと……?」
僕とかっちゃんのやり取りを不思議そうにみんなが見ている。
「いやあのね、歌歩ちゃん本気でブチ切れると無表情になるんだよ……で、その顔が……能面、みたいなんだ……」
◇
あれは小学校に上がって2ヶ月程たった日の事だった。歌歩ちゃんが顔色を真っ青にしながら「か、勝己君、出久君……!は、はり、ハリネズミさん……!ハリネズミさん知らない……?いなくなっちゃった……!」ガタガタと震えながら僕とかっちゃんに縋るようにしながら尋ねてきた。
「ハリネズミって……おじさんがくれたヌイバか?」
「うん……!」
「た、大変だ!早く探そう!」
そう言いながら3人で手分けして探したけれども、見つけることが出来ず、3人で沈みながら教室へ戻ると
「あ、戻ってきたー!歌歩ちゃんさー!こんな可愛くないヌイバランドセルに付けて持って学校来てるんだよー!変だよねー!」
僕達3人を見つけるとクラスの中心……所謂、スクールカースト上位というやつだろう。の女の子(多分かっちゃんの事が好きだったであろう子。それまでも何かにつけて歌歩ちゃんに意地悪してきてて僕は…いや恐らくかっちゃんも。あんまり好きじゃなかった)が歌歩ちゃんの宝物のヌイバを掲げていた。
「あっ……!」
と、歌歩ちゃんが顔色をさらに真っ青にしながら声を上げるのを見るとその子は意地悪そうに楽しそうに笑って
「こんなダサい子いらないよねー!だから捨ててあげるねー♪」
そう言いながらヌイバを窓から投げ捨ててしまった。歌歩ちゃんの宝物の、おじさんから最後にもらった、誕生日プレゼントを。
「おまえ!!ふざけん……!」
「酷いよ!歌歩ちゃんにあやまっ……!」
怒鳴りながらその子に詰めよろうとした僕とかっちゃん。…………の、頬を何かが掠めた。と、思った次の瞬間。とてつもない勢いでランドセルが飛んでいって女の子の顔面に直撃した。その子は一瞬驚いたように目を見開き、一泊置いてから大泣きし始めた。
ぽかん。とする僕とかっちゃんと、他のクラスメイト達。そんなの気にもとめずに歌歩ちゃんが女の子に近づく。そしてその子の近くに落ちたランドセルを手に持ち、女の子のことをランドセルで教室中に音が鳴り響くような勢いで思い切り叩いた。……叩いた?叩いた?!歌歩ちゃんが人を?!
「お、おい歌歩やめろよ!」
「歌歩ちゃん落ち着いて!!」
何が起こっているのか気が付き、僕とかっちゃんは慌てて歌歩ちゃんに詰め寄って止めようとした。
「2人とも邪魔」
そう言って僕達の腕を振りほどき、また女の子の近くへ行く。僕もかっちゃんも、そんなに力を入れてなかったとはいえ、女の子にあっさり(それもか弱い感じの歌歩ちゃんに)振りほどかれたことに少しショックを受けている間に歌歩ちゃんはまたその子を叩き始めた。
「歌歩!!ハリネズミ!!!こんなやつほっといてハリネズミ探しに行くぞ!!!!」
「歌歩ちゃんダメだよ、痛いことしちゃ!!やめてよ!!」
慌てて宥めようとするかっちゃんと、泣きながら歌歩ちゃんにしがみつく僕、女の子を無表情でランドセルで無心に叩き続ける歌歩ちゃん、泣き続ける女の子と慌てて先生を呼びに行くクラスメイト……今思い返すと、正しくカオスな空間だったな……。
◇
「それから僕とかっちゃんと歌歩ちゃんと女の子の親が呼ばれて大変だったよね……」
「あぁ……うちのババアもデクんとこのおばさんも『歌歩ちゃんがランドセルで友達叩いた?!』ってすげぇビビってたよな……」
はぁ……と大きなため息を同時に吐く。
「ら、ランドセル投げつけてそれ武器にして叩くって……ツッコミたいこと沢山あっけどなんでランドセルを選んだのあの子……」
「なんかたまたま目に入ったらしいよ。ランドセルが。それで気づいたらぶん投げてたって……」
そう説明するとみんなの「えぇぇ……」という少し引き気味の声が教室中に響き渡ったと同時に、始業のチャイムが鳴り響いた。
ちなみに。親を呼び出されて怒られ、担任の先生にお互い謝ろうねと言われた時歌歩ちゃんははっきりと意思の持った声と能面の様な無表情のまま「なんで?歌歩悪くないもん。謝らない」そう言って結局その子に謝らなかった。昔から意外と頑固で変に意思の強い子だよなあの子……。